ポケモンレジェンズZ-A AnotherZ 作:ひよっこ召喚士
「んん…ここは…」
何処だなんて考えてから昨日過ごした時間を思い出して、自分の現状をしっかりと把握する。
「おはよう、
値落ちする瞬間の事ももちろん覚えているので片や怒り心頭、片や泣き顔全開な僕のポケモン。
「ごめんって、早めに言っとかないとって思いだけが先行してて…それでA、僕は最後の旅として元々の手持ちも住処に返してきた身だ」
名前を付けて、ミアレでのバトルはエースとして頼んだとか言っておいてなんだけど、後出しで許される条件ではないんだよ。
「カブゥ……カブ?」
余命の事が嘘じゃないことに悲しみつつ、手持ちを逃がした事にはそれがどうしたのかって感じの理解できてない表情だ。
「元からO以外のポケモンを持つ気がなかったんだ。成り行きで出会えたけど、僕はずっと一緒にはいられない」
本当ならOすらアイツに送るつもりだったってのは蛇足だな。はっきり言ってここまでポケモンに対する責任が持てない不義理なトレーナーはいない。
「AZさんに心配いらないと言われた手前でこう言うのもなんだが、望むならタウニーの元に戻るのも一つの…」
「カブ!!」
選択肢だと言い切る前に涙を飛ばしながらも、舐めるなと言わんばかりに鼻から炎をこぼす勢いで声を上げるA…これは余計なお世話だったようだな。
「うーん…O、お前からみて僕ってなんか弱ってたり変な所ってある?」
完全に吹っ切れた…とは流石に言い切れないけど割と色々と飲み込んでるつもりではある。それでも自己評価と周りからの視点は違うからなぁ。
「オーダイ…」
いつも変だろって…そんな呆れた風に言われると流石に僕でも傷付くんだけど…まぁ、調子が崩れている訳じゃ無いなら良いか。
「それじゃ改めてよろしく頼むよA。なるべく長い付き合いに出来る様に頑張るから、お前も支えてくれ」
「カブ!!」
置いてきた奴らには恨まれても仕方ないけど、流石にここまで覚悟を見せられたら引き離すのはトレーナー失格だろ。さて…
「そう言う訳で色々反省してるからその鋭い視線と激しい尻尾は収まったりしないか?」
「オーダイ!!」
やっぱり説明をぶん投げての寝落ちは許されなかったらしく、かなり優しく尻尾でどつかれた…身体を気遣ってもどつきはするんだよね…痛い…
ゆったりとエレベータで一階へと降りていく、流石にカバンを持ち歩くと邪魔なのでOの入ったボールはポーチの中にしまっている。
これなら盗まれる心配は無いだろうしな。流石にポーチを漁れれば弱ってても気付く自信はある。いやまぁ、まだ身体は万全だけどな。
そんな事を考えてるとエレベータの揺れが止まり、これまたゆっくりと目の前の扉が開いて、ロビーが目に映り、その端に設置されてる椅子にタウニーとフラエッテの姿も見えた。
「キュルル」
「おはよ。昨日はおつかれ、旅行カバンはとられたり、ZAロワイヤルに巻きこまれたりで大変な一日だったね」
まぁ似たような経験がないでもないが…一日にそれも昼過ぎからの半日に詰め込まれるのはこれっきりにして欲しいかな。
「ミアレで流行ってるって聞いてたけど、狂うほどの盛り上がりとでも言えば良いのかな?」
少し興味もあったんだけどあれほどの熱意を燃やせるかと言われると中々に難しい気もするんだよな。僕の場合は商品もあんまり意味が無いのもあってね。
「ははは、巻き込まれる事故はけっこうあるけど、巻きこまれた人を助けてくれるトレーナーもいるんだよ。昨日はちょっとああいうトレーナーばかりだっただけでね。あたしもエントリーしてるしね」
巻きこまれた身としてはタウニーにも同じ様なヤバい所があるんじゃないかと勘繰りたくなってしまうけど、原因かつ恩人であるのも確かなのでプラマイギリプラスでそういう事にしておこうか。
「タウニーもAランクの賞品目当てなの?」
「いや、それよりも最強って称号かな。そうなればミアレをあたしの手で守れるからね」
Aランクになれば主催であるクエーサー社によって出来る限りの望みを叶える機会が与えられるが、それよりも名誉と称号が目的か。
望みでミアレを守ってと頼むのはたぶんダメなんだろうな。望みは自分の手で叶えるものって考えの人も少なく無いし、タウニーはある意味自己が強そうだからな。
「そんだけ詳しいキョウヤに相談なんだけど、キョウヤもZAロワイヤルに参加してよ」
頼まれる可能性はまぁ考えてたけど、真っ直ぐに頼むだけ誠実だ。しっかりと戦う所を見せたから言い方は悪いけどこっちの有用性は考えただろうしな。
そんな事を考えているとタイミングを読んでいたのかと言わんばかりにZAロワイヤルの運営からのメールが届いた。飛び出してきたスマホロトムに表示された文に目を通していく…
【キョウヤさま、いまミアレシティでは最強のポケモントレーナーを決めるための戦い、ZAロワイヤルが開催されています。
最高のランク:Aになれば最強の称号と名誉、そして叶う範囲で望みを叶えられます。
参加の意思がおありでしたら添付の実行ファイルからZAロワイヤルアプリをインストールしてください。
あなたの参加をお待ちしております。
「すごいタイミングだね。ZAロワイヤルへの招待メールでしょ。エントリーしてないあなたが参加者といい勝負をしたからね」
「運営に目を付けられたってわけか」
「まぁ、盛り上げる為に向こうも必死なんでしょ。あたしの時も同じで勝負に勝ったらそのメールがきたからね」
いったいどんな街なんだか、それだけ強いトレーナーを必要とするだけの理由があると考えると…いや、考えた方が面倒だな。
参加するべきとかしないべきとかはどうでもいいし、称号や名誉なんかを求めてたら今もっと違う立場にいただろうし、叶えたい瞬間的な望みもない。
となれば後は単純に僕が参加したいかどうかの話になる。慣れた手持ちはO一匹、Aもいるとは言え二匹では街規模の大会を勝ち抜けるとは思えない。
それなら手持ちを増やすしか無い。Aと言う前例が出来てしまった以上は一匹も五匹も変わらないかも知れないけど、心情的に後ろめたさはついて回るよな。
バトルが好きか嫌いかで言ったら好きに違いないけど、連夜戦うってのも抵抗はある。ただ、OもAもたまには戦う機会があった方が良いのも確か。
タウニーから参加を頼まれた以上は恩返しの手伝いに繋がるのかも知れない。色々と悩む事はある…それなら…
「とりあえずやってみるか」
それだけ言うと添付ファイルをポチッと押して指定されたアプリのインストールを始めた。
「軽い!?」
悩むだけ時間の無駄だからな。やるべき、やらないべき、やりたい、やりたくない、そんなの脇に置いといてやってから決めれば良い。
良かったら続けて、ダメならやめるだけだ。取り返しのつかない事柄まだしも、どうでもいいことでウジウジ頭を抱える趣味はない。
「ZAロワイヤルに参加するならエムゼット団のメンバーにも入ってほしいな。それとこれあたしの連絡先も登録させて」
なるほどトレーナーの所属とかも設定できるのか、後から変更も出来るみたいだし、とりあえず言われた通りにエムゼット団にしても問題無いな。
連絡先か、紙媒体にメモは残してるけどスマホロトムを新調してから実質初めての交換になるな。
「あなたがエムゼット団に入ってくれて嬉しくて泣きそうだよ。期待のメンバーとして大歓迎するよ。今ならエムゼット団としての衣装もプレゼントだよ」
