僕が日本について最初にやったことは、一緒に卒業旅行に来ていた皆に連絡することだった。
何でも神様と戦った後、目覚めたのは二日後だったらしい。
そこで僕は夜に散歩に出た所を誘拐され、その後救出。
という具合に皆に説明したらしい。
皆予定通りに先に帰国。
皆僕の事を心配してくれていたそうだ。
家帰ってしばらくすると、家に皆が来てくれた。
「お前何やってんだよ。」
「勝手な行動するからだよ。」
「自業自得だよ。」
みんな心配してくれていたんだろうが、かけられた言葉の多くは罵詈雑言だった。
けど帰り際に、
「無事に帰ってきてくれてよかった。」
と言ってくれた。
皆いい奴らだ。
僕は春休みの間にしなくては行けないことがいくつかある。
まずは高校の入学に向けた準備。
カンピオーネになったからといって学業を疎かにしてはいけないと思う。
それに城楠学院は進学校だから、しっかり勉強しておかなくちゃ。
次に修業の再開。
これでも神道流の当主だからね。
休んでた間に体もなまっちゃってるし。
それに門下生の人にも迷惑かけちゃったし。
こっちも頑張らなきゃ。
そしてこれから日本で活動するにあたっての味方づくり。
これは日本に帰る前にパオロさん達と話し合って決めたことだ。
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「あの、僕の味方になってくれるっていうのはうれしいです。
けど、やっぱり僕日本で過ごしたいんです。
皆さんには悪いですけど・・・。」
僕は気まずそうにそう言った。
ここには僕とエリカさん、そしてパウロさんの三人だ。
ブラウさん夫妻は仕事で出かけている。
パウロさんは分かっていると言うようにうなずいた。
「わかっているよ。
もちろん私達のいるイタリアにいてくれた方が何かとサポートもしやすいんだけどね。
それを我が王は望んでいないんだ。
だったら王が望むことを全力でサポートするまでだよ。」
「ありがとうございます。」
「気にすることはない。
それより君のカンピオーネとしての活動を日本でするにあたって問題がある。」
「問題ですか?」
「ああ、そうだ。
日本にはすでに草薙王がいらっしゃる。
勝手に活動を始めるといろいろと厄介なことになりかねない。」
「そう言えば、日本にもう一人いるって言ってましたね。
そんなに気難しい方なんですか?」
「いいえ、傍にいる騎士の話を聞く限りじゃ進んで問題を起こす性格ではないわね。
それでも用心するに越したことはないと思うわ。
それに日本の呪術界はヨーロッパとは体系が違うと聞くし・・・。」
「そうなんですか?」
「ええ、私も詳しくは知らないけど・・・。
あの国の情報って少ないのよ。」
「それでだ。
君の事を世界に告げるのは日本で活動できるように体制を整えてからがいいと思ってるんだ。」
「それは、どうすれば・・・。」
「まずは味方を作る。
できれば後ろ盾になってくれるような人をね。」
「僕にそんな知り合いは・・・。」
「それについては大丈夫なはずよ。
あなたの使う神道流、あれは魔術を使う武術よ。
その門下生の人が一般人なはずないじゃない。
ほとんどが魔術関係者のはずよ。」
「その通りだ。
そこで君にはその中で信頼できる人と連絡を取り、君の陣営に引き入れてもらいたい。」
「わかりました、頑張ります。」
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そんな経緯があり、僕は門下生の人、もしくは門下生だった人の中から仲の良かった人をピックアップしている。
「とは言っても、僕には誰が魔術関係者なのか分からないし・・・。」
ピックアップは終わってもそれより先はお手上げだった。
全く関係ない人に魔術なんて言ったら変な顔されるだろうし・・・。
「やっぱりエリカさんが来てくれるまで、何もしない方がいいのかもな・・・。」
そう、エリカさんが僕の騎士兼相談役として、日本に来てくれることになっているのだ。
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僕が帰る間際の事、空港で。
僕の事を見送りにブランデッリ一家全員で来てくれていた。
「それじゃあ昴君、何かあったら連絡してきなさい。
いくらでも力になろう。」
「ありがとうございます、パオロさん。
その時は頼りにさせていただきます。
皆さんも僕の力になれる事があれば呼んでください。
すぐに駆けつけますから。」
こんな体質になってしまったのだ。
こんな僕だからこそできることも増えてくるだろう。
「昴、せっかくこうしてまた会うことが出来たのに。
また会え無くなってしまうのね・・・。」
「はい、せっかく会えたし。
婚約者だってわかってのに・・・・・。」
自分で言っていて恥ずかしくなり、しりすぼみに声が小さくなってしまった。
そんな僕を見てエリカさんは嬉しそうだ。
でもその時のエリカさんの顔が、笑っているのにどこか小悪魔チックな笑顔だった気がした。
「もう、嬉しい事言ってくれるわね。
私に会えなくなる事がそんなに寂しいの?
たった数日の事なのに。」
「はい、寂しいですよ。
だって・・・・・・・・??」
今なんて言った?
「エ、エリカさん?
今なんて言いました?
たった数日って聞こえた気が・・・・・。」
エリカさんはそれはもう、とてもいい笑顔で、
「ええ、そうよ。
貴方を一人で日本に帰すのは心配だもの。
だから、叔父様たちと話し合って私があなたの騎士として日本に着いて行く事にしたのよ。」
「えっ!!」
「それに婚約者同士なんだから、離れ離れなんて寂しいわ。
これからは二人で愛を確かめ合いましょう。」
エリカさんはそう言いながら僕に顔を近づけ頬にキスをしてきた。
それを見たパオロさん達は微笑ましそうに見ている。
なんでこの人達はこんなに寛容なんだ。
僕の顔は真っ赤になっていることだろう。
「エ、エリカさん!な、何を!」
「ふふっ。数日とはいえ、別れることになるのだから。
ちょっとした挨拶よ。
本当はここにしたかったんだけど・・・。」
そう言って僕の唇を人差し指でなぞってきた。
もう顔から湯気が出そうだ。
「もう、かわいいわね。
近いうちに行くわ、待ってなさい。」
そう言ってやっと離れてくれた。
そのあとすぐ飛行機の時間が来て、僕はイタリアを後にした。
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あの時の事を思い出していると、
ピンポーン!
と、家の呼び鈴が鳴らされた。
一体誰だろうと扉を開けると、
そこには大量の段ボールを抱えた宅配業者さんだった。
「神藤様のお宅でよろしいでしょうか。」
「は、はい。」
「それじゃ、荷物運び入れますね。」
そう言ってどんどん荷物を運び入れ始めてしまった。
「え、あの、ちょっと。」
見る見るうちに運び込まれ最後に、
「ありがとうございました。」
そう言って去って行った。
な、なんだったんだ・・・。
それにこの荷物はなんだ・・・。
しばらく突然の事に呆然としていると、
ピンポーン!
と、呼び鈴が鳴らされた。
我に返って扉を開けるとそこには・・・。
「数日振りね、昴。
私に会え無くて寂しかった?」
そう言って小悪魔のように笑うエリカさんがそこに立っていた