ポケモンレジェンズZ-A AnotherZ   作:ひよっこ召喚士

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 ミアレを救ってからも忙しかったけど、社長とあたしの関係が分かってからは本当に忙しくて久しぶりのオフの日だ。

 

 昨日は少し遠出してて帰りは遅かったけど、帰ってからは直ぐに休んでたのもあって朝日が差し込んできたのに合わせて気持ちよく目が覚めた。

 

「ふわぁ…」

 

 ダメだと知っては居るけどついつい目を擦ってから伸びをする。夢で見たからか久しぶりにキョウヤと初めて会った日の事を思い出した。

 

 よくキョウヤとポカブの出会いを運命に例えていたけど、正直あの出会いは、あたしとの出会いも含めて運命だったんだと思う…なんてあたしには似合わないね。

 

 それでも、もしキョウヤが居なかったらそれこそ今のミアレが人やポケモンも含めて全部無くなっててもおかしく無いんだから、やっぱり大切な出会いだったのは確かだよね。

 

「でもキョウヤって変なこともけっこうしてたよなぁ」

 

 依頼でやって面白かったのを改良して再現しようとして、サイズ違いのクレベースを5段重ねにして最上段でカチコールを踊らせたり。

 

 ハロウィンの日にわざわざ野生のバケッチャを餌付けしてホテルZに集めて上から下まで飾り付けてたっけ、しかも全部ギガだましゅって言う特別大きい子たちを誰かと厳選してね。

 

 デウロとピュールにはメェークルとバニプッチの香水を分けてもらったからってプレゼントしてたのにあたしにはマーイーカの美味しそうな匂いだったりもしたなぁ。

 

 くだらないやり取りを含めてみんなでワイワイ騒ぐのは本当に楽しくて、それを眺めてるAZさんもニコニコしてたなぁ。

 

「よし、今日は久しぶりにホテルZに顔を出そうかな」

 

 キョウヤ、デウロ、ピュール、それにフラエッテにも久しぶりに会いたいしね。もしかしたら、他にも来客があるかもしれないし、それならそれで楽しみだ。

 

「うん、今日は良い日になりそう!」

 

 あたしはいつもの服装を選ぶとボールを含めた少ない荷物だけを手にしてホテルZへと軽やかに走っていった。

 


 

「キュルル…」

「ブォ…」

 

「ん…フラエッテ、A…大丈夫だ…最期まで迷惑かけて悪いな」

 

 大切なポケモンの声に瞳をかろうじて開いている。自身の口からはうめくような声がこぼれるが別に痛みはもう感じていない。

 

 それよりも重くなったまぶたを何時まで開けてられるかが問題だな。

 

 大好きになった街並み、もはや故郷よりも思い入れがあるんじゃないだろうか。

 

 思い出はたくさんあるけど、向こうには苦い記憶もけっこうあるからな…ま、今となってはどうでも良いか。

 

「キュルル、キュル!!」

「ブォー!!」

 

 んん…また、意識が飛んでたか。本当に急にガタが来るんだからな。昨日まではあんなに動いて回れてたのに、人もけっこう不思議な生き物な部分があるな。

 

 そんな人よりも不思議で大切なポケモンは二匹だけが側にいる。自分で決めた事とは言え、流石にOがいないのは寂しいもんだな。

 

「やっぱ、キレイだな」

 

 ビュースポットも景色が良いし、より思い出深いけど、ホテルZを事故物件にする訳にはいかないからな。

 

 人とポケモンの共生を目指し、朝と夜とで姿を変える街、朝日を受けて煌めく川、空を飛び交う鳥ポケモン、生活を支えるホロ。

 

 あちこちに点在するワイルドゾーンやバトルコート、サビ組の事務所とクエーサー社は見えるな。道場や工務店は見えないけど何処かは分かる。

 

 後はホテルも見えるし、ヌーヴォカフェなんかは店舗だけじゃなくてあの二人も見ようと思えば見えそうだけど、見たら我慢できなくなりそうだ。

 