そう言って渡されたのは何やらロゴの付けられたジャケットを渡された。MZと背中に縫い付けられてるが、何かの略になってるんだろう。
羽織るだけで良さそうなのでぱぱっと着てみると動きやすいし、元々の服とも合ってて悪く無いなっ。
「よし、それじゃあせっかくだから登録用の写真はそのまま撮っちゃおう」
あんまり派手なのは苦手だがこれくらいなら人目に触れても全然良い、タウニーのスマホロトムで撮られた写真を送って貰ってそのまま設定して正式にエントリーする。
「朝からにぎやかでよいな」
地元の街次第ではまんまで受け取れず嫌味に聞き取れそうな言い回しだけど、AZさんは本当に喜ばしそうにしている。威圧感とは裏腹に優しい人柄なのがよく分かる。
「楽しそうな話はきこえたいた。ZAロワイヤルへの参加、こころから感謝する。ポケモンと人で活気あふれるミアレシティだが其の実、深い悲しみを抱えている」
それが強いトレーナーを、最強のトレーナーを必要としている事に繋がるんだろう。この人は何かを知っているのは確かだろう。そんな雰囲気がヒシヒシと伝わっている。
「ミアレの悲しみを解き放つためZAロワイヤルで勝ちあがってほしい。そのため昼のミアレ、夜のミアレで多くのポケモンや人に会うといい」
「キュルル」
まぁ、これほどの街は初めてなので見て回るつもりだったからその提案は問題なくこなせそるが、悲しみとやらはどうなるかは分からないけどな。
「あたしに任せていろいろ教えてあげるから…と張り切ったはいいものの、キョウヤは旅をしてたくらいだから動き方はしってるだろうから、ミアレでのルールを口頭で伝えたら十分かな?」
タウニーの話を聞いていくとミアレでは町中でのバトルも珍しく無いために町中でもポケモンの技を避ける動きは必須らしい。
スマホロトムの落下防止機能を利用した移動についてと屋根上や地下など規制されてない場所は何処でも行っても良いと言う事も聞いた。
「だいぶトレーナー側に技量が求められるんだね」
「町中でのポケモンの運用に規制がある分かな」
広いとはいえ町中で自由にポケモンを使えば事故や苦情のオンパレードになるのは間違いないか。
それにZAロワイヤルの無法具合にも拍車をかける事になりそうだからある程度の不便は仕方ない。
「タウニー、ちょっとうるさい…AZさんも怒ってよ」
話をしている最中にエレベータが動いていたから他にも客が居るのかとは思っていたら、これは話し方的に身内に近いのかな。
「怒るとは無粋な…むしろ楽しませてもらっていた。タウニーがMZ団の新メンバーに大事なことを教えていたのだよ」
町中での動き方は事前に教えられてないと分からない様な内容が多かったから確かに大事な事だな。いや、町中で独自の動き方が必要なのがそもそもおかしいんだけどな。
「新メンバー!?」
「デウロ、あなたのほうが騒がしいって」
どうやらデウロと言うらしいが、タウニー以上に元気そうな娘だな。と言うより新メンバーな事に驚くって事はデウロもMZ団のメンバーなんだろう。
「ゴ、ゴメン、でも新メンバーってこの人?」
「キョウヤ」
自己紹介しろって事だろうけどもう少し間に立ってくれても良いと思うんだが、まぁ向こうの様子からして普通に挨拶して問題無いか。
「タウニーが紹介してくれたけど、キョウヤだ。ここに来たのは殆ど成り行きだけど、タウニーに誘われてMZ団に入る事になった。これからよろしく」
「どうも、デウロです。プロのダンサーをめざしてミアレにきました。というのも兄が……」
「長くなりそうだからまた今度ね」
ばっさりと切ったな。まぁ、話の続きが気にならない訳では無いけど、こっちの事を逆に聞かれる可能性もあったからある意味助かったな。
「本当なら次はポケモンバトルって言いたいけどキョウヤの強さは昨日十分見せて貰ったから、とりあえず近場のポケモンセンターでも案内するよ」
ポケモンセンターか、確かに地図で知ってはいるけど実際の場所は何かあった時の為に見ておくのは必要だからありがたい。
「へぇ、キョウヤってそんなに強いんだ」
「うん、ZAロワイヤルにも参加してくれたからそのうちデウロも見れると思うよ。それじゃホテル前で待ってるね」
それだけ言うとタウニーはさっさと入り口から外へ駆け出してしまった。意外とせっかちと言うか、決めたら即行動なタイプだよな。
「そういう事らしいんで行ってきます」
「あはは、いってらっしゃーい」
「うむ、気を付けて、しかし楽しんでくると良い」
軽く挨拶してタウニーを追い掛ける様に自分も駆け出していく、ホテルの直ぐ前には姿が見えず、少し先の大通りと繋がる道まで進むとようやく姿が見えた。
「やられた…」
「これは…完全に岩が道を塞いでるな」
これにはホテルZの宣伝をしているタウニーからしたらたまったもんじゃないな。これでは広めても客が入りようが無いだろう。
「ポケモンの技の影響かな? ただでさえ客が少ないのにこんなのあったら誰も来ないじゃん」
うぅん、Aには少し厳しいがOなら難なく壊せるだろうな。いや、昨日のバトルで多少は練度が積めてるだろうからAだけでも頑張ればいけるか…
「しょうがない特別なルートを使うからついてきて」
ポケモンの技にはポケモンの技でと個人的な事情も含めて頭を悩ませているとタウニーから他の提案が出された。
先をゆくタウニーを追いかける様に少し道を引き返して、建物に掛けられたハシゴを上る。これが街中の移動で言ってたやつか、本当に特殊な街だな。
「高いところって気持ちいいよね。目的のポケモンセンターはそっちから降りればすぐだし」
そう言って少し高さのある段差をポンポンと降りていく、まぁ岩山やトンネルを通るよりは楽だが、街で移動する時でこんな苦労をするとはな。
「現地の人だからこそのルートだな」
「はは、確かにね。いまのルートは一方通行だなら帰りは使えないけれど、街の裏側を知ったみたいで高まるよね」
確かに旅先とかでも裏道とかスイスイ行ったりする人をみて感心する事はあったな。
それを覚えて披露しようとして逆に迷った奴とかもいたなぁ…結局はそれぞれ空を飛べるポケモンを出して目的地へ直行したっけ…懐かしい事を思い出した。
「じゃあ目的地のポケモンセンターに行くからついてきて」
そう言って先導するタウニーの行き先へ視線を送ると見慣れたマークが掲げられてる。
「大通りに出たらすぐそこだったのか」
昨日はヤンチャムを追い掛けて大通りから少し離れてたから分かりにくかったけど、これなら迷う事はないな。
ポケモンセンターの中を覗いてみるとだいぶコンパクトに纏められているのが分かる。
街なかだから宿泊施設とかは切り離せれてるんだな。待合スペースも狭いのは少し寂しく思えるが、合理的な内装だな。
「あら、はじめましての方ですね! 他の地方のポケモンセンターとは形式が違うので驚かれたでしょうが、基本的なサービスは同じです」
ポケモンの回復、道具の売買か、最近はポケモンセンターに統合されてるのが普通になってるけど道具の売買はフレンドリィショップのイメージなんだよな。
「あの……よろしければポケモン図鑑のアプリをインストールしませんか?」
「えっと、一応所持タイプのは持ってるんですが」
アップデートはしてるから全国の発見されてるポケモンは分かるけど正直旧式でもあるんだよな。
「それならIDから連携出来ますよ。アプリの方はミアレシティ限定の機能もありますし、いまならミアレシティ内で5種類のポケモンを捕まえてポケモン図鑑に登録するとすてきなプレゼントがもらえます!」
