転生したらゾルディック家の長女でになっていた件について。兄(イルミ)の溺愛がめっちゃこわい···。 作:Honey*bee
「ほ〜れ、爺ちゃんでちゅよ〜」
初っ端なキャラ崩壊を仕掛けているのは、シルバの父であるゼノ・ゾルディックだった。
原作の威厳は崩壊し、デレデレと赤ちゃん言葉で私達を見下ろすゼノジイジ。
イルミについで今度は双子の兄妹爆誕に、ゼノもメロメロである。
一日一殺の何とも言えない服を身につけ、顔をデレデレにしてベビーベッドを覗き込むのは如何なものか···いや、暗殺一家だから別にいいのか?それが普通なのか?
HUNTER × HUNTERの世界に産まれてこの方、約半年が経った。
兄のキルアは銀色のふわふわな銀髪の髪が生え、私と言えば母親譲りの黒髪でストレートの髪が生えていた。
目の色は分からない。
イルミのように黒目なのかどうなのはかは今はどうでもよくて、中身が社会人だった私は、ゼノの崩壊しように赤ん坊ながらに困惑している。
「ほれ、ミルキも見てみぃ。可愛いお前の弟と妹じゃぞい」
「···爺ちゃん、何か色々崩壊してね?」
私達にデレデレの顔のまま、兄のミルキに話しかけるものだから、ミルキもややドン引き、いやかなりドン引きである。
「可愛い孫にデレデレしないジジイがどこにおろうて。ほーれ、ほーれ···キルアにルキアちゃ〜ん」
「····」
切れ長の黒目を呆れ気味にゼノに視線を向けているミルキは、原作開始前なのかかなりスリムでイケメンである。
どうしてああなった。
ミルキ兄よ···。
「あーぅ!にっ!にっ!」
首も座り、お座り出来るようになった私は、ベビーベッドの柵の隙間から腕をのばしてミルキのシャツを掴む事に成功した。
「···なぁ爺ちゃん、今こいつ、···オレの事″にいに″って呼んだ?」
あざとい視線でミルキを見上げる私、策士である。
ミルキは満更でも無さそうにこちらを見ている。
「んな訳なかろう。ワシじってまだじいじと呼ばれとらん。いつになったら喋ってくれるのかのぅ?」
「いや、今確かにオレの事″にいに″って呼んだぞ!」
興奮気味にはしゃぐミルキ。
「なぁ?」と伸ばされたミルキの手の人差し指をぎゅっと握ってみた。
「······」
その複雑な顔はどんな表情なの?
まぁ、ヒソカみたいな反応されたら怖くてガチ泣きする自信もあるけれど。
「ほーれ、ミラクル可愛いじゃろう」
さも自分が産んだかのように言うジイジは、もはや私達に悩殺されているらしい。
「···あれ、2人とも何してるの?」
「あ、兄貴お帰り」
ミルキの手をニギニギしていると、足音も無く現れたのはイルミだった。
相変わらず読めない表情を貼り付けて、ベビーベッドへ近づいたイルミは、ミルキの手を握る私の手をジッと見つめている。
隣ではキルアがキョトンとした目でイルミを見つめている。
そのうち、イルミからはどす黒い渦巻く感情が鋭いオーラになり、私達を包んだ途端に、キルアが「ぎゃあああ」と泣き出した。
「これこれイルミ、気持ちは分からんでもないが収めんか。教育に悪いぞい」
手馴れた手つきでキルアを抱っこするのが板についているジイジ、さすがです。
「あ、ごめんごめん。ミルキのアレ見たらちょっとイラッとしちゃった」
イラッとしただけでオーラ飛ばすのマジでやめて欲しい。
イルミはミルキの指を握る私の手を指さした。
「しかしのぉ···ルキアは鈍感なのかの?不思議そうにお前(イルミ)を見ておる。将来大物になりそうじゃ」
「ルキア、···」
伸ばされたイルミの手は、殺し屋とは言えないほど綺麗な指先をしていた。
え、これってイルミの手も握らなきゃいけない感じか。
自分で巻いた種と言えども、ここは大人しくイルミの指を握った方が良さそうだ。
今後の為にも。
「···にー!···に、···」
「·····」
きゅっと握ったイルミの手は冷たかった。
フリーズした兄。
あれ?違ったかな?
どうしたら良かった?イルミ兄が動かない。
「·····今、···オレの事″にいに″って呼ばなかった?」
「···イルミ、お前もか」
こうして、日常が繰り返されるのである。
「ワシはいつジイジと呼ばれるんかのぉ···」
哀愁漂うジイジに申し訳なさを覚えながら、私は母の事を近々「ママ」とよんだのである。
途端に悲鳴が家中に響いたのは言わずもがな。