 あの二人でこれなんだから。MZ団のみんなの顔を見たらどうなっちゃうんだろう。

 

 もう会えないからその答えは分かんないけど、本当にみんなに会えて良かった。これ以上の幸せもあるかもしれないけど、十分なほどに貰ったな。

 

「ありがとうMZ団…おやすみミアレ……」

 


 

 今までずっと居て、あんまり来れなくなってからそんなに経ってないのに懐かしい気がするんだから不思議だなぁ。

 

 まぁそれだけ思い入れが深いって事だからね。あたしが寂しい以外に悪い事は無いでしょ。

 

 さてと、思いっ切り扉を開けちゃうとしますか。誰がいるかなぁ? 誰も居なかったら本当にさみしいけど。

 

 ピュールはうるさいのが増えたとか悪態をつくかな? デウロはあたし以上に喜んで叫んでくれそう。

 

 キョウヤは驚きながらも受け入れてくれるし、久々に遊ぼうとか誘ってくれるかもね。

 

「たっだい「キョウヤ!?」うわぁ!?」

 

 あたしが扉を開けようとした瞬間に逆にホテルの中から大きな声と共にデウロが飛び出してきて、二人してもつれる様に転んだ。

 

「いたた、デウロ〜いったいそんなに焦ってどうした…デ、デウロ!?」

「タウニー…キョウヤが…キョウヤが…」

 

 何をそんなに焦ってるのか聞こうと思ったらデウロがあたしに抱き着きながら泣き始めた。それもキョウヤの名前を呼びながら…

 

「何かあったの?」

 

 内心で凄く焦っている。キョウヤの身に何かあったのか、肩を掴んで問い質したい思いは少なからずあった。

 

 それでも目の前で泣き崩れて、いつもの元気さの欠片もないデウロを前に、リーダーとして少しでも落ち着いた様子を見せようと意地を張った。

 

 デウロに何かあったのかたずねても嗚咽が聴こえるばかりでどうしようかと考えているといつの間にかピュールもホテルから出てきていた。

 

「…キョウヤが帰ってこないんです」

 

 キョウヤが帰ってこない…ホテルZにって事? えっと、違うよね? あれ、ほら、あれだよ…

 

「な、なんだ〜キョウヤが帰ってこない事なんて何度かあったじゃん。ZAロワイヤルや依頼が重なってボロボロで帰ってきたりさ…こんなにデウロを心配させて一回叱ってやらないとね」

 

 そうだ…キョウヤが帰って来なかった事なんて何度かあった。なんも事件性なんてないんだよ。そうだよね…お願いだからそれ以上は…

 

「違うんです。それにしては姿を見かけた話がネット上に上がっていないんです」

 

 キョウヤはAランクの中でもトップの正真正銘ミアレ最強のトレーナーだからかなりの有名人だ。その行動はけっこうネットに上げられてる。

 

「それで、マスカットさんに連絡して調べてみたら昨日からのポイントの変動も、リワード戦への参加も確認してないそうです」

 

 それなら、ほら、サビ組とかムクちゃんだっけ? その時みたいに地下で何か依頼をやってるだけかもしれないよ。

 

「何度連絡を入れようとしても繋がらず、ZAロワイヤルの運営の情報はもちろん。クエーサー社の方から携帯会社に位置情報を調べて貰っても分からないらしく…ただミアレから出た記録も無いのは確かな様で…」

 

 ちょっと待ってよ…なんで…なんで…止めて…それ以上言わないで…

 

「キョウヤは現在、消息不明です」

 

 その言葉が耳に入った瞬間に目の前が真っ暗になった様な感覚がして、あたしの目からも涙が一筋の線を描いて地面に落ちていった。

 





なお、忙しくて会えなかったタウニー以外の面々とは、明言こそしてないが昨日までにお別れがわりの挨拶で顔を出してるものとする。


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