ポケモンとの仲を取り持とうとする行政の推奨運動か、研究所の捕獲推奨のキャンペーンかのどっちかかな。
「と言う訳でポケモン図鑑のアプリをインストールしましょう!!」
「そういう事ならせっかくなのでお願いします」
スマホロトムを呼び出すとポケモンセンターのお姉さんが手元の機械でデータを送ったらしく、図鑑アプリがインストールされた。
「せっかくだからポカブを出して確認してみたら」
「動作確認か、よし出てこいA!」
Aを出すと即座にスマホロトムに搭載された図鑑アプリが読み取りデータが登録された。
「ポケモン図鑑をさっそく使ってくださりありがとうございます! 5種類のポケモンを捕まえてポケモン図鑑に登録したらポケモン研究所で報告してくださいね」
お礼を言ってからポケモンセンターを後にする。今どきは本当になんでもハイテクになってるな。
まぁ、うちの地方が遅れてるのも大きいだろうけど、色々と文化の保護とかで何を導入するにしても手間取ってるらしいからな。
「ポケモン捕獲でプレゼントかぁ、いい感じのキャンペーンだね。ポケモンを捕まえるためにワイルドゾーンにも行っちゃおうか」
そう言ってポケモンセンターから研究所の間にある1番ワイルドゾーンへ辿り着いた。バトルゾーンとは違う緑のホロで囲まれてる。
「あれが噂のワイルドゾーンか」
「そう、街中で生息する野生ポケモンと戦ったり捕獲できるゾーンなんだ」
そんな事を言い出したら故郷の田舎なんて村一つ丸ごとワイルドゾーンみたいな所もあるけどな。
これだけ整備されてる街でとなるとこの集まり具合はやっぱり少し異常なのかもしれない。
「街中に増えた野生ポケモンが安心して過ごせるように用意されたって」
人の方の安心はどうなのか少し心配だな。あのエリアの中にある家に住んでる人たちは不満とかは無いんだろうか…
「それじゃさっそくポケモンを捕まえてみようか」
捕獲かぁ…正直昨日のレベルをみる限りZAロワイヤルで上を目指すとしてもOとAがいれば、Aの成長度合いにもよるけど当面は問題無い。
上位でジムリーダークラスが出てきたとしても道具の使用が自由ならいけるだろう。それ以上がいるならもう1匹か2匹は欲しくなるが…
「…手持ちにはいらないかな」
とりあえず捕まえた分はそのまま研究所に引き取ってもらうのがこっちとしてもポケモンからしても色々と丸いだろう。
「そう言えばキョウヤはモンスターボールは持ってる?」
「何かあった時用に幾つかは持ってるし、さっきポケモンセンターで道具とかも少し買い足したよ」
もういらないと思ってO用の最低限しか手元には無かったからAの分と予備を含めてそれなりの出費にはなった。まぁ、お金には正直困ってないからそれは良いんだけど。
「準備万端か、旅してきたキョウヤには無用の心配だったね。それじゃ5種類のポケモンを捕まえてから研究所へ行こうか」
タウニーは研究所の前で待ってると行って先に行ってしまった。まぁ、横でじっくり見られるのもなんだからちょうど良かったかな。
ワイルドゾーンを囲うホロのおかげで近くならまだしもある程度距離が離れていると内と外の様子は互いに見えにくい。
「ぱぱっと終わらせよう。O、A」
検索機能と図鑑アプリとを駆使してとりあえずエリア内のポケモンの確認、見えるのはヤヤコマ、ホルビー、コフキムシ…ビードル、メリープ、それとポッポとピチューも居るな。
後半は故郷の方でも見慣れたポケモンだから懐かしいな。っと故郷で捕まえた事があるから後半は生息確認だけで図鑑アプリに登録されたみたいだな。
「なら残るはヤヤコマ、ホルビー、コフキムシか」
とりあえずはボールを投げてから考えよう。とりあえずいつもの奴が通用するか試してみるか。
「O、久しぶりだからな。よく狙って、みずでっぽう!!」
僕がボールを投げるのに合わせてOがみずでっぽうを放ちボールの推進力にする。技の威力なのでポケモンが必要以上に傷付かないし、意識外から当てれるので意表を突いて捕まえやすい。
ポンポンポンと軽く放ったボールにタイミングよく水が当たり、狙い通りにそれぞれのポケモンへと飛んでいく。
予想してない方向から普通のボールとは比べものにならない速度で飛んできたソレに気付く事なく収められたポケモン達は抵抗する暇が無かった様でカチッと捕獲の音が鳴った。
「ヤヤコマ、ホルビー、コフキムシ、ゲットですね」
「オーダイ!」
「カブ!?」
Aがかなり驚きながらもOの事を尊敬する様な視線で見つめています。貴方も練習すれば似た様な事は出来るでしょうが、炎タイプだと温度に気を付ける必要があるので習得は難しいですよ。
「カブ!!」
まぁ、やる気は十分みたいなので後は特訓あるのみですね。何事もやってみなくては分かりませんからね。
僕のボールの遠投におけるコントロール力みたいにどうにもならない事も世の中にはありますが…
近くなら投げれる様になっただけ僕も成長しましたから、何事も挑戦あるのみです。
「さて、とりあえず研究所に向かいましょう」
入った時とは反対側のワイルドゾーンの出入り口から出ると直ぐに大きな建物が目に入ります。
まぁ、この街は住宅地もかなり大きいんですが、それにどの地方でも研究所はそれなりの敷地を持ってますよね。
「5種類のポケモンを捕まえた? キャンペーン達成だから研究所でプレゼントがもらえるね。あたしは用事があるからここでバイバイするけど、じゃね。なにかあったら連絡するし」
ホテルZの事で色々と動いてるみたいだし、意外と忙しいんだろうな。近場のポケモンセンターと研究所を案内してもらえただけでも感謝しないとな。
「それじゃまたホテルZで、案内ありがとう」
既に走り去ろうとしているタウニーの背に向けてお礼を言うと振り返りながら手を降って笑ってからまた駆け出していった。
「さて、とりあえずキャンペーンの報告といこうか」
何時でも開いてるらしく研究所の中に入らせてもらい、とりあえず受付へ挨拶に向かう
「すいません、ポケモン捕獲のキャンペーンの事でお伺いしたいのですが?」
「ポケモン図鑑登録キャンペーン挑戦の方ですね。既に条件を満たしていらっしゃるのですね。なんてすばらしい!3階にいる所長代理からプレゼントをもらえますよ!」
そう言って研究所内に設置されてるエレベータへ案内されたが、周りに囲いがないタイプの設置形態は珍しいのでは…
一応周りに金属の段差? 台座?があるから不用意に近付く事は無いだろうけど事故が起きないか不安になるな。
見た目などからホテルZのものより優秀そうなのでさっそく乗って3階を指定するとスムーズに上がっていく。
所長代理と言っていたが、本来の所長は留守なのだろうか。何か研究などでやはり忙しいのだろうか、そんな事を考えていると…
「くっそ!! 市長め、都市開発に予算つぎこみすぎ! 街中にポケモンが増えて嬉しいけどさ、調査が追いつかないっての!」
まぁ、行政と現場でのいざこざと言うのは多々ある事だろうがここの所長代理は中々にストレスが溜まっている様だ。
「ポケモンと人との適切なさまざまなパターンがあるのに!」
言いたい事は分からなくはないな。それと、ポケモン研究所が後に回されてるのは珍しくはあるかもな。
よっぽど大筋から離れた研究内容でない限りポケモン研究に対してどの地方も力を入れてくれるもんだが…
