正義の魔王   作:しらこつの

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参戦

「我が元に来たれ、勝利のために・・・・・。」

 

俺は決着を着けるべく『白馬』の権能を使う。

日も落ちてきっているのに東の空が明るくなってきて朝の様になっていく。

アヌビスはピンチだと言うのになぜかその顔は笑みを浮かべている。

何か違和感を感じたがもう遅い。

『白馬』によって呼んだ太陽の欠片がもうそこまで迫っている。

 

太陽の欠片が当たるという時それは起こった。

何処からか矢が飛んできて太陽を切断。

アヌビスに当たる事無く地面に衝突して爆発した。

 

大きな爆発音に包まれて土煙が舞う。

リリアナ達が傍に寄ってくる。

 

「お疲れ様です草薙護堂。

 ・・・どうされましたか?」

「気を付けろ!!

 まだ終わってないぞ。」

 

俺がそう言うと全員気を引き締めなおす。

土煙が晴れるとそこにいたのは、『白馬』の影響を受けていないアヌビスと、恐らくあの矢を放ったと思われる、オオカミの顔をした獣人だった。

 

「本当ならば主を呼び出すつもりであったが・・・。

 呼び出せたのはお前だったか・・・。」

「・・・・・・・・・・。」

「不完全だったか・・・。

 仕方ない・・・俺はもう動けないからな。

 好きにしろ・・・。」

 

アヌビスがそう言うとオオカミが徐にアヌビスに噛み付いた。

そしてそのまま一息に一飲みしてしまった。

 

「「「「「なっ!!」」」」」

 

全員でその光景に愕然としてしまった。

オオカミがアヌビスを食べ終わると、オオカミの神気が爆発的に上がった。

今まで一言もしゃべらなかったオオカミがこっちを見て話しだした。

 

「お前が神殺しか・・・。

 一応呼び出された身・・・義理は立てて置こうか。」

「お前はいったい・・・。」

 

尋ねるとオオカミは高らかに宣言した。

 

「私はウプウアウト。

 軍神ウプウアウトだ。」

 

その名に心当たりはない。

隣にいるリリアナに目を向けるが彼女も首を振る。

万里谷と清秋院も同様だ。

すると後ろから声が聞こえた。

 

「ウプウアウト・・・その名の意味は『道を切り開く者』。

 確か死者の魂を冥界へと導くために道を切り開く者・・・だったかしら?

 エジプトの神でアヌビスの息子とも言われている神よ。」

 

エリカだった。

 

「エリカ・・・お前エジプトの神話も詳しかったんだな・・・。」

「詳しくなんてないわよ。

 今回の事でちょっと調べただけだもの・・・。」

 

それにしても・・・これからどうする。

この戦うのは厳しすぎる。

 

「アヌビス様に召喚された身だ。

 義理立てのために戦ってもらおうか。」

 

あちらは戦うつもりらしい。

まずいな・・・。

 

「草薙護堂・・・ここは引きましょう。

 このままでは・・・。」

「わかってる・・・でも・・。」

「私達が殿を務めます。

 その間に・・・。」

 

そう言ってリリアナと清秋院が前に出た。

 

「駄目だ。

 お前達も魔力が残ってないだろ。」

「そうよ。

 あなた達は下がりなさい。

 私が相手をするわ・・・。」

 

そう言ってエリカが前に出る。

 

「お前まで・・・。

 駄目だった言ってるだろ。

 俺が・・・。」

「いつまでしゃべっている。

 行くぞ!!」

 

言い争ってるうちにウプウアウトが痺れを切らして弓を引き絞り矢を放ってきた。

まずい!!

防げない・・・。

 

致命傷を防ぐため手で庇うように顔を覆う。

しかし衝撃は来なかった。

不思議に思い顔を上げるとそこには・・・。

 

「間に合ってよかったです。」

 

最近知り合った後輩の後ろ姿があった。

 

 

-----------------------------------------------------------------

 

 

僕が広場にたどり着いた時、そこにアヌビスの姿は無く、オオカミの顔をした人が矢を放とうとしていた。

僕は全速力で駆けて先輩達の前に躍り出た。

先輩目掛けて放たれた矢を氣を込めた右手で何とか違う方向へ逸らした。

 

「間に合ってよかったです。」

 

そう言って振り返ると草薙先輩達はすごく驚いた顔をしていた。

 

「・・・神藤・・・だよ・な。」

「危ない所でしたね。

 後は任せてください。」

 

そう言ってエリカさんの方を向く。

 

「すいませんエリカさん。

 せっかく協力してくれていたのに・・・。」

「大丈夫よ。

 この話を聞いた時からこうなる予感がしていたから、すでに馨さんが計画を早めているはずよ。」

「そうだったんですか・・・。」

「昴!!今は目の前の事に集中しなさい!!

 私にかっこいい所を見せて頂戴。」

 

そう言って僕の頬にキスをしてくれた。

なんだか元気に為れた気がする。

・・・現金だな。

 

「思う存分やりなさい。

 近くで見ているわ。」

 

エリカさんは草薙さん達地話しかけると後ろに下がって行った。

僕は前を向き神を見据える。

ここに近づくにつれて氣を抑えるのが大変だった。

でももう抑える必要はない。

全力で戦える。

 

「お待たせしました。」

「・・・お前も神殺しだな。

 二人もこのような地で会う事になるとは・・・。

 しかしお前には要は無い。

 どいて貰おうか。」

「それは無理な相談です。

 先輩と戦いたいんなら僕を倒してからにしてください。」

「・・・・・。」

 

神はそれ以上何も言わず、弓を構える。

 

「名前をお聞きしても?

