Mirror Rider Stratos【完結】   作:無限正義頑駄無

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第8話 サバイブ

シャインナーガこと光莉の学校生活が始まってから更に時は流れ、俺たちは中学生だ。

その間にあったことで最も印象深かったのは「将来の夢」をテーマに行われた総合の授業だ。

光莉のやつ真剣な表情で

 

「わたしは一夏くんのお嫁さんになりたいです」

 

って言ったんだぜ?

かく言う俺も

 

「光莉や家族を守れる男になりたいです」

 

と宣言したから人のことは言えないけどさ。

当然ながらクラスは騒然となった。

光莉を狙っていた男子(特に弾と数馬)からは呪詛の篭った視線を向けられた。

そして光莉には俺に片想いしていたらしい女子の羨望の眼差しが集まっていた。

女子たちの好意はなんとなく気付いていたけど、俺は光莉一筋だからな……。

 

学校以外のことと言えば、タイムベントで過去に戻りつつミラーワールドを通して世界の色々なところに出向いたりした。

ISが普及して変化した世界を自分の目で見るためだ。

 

ISは最高の性能を誇るパワードスーツにして、最大の欠陥があった。

それは『女性にしか動かせない』というものだ。

ISは何故か俺以外の男性に反応しない。

開発者の束お姉ちゃんにもわからないらしく、原因を探している最中だとか。

ISが女性にしか動かせない以上、ISを運用するには女手が必要になる。

だが、大抵の女性はパワードスーツを扱うことに抵抗を感じた。

そしてISの保有国はそんな女性たちの首を縦に振らせるために『女性優遇制度』を設けた。

それ以降は『ISを動かせる=偉い』と理解に苦しむ理屈のもと『女尊男卑』の風潮になっていった。

龍騎士(ドラグナー)の操縦者が男性だということは公開されているが、証拠が無いため大多数の女性が付け上がっている。

最近では失業したり無実の罪で投獄される男性が後を絶たない。

 

束お姉ちゃんは自分が開発したISでこうなってしまったことにひどく心を痛めていた。

だけど束お姉ちゃんは『ISコアを作れる世界で唯一の人物』である以上、周囲への影響を考えるとおいそれと動けない。

だから龍騎士(ドラグナー)である俺が秘密裏に世界各地の女尊男卑主義の企業や団体を潰しているのだ。

俺は束お姉ちゃんの味方でいると約束したからな。

ちなみにどんな方法でやっているのかって?

光莉の部下のモンスターたちのご飯になってもらいましたよ。

もしくはミラーワールドに引き摺り込んで放置プレイのもと消滅させるかだな。

消えてゆく者たちの絶望に満ちた表情を見る度に複雑な気分になるが、相手がやってきた事を考えると足りないくらいだと思う。

 

その過程で、出向いた国内で人助けもやったりしたな。

イギリスでは列車事故が起きた際に乗客の救助をした。

フランスではミラーモンスターの集団から金髪の母娘を助けた。

ドイツでは『廃棄処分』にされそうになった試験管ベビーを間一髪で確保した。

うん、ドイツは腐っているな。

さすが元ナチス。

確保した女の子は『クロエ・クロニクル』と名付けられ、束お姉ちゃんと一緒に生活している。

イギリスにおいてはテレビカメラに映ってしまったが、『大勢の人間の命を救った』として不法入国などで指名手配なんてことにはならなかった。

最近では日本で誘拐された水色髪の姉妹を奪還して家に送り届けたりもしたな。

行きと帰りの道中はクリアーベントを使ったため、無関係な人には一切見られていない。

しかし水色髪の人なんて居たんだな。

しかも日本人だぜ?

 

そして現在。

場所はアメリカのミラーワールド。

俺は仮面ライダーインペラーと対峙していた。

変身しているのはアメリカの女性権利団体のリーダーの女だ。

気に食わない男が居たら片っ端から契約しているガゼールたちの餌にしていたようだ。

IS操縦者も抱えていたが、光莉の部下がミラーワールドに引き込んだため消滅し無人のフランスIS『ラファール』が近くに転がっている。

 

「まさか龍騎士(ドラグナー)がライダーだとはね。でもアンタも複数のモンスターを飼っているなら大なり小なり人間を食べさせているんでしょう?だったらあたしの邪魔をしないでくれる?」

「…………」

 

それに対して俺は返す言葉が無い。

俺はミラーモンスターたちに人間を襲わせなくても十分養うことが可能だが、ミラーモンスターやミラーワールドを利用して殺した人間の数は3桁を上回る。

 

『わたし/俺たちのマスターをお前/貴様のような醜女(しこめ)と一緒にするな!』

 

俺の後ろに控えているミラーモンスターたちの中で、言語が話せる者全員が反論してくれた。

こんなに慕って貰えるなんて、俺幸せだわ。

 

「ミラーモンスター如きが喋るな、気持ち悪い!」

 

インペラーの中の人は辟易としているようだ。

恐らく今の俺と真逆の心境だろう。

 

『ADVENT!!』

「さあお行き、お前たち!今日はご馳走だよ!」

『グルアァァァァァッ!』

 

ギガゼール・メガゼール・ネガゼール・オメガゼール・マガゼールの群れが現れてこちらへ大挙して向かって来た。

 