都市開発中ともなると色々と削らざるをえないのかもな。まぁ、僕に出来る事はないのでとりあえず報告を済ませようと所長代理と思われる人の前へ向かう。
「あら、お一人?」
「いえ、出してませんが手持ちのポケモンも2匹いますよ」
そう言うと優しそうな表情で僕のボールをじっと見てから所長代理は席から立ち上がった。
「あたしは所長代理のモミジです。ここに来たということは…もしかしてキャンペーン参加者? そうに違いないからあなたの図鑑をさっそくチェック!」
他の用事でわざわざ所長室まで来る人もいないんだろうな。図鑑アプリのデータは研究所からアクセス出来るらしく、モミジさんは手元のロトム入りのタブレットを確認している。
「あなたが捕まえたポケモンの種類は…ってあなた、ポケモン図鑑の連携してるのね。しかもこの捕獲データ…出身は向こうの方なのね……うわっ!? すご腕だろうと思ったけど登録されてる所持バッチ数16ってエリートトレーナーじゃない!!」
なみのりで行き来出来るので地元と隣の地方はあちこち観がてらジムだけは挑戦しました。リーグは出てないので世間的には無名ですけどね。
「っと、話が逸れちゃったわね。ミアレシティ内のポケモンの登録も5種類以上確認出来たのでキャンペーンの条件達成!!」
おめでとうと言いながらもなんとも言えない笑みをこちらに向けている。なんとなく嫌な予感がするのは気の所為であってほしいな。
「あたしはあなたのような人を待っていました。いえ、待っていた以上の、理想を超えた人材です。ぜひとも研究に力を貸してくれませんか?」
「予想はつきますが順番に話してもらって良いですか?」
「少し長くなりますが…」
そこからモミジさんの話を聞くと、ミアレシティに野生ポケモンが集まるようになったのは比較的最近の事らしく、その理由も判明してないらしい。
ワイルドゾーンの設置による対処こそなされてるもののどういったポケモンが増えてるのか実地調査までは進んでいないと言う。
「そこであなたです。バトルの実力については申し分ない証拠があり、ポケモンの捕獲についても2つの地方の図鑑を埋めた実績、キャンペーンへの挑戦からみてあなたのポケモンへの興味も強いことでしょう。そんなあなたの様な人にこそ調査を手伝っていただきたいのです!!」
周りに観客がいたら拍手でも起こってそうな勢いのある説得だが、2人しかいないこの場では静寂が広がるだけであった。
「引き受けてくださいますね」
頼む様な口調で聞いているが断らせないぞという圧が言葉の節々に感じられる。
「けっこう強引ですね!? まぁ、ちょうど良かったので代わりにお願いを聞いて貰えるなら前向きに検討しますよ」
「お願いですか? 報酬についてなら研究協力の度合いによって追加のプレゼントもありますが、いや確かにエリートトレーナーを雇うとなるとそれだけというのも問題ですか……」
トレーナーのランクによってそう言えば勤務形態とかも変わってくるんだったな。モミジさんは予算が…でも優秀な人材…と唸り始めたけど別に金銭の話ではない。
「いえ、金銭的な話じゃなくて調査で捕まえたポケモンを引き取ってほしいと言うお願いでして」
「えっ、それはこっちとしてはかなりありがたいお願いになるんだけど…あなたはポケモンを手元に置いとかなくて良いの?」
使うポケモンや捕まえるポケモンを選んでるトレーナーもいるのでポケモントレーナーとしては異質とまではいかないがあまり聞かない提案なのは確かだ。
特に目の前で図鑑のデータを見られたからそう言ったこだわりが無いのもバレてるからやっぱり異質かもしれない。
「ちょっと事情があって手元に置くポケモンの数を少なくしてて、預かりシステムの方も基本的に空にしてるんです。それでミアレで捕まえたポケモンを研究所で引き取って貰えたら助かるんです」
「なるほどね。事情とやらは深く聞かないでおくけど、それならWin-Winだから問題ないわ。研究所のボックスIDを特別に教えておくからそこに転送してちょうだい」
研究所のボックスのIDとか普通なら機密に値するんじゃないかとも思ったけど、こっちの個人情報をあれだけ把握してれば問題ないか。まぁ、周囲に漏れないように気を付ける必要はあるかな。
「了解です。あ、いま手元にいる分は手渡しで良いですか?」
そう言ってヤヤコマ、ホルビー、コフキムシのボールを出すと受け取るわと回収してくれた。
「そうそう、あたしからの調査依頼はモミジリサーチと言います。これからあなたに依頼をオーダーしていく形になります。さっそく、依頼したい案件のデータを送ります。それと今回の件で既に達成されたものもあると思うのでぜひ確認して報酬を受け取ってください」
そう言われてスマホロトムに追加されたモミジリサーチの項目に目を通していく、ポケモン図鑑の連携のおかげでかなりの項目がチェックされてる。
「ミアレシティに生息するポケモンばかりじゃないけど良いんですか?」
「タイプ別の捕獲に関してはポケモンのデータ自体が重要なのよ。むしろ別地方のポケモンの正確なデータは助かるわね。進化やバトル回数は映像データの関係で登録後からの計上だし、分布の確認はミアレを回って貰う事になるわね」
なるほど、そういう事ならある程度納得が出来る。それでもミアレのポケモンも確認出来ると嬉しいらしく、個体毎の差も研究したいので被っても良いからとにかくたくさん送って欲しいとの事だ。
「提供までしてもらう以上は追加で報酬も渡すわ。と言うか出さないと逆に問題になりそうだからね」
「じゃぁ本当に気持ちだけで良いですよ」
予算の事で文句を言ってた人から搾り取る趣味はないしね。まぁ、モミジリサーチ同様の現物支給にはなるらしいが、それならありがたく活用させて貰おう。
とにかくお礼を言われながら所長室を後にし、エレベータで一階へ降りて、そのまま外へと出た。何か時間的には短いのに長く中に居た気分だ。
「エムゼット団のМとZのロゴがついたジャケット……アンタ、もしかしてキョウヤ?」
「そうだけど…どうして?」
会ったことは無いと思うが…知ってると言うことはタウニーかデウロの知り合いだろう。
ロゴの事を言われてから気付いたが同じロゴが彼の服の胸元にも付いてるのが見えたので警戒はしなくて良さそうだ。
「タウニーが嬉しそうに話していました。エムゼット団に新メンバーをいれたって、それにそのジャケットボクがロゴを縫いつけまきたから」
この団のロゴ入りだから既製品では無いとは思っていたけどこれを彼がやっていたとは驚いたな。
「へぇ、そうなんだ。すごい器用だね。旅で必要だから簡単なホツレを直したりは出来るけど凝った事は出来ないから尊敬するよ」
そう言うと何処となく嬉しそうでありながらバツが悪そうな顔を浮かべている。おそらく少し照れてるのだろう。
「ボクはピュール、一応エムゼット団のメンバーです。研究所からでてきたってことはモミジリサーチですか?チャレンジする人がいるとは驚きですが悪くない選択ですね」
チャレンジする人がいるだけで驚かれるってあまり評判が良くないのか? いや、ZAロワイヤルと言う他に流行ってるものがあるのにわざわざやってる人は少ないのかもしれないな。
「ZAロワイヤルに参加するならポケモンにいろいろな技を覚えさてておくのは有効です。そのためにもモミジリサーチの報酬でわざマシンを得るのはありですね」
まぁ、取り寄せようと思えばわざマシンなら持ってこれるし、必要な技なら自力で覚えさせれば良いからそこはどっちでもいいけどな。
