ナイフマスタータクト~誤植編~   作:じゅぺっと

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誤植編を書いたのに完結編を書かないのもスッキリしないかなと思ったので書きました。


ナイフマスタータクト~完結編~

「うーん……人形劇の脚本って、どうすれば作れるのかな……」

 

 トレセン学園の自室で、狩人ウマ娘デアリングタクトは途方にくれていた。

 きっかけは、アーモンドアイが熱で倒れたとフサイチパンドラから聞かされたことだ。

 

「アイ先輩、時々頑張りすぎてしまいますから……こんな時こそ、後輩である私が恩返しをしないと」

 

 アイとタクトは、他のティアラウマ娘達とも協力してぱかプチ人形劇をファンに向けて定期的に行っている。

 いつもは人形劇が得意なアイが脚本を書いてくれていたが、熱を出してしまった以上そうもいかない。

 

「前回は、私のぱかプチがティアラ四天王ブーケ先輩のぱかプチに挑んだところで終わったっけ」

 

 パンドラのうっかりで誤字だらけの台本が送られてきて、それを素直なタクトとブーケがそのまま演じてしまったがためにいつもとは違う盛り上がりをしてしまった。

 タクトは、今やっている人形劇の話の流れをノートに書き出してみる。

 

「ティアラ四天王のブーケ先輩は頭のお花を10本摘まないと倒せなくて……」

 

 ぱかプチでもブーケのお花は再現されている。それをタクトのナイフで刈り取らないといけないという話だった。

 

「そしてブーケ先輩、グラン先輩、ラヴズ先輩、クロノ先輩。この4人を倒して聖なるティアラを手に入れて、ティアラ大魔王のアイ先輩を倒さないといけないから……」

 

 その他にもいくつか伏線があったはずだ。

 

「私の両親はアイ先輩に捕まって地獄のような労働を強いられていて、あと生き別れの妹がいることを時々仄めかせてたはず……うーん……脚本ってどうやって書けばいいのかな。人形劇は明日なのに」

 

 そもそも、タクトは物語を作った経験がない。熱で倒れたアイ先輩に恩を返したいし、ファンのために人形劇を中止したくない気持ちで引き受けたが、どう書けばいいのかわからなかった。

 そんなタクトの窮地を救ったのは、尊敬する先輩の声だった。

 

『Remeber!  タクト、思い出して……私と過ごした日々を』

「あなたは、イマジナリーハートさん……!」

 

 困ったタクトの脳内に現れる一番尊敬する先輩、デアリングハートはタクトにいつも教えを授けてくれる。

 

『タクト、あなたは確かにアイさんのような物語は作れないかもしれない……けど』

「けど?」

『タクトには……私と一緒に見てきた、たくさんのサメ映画があるはずよ!!』

 

 デアリングハートは、サメ映画が好きだ。

 内容は控えめにいって個性的、率直に言えばB級映画と言うのも憚られるめちゃくちゃな物語が大半。

 だがハートはそれを気に入っており、タクトも先輩の付き合いでよく一緒に見ていた。

 

「サメ映画……! 確かにそれを参考にすれば、私にもお話が作れるかもしれません!」

 

 タクトにとって好きなのはサメ映画ではなく、ハートと一緒に映画を見る時間そのものが幸せだったのだが、タクトはそこに気付いていない。

 地元の山奥では映画などほぼ見る機会のなかったタクトにとって、映画=サメのようなものだった。

 

『タクト……私とあなたに宿る大胆な心と戦術をもって。ぱかプチ人形劇で、みんなを笑顔にしてみせなさい!』

「はい! ご指導ありがとうございます、ハートさん……!」

 

 心の中の先輩にお礼を言い、タクトは脚本を書き始めた。

 そして勢いで書き上げた脚本を、熱で倒れたアイ以外の先輩にグループLANEで送信する。

 ドキドキしながらタクトはスマホを眺めていると、しばらくして返信が帰ってきた。

 

グラン【これタクトちゃんが書いたの!? すごいね、意外性120マイル!】

ラヴズ【タクトちゃんの全身から伝わるサメ映画へのラブ……確かに受け取ったわ!】

クロノ【まさかアイさんが熱で倒れていたとは露知らず……タクトさんの熱意、無駄にはしません】

ブーケ【また一緒に、お客さんに笑顔の花を咲かせましょう】

 

 先輩方にも否定されなかったので、ほっと安心してその日は眠りについたタクト。

 そして翌日、ついにぱかプチ人形劇の日がやってきた!

