三人の叫び声で少し頭が痛くなってしまった。
お嬢様みたいな人まで大声出すんだもんな。
そんなに僕がエリカさんの婚約者じゃおかしいかな・・・。
「エ、え、エリカ・・・お前に婚約者がいたなんて聞いた事無いぞ・・・。」
リリィさんが動揺している。
「それはそうでしょうね、私だってつい最近知ってんだから。」
「なっ、お前はそれでいいのか。」
「何も問題ないわ。
私エリカ・ブランデッリは今すぐ結婚したいくらいに彼の事を愛しているんだから。」
そう言われてうれしいのだけれど・・・。
は、恥ずかしい///。
顔が赤くなってきた・・・。
それを見たエリカさんは僕を抱きしめてきた。
「ほらこの反応を見て。
いつまでたっても初心なのよ。
可愛いでしょ。」
「エ、エリカさん。は、恥ずかしいですよ。離してください。」
結構強い力で抱きしめられているため抜け出せない。
「エ、エリカさん。
学内ですよ。そう言った行動は慎むべきです。」
「エリカ・・・お前にいったい何があったんだ・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
大和撫子さんはエリカさんを窘め、
リリィさんはエリカさんを心配そうに見つめ、
男の人は未だに呆然とこっちを見ている。
満足したのかエリカさんはやっと離してくれた。
家に来た時からずっとこんな感じなのだ。
でも嫌じゃないから断れないし・・・・・。
「それで、私が日本に来た理由は判ってもらえたかしら?」
エリカさんの言葉に我に返った男の人が、
「あ、ああ・・・つまり婚約者の傍にいる為に日本に来たってことでいいか。」
「ええ、その通りよ。
それより昴、ごめんなさい。
一緒にお昼を食べる約束をしていたのよね。
少し寒いけれど時間もないしここで食べちゃいましょうか。」
そう言ってエリカさんは手に持っていたカバンからお弁当を取り出した。
「それじゃあ僕が準備しておきますね。」
僕はお弁当を受け取り座れそうな場所を探して準備を始めた。
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エリカは彼がここを離れたのを見計らって、
「今回はこの辺りでいいかしら。
いい加減にしないとお昼を食べる時間も無くなってしまうわよ。」
「ああ、そうだな。
俺達の弁当は教室にあるしな・・・。
今日は悪かったな・・・彼にも邪魔して悪かったと伝えておいてくれ。」
俺がそう言うとエリカはさっさと彼の下へと行ってしまった。
俺達はそれを見てため息をつき教室へと足を向けた。
その道中、
「2人とも、さっきのことどう思う?」
「エリカがどういう積りかは判りませんが、彼に対する気持ちは嘘ではないでしょうね・・・。」
「そうか・・・。」
「ただし、彼がただの一般人ということはありえないでしょう。」
「どういう事だ?」
「あれは武道を嗜んでいる物の動きでした。
少し彼に着いて調べてみる必要がありますね・・・。」
「・・・・・万里谷はなんか感じたか?」
「いえ、私は何も・・・。
私は特に気付いた事はありませんでした。」
「・・・二人の言葉からすれば、武道家の少年ってことになるのか・・・。」
「何か気になる事でも?」
「いや・・・なんて言葉にすればいいか分からないんだけど・・・。
なんて言うか、気になるっていうか・・・。」
エリカは色恋沙汰には興味なさそうだと思っていたからいきなり婚約者が現れて驚いたのもあるんだけど、
何か彼はそれとは別に気になるんだよな。
「草薙護堂が気になると言う事はまつろわぬ神かカンピオーネということになります。
まさか彼が・・・!!」
「いや、それなら万里谷が気付いているだろ。」
「私は何も感じませんでしたかど・・・・・。」
「だろ、だったら俺の気のせいだって。」
「いえ、あなたの直観は無視できるものではありません。
彼に着いて早急に調べてみるべきでしょう。
万里谷祐理が分からなかったのも何かの権能による可能性もありますし・・・。」
「考えすぎじゃないのか。」
「ですがこう考えれば赤銅黒十字の不可解な行動も説明がつくかもしれません。」
「どういうことだ?」
「それは・・・まだ確証があるわけではないので・・・。
彼についてわかり次第報告させていただきます。」
リリアナはそう言って言葉を濁した。
「まあ、程々にな。」
