Mirror Rider Stratos【完結】   作:無限正義頑駄無

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タイトル通り、箒がやらかします。
閲覧注意なり。


第42話 暴挙

臨海学校2日目。

旅館の前にいくつものコンテナが搬送されて来た。

専用機持ちたち宛の装備だ。

 

セシリアには強襲機動用パッケージ『ストライク・ガンナー』が。

鈴には機能増幅パッケージ『崩山(ほうざん)』が。

ラウラには砲戦パッケージ『パンツァー・カノーニア』が。

簪には打鉄用パッケージの上位互換が。

マドカには俺のドラグーン・ユニットを模したブレード・ビット8基セットのパッケージが。

シャルには統合武器ストライカーパック、略称『IWSP』が届いた。

 

俺には無い。

龍騎士(ドラグナー)はISとしてほぼ完成型なのでパッケージは必要無いのだ。

それに新たなモンスターと契約すればそれだけで武装が増えるしな。

 

「全専用機持ちは武装を確認、インストール後に集合、他の生徒はこの場で訓練を続けるように!専用機持ちは一旦集まれ!」

 

千冬お姉ちゃんの指示で、俺・マドカ・鈴・セシリア・シャル・ラウラ・簪・篠ノ之が1箇所に集まる。

 

「織斑先生、篠ノ之さんは専用機持ちではないのでは?」

「そうだが、少し確認したいことがあってな。……織斑兄」

「了解」

 

セシリアに質問された千冬お姉ちゃんは俺に視線を向ける。

俺は龍騎士(ドラグナー)を起動して、1つの音声ファイルを開く。

 

『〜♪』

「呼ばれて飛び出てジャジャジヤジャーン!束さんだよ〜!」

 

『ゼルダの伝説』の謎解き音と同時に、束お姉ちゃんが光莉とクロエを引き連れて現れる。

なんで束お姉ちゃんは自分を呼ぶ時にこの音を流すように言ったんだろう?

 

「え……束って、まさか……」

「そうだよ〜、わたしこそがISの生みの親『篠ノ之 束』なのさ!」

「「「「「えぇっ!?」」」」」

 

鈴・セシリア・ラウラ・シャル・簪の驚愕の声が重なる。

周囲に居る一般生徒も驚いているようだ。

 

「ほらほら、くーちゃんと光莉ちゃんもご挨拶」

「束様の助手を務めているクロエ・クロニクルです」

 

そう言ってクロエは、ラウラと目を合わせる。

2人揃っているところを見ると、ほんと瓜2つだな。

生い立ちを考えると当たり前だけど……。

 

「束さんの助手兼一夏くんの婚約者の巽 光莉です」

『ウゾダドンドコドーン!』

 

光莉の素性を聞いた一般生徒たちの何人かが、オンドゥル語を叫びながらorz状態になる。

もしかして俺を狙っていたりしたのか?

 

「……が……を……」

「どうしました、篠ノ之 箒さん?」

「貴様が一夏を(たぶら)かしたのかぁぁぁぁぁ!」

 

篠ノ之はどこからともなく日本刀を取り出し、光莉に切りかかる。

何やってんだアイツ!?

光莉を殺す気か!?

光莉は『自分でなんとかします』と目で語っているので、俺は静観することにした。

 

ザシュッ。

 

身体を斜めに切りつけられた光莉は、鮮血を噴き出しながら仰向けに倒れる。

 

「ハハッ、ハハハハハハハッ!『わたしの一夏』に手を出した報いだ、思い知ったか!」

「…………そうか、お前は人を殺して笑うような奴なんだな」

『FINAL VENT!!』

 

哄笑を上げる篠ノ之にもう手加減する必要は無いと判断した俺は白鳥のエムブレムが描かれたカードを、部分展開したシャインバイザーに装填する。

 

「ピィ!」

 

巨大化したブランウイングが篠ノ之を俺の居る方向に吹き飛ばす。

俺はファイナルベントの発動と同時に自動召喚された、ブランウイングの羽の骨格を模した薙刀『ウイングスラッシャー』を振るう。

 

「ハァッ!」

ドゴッ!

