Mirror Rider Stratos【完結】 作:無限正義頑駄無
第2回モンド・グロッソ当日。
観客席で千冬お姉ちゃんの勇姿を見ていたら、誘拐された。
不自然じゃない形で鏡になるものを持ち歩くために、中学になってから使い始めた伊達眼鏡からミラーモンスターを呼べば良かったのだが、誘拐犯の仲間が他にも居る可能性を考慮して大人しく捕まって連れて行って貰うことにした。
そして今はとある廃ビルで柱に手を縛り付けられている。
薬で眠らされたフリをして
『千冬お姉ちゃん』
『どうした一夏』
『誘拐犯が現れた。その気になればミラーモンスターを呼べるから今のところは大人しく捕まることにするよ』
『誘拐だと⁉︎』
『千冬お姉ちゃん、こいつらの目的って何だと思う?』
『身代金……は考えにくいな。とするとモンド・グロッソにおけるわたしの試合放棄か?』
『もしくは俺が
『一夏……わかった』
千冬お姉ちゃんとの通信を終える。
『BLOODY MONDAY』で主人公が誘拐かれた妹の位置情報を追跡するために使った手段を拝借させて貰った。
誘拐犯たちの会話に聞き耳を立てる。
「首尾はどうだ?」
「日本政府には『織斑千冬へ 織斑一夏を助けたければ決勝戦を辞退しろ』という文書を送信済みだ。家族を大事にしているそうだからきっと辞退するだろう」
「おい、見ろ!織斑千冬が試合に出ているぞ!」
「何ぃ⁉︎」
誘拐犯たちがテレビに釘付けになる。
(今だ、かかれ)
(わかりました)
小声で伊達眼鏡越しに待機していたミラーモンスターたちを呼び出す。
「なっ何だこの化け物ども!?」
「た、助け……うわあああああっ!」
誘拐犯たちは全員ミラーワールドに連れて行かれ、俺は拘束を解いて貰った。
向こうで食われるか、放置プレイのもと消滅するか、それは彼等の気分次第だ。
点いたままのテレビで千冬お姉ちゃんの決勝戦を観戦する。
生で見れないのが残念だ。
千冬お姉ちゃんの勝利で終わった試合を見届け、テレビのスイッチを切ると同時に
念のためベルトからカードデッキを取り出し、Vバックルを装備する。
身を隠して待っていると、2人の女性が部屋に入って来た。
「織斑千冬が試合に出ているから変だと思って来てみれば、あのゴロツキ共1人も居ねぇじゃねぇか。どうなってやがる?」
「そうね……そこに隠れているボウヤに聞いてみましょうか?」
「何?」
…………。
どうやら片方の女性には俺の事がバレていたみたいだ。
誘拐犯の雇い主みたいだし、戦うしか無さそうだな。
(変身!!)
カードデッキをVバックルに装填して
「ISだと!?しかも男が……つまりテメェが
「なるほど……つまり織斑一夏が
「消えて貰ったよ。どんな方法でかはご想像にお任せする」
「殺したってのか?ハハハ、コイツは傑作だ!ブリュンヒルデの弟はただの餓鬼かと思ったらアタシらと同じ穴の
「同じ……ね。お姉さんたちも人殺しの経験があるのか?」
「あると言えばあるわね。さて、意外な情報が手に入った訳だけどどうしましょうか?」
「俺は戦おうがこのまま別れようがどっちでも良いけど?」
「そうね……。織斑千冬の試合放棄は失敗しているんだし、帰りましょうかオータム?」
「何言ってんだよスコール!
スコールさんは帰るに1票で、オータムさんは戦うに1票という訳ですか。
しかし……。
「スコールさん、オータムさんってもしかして……」
「えぇ。バトルジャンキーなのよ。だから大抵の場合はわたしがストッパーになっているんだけど……」
「苦労しているんですね」
「あ、わかってくれる?」
「なに意気投合してんだよ!」
オータムさんが叫んでいるが気にしない。
「じゃあやりましょうかオータムさん」
「おう、来いよ
「ではお言葉に甘えて」
『STRIKE VENT!!』
右手にナーガクローを装備して、龍騎のドラグクローファイヤーと同じ構えを取る。
「
ナーガクローから放たれたビームはオータムさんに回避されて後ろの壁を粉々にする。
「こんなところでビームぶっ放すだぁ?上等だ!これでもくらいな!」
装甲脚の砲門が開き、弾丸がばら撒かれる。
『GUARD VENT!!』
狭いところじゃ流石によけきれない。
シャインシールドを呼び出して受け止める。
狙いが逸れた弾は壁や天井を穴だらけにした。
たった1回の攻防で部屋はボロボロだ。
「こうも狭いと思うように戦えないな」
「そうだな。場所を変えるか」
「そういう訳にはいかないみたいよ?」
「どういうことだよスコール?」
「このビルをISが包囲しつつあるわ。恐らくドイツ軍ね。逃げるなら今のうちよ?」
「せっかく楽しめそうな相手に出会えたのに水を差しやがって……。おい
そう言ってスコールさんとオータムさんは去って行き、俺はドイツ軍に保護された。
ドイツ軍は俺とオータムさんの戦闘を補足していたらしく、俺が
千冬お姉ちゃんはドイツ軍に出来た借りを返すためと俺が
今俺が
それは非常に困ってしまう。
「ごめん千冬お姉ちゃん。自分でなんとかするって言ったのに尻拭いを千冬お姉ちゃんがすることになってしまって」
「一夏が無事ならわたしはそれで十分だ。それに一夏もわかっただろう?ISとミラーライダーの力があったところで何もかもが上手く行く訳ではないとな」
「あぁ。現在進行形でそれを味わっている最中だよ」
タイムベントを使うという手もあるが、自分のミスを無かったことにするなんて身勝手な使い方はしないと決めている。
「ねぇ千冬お姉ちゃん。ひとつ頼みがあるんだ」
「なんだ?」
「ドイツ軍と一緒に俺も鍛えて欲しいんだ。今回の件で俺は調子に乗ってたとわかった。1からやり直す必要があるんだ」
「学業はどうする?」
「この間模試の結果見せたでしょ?偏差値が高い藍越学園が
「そうか……わかった。だが条件がある。1ヶ月、それが向こうでお前の面倒を見る限度だ」
「それだけあれば十分だ」
以前宣言した『光莉や家族を守れる男になりたい』という言葉を実現するためなら、何だって耐えてやる!