 

ブーケ「さぁ来なさいタクトさん……実は私は頭のお花を1本切られただけで倒れます!」

タクト「くらえ!」

ブーケ「きゃ~」

 

 タクトぱかプチがブーケぱかプチを貫く。するとすかさず残りの四天王であるぱかプチがスッと出てきた。

 

グラン「ブーケちゃんがやられたようだね……」

ラヴズ「フフフ……ブーケちゃんは四天王の中でも最弱……」

クロノ「タ、タクトさんこど……ごときに敗れるとは、四天王の……つ、面汚しです!」

 

 グランとラヴズはノリノリで悪役台詞を決める。そして2人がチラッとクロノに目配せすると、クロノは顔を赤くしながら台詞を言った。

 人形劇の裏側でグッと親指を立てるグランとラヴズ。

 

タクト「みんなまとめてやっつけてやります!!」

グラン、ラヴズ、クロノ「せーの、きゃああああ!!」

 

 タクトぱかプチのナイフが3人のぱかプチをまとめて貫いた。声を揃えて可愛い悲鳴を上げるグラン達。

 

タクト「やった、ついにティアラ四天王を倒しました! これでティアラ大魔王と戦えます!」

 

 本来ならティアラ大魔王はアイが演じることになっていたのだが、熱で倒れてしまったので。

 タクトは、自分の中でアーモンドアイに匹敵する強さを持つティアラの大魔王に代役を頼んでいた。

 代役を頼まれたティアラウマ娘は、ぱかプチを操りながら剛毅なる声で後輩の願いに応える。

 

ジェンティルドンナ「よく来ましたわね、ナイフマスタータクト……」

タクト「ティアラ大魔王……!」

ジェンティルドンナ「私を倒すのに聖なるティアラが必要だと思っているようですけど……あなたが私より真に強ければ別にそんなものなくても倒せる、そう思いません?」

タクト「な、なんですって!」

 

 アイ先輩と同等の強さを持つジェンティル先輩にぜひ代役をお願いしたい。タクトが真剣に頼み込むと意外とあっさり、そして楽しそうに引き受けてくれた。

 ぱかプチは概ねどれも同じサイズなのに、ジェンティルぱかプチが他より大きく見えるのは本人の存在感ゆえだろう。

 

ジェンティルドンナ「あと、貴女のご両親は筋トレが終わったのでお返ししましたわ」

タクト「わかりました……地獄のような労働とはジェンティル先輩式筋トレのことだったのですね」

 

 ほほほ、とジェンティルはアドリブで笑う。戦闘力53万はありそうなラスボス役が板についていた。

 

タクト「私からも言っておくことがあります……この世に生き別れた妹がいたような気がしましたが、別にそんなことはなかったです!」

ジェンティルドンナ「そう……」

 

 これで物語の伏線は全て回収した。少なくともタクトのサメ映画基準では回収した。

 

ジェンティルドンナ「では始めましょうか。トリプルティアラ同士の闘争を……!」

タクト「いきます! やああああ!」

 

 ここで脚本は終わり。なので最後はタクト以外のみんなで話を締めることにしていた。

 

グラン&ラヴズ「タクトちゃんの勇気が世界を救うと信じて!!」

クロノ&ブーケ「ご静聴、ありがとうございました!!」

 

 ぱちぱちぱち、ファン達からの拍手と共にぱかプチ人形劇は終了した。

 その後もイベントはつつがなく終了し、タクトはアイの代わりに脚本を務めることが出来たのだ━━

 

「……というわけで、ハートさんのおかげで無事脚本を書いてジェンティル先輩にも協力してもらうことが出来ました、ありがとうございます」

「Wow!? 何それ……知らないけど……。

でも、あなたが楽しくやれたならそれでいいわ!」

 

 




2018~2020ティアラ組は先輩方に見守られながらみんな和気藹々とキャッキャウフフしてるのが似合いますね。
今年はタクトもハートさんも実装されるかなと思うので楽しみです。
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