俺の名前は草薙護堂。
城楠学院に通う高校2年生だ。
そして1年ほど前、イタリア・サルデーニャ島にて軍神ウルスラグナを殺し当時7人目の神殺しとなった男だ。
それからは大変だった・・・。
そのあとすぐ神と戦うことになるし・・・。
俺の先輩にあたる神殺し『剣の王』サルバトーレ・ドニと戦い、勝手にライバルにされてしまうし・・・。
この1年神やらカンピオーネやらとの戦い続き・・・。
しまいには時間旅行までさせられた。
そして最近やっと『最後の王』ラーマを倒すことに成功した。
ホント大変だった・・・。
でもあいつ、また何年かしたら復活するみたいなこと言ってたし憂鬱だ・・・。
そんなこんなもあって波乱の1年だったけど、今日から高校2年生。
満喫したとは言えない春休みが終わって新学期が始まる。
そんな俺は朝いつも通りに起きてランニング。
シャワーを浴びたらじいちゃんが作ってくれた朝食を食べる。
隣に座る妹から、
「お兄ちゃん。もう何を言っても無駄だろうけど、高校生らしからぬハーレムを築くのやめた方がいいよ。」
何て事をぐちぐちといってきて言うが気にしない。
俺はそんな物作ってない。
彼女達は追えの大切な人であり、パートナーだ。
朝食も食べ終わる頃、玄関の呼び鈴が鳴る。
「ほら、お兄ちゃん。お迎えが来たよ。」
妹は冷たい視線と共にそう言ってくる。
この1年でさすがに慣れたので華麗に流す。
そして鞄を持ち、玄関を出る。
「おはようございます、草薙護堂。
今日から新学期ですね。」
開けた玄関の前で待っていたのは、
妖精を思わせる端正な顔立ち、
可憐よりは凛々しいという言葉の似合う、
銀褐色の長い髪をポニーテールに纏めた女の子。
リリアナ・クラニチャールがそこに立っていた。
「おはようリリアナ。
いつも迎えに来てもらって悪いな。」
「いえ、これも騎士の務めですから。」
リリアナは自称俺の騎士だ。
彼女とは俺がカンピオーネになる少し前からの付き合いだ。
俺がサルデーニャに行った時に偶然会い、最初は俺が持っていたお届け物に興味を持ったのだったか。
俺をはぐれ魔術師だと警戒して届け先まで一緒に行った。
そこでウルスラグナとメルカルトの戦いに巻き込まれ俺はカンピオーネになってしまった。
そして彼女リリアナ・クラニチャールは俺が神殺しになってしまったのは自分にも責任があると言って、俺の騎士になってくれた。
でも、リリアナが所属している<青銅黒十字>に人達が反対してきた。
その時俺に興味を持っていたサルバトーレ・ドニが勝負を持ちかけ、その内容で信用するかしないかを判断するとか言って、強制的に決闘することに・・・。
結果俺が勝ち<青銅黒十字>の人達は俺に協力してくれるようになり、リリアナも晴れて俺の騎士になったわけだ。
まあ、日本にまで付いて来たのには驚いた。
日本に来た当初は何でもかんでも俺の世話をしようとするし、はっきり言って大変だった・・・。
でも、神との戦闘だったり、カンピオーネとのもめ事だったり、
いつも俺の事を助けてくれた、俺の大切な仲間の1人だ。
「それじゃあ行くか。」
そう言って2人で歩き出す。
リリアナは俺と歩くときいつも少し後ろを歩こうとする。
理由を聞くと「騎士だから」と返ってきた。
気にしなくていいのにな・・・。
「クラス一緒になるといいな。」
「そのことでしたら心配なさらなくても大丈夫でしょう。」
「どういう・・・まさか!!」
「申し訳ありませんが少し細工をさせていただきました。
騎士として御傍を離れるわけにはいきませんでしたので。」
「あまりそういうことするなって言ってるだろ。
はあ・・・しちゃったのならしょうがないけどさ・・・。
それに何だかんだ言っても、リリアナと一緒のクラスなのは嬉しいしな。」
そう言って笑いかけると、リリアナは顔を逸らした。
何か顔が赤くなってる気がするな・・・。
何やらぶつぶつ言っていたが、気にしない事にした。
前を向くとそこに見知った背中を見つけた。
俺はその背中に声をかけた。
「おはよう万里谷。」
「おはようございます護堂さん、リリアナさん。」
俺の声に気付いて足を止め振り返り優雅に挨拶をしれ来た人物は、
しっとりとした上品さと聡明さがうかがえる顔立ちで、
茶色身が強く、長い髪をした大和撫子な女の子