「マスター、わたしたちに御命令を」

「インペラーは俺がこの手で始末する。あとのモンスターは頼む」

「わかりました。聞きましたね、皆さん!わたしたちの役目は敵ライダーへの道を開けることです。良いですね?」

了解(ラジャー)!!』

 

光莉の号令のもと、こちらのミラーモンスターたちがガゼールの群れを迎撃する。

乱戦の中を妨害も無く歩き、俺はインペラーに辿り着くと同時にとあるカードをデッキから抜き放つ。

その瞬間、俺の周りで風が巻き起こる。

 

「なっ何だそのカードは!?」

 

インペラーの問いには答えない。

彼女はすぐに答えを身を以って知ることになるからな。

左手に持っていたシャインバイザーが、ガラスが割れる音と共に剣が収まった剣盾型の召喚機・龍召剣シャインバイザーツバイに変化した。

そして2つあるカード挿入口の片方に右手のカードを装填する。

 

『『SURVIVE!!』』

 

エコーが掛かった音声が発せられると同時に俺の姿が変化する。

防御力が低かった龍騎士(ドラグナー)が金色の装甲に覆われる。

背部のウイングスラスター型の非固定武装(アンロック・ユニット)は4対8枚の翼に変化した。

これぞ、仮面ライダー龍騎士(ドラグナー)のサバイブ形態にして、第零世代IS『龍騎士(ドラグナー)』の二次移行(セカンド・シフト)形態である。

 

「さあ、お前の罪を数えろ!」

「ふざけるな、男の分際でISに乗っている屑があああああっ!」

『SPIN VENT!!』

 

インペラーは激昂してガゼルスタッブを片手に突っ込んで来るが俺にとっては欠伸が出そうなほど遅い。

俺はサバイブ形態になって追加されたカードを装填する。

 

『『FEATHER VENT!!』』

 

音声と同時に背中の4対8枚の羽根が翼から分離して、羽根の先端から放たれたビームがインペラーを襲う。

 

「ぎゃあっ!?」

「さっさと終わらせるか」

『『FINAL VENT!!』』

「呼びましたか、マスター?」

 

ファイナルベント発動と共に光莉がやって来る。

その姿はシャインナーガだった時と比べて鋭いフォルムとなっており、全体的に身体がゴツくなっている。

今の光莉は『天照(あまてらす)の龍・シャインヒュードラー』だ。

 

俺は宙に飛び上がると、手足を突き出して十字架のポーズを取る。

その俺を光莉(シャインヒュードラー)が身体を変形させながら包み込む。

変形が収まったあと、その姿は戦闘機のものになっていた。

これじゃあ仮面バイク乗り(ライダー)じゃなく仮面戦闘機乗り(ファイター)だな。

 

「「ドラゴンパニッシュメント!!」」

「ぎゃあああああっ!」

 

急降下でインペラーの身体を貫き、インペラーは爆散した。

ガゼールの群れたちはライダーが死んで統率が崩れて光莉の部下たちに一方的に捕食された。

 

「これにて一件落着」

「終わりましたね」

「ふむ、一足遅かったようだな」

 

俺と光莉が一息ついていると、オーディンが現れた。

 

「久しぶりだな、オーディン。『一足遅かった』ってのはどういうことだ?」

「私もインペラーを粛清するつもりで来たのだよ。彼女の蛮行は目に余るものだった」

「殺した人数なら俺の方が上だぞ?」

「理由に大きな差がある。インペラーは暴君のごとく気に入らない者を始末していたのに対し、君は世界を正すために己の手を血に染めている」

「俺はセーフなのね。ところであそこに転がっているインペラーのデッキはどうするんだ?」

 

俺はインペラーのデッキを指差す。

 

「所有者が死んだデッキは放っておけば消滅し、次の持ち主の前に現れることになる」

「あっそ。しかし頑丈なんだな。サバイブのファイナルベントをくらってまだ原型を保つなんて」

「カードデッキは契約と同時に所有者の命と深く結びつく。所有者が死なない限り、カードデッキは傷1つ付きはしない」

「へぇ〜そんなカラクリがあったんだな。じゃあ今ならあのデッキを壊せるのか?」

「可能だが止めてもらおうか。ライダーの人数を減らす訳にはいかないからな」

「はいはい。じゃあ先に帰らせて貰うぜ。光莉、みんな、行くぞ」

「わかりました。総員、これより帰還します!」

了解(ラジャー)!!』

 

まるで軍隊みたいな統率っぷりだな。

ラファールのコアを抜き取って帰路に着く。

さて、帰ったら身支度をしますかね。

ドイツで開催されるIS世界大会『第2回モンド・グロッソ』に出場する千冬お姉ちゃんの応援に行くためにな。




サバイブ形態のイメージ
遊戯王DMの合身竜ティマイオス。
そして全身を覆う金色の鎧はアカツキガンダムと同じヤタノカガミ装甲。
背中の非固定武装(アンロック・ユニット)はストライクフリーダムガンダムの翼を金色にしたものである。
フェザーベントはドラグーンを射出するためのカード。
全体的にゴツい見た目になったため鈍重そうに見えるが、翼に搭載されたヴォワチュール・リュミエールシステムのおかげでサバイブ前よりも高いスピードを出せる。
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