Mirror Rider Stratos【完結】 作:無限正義頑駄無
「全員、集まったな」
旅館のとある一室。
そこに俺・マドカ・千冬お姉ちゃん・鋼夜・鈴・セシリア・シャル・ラウラ・簪・山田先生が集まった。
光莉の看病をしている最中、緊急事態が発生したらしく専用機持ちとして招集が掛けられた。
光莉の傷が完治するまで側に居たかった俺だが、光莉の容態自体は既に安定しているので専用機持ちの責任を全うすることにした。
「今から約2時間前、アメリカ・イスラエルが共同開発した第3世代軍用IS『
「つまり、俺たちでその福音を日本に上陸する前に止めろ、と」
「そうだ。そしてこれは訓練や競技ではなく実戦だ。当然ながら命の危険が伴う。作戦への参加を拒否する者は退室しろ。止めはしないし、誰もその行為を責めたりはしない」
千冬お姉ちゃんがそう言うが、誰も退室しなかった。
「よかろう。ではこの8人による作戦を行う。質問があるものは挙手しろ」
「はい。目標ISの正確なスペックを要求します」
「わかった。だがこのデータはアメリカ・イスラエル2カ国の最重要機密事項だ。漏洩した場合は厳罰に処され、最低でも2年の監視がつくことになる。良いな」
そう前置きをして、千冬お姉ちゃんは福音のデータを俺たちに見せる。
「広域殲滅を目的とした特殊射撃型……。わたくしや一夏さん、マドカさんと同じオールレンジ攻撃を行えるようですわね」
「攻撃と機動の両方に特化した機体ね……厄介だわ。しかもスペック上ではあたしの
「この広域射撃と高機動スラスターを兼ねた翼『
「しかもこのデータでは格闘性能が未知数だ。持っているスキルも分からん」
「てゆーか軍用ISって、アラスカ条約ガン無視じゃん。国が揃いも揃って何考えてんだか……」
「確かにな。クラス代表トーナメントの時といい、アメリカめ……」
俺の言葉に千冬お姉ちゃんが同意し、溜息を
クラス代表トーナメントで襲撃して来た無人ISは、束お姉ちゃんが開発したものを
偶然だがその無人ISに使用されていたコアは、かつて俺と光莉が仮面ライダーインペラーを殺害した際に女性権利団体が保有していたISから回収したコアだった。
襲撃して来たISのコアがアメリカのものだったので、当然ながらアメリカにはテロ疑惑が掛けられた。
そしてアメリカはそれが強奪されたISのコアだと主張。
その言い分は認められたものの、今度はISコアの管理の不徹底について糾弾されることになった。
結果、『コアの管理も出来ない国に、返すものなど無い』ということで、コアは慰謝料代わりにIS学園に寄付された。
そのコアは今頃ラファールか打鉄に生まれ変わっているだろう。
「それで、福音をどう倒すか……」
「織斑兄、光莉の容態はどうなんだ?」
「命に別状はありません。ただ、約3時間は絶対安静です。この作戦には参加出来ません」
「……わかった。
「織斑先生、たとえ光莉が負傷していなくてもその作戦は不可能です。サバイブのファイナルベント『ドラゴンパニッシュメント』はISのシールドエネルギーの4000や5000、軽く消し飛ばす威力があります。福音の撃墜自体は可能ですが、操縦者やISコアは木っ端微塵になるでしょう」
「そんな馬鹿げた威力があるのか……」
千冬お姉ちゃんだけではなく、専用機持ちの皆や山田先生も呆れた表情になる。
ん?
山田先生?
「織斑先生、山田先生は俺や光莉の事情を知っているのですか?」
「あぁ、お前に招集を掛けている間に話しておいた」
「織斑くん。わたしは教師として、人としてあなたと巽さんのことを祝福しますよ」
「……ありがとうございます、山田先生」
理解者が増えるってのは……良いものだな、うん。
光莉との結婚式には絶対に招待しよう。
「それで福音ですが、普通に俺が相手するべきですかね?」
「そうだな。輝龍逆鱗で倒せるか?」
「
「無理だろうな。では輝龍逆鱗はファーストアタックで仕掛けるとして、失敗した場合……本命のプランを今から立てる。まずメインアタッカーは織斑兄だ。良いな」
「了解。ですが福音の居る場所までどうやって行くのですか?俺自身はエネルギーを全て戦闘に回したいのですが……」
「お前を現場まで運ぶ者を今から選出する。この中で最も高い機動力を有するのは誰だ?」
「わたくしです、織斑先生。それに、丁度本国から強襲型パッケージ『ストライク・ガンナー』が届いております」
「……なるほど。オルコット、高速戦闘の訓練時間は?」
「20時間です」
「問題無し、か。では織斑兄とオルコットの参加は確定として……」
「念のため運搬役のセシリアとは別に僚機を連れて行きたいですね。……ラウラ、確かお前に届いたパッケージは砲戦仕様だったな?」
「うむ。お兄様の言う通り、『パンツァー・カノーニア』はレールガン2門と物理シールド2枚を装備するパッケージだ」
「よし。ではラウラを連れて行きます。ラウラの運搬役はスペキュラムパックを装備したシャルで。現地に着いたらラウラにはサムブリットパックに換装したシャルと共に援護射撃をして欲しい」
「了解だ、お兄様」
「任せて、一夏」
「決まりだな。では、本作戦は織斑兄・オルコット・ボーデヴィッヒ・デュノアの4名で行う。オルコットとボーデヴィッヒは直ちにパッケージのインストールを開始しろ。1時間後に作戦を開始する」
『はい!』
☆
「一夏って、高速戦闘の経験あるの?」
「厳密に言えば無いが、アクセルベントを何度も使っているおかげで目と身体は速さに慣れているからな。問題無い」
作戦前の空き時間。
俺はシャルと話をしていた。
俺もシャルも、パッケージをインストールする必要は無いため暇なのだ。
この作戦のメインアタッカーは俺だし、シャルとはあまり連携訓練をやっていないのでIWSPの出番は無いだろう。
「いっくん」
「ん?束お姉ちゃん?どうしたの?」
「福音のことをさっき聞いたんだ。わたしもちょっとだけ手を貸すよ」
「どうするの?」
「あのセシリアって娘とラウラって娘のパッケージのインストール。わたしがやれば7〜8分で終わるよ」
「マジで!?普通は30分くらいかかるものなのに!?」
「そうだよ。だからいっくん、今の内に光莉ちゃんに『行ってきます』の挨拶を済ませて来たら?」
「……あぁ、そうする」
俺は束お姉ちゃんにそう言われて、再び医務室に足を運ぶ。
そこで光莉に事情を説明する。
機密に触れる内容も話してしまったが、光莉になら問題無い。
「……そうですか。ではマスター、どうかお気をつけて」
「あぁ。光莉、俺は必ずお前の元に帰って来る。待っていてくれ」
医務室のベッドの上。
俺と光莉の唇が重なった。
そして作戦が決定してから20分後。
セシリアとラウラのインストールが終わった。
浜辺で俺たち4人はISを展開し、俺はセシリアの、ラウラはシャルの機体の背中に乗る。
「では、現時刻より作戦を開始する」
「了解。織斑一夏、
「セシリア・オルコット、ブルー・ティアーズ参ります!」
「ラウラ・ボーデヴィッヒ、シュヴァルツェア・レーゲン出撃する!」
「シャルロット・デュノア、雷轟発進します!」
俺・セシリア・ラウラ・シャルの4人は、福音に向けて飛び立った。