「それにしてもアンタのその格好……この帽子はいかがですか?」
何かが彼の琴線に触れたのか荷物からラインの入ったおしゃれな帽子を手渡された。ふむ、ジャケットと合わせるなら悪く無いな。
「礼はけっこうです。ボクにはサイズがあわなかったので、あとそのジャケットあわないと思うのでしたら着替えれば大丈夫ですから、では失礼します」
中々に気難しそうだけど、オシャレに思い入れがあるんだろうな。まぁ、せっかく貰ったものだし、特に服装にこだわりはないからジャケットと帽子でしばらくいいな。
「っと、ナイスタイミングだな」
飛び出してきたスマホロトムに表示されてる名前をみると今朝に登録したばかりのタウニーの名前がバッチリ載っている。
【キャンペーンの報酬はもらえた?】
「問題なく貰えたよ」
【モミジリサーチで最初にもらえるわざマシンった「いわくだき」だよね。それを覚えさせたら道路のジャマな岩も壊せるよ。まぁ威力があれば他の技でもいけるけどね】
「そうだろうね。まぁとりあえずホテルZの前の岩は壊しておくよ。それじゃまたホテルで」
昨日のバトルに、さっきの捕獲、近くにOと言ういい見本がいるのもあってAの伸びも悪く無い。後少し経験さえ積めれば…
「よし、送り先も出来たので少し動きの練習をしておきましょう。A、準備は良いですか?」
「カブ!!」
ワイルドゾーン内では大きな被害が出なければ多少の無茶は許されている。1番ワイルドゾーンの特徴を利用すればレベル上げは一気に行けますね。
「さてA、あそこの草むらにひのこだ」
放火じゃないし、ルール的に問題はない。そうでないと炎タイプ使いが野生ポケモンと戦えないしな。戦う為に周りの環境を変えるのは野生ポケモンもよく使う手だ。
もちろん無差別に焼き払ったりしたら別だが、公共物や個人の建物はホロがあるからポケモンの技から守られてる。ワイルドゾーンだからこそ出来る手だな。
「カブ!?…カブ!!」
ポカブはポケモン以外への技の使用に戸惑ったが直ぐに気を取り直して草むらに火を放った。
木や家に燃え移りそうになったらOが消せば問題無いし、草むらぐらいなら野生のポケモンによる修復でも再生は早い。
それに端っこに火を放った程度では枯れてもいない葉はそんなに勢いよく燃えない。なので…
「そのまま周りを走って多くのポケモンを引き連れてくるんだ。そしたら今度は逃げながらひのこを向こう端に放つんだ」
燃えにくいなら燃えやすい様にあちこちに火の手を放つだけだ。それに多方面から燃やせば相手の逃げ場も無くせる。
「カブ!!」
言われた通りに好戦的なポケモンを引き連れてきたポカブは僕の指示に従って草むらに火をつけました。
追いかけてきたは良いものの周りが急に燃え広がって殆どのポケモンが右往左往している状態、チャンスだな。
「よし、そのまま試しに炎の中でくるんとローリングするんだ」
Aは支持を疑わずに自身が放った火に思い切り飛び込んでぐるぐる回り出した。よし、普通に習得できそうだな。
「よし野生ポケモンの方へ方向転換、炎を吐きながら回って…そのまま…かえんぐるま!!」
周りの燃えている炎がひでりの時のように力を貸してくれている様で勢い付いたAは炎を纏って野生ポケモンの集団に突っ込んでそのまま吹き飛ばした。
「さて、本格的に燃える前に消火をお願いします」
草むらはだいたい半分ほど燃えたか。消火の方はOに任せるとするか、ポケモンの放つ水は草木への影響は良いとも聞くしな。
その間に逃げ遅れた虫ポケモン達とメリープ、そして吹き飛ばしたホルビーとポッポにどんどんボールを当てて捕まえよう。
「大漁大漁…さて全部研究所に送って、後はAの調子は…バッチリだな」
スマホロトムから操作を終えてAの方へ振り向くと見覚えのある。それでもいて久しぶりに見る進化の光に包まれているのが目に入る。
「ポカブからチャオブーへの進化おめでとさん。色々と勝手も変わっただろうし、後で技の調整とかもするか」
ついでに貰ったばかりのいわくだきも覚えさせてと、これで帰り道の確保も問題ないな。
後は上手くいって喜びながらも理解が出来てない様子のAに色々と教えるとするか。
「A、ポケモンの技はそのまま使うばかりじゃなくて自分に有利になる様に、相手にとって不利になる様に働きかけるのは重要だ」
いま周りを火の海にしたのは炎タイプだからこそやりやすい手だ。水場でもない限りは周りを燃やせば炎タイプにとっては有利に働く。
ポケモンによってはフィールドを作り替えたりする技もあるけど普通の技でも代用は可能だって事だ。
閉鎖空間なら水ポケモンも水で辺りを満たしてから戦ったりも出来るし、虫タイプなら糸を張り巡らしたりは珍しくもない。
「たださっきはうまくいったがああいった事をすると視界が悪くなる。いつもは自分の判断で動けてる事も出来なくなる事だってある」
炎や煙で相手からみえないのは利点かも知れないがこっちも相手が見えなくなる。それに加えて相手が探知能力があるポケモンだったらむしろ不利なのはこっちだ。
やたらめったら燃やしたら強いかって言うとそう言うわけでもない。何事も使い時ってのがあるからそれを指示するのがトレーナーの役目だ。
僕だって間違える事が無いわけではないが、これでもエリートトレーナーだからな。信じて動いてくれればお前を勝たせてやる。
「タイミングを合わせたり、指示の意図を読み取ったり、色々と練習していこう」
「チャオブー!!」
まあ、そこいらへんは正直経験あるのみな部分でもあるんだがな。とりあえずはZAロワイヤルで磨いていくとしよう。
進化したばかりなので動きに慣れさせる為にもそのままチャオブーを連れたままホテルZへと戻ることにした。
「やっぱりまだあるか、よしさっそく技の練習だ。A、あの岩をいわくだきだ!!」
「チャオブー!!」
ポカブの頃よりも全体的に能力は上がってる様ですが、やっぱり攻撃力の上がりは大きいか。
少し身体の大きさに振り回されてる様にも見えたがジャマになっていた岩は直ぐに壊し尽くした。
「ご苦労さん、A」
連絡を受け取ってから少し時間が経ったな。タウニーをあまり待たせてたら悪いし、少し駆け足でいこう。
まだ泊まって一日目だと言うのにホテルZに着くと帰ってきたと言う感覚がする。やっぱ良い雰囲気だなここは…
「ただいま」
「おかえり、おいしいものを買ってきたから軽くつまみましょ。焼きたてのクロワッサンをカフェオレに浸して食べると最高だし」
わざわざ買って来てくれたのか、協力関係にあるとは言え、こんなにしてくれとはな。世話焼きな性格なんだろうな。
「そういう事ならありがたくご相伴に預からせてもらおうかな」
それからしばらく、タウニーが買って来てくれた軽食とドリンクを楽しまながら他愛もない話をしあった。
ミアレの街についてや、ワイルドゾーンについて、それぞれの意見をそれとなく語っていると初めて聞く音がスマホロトムから響いた。
「これは?」
「ZAアプリの通知だよ。何か連絡が届いたんじゃない?」
なるほどそう言えば登録してからアプリに連絡が入るのは初めだったな。とりあえず内容を確認しようとスマホロトムを覗いた。
【ランクアップ戦のお知らせです
ランク:Z
トレーナー:キョウヤ
ランクアップ戦での
あなたの相手が決まりました
ランク:Z
トレーナー:ザック
ランクアップ戦で勝利した方が
ランク:Yにランクアップします!
