Mirror Rider Stratos【完結】 作:無限正義頑駄無
「あああああっ!」
「何だ……?」
ボーデヴィッヒ隊長の悲鳴と共に、シュヴァルツェア・レーゲンが紫電を纏いながら泥のように変化してボーデヴィッヒ隊長を包み込んでいく。
呆然と見ることしか出来ないでいた俺の前でシュヴァルツェア・レーゲンだったものは変化をやめた。
その姿は……。
「千冬お姉ちゃん……?」
その姿は、暮桜を纏った千冬お姉ちゃんを模倣しているかのようだった。
右手には雪片のような近接ブレードが握られている。
この現象、もしかして……。
「なぁ千冬お姉ちゃん。ボーデヴィッヒ隊長のアレって……」
『過去のモンド・グロッソの
「おいおい……、確かIS条約で禁止されているもんじゃなかったっけ?」
『その通りだ。ラウラ本人の出生といい、ドイツめ……!やりたい放題だな……!』
『隊長!隊長ォォォォォッ!』
『落ち着いて下さい、ハルフォーフ副隊長!』
『ええい、HA☆NA☆SE!』
「『…………』」
千冬お姉ちゃんと同じ理由で俺の頭が怒りで沸騰しそうになったが、ハルフォーフ中尉の遣り取りを聞いて一気に冷めた。
恐らく千冬お姉ちゃんもだろう。
「とにかく、千冬お姉ちゃんをトレースしていると言っても所詮第一回モンド・グロッソのデータだろ?俺がこのまま相手するよ」
『わかった。ヴァルキリー・トレース・システムは操縦者への負担が大きい。なるべく早くボーデヴィッヒを救出しろ』
「了解」
千冬お姉ちゃんとの通信を終えて、偽物野郎の前に立つ。
「よっと」
雪片が振り下ろされるが、俺には読みやすかった。
コピー自体が完全なものでは無いのだろう。
だがこちらのシールドエネルギーが2割しか残っていない以上、油断は許されない。
『SWORD VENT!!』
ドラゴニュートサムライの持つ刀を模した『ドラゴソード』を呼び出す。
『RETURN VENT!!』
『ACCEL VENT!!』
リターンベントでアクセルベントを再使用して加速する。
「疾風斬!!」
すれ違い様に抜刀して偽物野郎を切り裂く。
それでシールドエネルギーが0になったのか、偽物野郎の形が崩れていく。
俺はボーデヴィッヒ隊長が落っこちる前にその小さな身体を抱えると、
☆
ボーデヴィッヒ隊長が目覚めるまでの間を利用して束お姉ちゃんに連絡を取る。
『もすもすひねもす〜。皆のアイドル束さんだよ〜』
「久しぶりだね、束お姉ちゃん。でもそこは俺だけのアイドルって言って欲しかったかな」
『ふぇっ⁉︎だだだ駄目だよ!気持ちは嬉しいけど、いっくんには光莉ちゃんが……』
「冗談だよ。それは置いといて、連絡をした理由はわかっているよね?」
『むぅ、いっくんのいけず〜。わかってるよ、
「あぁ、VTシステムについても色々と知りたいところだがまずは
『おっけ〜♪いっくんが帰国したらやるから今の内に準備を整えておくよ!』
「ありがとう、束お姉ちゃん」
『これくらいお安い御用さ!何よりいっくんの頼みだからね!じゃあ束さんはVTシステムなんて不細工な代物を作ったところを潰して来るから、今日はここでお別れね〜』
「わかった」
電話を切って医務室へ向かう。
中に入ると、ちょうどボーデヴィッヒ隊長が目覚めたところだった。
部屋には他に誰も居ない。
「気分はどうだ?」
「負けたというのに何処か清々しい。こんな気分は初めてだ」
「そうか」
「ガルルル」
ボーデヴィッヒ隊長を心配していたのか、白虎型モンスターのデストワイルダーがミラーワールドから出て来た。
「良い相棒を持ったな。気付かなかったかもしれないが、決闘の途中からアンタのことを見守っていたんだぞ?」
「何、そうなのか?」
「ガルル」
「そうか……お前にも心配かけたな……」
そう言ってボーデヴィッヒ隊長がデストワイルダーを撫でていると、今度は光莉がミラーワールドから出て来た。
「久しぶりですね、マスター。遊びに来ました♪」
「おいおい、学校はどうした?」
「時差の都合で日本は今は日が暮れています。問題ありません♪」
「そ、そうか……」
「マスター?そこの女はミラーモンスターなのか?」
「そうだ。紹介しよう、俺の最初の契約モンスターにして恋人の『シャインナーガ』。またの名を……」
「巽 光莉です。よろしくお願いします」
「まさか人間の姿をしたモンスターが居るとはな……」
「ガルル」
シャインナーガの名前を出した途端、デストワイルダーが片膝を突いて恭しく頭を垂れた。
「なっどうしたデストワイルダー⁉︎」
「シャインナーガはミラーワールドにおいてトップクラスのモンスターだ。デストワイルダーは光莉との実力差を理解したということだろう」
「驚いたな。誇り高い心を持つデストワイルダーが完全に毒気を抜かれている。これはいずれやる3回戦のライダーバトルもわたしの負けか?」
「おいおい、良いのかそれで?」
「構わん。約束通りわたしに何でも命令するが良い」
「じゃあ出会った時に言ったように食生活を改めさせて貰うぜ。
「前半はわかるが後半は何の意味がある?」
「他の隊員とコミュニケーションを取るためだよ。誰かに頼ることで得られる力だってある。ミラーモンスターと契約しているのなら心当たりがあるんじゃないか?」
「…………」
「じゃあ俺はこれで失礼するぜ、ボーデヴィッヒ隊長」
「待て」
光莉と一緒に退室しようとすると、ボーデヴィッヒ隊長に呼び止められた。
「何だ?」
「……ラウラだ。わたしのことは今後そう呼べ」
「じゃあ、俺のことは?」
「『お前』だ」
おいおい。
普通なら怒るところだが、初対面の際には『貴様』呼ばわりされていたからマシになった方か。
「好きにしろ」
そう言い残して、俺と光莉は今度こそ退室する。
光莉は俺とのドイツ軍施設内でのスニーキングデートを満喫して日本に帰って行った。
帰国後はちゃんとしたデートがしたいな……。
・疾風斬
ドラゴソードとアクセルベントを使った神速の抜刀術。
イメージは「るろうに剣心」の飛天御剣流「
仮面ライダーナイトの飛翔斬や疾風断とは関係無い。