僕は今飛行機の中。
季節も夏に移り変わり7月も下旬。
世の学生は夏休みに突入していた。
そして僕はエリカさんに連れられて飛行機に乗せられイタリアに向けて飛び立った。
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前日。
夏休みに入り、これからの予定をエリカさんと馨お姉ちゃんに確認しようと2人を探してリビングまで来ていた。
「あ、エリカさん。
夏休みなんですけど・・・。」
「そう言えば忘れていたわ。
昴、夏休みなんだけど一緒にイタリアに行くわよ。」
「・・・イタリアですか?
わかりました、パオロさん達にも挨拶いたいですし。」
「なら良かったわ。
出発は明日だから、準備をしておいてね。」
そう言い残し、エリカさんは部屋に戻って行った。
「・・・・・えっ。」
ど、ど、どういう事?
明日?
何かの聞き間違いだよね?
すぐにエリカさんの所に向かったけど既に寝てしまったのか返事がない。
仕方無く事情を知っていそうな馨お姉ちゃんを探す。
幸い馨お姉ちゃんはお風呂あがりのようでノースリーブに短パンとラフな格好で冷蔵庫の中を漁っていた。
「どうしたんだい、こんな時間に。」
風呂上りで肌は赤く上気していて、短く切り揃えられた髪は湿っていて何というかとても扇情的だ。
寝間着の代わりなのか、薄着だから下着をつけてないのもわかってしまう。
どういう事かというと・・・む、胸が・・・・・。
ってそうじゃなくて。
「馨お姉ちゃんは知ってたの。
明日からイタリアに行くって事。」
なるべく馨お姉ちゃんの方を見ないように意識しながら問いかける。
「その事なら前々から決まっていた事じゃないか。
いまさら何を言っているんだい。」
「いったいいつ決まったの。
僕さっきエリカさんから聞いたんだよ。」
「??ああ、さてはエリカさん君を驚かそうと思って黙ってたな。」
こっちを振り向きながら可笑しそうに笑っている。
「笑い事じゃないよ。
今から準備なんて間に合わないよ。
どれくらい滞在するかもわからないし・・・。」
「ごめんごめん。
ほら、僕も手伝ってあげるから。」
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その後馨お姉ちゃんに手伝ってもらいながら旅行の準備をした。
途中で馨お姉ちゃんが悪ふざけをしてなかなか準備が進まなかったりしたけど、夜が明ける前に何とか準備を終えることが出来た。
準備が終わった時には馨お姉ちゃんが僕のベットで先に眠っていた・・・。
僕も少し横になろうとしたら、エリカさんが部屋に来て、
「さあ、行くわよ。」
なんて言い出すし・・・。
いつもは寝坊助さんなのに・・・どうしてこういう時だけ。
エリカさんの声で目を覚ました馨お姉ちゃんはスッキリした顔で部屋を出て行くし・・・。
飛行機に乗ってからは隣でエリカさんと馨お姉ちゃんが話しかけてくるから寝れなかった。
そんなこんなで今の僕はとっても眠い。
スッゴク眠い。
「昴、そろそろ着くわよ。
シートベルトを付けなさい。」
「・・・・わかりました。」
そのあと少しして飛行機は着陸、僕達はイタリアに到着した。
「さあ、<赤銅黒十字>に行くわよ。」
「はい。」
「僕は初めてだからね、とても楽しみだよ。」
僕達は空港に着いたその足で<赤銅黒十字>へと向かった。
「流石イタリア随一の大結社、立派だねぇ。」
「あら、ありがと。
こっちよ。」
中に入ってエレベーターに入り込む。
その間に多くの人がエリカさんを見て頭を下げていた。
「まだ昴君の事は知れ渡っていないみたいだね。」
「別に言いふらす事じゃないからでしょうね。
それに昴の考えを考慮しての事でしょう。」
「・・・ありがたいです。
いちいち頭を下げられたりするのはちょっと・・・。」
エレベーターを降りてある部屋に通される。
「少しここで待ってて頂戴。」
エリカさんはすぐに出て行ってしまった。
部屋には僕と馨お姉ちゃんの2人きりになってしまった。
「いい部屋だね。
さすがは<赤銅黒十字>だよ。」
「はい、綺麗な部屋ですね。」
部屋を見渡しながら他愛もない話をしながら時間をつぶす。
30分もしない内にエリカさんが戻ってきた。
「ごめんなさい。
叔父様も、私の両親も今席を外しているみたいなの。
結社に着いた時に顔を見せなかったからいないとは思っていたけど・・・。
幹部の連中全員居ないのよね、何かあったのかしら?」
「それはおかしいね・・・。
今日昴君を連れて戻るのは言ってあったんだろ。」
「もちろんよ。」
「・・・何かあったと考えるのが普通だね。
それも、自分たちが崇めている王が訪問すると事よりも大変な事が。」
「・・・・・。
少し心配ね、ちょっと情報を集めてくるわ。
貴方達は・・・そうね、少し外を歩いてきたら?
昴も前回はいろいろあって観光できなかったでしょうし。」
「・・・いいんですか?