「がはっ……」

 

峰打ちだったため身体は真っ二つにならなかったが、肋骨は何本か折れているだろうな。

俺は篠ノ之を一瞥すると、光莉に駆け寄る。

 

「光莉、大丈夫か?」

「えぇ……辛うじて、ですけど……」

 

言葉とは裏腹に、光莉は無理のない微笑みをつくる。

見た目ほどの重症じゃないということか。

でも手当てはしないとな。

 

「織斑先生、学園から持って来た医療設備で光莉の手当ては出来ますか?」

「可能だ。早く医務室へ連れて行ってやれ」

「了解」

 

俺は光莉を抱きかかえると、医務室に向かって走る。

医務室に着き、光莉の手当てを終えた俺はひとまず安堵の息を()く。

 

「光莉、どうしてわざと切られたんだ?」

「わたしはミラーモンスターですよ、マスター。あの程度の傷も出血も、大したことはありません。ならばあの状況で篠ノ之箒には殺人未遂(できるだけ重い罪)を犯してもらうべきです」

「そうだけどさ……。光莉が傷つくのも俺は嫌なんだぜ?俺が光莉を庇って傷ついた方が効果的だったんじゃないか?」

「そうですけど、人間の身体では当たりどころによっては即死しますよ?わざと切られるならISの緊急展開と生命維持の機能をカットしなければなりませんし、リスクが高すぎます」

 

はぁ……。

光莉に論破されてしまった。

 

「それで……光莉。その傷はどれくらいで癒える?」

「傷痕が残らないようにするなら、あと3時間ほどでしょうか」

「早いなオイ」

「だから言ったではありませんか、『大したことはありません』と」

 

SIDE OUT

 

SIDE 鋼夜

 

一夏が箒に切られた巽さんを抱きかかえて、この場から去って行く。

あまりの状況に、悲鳴を上げる生徒すら居ない。

俺は『ミスティースラッシュ』の峰打ちを受けた箒に視線を向ける。

 

「ぐっ……。何故だ、一夏……。わたしはお前のために……」

 

この期に及んでまだそんなことを言っているのか。

『一夏のため』じゃなく『自分の独り善がりのため』の間違いだろ。

 

「箒ちゃん……、どうして光莉ちゃんを殺そうとしたの?」

「一夏の隣に立つためです、姉さん。わたしに専用機を……」

「人殺しに渡す専用機は無いよ、箒ちゃん」

「なっ……何故です姉さん!」

「わたしのISは人殺しの道具じゃないよ。今の箒ちゃんは専用機を光莉ちゃんを殺すためにしか使わないでしょ?」

「そんなこと……(ドスッ)」

 

箒の抗議は途中で遮られる。

ブランウイングが翼によるチョップを箒の後頭部に打ちつけ、箒を気絶させたのだ。

箒はそのままブランウイングによって何処かへ運ばれていく。

その光景を見ながら俺は、入学したばかりの頃に一夏に言われたことを思い出す。

 

『俺が原作の織斑一夏と違う行動をしている時点で周囲の人物は原作とは別人だ。お前が好きな「篠ノ之箒」とこの世界の「篠ノ之箒」は違う存在だと割り切って普通の恋愛をした方が良いんじゃないか?』

 

お前の言う通りだよ、一夏……。

ファース党な俺だが、こんな箒……いやモッピーは好きになれないわ。

 

「そこのきみ」

「俺ですか?」

「そう、わたしはきみに用があるのだよ工藤鋼夜君」

 

なんか束さんに声を掛けられた。

男性IS操縦者だからか?

 

「男性IS操縦者としてのデータを取らせて欲しいんだ」

「え!?えっと、それは……」

「工藤、わたしからも頼む」

「織斑先生!?」

 

迷っていると、織斑先生に頭を下げられた。

 

「束は本気でISによって歪んだ世界を正そうとしている。それに手を貸して欲しい」

「織斑先生……。わかりました」

「うん、ありがとう『こーくん』。じゃあこのISコアに触ってくれないかな?」

 

そう言って、束さんはノートパソコンとコードで繋がっているISコアを差し出してきた。

そのコアに手を添える。

 

「……ふむ、女性はもちろんいっくんとも異なるデータだね。これはもしかしたら他の男でもISを動かせるようになるかも」

 

マジですか。

それなら女尊男卑も近い内に終わったりするのか?

 

織斑先生の方を見ると、山田先生と手による信号で話をしていた。

やっぱ福音が来たのか……。

 

「工藤、ちょっと良いか」

「なんですか、織斑先生?」

(ライダーのお前は、空中戦が出来るか?)

 

耳打ちで聞かれる。

専用機持ちじゃなくても、ライダーだから戦力に含まれるということか?

しかし空中戦か……。

エビルダイバーに乗れば可能だな。

 

(一応、空を飛べるモンスターと契約しています)

(そうか。ならば専用機持ちたちと一緒に来てもらう)

(一夏はどうするのですか?)

(アイツにとって最優先事項は光莉だ。光莉の容態が安定するまでは、何が起ころうと梃子(てこ)でも動かんだろう)

 

つまり、もし一夏が不参加になったらモッピーが間接的にその原因を作ったことになるのか。

ミラーモンスターがどれほどの生命力を有しているかは知らないが、一夏が安心する程度には回復して欲しいものだ。

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