そう言ってこの話は終わり、俺達は残り少なくなった時間で弁当を食べたのだった。
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「エリカさん、準備できました。」
「ありがとう、昴。
ごめんなさいね、早くいただきましょう。」
そうして二人で食べ始めた。
「さすがアンナ、おいしいわね。」
「はい、アンナさんが来てから毎日の食事が楽しみになりました。」
おばあちゃんが亡くなってからは、僕とおじいちゃんが交代で家事をしていたけど、2人とも料理があまりうまくなかった・・・。
何と無く食べられるものはできるけど、とてもおいしいと呼べるものではなかったのだ。
それがエリカさん達が来てからは、家事の全てをアンナさんがしてくれるようになり毎日がとても楽になったのだ。
まあ、人間完璧にはできていないのでアンナさんも苦手なものはいくつかあるが・・・。
あまり思い出したくはない・・・。
「そう言えば昴、彼らの事だけど・・・。」
「わかっています、あの男の先輩ですよね。」
「ふふ、さすがね。そうよ、彼があなたの先輩にあたるカンピオーネ草薙護堂よ。
そしてその隣にいた銀色の髪をした方が騎士のリリアナ・クラニチャール。
もう1人の方が噂で聞くすぐれた霊視能力者・万里谷祐理よ。」
僕たちの話題は草薙先輩の事へ移って行った。
「本当にあれだけの事をやって来た人とは思えませんでした。
普通にいい人そうに見えましたけど・・・?」
「ホントよね、私も初めて会った時には拍子抜けしたものだわ。
彼言ってる事とやってる事が一致してないにも程があるんですもの・・・。」
「やっぱり資料に書いてあった通り争い事はあまり好まない性格なんですかね?」
「まだわからないわ。彼の琴線が何処にあるのかわからないもの・・・。
今それに触れて戦闘になったりしたら大変なことになるわ。
用心に越したことはないの・・・。」
「わかってますよ。それより僕ばれて無かったですよね?」
そう、この学校にカンピオーネが通っているとわかり、エリカさんが面識があると知った時から、彼に会うのは避けられない事だった。
それに彼の傍には霊視能力者と魔女がいる。
僕みたいなのに敏感な彼らをごまかせるか不安だったのだ。
「それは大丈夫だったんじゃないかしら?
リリィにあなたが何かしらの武術をしていることはわかったでしょうけど、あなたの魔術コントロールは完璧よ。
いくら優れた霊視能力者だってあなたの事を見破ることは不可能のはずよ。」
「そうだといいんですけど・・・。」
「何か心配事でもあるの?」
「はい、僕先輩を一目見ただけであの人が僕の同類だってわかったんです・・・感みたいなものですけど。
だからあの人もそうだったらやばいなぁって・・・。」
そう、僕はあの人を見た瞬間に僕と同類だとわかった。
あの感覚がカンピオーネ特有のものだとしたらあちらも気付いたことになる。
「そう・・・・・カンピオーネの方々が直感に鋭くなるとは聞いていたけど、こういう事なのかしらね。」
「どういう事ですか?」
「カンピオーネになるってことは、神の権能に適応するために体を造り替える事を言うの。
そうしたことによって神に対抗するための体を手に入れるのよ。
例えば、骨が鋼よりも固く強固になったり、呪力の量が増えたり。
その中に獣のように感覚が鋭くなったり来ることがあるらしいわよ。」
「そうだったんですか・・・確かに身体能力や、氣の量が上がってますね。」
「おそらくそういう事よ・・・。
ホントあなた達の体って不思議よね。」
「自分で言うのもあれですけど、化け物じみてますからね・・・。
それでばれてないでしょうか?」
「恐らくとしか言えないわね・・・。
彼の直感が何処までのモノなのか・・・・・。
でも大丈夫でしょう、以前の彼の戦闘を見たときの感じだと、多分だけどそういう事に関しては即断即決で行動するタイプだと思うのよ。
あの時何も言わなかったってことは・・・・・。」
「確信が持てるほどじゃなかったってことですか?」
「そうだと思うわ。
でも今後どうなるのかわからないから、時期が来るまでばれないように気を付けてね。」
「わかってますよ、気を付けます。」
そうやって話している間に二人とも食べ終わり、教室へ帰った。
その後何事もなく入学式も終わり下校した。