Mirror Rider Stratos【完結】 作:無限正義頑駄無
甘いというよりは微シリアスです。
「マスター、今日一緒にお出掛けしませんか?」
学年別トーナメントが終わって最初の土曜日。
鏡の中から出て来た光莉がデート?に誘ってきた。
「ん?デートか?構わないが唐突だな?」
「そこは気にしないでください。それで、マスターが臨海学校で着る水着を買いに行きましょう」
「そういや去年までの水着は箪笥の中でいつの間にか虫に食われて穴が空いてたっけな……。よし、行くか!」
「はい!」
そう言って一旦ミラーワールドに戻った光莉を見届け、身だしなみを整えて外出届を提出する。
☆
IS学園行きモノレールがある町のとある時計塔の下。
俺は待ち合わせ場所に指定されたここで、光莉を待っていた。
「一夏くん!」
おっ、光莉がやって来た。
光莉の格好は、白を基調としたワンピースに、薄い青色の上着だ。
うん、光莉には清楚な服がよく似合うな。
「一夏くん、お待たせしました」
「気にするな。代わりに光莉の可愛い姿を見ることが出来たからな」
「……っ!も、もうっ!そこは『俺も今来たところだから』でしょう!?(嬉しくないかと聞かれたら凄く嬉しいですけど)」
「定番のセリフを言ったところで、光莉はつまらないだろう?」
「いえ、一夏くんが言ってくれるならとても嬉しいです」
「そうか。なら次からはそうしよう」
「そうしてください。さあ、早く行きましょう!」
照れている光莉をもっと堪能したかったが、光莉がそう言うのなら仕方が無い。
俺と光莉は、水着を買うためのショッピングモールへ足を運んだ。
「男性用の水着って本当に少ないですね……」
女尊男卑の影響か、水着売り場における男性用と女性用の商品の比率は1:9といったところだ。
その中から黒を基調としたトランクスタイプの水着を選ぶ。
「さて、次は光莉の水着を選ぶか」
「えっわたしのもですか?」
「この際ついでだ。それに、夏休みとかに光莉と2人で海に遊びに行くかもしれないからな」
「そう……ですね、わかりました。お願いします」
という訳で女性用の方に移動する。
「光莉はスタイルが良いからな……。ビキニタイプか?」
「あの……一夏くん。そんなストレートに褒められると、わたしもさすがに照れます」
「何言ってやがる。結婚したら毎日言うつもりだぞ、俺は」
「はうっ!?そうでした!」
今は6月下旬。
光莉の16歳の誕生日は8月中旬なので、結婚まで残り2ヶ月を切っている。
ちなみに、俺と光莉の結婚は日本政府とライダーの皆は知っている。
「え〜と、これなんかどうでしょう?」
いくつかの水着を吟味し、最終的に光莉が選んだのは白色のビキニだ。
やっぱ光莉に似合う色って、基本的に白だな。
ドラゴンの姿だと、金と銀だけど。
「さて、会計に行くか」
「はい」
そう言ってレジに向かう途中、ある女性に声を掛けられた。
「そこのアンタ、アレ片付けておいて」
そう言って女性が指差したのは、無造作にほっぽり出された衣服や水着。
女尊男卑主義者か……。
「断る。あんたが散らかしたんだろ?自分でやれよ」
「男のくせに歯向かうわけ?警備員呼ぶわよ?」
「ハァ?何、あんたそんなに偉いの?それとも女ってだけで威張ってる虎の威を借る狐か?」
「……っ!よっぽど警備員に突き出されたいようね……!」
「突き出されるのはお前だろ?」
「ふん。謝れば許してあげたのに。警備員!ちょっと来なさ「いい加減にしたらどうなんですか!」っ!?」
あ、光莉がキレた。
「さっきから聞いていれば自分の不始末を他人に押し付けようとして……!男や女など関係無く人間として恥ずかしくないんですか!?」
「なっ何よ、アンタ女のくせに男の味方するわけ!?」
「女が男の味方をしてはいけない決まりなどありません。そもそもあなたは何故男を見下すのですか?」
「そんなの当たり前のことじゃない!女はISに乗れるのよ?それなのに男は……」
「なら貴女はISを所持しているんですか?どこかの国や企業に所属して代表を務めているんですか?」
「そ、それは……」
「違うということはIS乗りでもないのに威張り散らしていたというのですか?ただ性別が女性だというだけで?」
「くっ……」
「女性にだってIS適性の無い者は居ます。貴女のような者の所為で、女性全体の品位が下がるのです!恥を知りなさい!!」
「ヒッ!?」
光莉の気迫に相手の女性が怯む。
光莉は言葉に殺気を乗せて、さらに言い放つ。
「命が惜しければそれを片付けてわたしたちの前から失せなさい!さあ、早く!!」
「はっ……はい!」
女性は散らかした衣服を持って元あった場所に大急ぎで戻しに行った。
パチパチパチパチ……。
周囲で一部始終を見ていたカップルや、女尊男卑に染まっていない女性から拍手が光莉に贈られる。
恋人として鼻が高いな。
しかし、ミラーモンスターが人間に倫理を説く日が来るとは……。
女尊男卑の風潮で世界は随分腐ってしまっているようだ。
「行きましょう、一夏くん」
「あぁ、そうだな」
会計を済ませて、衣服売り場から出る。
ショッピングモール内のレストランで昼食を摂り、デートを再開する。
ちょっとしたハプニングもあったが、充実した1日となった。
SIDE OUT
SIDE マドカ
凄いな、光莉さんは。
さすがはお兄ちゃんの恋人。
ミラーモンスターだとわかっていても、尊敬せずにはいれない。
わたしは今、お兄ちゃんと工藤と楯無さん以外のライダーの皆で臨海学校のための水着を買いに来ている。
まさかお兄ちゃんと光莉さんのデートとブッキングするとは予想外だったな……。
「ん、マドカか」
「千冬お姉ちゃ……織斑先生?」
千冬お姉ちゃんと出会った。
「今は教師ではなく1人の姉だ。敬称は要らん」
「千冬お姉ちゃんも水着を選びに?」
「そうだ。最初は一夏に選んで貰おうかと思ったが、あの2人の邪魔をする気になれなくてな」
それは納得。
時と場合によるけど、あの2人の邪魔をすると誰であろうと高い代償を支払うことになるだろう。
「それで、候補はどんな水着?」
「この2つだ」
そう言って千冬お姉ちゃんが出したのは、白のビキニと黒のビキニ。
「選択肢ってこれだけ?」
「そうだ。いいから選べ」
千冬お姉ちゃんはスタイルが良い。
わたしや光莉さんよりも。
千冬お姉ちゃんに合うサイズの水着は少ないのだろう。
う〜ん……。
千冬お姉ちゃんに似合うとしたら黒かな?
髪の色と同じだし。
でも悪い虫とかつきそうだな……。
「じゃあ、白で」
「そうか。では黒にしよう」
「へ?」
「お前の視線は最初に黒に向かっていたぞ」
ば、バレてる……。
「心配しなくても悪い虫がわたしに近寄れる訳が無いだろう?男を見る目くらい十分養っているさ」
そう言って千冬お姉ちゃんは、白のビキニを戻して黒のビキニを片手にレジへ向かった。
……っと、わたしも自分の水着を選ばなければ。
千冬お姉ちゃんが大人の魅力を発する黒なら、わたしは光莉さんと同じ清楚な白だ!
待っててね、お兄ちゃん!