 僕は神道流当主神藤昴。」

「・・・ウプウアウト。」

 

そして僕のカンピオーネになって初めての神との戦闘が始まった。

 

 

-----------------------------------------------------------

 

 

「エリカ!!どういう事だ!!」

 

リリィが詰め寄ってくる。

無理もない・・・いきなり現れて神と戦い始めたのだから。

草薙護堂が傷を負っていなければ黙って引き下がってはくれなかっただろう。

 

「リリアナ落ち着け。

 でもエリカ、説明はあるんだろうな。」

「もちろんよ。

 さすがにもう隠し通せる事じゃないしね。

 彼は新たな神殺しの1人よ。」

 

そこにいる全員が驚いている。

 

「なぜ今まで黙っていた。」

「必要だったから。」

「それだけではわからないだろ。」

「リリアナ、だから落ち着けって。」

「しかし・・・。」

 

草薙護堂の言葉に何とか落ち着いてくれる。

こうやって話している間にも昴とウプウアウトの戦いは続いていく。

ウプウアウトは矢を放って昴を攻撃していく。

昴の戦闘スタイルは接近戦だ。

詳しく聞いたら遠距離技もあるそうだが威力がいまいちらしい。

 

「彼は3月の終わりに神殺しになった。

 以前リリィが詳しく話せって言ってきたあの事件の時よ。」

「やはりそうか・・・。

 だがなぜ隠していた。」

「彼は私達<赤銅黒十字>のそして私の両親の恩人なのよ。」

「どういう事だ・・・。」

「彼の両親は赤銅黒十字の特別顧問だった。

 彼らは私の両親をまつろわぬ神の攻撃から逃がすために亡くなったのよ・・・。」

 

私は昴から目をそらさずに淡々と話す。

 

「彼がイタリアに旅行に来ていた時に偶然まつろわぬ神に攻撃されていた私と遭遇。

 そのまま戦闘になって神殺しとなった・・・。

 結社に連れて帰って叔父様達に彼の事を聞いたわ。

 私達には彼に返し切れない恩がある。

 だから赤銅黒十字は彼の傘下に降る事を決定したわ。」

 

リリアナの息を呑む声が聞こえた。

彼女の所属している結社<青銅黒十字>も草薙護堂の傘下に入らず、協力体制をしいているだけなのだから。

 

「彼がイタリアで活動をするんだったらすぐにでも発表できた。

 でも彼は日本に戻ることを望んだ。

 そこで問題になったのは・・・。」

「・・・俺か。」

「そうよ。

 いきなり出て来た後輩にどういった対応をするのか判断できなかった。

 だから日本で活動するための準備期間が必要だったの・・・。」

 

昴の戦いは続いている。

今まで何度か矢を掻い潜り懐に潜り込んで攻撃を当てているが、相手も軍神・・ダメージを与えられていない。

懐に潜り込んでも、隙をついてすぐに距離を取ってしまう。

でも矢によるダメージもほとんどない。

そろそろ戦況が動く頃か・・・。

 

 

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このままじゃきりが無い。

懐に潜り込んでも決定打を与えられない。

何とかしないと・・・。

 

「少しはやるようだな。

 さすがは神殺しと言った所か・・・。」

 

ウプウアウトはそう言って弓を消し、槍を手に持っていた。

 

「お前は接近戦の方が得意なのだろう。

 付き合ってやろう。」

 

槍を持って突進してくる。

突き、薙ぎ払う、叩きつける、切り上げる、また突く。

息もつかせて貰えない連続攻撃。

さっきよりも隙が無い。

 

何とか逸らし躱しつつ距離をとる。

アグニとは比べ物にならない体捌き。

流石は軍神と言った所か・・・。

出し惜しみしてたらやられるな。

 

僕は距離をとったところで言霊を紡ぎだす。

 

「天上にあっては太陽、中空にあっては稲妻、地にあっては祭火。

 世界に遍在する火、惑わしの罪を取り除き、善き路によって富を導く者為り。」

 

ここで初めて権能を使うために氣を増大させる。

膨れ上がった氣が当たりに放たれ、氣が炎へと変わっていく。

徐々に炎が僕の方へと収縮していき、最後には僕の背に集まる。

そして僕の姿はまるで日輪を背負っているかのようになった。

 

「ほお・・・火の神、火神から簒奪した権能か・・・面白い。」

 

こちらに再度向かってこようとするウプウアウトを火の玉を使ってけん制する。

背にある日輪から火の玉を弾幕のようにウプウアウトに向ける。

流石に当たってくれるほどではないが、足を止める事には成功。

僕は『瞬』を使って懐に飛び込み、氣を炎へを変化させたこぶしを叩き込んだ。

 

「神道流攻式壱乃型『火波』。」

 

火の玉に意識を向けていたので容易に攻撃を当てることが出来た。

『波』に火を加える事によって、体中を火に焼かれているはずだ。

 

「ぐっううう・・おぁぁぁぁああああ。」

 

もう一発としたところで槍によって防がれ距離をとる。

それでもダメージを与えれた。

これを繰り返せば行けそうだな・・・。

・・・そんなに簡単じゃないと思うけど。

 

 

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