何か大変そうなのに・・・。」
エリカさんは優しく笑いながら言った。
「貴方が気にすることないわ。
叔父様達も何かあれば連絡位してくるでしょうし。
何かわかったらすぐに連絡するわ。」
「・・・わかりました。」
「それじゃあ行こうか。」
「いってらっしゃい、楽しんできてね。
馨さん、昴の事よろしくね。」
「任せてくれ。」
僕達は急遽イタリア・ミラノを観光することになった。
「何処に行きましょうか。」
「元気いっぱいだね。」
「もちろんパオロさんたちの事は心配ですけど・・・何かあればエリカさんが連絡してくれますし。
せっかくイタリアに来たんですし、それに・・・。」
「それに?」
「・・・その・・馨お姉ちゃんと旅行って初めてだから・・・すごく楽しみにしてたんです。」
「ははは、そうだったのかい。
嬉しいなぁ、昴君がそんなことを思ってくれていたなんて。
実を言うと僕もすごく楽しみだったんだよ。
ゆっくり観光なんてできないと思っていたんだけどね・・・こうやってチャンスが巡って来たんだ。
せっかくだ、一緒に楽しもう。」
馨お姉ちゃんは僕に手を差し出いてきた。
僕はその手をしっかり握る。
「はい。」
その後僕達は色んな所を見て回った。
そしてドゥオモ大聖堂のある場所にたどり着いた時だった。
「壮観ですね・・・。」
「ああ、素晴らしい・・・。」
見上げるほどに大きく、そして絶大な存在感を誇るその建物に感動していた。
その時近くから、
「あれ?
財布が無いな・・・どこかに落としちゃったのかな。」
「困るよお客さん。」
「ホント、困っちゃったね。」
近くのジェラートの移動販売のお店で何やら困り事のようだ。
「携帯も置いてきちゃったし・・・。」
お金が無いのかな?
困ってるみたいなので僕は話しかける事にした。
馨お姉ちゃんにその旨を伝えたけど、何やらとても驚いているみたいでちゃんと聞いていたか怪しい・・・。
「どうかしましたか?」
「ん??
日本人・・・観光客かな?
いや~~ちょっとお金が足りなくてね困ってたんだよ。」
「良かったらお金貸しますよ。」
「ホントに。
ありがとう、助かるよ。」
この時初めてこの青年の顔を見た。
とても整った顔をしていて俗にいうイケメンの部類だろう。
服装はとってもラフだ。
派手な色のアロハシャツにジーンズだ。
肩には筒状の入れ物を担いでいる。
そしてこの人と目を合わせた時に気付いてしまった。
この人・・・・・。
僕は何とか表情に出さないように財布を取りだしお金を渡す。
「これだけあれば足りますか?」
「十分だよ。
いや~~日本人はやっぱり親切だね。」
青年はそのお金をお店の人に渡して精算をする。
その時後ろから、
「やっと見つけたぞ、もう逃がさないからな。」
スーツを着た男の人がこっちに走って来ていた。
「あ、やばっ、もう見つかっちゃたか。
あーーあ、全然遊べなかったよ。」
馨お姉ちゃんも僕が勝手に動いていた事に気付いたのかこっちに向かってきている。
「本当にいい加減にしろ。
毎回毎回・・・・・。」
スーツを着た人はすっごく怒っている。
怒られている人は全然聞いていないみたいだけど・・・。
「大丈夫かい、昴君?」
「うん、何ともないよ・・・ちょっとお金を貸しただけ。」
「ならいいんだけど・・・。」
馨お姉ちゃんは目の前にいる2人を見ながら警戒している。
今まで怒っていた人がこっちに気付いた。
「おい、この人達は?」
「ああ、この子が困っている僕にお金を貸してくれたんだ。」
「はあ・・・すみませんでした。
これで足りるでしょうか。」
スーツの人は徐に財布を取りだし僕にお金を渡してきた。
「別に・・・そんな・・・。」
「それでは私達はこれで。
おい、行くぞ。」
スーツの人は青年の人の首を掴んで引きずりながら歩き出した。
「ち、ちょっともう逃げないから。
あ、助けてくれてありがとね。」
そうして二人の男は嵐のように去って行った。
2人が見えなくなると馨お姉ちゃんは安心したかのように1つ息をついた。
「なんであの方がこんなところに・・・。
でも何事も無くて良かったよ、あっちは気付いてなかったみたいだしね。」
「・・・・・。」
「でも<赤銅黒十字>の人達が出払っている理由がわかったね。
昴君、あの人が・・・。」
「はい、目が合った時に気付きました。
あの人が・・・。」
「流石に鋭いね。
そうだよあの人がこのイタリアに君臨するカンピオーネ『剣の王』サルバトーレ・ドニ様だ。
観光なんて言ってられなくなったね、今すぐエリカさんの所に戻ろう。」
「はい。」
僕達はすぐに<赤銅黒十字>に戻った。
けどそこは異様な雰囲気に支配されていた。
エントランスホールに入るとそこには片膝を付き頭を下げているパオロさん達がいた。
その中にはエリカさんの姿もあった。
僕達が入って来た事に気付いたエリカさんと目が合った。
その時エリカさんは険しい表情をしていた。
パオロさん達が頭を下げていた人物。
それは、さっきまで僕達と話していた人だった。
その男がこっちを振り向いた。
「あれ?
君はさっきの・・・。」
僕の事に気付いたその人は何かに気付いたかのようにその顔を獰猛なものに変化させた。
「そうか・・・君がそうなんだね。
始めまして、新しい僕の同志よ。
僕の名前はサルバトーレ・ドニ、さっそくだけど僕と決闘しないかい?」