ランクアップ戦に挑むには
チケットポイントを貯めて
チャレンジチケットを入手してください】
「なるほど、そう言えばZAロワイヤルのルールにそんな事が書いてあったな。となるとバトルゾーンでポイント集めをすればこの人と戦えるわけだな」
基本的にどのランクでもやる事は変わらず、夜にバトルしてポイントを貯めてチケットをゲットしたらランクアップ戦だ。
それを25回やったらAランク…いや、正直途中で飽きる人とかいてもおかしくない回数だよな。
よっぽどバトルが好きか、叶えたい願いがある人じゃない限り続けるモチベーションが維持できないと思う。
「そういう事、もうすぐ日が沈む。夜になればバトルゾーンが出現してZAロワイヤル開始だから、外で待ってるから準備ができたらおいで」
そう言って行こうとするタウニーだが、道具もポケモンも手元にあるからこっちも別に何時でもいけるのでそのままついていく。
「おっ、準備がいいね。まぁ、あなたなら大丈夫!」
ホテルの外へ出ると既に日は沈み始めており、少しすると辺りはもう真っ暗になった。そして街の一角が赤いホロで染められる。
「マップを開いてみて、バトルゾーンの位置がわかるよ。どうやら昨夜と同じ場所だね。ま、はじめての場所よりマシだね」
「あんだけ絡まれた場所ならはじめての場所の方がマシの可能性もあるけどね」
「まあまあ、そんな事言わないでさっそくバトルゾーンに向かいましょう」
バトルゾーンになってるのはホテルZから目と鼻の先なので苦労することなく辿り着いた。
そこにはデウロとピュールの姿もあり、どうやらエムゼット団のメンバーは全員ZAロワイヤルに参加している様だ。
「アンタもZAロワイヤルに参加するというのですか?」
「エムゼット団の新メンバーだもん。そりゃ参加するよねぇ」
「そういうこと。あなたたちもバックアップしてね」
それから念の為ZAロワイヤルのルールを確認していく、そしてチャレンジチケットの入手に必要なポイントを確認してバトルゾーンへと入っていく。
狭い路地だからかあんまり人の姿はみえない。だからこそ参加者がいると目立つので直ぐに分かる。路地の角から相手のポケモンを確認する。
「マダツボミ…なら有利だな。A、ここから駆け抜けますよ。かえんぐるま」
普通のポケモンバトルでは絶対にあり得ないがZAロワイヤルでは奇襲がルールに組み込まれている。
タイプ有利に加えてレベル差もあるだろう。思い切りいけば初手で落とせる。
「チャオ、ブー!!」
「ツボ!?」
マダツボミはいきなりの攻撃に対応できずにAのかえんぐるまをもろに喰らいそのままダウンした。
するとZAアプリの方に勝利を知らせる通知が入る。どうやら相手の登録ポケモンはあのマダツボミ一匹だけだったらしい。
言い方は悪いかも知れないが大会参加者と言ってもピンキリありそうだな。これくらいなら本当に問題は無さそうだな。
「よし、この調子でいくぞ」
「チャオ!!」
大抵のトレーナーが腰に付けてるボールを見れば手持ちの数も分かるかと思ったけど手持ちと登録数が違う可能性もあるか…バトルが苦手なポケモンも珍しくないからな。
ある程度進むと物が置きっぱになってる狭い路地の先に次のトレーナーの姿が見えた。
出ているのはホルビーか、ノーマルタイプだけど進化するとじめんタイプが加わるから幾つか地面技を覚えたはず…
まだほのおタイプもある程度効くのは幸いだが、反撃されると思わぬ痛手を喰らうかも知れないな。
「こっちの攻撃は普通に効くくらいなので奇襲から連続で落としますよ。初めは目眩ましもかねてひのこをぶつけてひるんだ所にかえんぐるまだ。もしかえんぐるまが避けられたら一度こっちまで下がる。覚えたか?」
「チャオ!!」
今は一々伝えてるけど段々と指示の数を減らしていければ良いな。Oなら翻弄してから一気に決めろで伝わるからな。いや、そもそもOならレベル差でゴリ押した方が速いな。
そんな事を考えてる内に物陰から物陰へと進んでいたAが飛び出した勢いのままにホルビーの顔を目掛けてひのこをぶつけた。
「ホル!?」
「チャオブー!!」
そのまま衝撃に驚いて目を瞑ったまま吹き飛んだホルビーが立ち上がる前にAがかえんぐるまで突っ込んだ。よし、ホルビーは目を回してる。
「いけ、ヤヤコマ!!」
今度の相手は二匹目も持っていた様だ。ヤヤコマか、捕まえたばかりだから覚えてるがノーマル、ひこうだったか。
「なら、ころがるだ!!」
「チャオブー!!」
ひこうタイプにはいわタイプがこうかばつぐんだ。それにかえんぐるで回り慣れてるAなら素早い相手にも当てれるだろう。
慣れた様子でゴロゴロ転がるとその巨体を勢いよく相手にぶつけた。小さな身体のヤヤコマはその勢いのまま吹き飛んで近くのホロの壁にぶつかり動かなくなった。
「よくやったA」
「チャオブー!!」
本当ならころがる所から練習する物を応用と言うか、より高度な技を使ってただけあってAも思い切り回れたみたいだな。
次の相手は少し開けた場所に立っている。あまり隠れる場所がないから奇襲を仕掛けるのが難しそうだ。
しかし、見えているのはどく、むしタイプのビードル、ほのおはこうかばつぐんだ。直撃させればひのこでも倒せるだろうから、奇襲にこだわるよりも正面からかえんぐるまで突っ込んだ方が手っ取り早い。
「勝負です。A、かえんぐるま」
「な、ビードルいとをはくだ!!」
「糸ごと燃やして突き進め!!」
奇襲じゃないので相手も対応しようとしますが普通のころがるならまだしもほのお纏った身体に糸が張り付く事はなく、そのまま技を直撃させてビードルのダウンをとる。
「通知、と言う事は登録は一匹だったか」
ポケモン大会にビードル一匹で参加するのは流石に無理があると思うが、まぁそこいらへんは個人の自由だし、口にするのはやめておこう。
アプリを開いてみるにこれでチケットポイントはたまった様でチャレンジチケットが表示されている。そして同じ所属だと通知がいくのかタウニーから連絡が入った。
【最高!あなたとA最高過ぎる。チャレンジチケットを手に入れたからポケモンセンターで待ち合わせよ】
それだけを言うと通信はプツリと切れた。こっちから言葉を返す暇が全然無かったな。とりあえず、ポケモンセンターを目指すか。
路地からそんなに離れていないのでバトルゾーンを抜けて少し歩いたら昼間にも見たポケモンセンターが目に入る。そしてその脇のベンチにタウニーの姿もあった。
「同じランクのチケットを持っているトレーナー同士でランクアップ戦をするんだよ。それにしてもスムーズだね。せっかくだし今夜のうちにランクアップ戦もこなそうか」
それは別に良いが、この相手が何処に居るのかも分からないし、別に何処でランクアップ戦をしろとかの提示も無いってのは中々に不親切だな。
まぁ、アプリで管理するには限界があるんだろうけど、もう少し参加者に優しくしてくれても良いと思うがな。
それに今回はタウニーが相手の事を知っているらしいから、そこまでの案内は任せよう。
「ランクアップ戦の相手のザックはこの道をまっすぐいったところにあるタクシー車庫にいるし」
「ってことはタクシー運転手か、そう言われてみるとこのランクアップ戦の写真、街中で見かけるタクシー運転手と同じ制服か」
言われるまで気付かないもんだな。そしてタクシー車庫か、流石にそんなものまでは調べても出てこないし、タウニーが居て助かったな。
教えられた道をずっと行くとタクシーが複数台停められている広い場所があった。ガレージでもないので車庫というよりは駐車場の様に見えるが…さて、お相手は…
「いた!あの人だよ。何回もランクアップ戦に挑んでる悪い意味でのベテランさん」
同じランクと言うことはZランクでって事だよな。流石にそれはポケモンバトルに向いてないんじゃないか?
そんな事を考えているとこちらに気付いたザックが振り向いて話しかけてきた。
「キミがキョウヤだね。また一人、ZAロワイヤルという名の狂宴に導かれたようですね……ZランクからAランクをめざす、口にするのは簡単ですがやるとなると違います。ですがポケモントレーナーとしてミアレ最強をめざすというのは魅力的!さあ、ランクアップ戦をはじめましょう」
「よろしくお願いします」
勝負前のパフォーマンスに全振りしてるのかっていうぐらいに喋りますね。まぁ、変な言い返すのも面倒ですね。
互いのスマホロトムが飛び出すとガチンと音を鳴らして一度ぶつかり合う。まぁ、ポケモンの技にも耐えるくらいなので傷は付かないだろうけど音が大きいと驚くな。
【チャレンジチケットを確認!