名前は万里谷祐理。
彼女もまた俺の協力者だ。
日本の『媛巫女』であり、中でも霊感で読み取り未来を予測する能力『霊視』の能力が他者よりずば抜けてすぐれている。
この力には何度も助けられ、何度も俺に道を示してくれた。
感謝してもしきれない。
だからなのか彼女には頭が上がらない・・・。
「おはよう、万里谷祐理。」
何やらつぶやいていたリリアナも我に返り挨拶を返す。
「今日から新学期ですね。
一緒のクラスだとうれしいのですけれど・・・去年は私だけ違いましたから・・・。」
「それなら心配いら無いと思うぞ。
リリアナがやってくれたらしい・・・。」
俺がそう言うと万里谷はリリアナが何かやったと気付き、少しお話していた。
「何を考えているんですか・・・こんなことに力を御使いになって・・・。」
「わ、私もどうかと思ったが仕方ないではないか・・・草薙護堂の傍を離れるわけにはいかないんだ・・・。」
「それはわかりますが・・・。」
「それに万里谷祐理、あなたも同じクラスになるようにしておいた。」
「そ、それは・・・とてもありがたいことですが・・・。」
なんて会話が聞こえていたりした。
「2人とも、早く行かないか。
いい加減にしないと新学期早々遅刻するぞ。」
俺がそう言うと、2人は我に返り俺の横に着いて歩き出す。
しばらく歩くと、俺達の通ってる学校が見えてきた。
玄関をくぐり教室前に張り出されている自分のクラスを確認して、自分のクラスに向かう。
リリアナの細工通り3人とも同じクラスだった。
「リリアナさんを疑っていたわ訳ではありませんが、同じクラスでホッとしました。」
「ははは、ホントだな。」
万里谷の席は俺の左、リリアナは右だ。
去年と同様この席も魔術で細工したんだろうな・・・。
「そう言えば草薙護堂。
少しお耳に入れたい話が・・・。」
「ん??どうした??」
突然リリアナがそう切り出した。
真剣な顔つきをしている。魔術関係か?
「3月の終わりにまつろわぬ神がイタリアに顕現されました。
その頃はどのカンピオーネの方々も「最後の王」関連で疲弊されていて動けなかったと聞いています。」
「ああ、あのころは大変だったもんな。」
「ええ、それで事に当たっていたのが結社<赤銅黒十字>です。」
「リリアナの幼馴染がいた所だったっけ・・・確か・・そう、エリカ!」
「はい、その通りです。
彼らは神格の弱い神だったため封印の魔術を施したと言っています。
彼女もこの件にかかわっていたそうです・・・。」
「へぇ~~。よかったじゃないか。」
そう言うとリリアナは少し訝しげな表情を浮かべた。
「どうしたんだ?」
「それが・・・。
ほかの魔術師たちが封印を確認したところ封印魔術を使用した形跡は見つかったのですが・・・。
そこには何も封印されている様子が無かったそうです・・・。」
「どういうことだ?」
「わかりません。
赤銅黒十字に問い合わせても調査中の一点張りらしく・・・。」
「それで、それがそうしたって言うんだ。」
そう、この話で俺に関係することは神様位だけど、わざわざ日本にまで来るとは思えないし・・・。
「あくまで噂の域を出ないんですが・・・その時に誰かがまつろわぬ神と戦っていたという話があります。
そして、その者がまつろわぬ神に勝利し新たな神殺しが生まれたのではないかという噂が流れているんです。」
「そんな、まさか・・・。」
「はい、私もそう思います。
単なる根も葉もない噂でしょう・・・しかし万が一というのもあり貴方のお耳に入れておきました。」
「はあ・・・そうか、わかったよ。
わざわざありがとな。」
しかし、やっと戦いもひと段落したところなのに、新しい同属の誕生?
冗談であってほしい・・・。
そんな話をしている内に時間になりこのクラスの担任となる教師が入ってきた。
「いきなりだがこのクラスに留学生が1人入る事となった。
入ってきて。」
担任がそう言うと・・・
入ってきたのは赤みがかった金髪に、繊細な造りの美貌を持つ美少女。
俺は、俺達は彼女を知っている。
隣に座る二人も驚いている。
「みなさん初めまして。
私イタリア・ミラノから来ました。
エリカ・ブランデッリといいます。
これからよろしくね。」
そう、その留学生はさっきの話にも出ていた人物だったのだ・・・。