ランクアップ戦の開始を承認します】
「わたしに勝ってランクアップするつもりでしょうか? 」
「まぁ、僕は足踏みする趣味は無いので」
「タクシードライバーのわたしには夢があります!ZAロワイヤルでAランクとなりミアレシティの移動はタクシー限定にするのです!」
「え、いや…まぁ頑張ってください」
んー、聞き間違えかって思う程度にしょうもないと言うか、それはクエーサー社の叶えられる願いの範囲外だと思うんだが…
いや、他の移動施設をなくすくらいならなんとかなるかもしれないが、その上で何を利用するかは個々人に意思だから強制は出来ないだろ。
しかも、目立つ移動施設と言ったらミアレシティの外側にある鉄道くらいだし、この人、何か方向性を間違えてる気がするな。
まぁ、話を聞く限りこの人がAランクになる事は無さそうだから気にせずに戦うとしよう。
「行ってください、ヤドン」
ヤドンか、タイプはみずとエスパー。ほのお、かくとうのAからしたら天敵と言っても過言ではない相性、だが相性だけでは勝負は決まりません。
「A、ころがるだ!!」
とりあえずはダメージを減らされないいわタイプで攻めて、相手の攻撃はその勢いで避けたいが、エスパータイプは形が無いのが厄介だな。
「ヤドン、ねんりきだ!」
「ヤァー!」
ねんりきは相手を直接攻撃する技だから防ぎようがない。Aにはこうかばつぐんだが、レベル差に助けられてるな。
「これ以上やられる前に決めるぞ。A、近くの壁を利用して連続でころがるんだ!」
「チャオ!!」
身体が大きくなって細かくぐるぐる回ったりは出来なくなったが、かくとうタイプが加わってそれなりに身体自体を使えるようになっている。
ヤドンをころがるで轢いたら、そのまま周りの建物を壊さない様に蹴って再度ヤドンの方へ突っ込んでいく、そしてころがるで轢いたらまた壁を使ってを上手く繰り返す。
「いくら、直接攻撃とは言っても目が追いつかなくては技も掛けようがない!! いけ、最後にもう一度ころがる!!」
「チャオブー!!」
相手の後ろへ跳んでから不意をつくように食らわせたころがるでヤドンは吹き飛んで目を回した。その後にザックはポッポを繰り出してきた。
「空を飛んでても関係ない!! さっきと同じでころがりまくれ!!」
「ポッポ、かぜおこしで相手の動きを止めるんだ!!」
ポッポは跳びはねる様に飛んでくるAに向けて風を起こして自身に届かない様に仕向けてきた。
Aも流石に空中で更に推進力を得ることは出来ず、勢いと相殺した様でダメージこそ無いが元の位置へと飛ばされる。
「A、それなら得意で攻めるぞ。炎で風さえ吹き飛ばすんだ!! 同じ要領でかえんぐるま!!」
「チャオ、ブー!!」
ほのおの熱で風を逸らす事に成功した様でポッポの起こす風を貫いてかえんぐるまが命中する。
風を起こしている体勢だったせいか受け身の取れなかったポッポはそのまま壁に衝突して目を回している。どうやら相手のポケモンはあと一匹…
「最後の一匹が負けたらまたZランク……わたしはこいつを信じます! ピカチュウ、お願いします!!」
ピカチュウ、でんき単タイプ…弱点が地面しかない優秀なタイプ、だがこっちも向こうも攻撃が普通に通るなら問題ない。
「自分の力を高めろ、グロウパンチ!!」
「チャオ、ブー!!」
「避けてくださいピカチュウ!!」
「ピカ!!」
ピカチュウ当たらなくても技を使った事でチャオブーの能力は上がる。後は上がった攻撃で技を当てるだけだが…
「流石に動きが早いな」
チャオブーの倍とまではいかないがそれなりに素早さには差があった筈だ。レベル差があっても速度の差までは埋まらないか…
受けてから反撃するか? いや、でんきタイプなら遠距離技が多いし、マヒさせられたら一気に不利になる。となると相手の動きを制限出来れば…
Aはころがる、かえんぐるま、グロウパンチを使ってる。試合中に使える技はあと1つ…
ひのこで逃げ道を塞ぐ…いやピカチュウなら飛び越えられるか…えんまくでザックとの間を埋めて指示を届かなくさせてその隙を狙うか…一か八かだがひのこよりは…
待てよひのこよりはアレが使えれば…チャオブーに進化したって事はけっこうレベルは上がってる。トレーナー戦も3回やって今もずっと戦ってる。
どうせ一か八かならAの成長に一度掛けてみるのも悪くないか。あんだけ努力してるなら可能性はある。
「A、ピカチュウ目掛けて炎を渦巻く様に放つんだ!! ほのおのうずです!!」
「チャオ!? チャオ…チャオブー!!」
まだ練習すらしてない技ですが、覚悟を決めたAは思い切って炎をピカチュウに目掛けて放った。それはピカチュウの周囲を囲うように、まだ弱々しいですが確かに渦を描いている。
「落ち着くんですピカチュウ!! ほのおの外へジャンプで逃げ…!!」
「それを待ってたんだ!!空中では避けれない!!決めろA、ほのおうずも巻き込んでかえんぐるま!!」
「チャオ…ブーー!!!!」
チャオブーが躊躇なくほのおのうずへと飛び込むと自身に纏うほのおに吸収させて、そのまま地面を蹴って空中のピカチュウへとぶつかった。
「ピ…ピカァ…」
ほのおの勢いとAとの体格差、それと跳び跳ねて受け身の取れない姿勢、後はレベル差も含めた4つの要素が合わさって見事に一撃で決めてくれた。
「相手のランクアップをみるのはこれで100回目ですかね。またしても敗北……ランクアップ戦100回目の敗北、そう……わたしは永遠のZ……」
何回も戦ってる割にはポケモン達の練度が低すぎる気もするが、技の選択自体は悪いもんじゃないんだよな。
ただ、対応に集中し過ぎて攻撃に転じれて無いことからマルチタスクが苦手なのは分かる。
なんというか、100回ランクアップ戦に漕ぎ着けておいてこれならもっとポケモンの動きをパターン化して、考えなくても動けるぐらいに仕上げないと厳しいだろうな。
まぁ、それが本業であろうタクシードライバーをしながら出来るかと言ったら難しいとしか言えないな。
「やった!」
【キョウヤの勝利を確認しました!
おめでとうございます!
それではランクアップ処理を行います
キョウヤはランク:Yに
ランクアップしました!】
タウニーが自分の事の様に喜んでくれているのは少し気恥ずかしいがこっちの気分も上がるな。
「使う技はもちろん相棒のポケモンとの位置も考えたいいポケモン勝負だったねー」
「ありがとうございます。それであなたは…?」
「マチエールさん!」
知らない相手ではあるが褒められたのでお礼を伝えていると隣のタウニーから名前らしきものが飛び出してきた。
「はじめましてそちらのトレーナーさん! あたしはマチエール。ミアレの平和を任された探偵です」
へぇ、探偵ねぇ。小説やドラマなんかではよく出てくるけど、実在の人で会ったのは初めてだな。
探偵みたいに人や物を探せる人なら故郷にいたけど、あれは霊能力に近いものだし、一緒にするのは悪いか。
「挨拶しちゃったけどタウニーの隣にいるのはだれかな?」
「エムゼット団の新メンバー、キョウヤです」
とりあえずタウニーの紹介に合わせて頭を下げる。そうするとマチエールさんは探偵だからかこっちを観察する様に見つめてくる。
「怪しいポケモンの調査中にたまたまランクアップ戦をみたけれど、いいトレーナーをメンバーにしたねー。AZさんも喜んでるはずだよ。あの表情から本心は読めないけれど」
そうかな…僕としてはあの人の感情はけっこう分かりやすいと思うんだけど、孫でも観てるかのような優しさと、残していくものを守ろうとする思いとかね…
「タウニー、あなたに頼まれている人探しの件は進展がなくてごめんね。と報告したところであたしは引きあげるよ。それではおやすみー!」
それだけ言うと彼女は軽快な足で去っていった。やっぱり物語の様に歩いて情報を探して回ったりしてるんだろう。
「マチエールさんはミアレシティナンバー1のすごい探偵でものすごいポケモントレーナーなんだ! そんな人にほめられるなんてキョウヤ、あなたすごいね」
「まぁ、向こうも確かに強そうではあったな」
まぁそれ以上にこの街に比べるほどの探偵が居るのかどうかが気になるけどな。
居るんだとしたらそれほど探偵業が儲かるミアレの治安に対して不安を覚えるよ僕は……
「ランクアップもしたし、あたしたちも今夜は引きあげよ」
そうして引き上げてる間にバトルゾーンも終了した様で所持メダルから賞金が計算されて振り込まれていた。
メダル×10が基本でそれに倒したトレーナーの人数で最終的な倍率が変わるのか、なるほど腕試し以外に小遣い稼ぎで潜ってるトレーナーも居そうだな。
そんな事を考えているうちにホテルZへ戻ってこれた。流石に朝から動き続けてると疲れるな。
「我が家のような安心感!……ホテルだけどね」
タウニーのなんてこと無い呟きだが確かにと共感してしまい少し笑ってしまった。
「ただいまだよ」
「タウニー……帰るなら一声かけてくださいよ」
次々に帰ってきたからてっきり声をかけたのかと思ってたら連絡してなかったのか、入りたての僕が把握してない事なので悪くはないが、タウニーに付き合わせてしまった分だけ罪悪感があるな。
「キュルル」
「キョウヤ、はじめてのZAロワイヤルどうだった?」
「問題なく昇格まで漕ぎ着けたよ」
「すごーい。やっぱ旅慣れてる人って強いのかな?」
うぅん、それはどの地方を旅したのかによって度合いは変わるかな。それに旅の目的次第ではそこまでバトルしなくても良いだろうし。
「確かにすごいと思いますが相手はあの永遠のZのザックですよね」
あれは自称じゃ無かったのか、周りからも言われてそれを捨て台詞にしてるんならだいぶ自虐が痛々しいな。
「勝負をみていないピュールにはわからないだろうけど、キョウヤのポテンシャルならもっと上のランクに余裕であがれるし」
まぁ、バトルゾーンで戦ったトレーナーも含めて勝つだけならだいぶ余裕があったのは確かだな。
「ねぇねぇ、キョウヤ。いきなりだけどエムゼット団の由来って知ってる?」
「いや、特に聞いては無いかな」
参加登録中にタウニーに言われてとりあえずで入っただけだし、説明も何も無かったしな。
「メガシンカのМ、ホテルZのZ、合わせてエムゼット団だし!」
なるほど、何かしらの略だろうとは思ってたけどメガシンカのМとホテルZのZか、ホテルZの方はある程度理由は分かる。
だけどメガシンカの要素はなんで入れたんだろうか。それを訊ねようかと考えていると奥からAZさんが出てきた。
「キョウヤはどうであったか」
「AZさん、キョウヤがいてくれたらミアレだって未来を守れる」
手伝いは約束したからするけど具体的に何をしたら良いのかは話してほしい所だな。
「へえ、タウニーがそこまでいうんだ?」
「マチエールさんもほめてた」
まぁ、褒められて悪い気はしないし、落胆されない程度に頑張るとしますかね。
「マチエールか……彼女は凄腕のポケモントレーナーだ、あの子も手伝ってくれればよいのだが、彼女には彼女なりの使命があるからな。みなで高めあい誰かが最強のメガシンカ使いとなればこの街のポケモンも人も安堵できる」
メガシンカ使いね…カバンの奥からポーチに移していないが、それが必要だと言うのなら明日から一応持ち歩いておこうか。きっと、この人は無駄な事は言わないだろうからな。
「キョウヤよ。これからもよろしく頼む。しかし、無理はせんように」
よろしく頼むに強い意志を、そして最後の言葉に感情が込められてるのが感じられた。こりゃ、やっぱバレてるか……少しかたい空気に困ってるとデウロが話を変えてくれた。
「ちょっといい? ZAロワイヤルに参加したらおなかが減っちゃったんだけど……」
「食材はいつものように好きに使うがいい。わたしは先に休ませてもらうよ」
「キュルル」
なるほど、こっちで調理して食べる形式なのか。昨日は遅過ぎたし、朝と昼はタウニーからの誘いでどうにかなってたからホテルで食べるのはなんやかんやで初だな。
「それならあたしがちょいと腕を振るうとしますか」
「ボクの分は普通でお願いします」
「なんでもいいからはやくしてくれると助かるよう」
「ええ……ちゃんとオーダーしないといつものアレになっちゃいますよ」
会話からして普段からホテルでの食事はタウニーが担当してるんだな。まぁ、今日は動いてお腹が空いてるし、最近は少し調子が良いけど、
デウロの様子はタウニーの作るもので問題無いように思えるが、ピュールの発言に少し不穏なものを感じながらタウニーの食事の準備を待った。
「出来たよ!」
調理に慣れているのか準備を始めてからそんなに時間は掛からずお呼びが掛かり、みんなで集まれる部屋へ行ったが、これは……
「食べて」
それ以前に他では見たことない様相の料理だけど、カレーとクロワッサン? いや、カレーとパンを合わせるのは見たことあるけど、盛り付けも含めてかなり新しいのは確かだ。
「これはなに?」
「質問される意味が分かんない。ホテルZの人気メニューとして考案したタウニー特製のクロワッサンカレーだし」
人気がないホテルの人気メニューと言われてもなぁ。まぁ見た目のインパクトはあるし、ネットで話題になれば確かに客も増えるか?
「ミアレのおいしいクロワッサンにガラル地方自慢のカレーをあわせて魅力を最大限に引き出したんだ」
シェルダーとヤドンの合体を初めて見た時の様な衝撃だよ。美味しいものを混ぜれば美味しいと言うのはよくあるが…
出来ればクロワッサンはサクサクのままで頂きたいかな…これだとルーで一部がへにゃってなってそうな気がする。
どうせなら中に入れてグラタンパンみたいにすれば表面はサクサクのままになりそうだけど、それだとインパクトは減るか…いや、何を真剣に悩んでんだか…
「食欲を刺激しすぎる香り……タウニーの料理は食べ過ぎちゃうよ」
まぁ確かにカレーの匂いは確かに香り高くて食欲を刺激するのは確かか。本場の味を再現してるのだとしたらカレーは楽しみかもな。
「ボクは認めませんよ」
強い意志を感じる瞳でクロワッサンカレーを見つめているピュール、宣言の通り彼の手元にだけはクロワッサンカレーと別の物が用意されている。
「そういいながらあたしの料理はいつも残さず食べてくれるじゃん」
「……そ、それはボクの育ちの良さがそうさせるのです」
「ピュールはミアレ出身だからかこだわりが強いもんね」
へぇ、そうなんだ。と言うことはピュールだけが純粋なミアレ市民になるのか。と言うかミアレ出身でくくると多方面を敵に回すぞデウロ。
「他の料理は食べてもクロワッサンカレーは絶対に認めません」
流石にそこまで徹底抗戦する気はないがまぁ、その反対運動は陰ながら応援させてもらおうかな。
「キョウヤ、ごめんねうるさくて。でもあなたに会えてよかった!」
「その気持ちわかる。キョウヤがいてくれたらなんとかなりそうだもん」
タウニーはまだしもデウロのその意見は何処から沸いてきてるのか少し疑問だけど、まぁ純粋に期待されてるなら…
「期待に応えられる様に少しは頑張ろうかな」
「あらためてよろしく、さあ食べて食べて!」
ふむ、食べてみると意外と悪く無いか。いやでも自分のタイミングでルーを付けるならまだしも最初から掛かってるのは…
あ、これカレーの中にライスあるんだ。そりゃそうか、カレーだけで塔が出来るわけ無いか、だとしたら意外とボリュームあるよなこれ。
動いてるとは言え旅の時みたいに一日中歩き続けてるのとは訳が違うし、こればっか食べてたら少し胸焼けしてもおかしくないなぁ。
まぁ、作ってもらっておいて文句を言う文化は僕には無いのでとりあえず笑顔でお礼だけ言っておこう。
何か、最後の最後で情報量に疲れたな。あまり身体に良くないけど食べたら部屋に戻って寝るか、あ、OとAのご飯だけ置いとかないとな…はは、忙しい…だけど…
「楽しいなここは…」
どうなるかと思っていたがどうせなら思い切り楽しんでもバチは当たらないよな。
こういったの書いてて思うこと、ゲームだと一瞬で過ぎる内容でも文字に起こすと果てしない。本当に果てしない。
まぁ、初めてのランクアップ戦は重要だから書いたけど主要な人物意外は飛ばしていくのが無難かな。主にYXW…それ以降は主要人物なんだよなぁ。