Mirror Rider Stratos【完結】   作:無限正義頑駄無

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第55話 一夏と光莉の恋愛講座

SIDE 光莉

 

「どうしたんだ、5人とも?」

 

IS学園の屋上。

旦那様と2人で昼食を摂っていると、篠ノ之さん・セシリアさん・鈴さん・シャルロットさん・ラウラさんがやって来た。

 

「聞きたいんだけど、あんたたちって夫婦なのよね?」

「あぁ、そうだ。もしかして、恋愛相談か?」

「……そうよ」

 

旦那様の問いに鈴さんが頷き、他の4人も首肯する。

 

「なるほど……。貴女たちがこっちの世界の旦那様に好意を寄せているのは簪さんから聞きました。ですが、乙女心を一切理解出来ない唐変木だとも聞きましたよ。それでも彼のことが好きなのですか?」

「えぇ、そうよ」

 

他の4人も同じような返事をする。

 

「という訳で、まずは2人がどういう過程で付き合うようになったのか参考までに聞かせて欲しいんだ。…………駄目かな?」

 

シャルロットさんにそう頼まれて、わたしは少々困ってしまった。

カスタムバイザーで身体をデータ化出来ることは明かしたものの、わたしが人外……ミラーモンスターだということはこの世界の誰にも教えていない。

どう話したものか……。

 

「そうは言っても、あんまし参考にならないぞ?普通に光莉に『好き』だと言われてその気持ちに応えただけだからな。だがお前たちが惚れた一夏(唐変木)は、その『好き』をloveじゃなくlikeとしか受け取らないんだろう?」

「そうなのですわよね……」

「「「「ハァ……」」」」

 

セシリアさんを筆頭に、全員が溜息を吐く。

 

「とりあえず今までがどうだったのか、どんなアプローチをしてきたのかを教えてくれませんか?わたしと旦那様の視点からアドバイスが出来るかもしれませんし」

「よろしく頼む」

 

ラウラさんにそう言われて、わたしと旦那様はしばらく聞き手に回る。

そして皆さんから全てを聞いた訳ですが……。

 

「あ〜、こっちの世界の俺の鈍感が致命的なのはわかった。だが、それでもお前たちの側に全くの非が無いという訳でも無いぞ?場合によっては辛辣なコメントをするが、覚悟しておけよ?」

 

旦那様の前置きに、5人が緊張した面持ちになる。

 

「これは5人全員に言えることだが、ラッキースケベ等の制裁にIS……篠ノ之は日本刀や木刀もだが、それらを使う時点でアウトを通り越してチェンジだ。アラスカ条約云々以前の問題だぞ、それは」

「うっ……。でも、ついカッとなっちゃって……」

「ですが同じようなことを繰り返していけば、織斑さんはいつか死にますよ?そうなればアラスカ条約違反で専用機を没収、殺人罪による懲役刑、そして何より愛する者を自分の手で殺したという十字架を一生涯背負わなければなりません。それでも良いのですか?」

 

わたしがそう言った途端に、5人が青褪める。

専用機を持つくらいなのですから、これくらいの考えには至って欲しいのですが……。

え?

わたしと旦那様の関係はどうなのかって?

浮気されても許せますよ?

たとえそうなっても、旦那様がわたしを1番に愛してくれるという確信がありますからね。

 

「まぁラッキースケベを度々起こす織斑さんも大概ですが、すぐ暴力に訴えるのはいけません。そもそも、好きな異性に身体を見られたり触られたりして何が嫌なんですか?」

「しかし……は、恥ずかしいではないか!」

 

篠ノ之さんがそう言う。

元の世界でわたしを殺そうとした彼女ですが、目の前の『篠ノ之 箒』とは別人なのでわたしと旦那様は割り切って接している。

 

「その度が過ぎた羞恥心がマイナスだな。特に篠ノ之と鈴。篠ノ之は恋愛に武士道精神を持ち込んでしまっているし、鈴はここぞという時にヘタレになってしまう」

「べ、別にヘタレじゃないわよ!?」

「ですが酢豚の約束が味噌汁云々の約束と同じだと織斑さんが思い至った際に、それを否定しているじゃありませんか。それをヘタレと言わずして、何と言うのでしょうか?」

「…………(ガクッ)」

 

鈴さんがわたしの追撃でorz状態になってしまいました。

 

「セシリアとシャルは特にそういったものは無いから、すぐに手を出す癖さえ直せばかなり改善されるだろう。問題はラウラだ」

「わ、わたしがか?」

「そうですね。織斑さんへの好意を最もストレートに表現出来ていますが、織斑さんのことを『嫁』と呼称するなど、一般常識が欠けてしまっています」

「しかし、日本では気に入った相手を嫁にするのではないのか?」

「…………旦那様、ラウラさんにこんなことを教えたのって……」

「間違いなくハルフォーフ中尉だ。全くあの人は……」

 

話には聞いていましたが、オタク文化に毒された副隊長は異世界でも健在という訳ですか……。

旦那様は頭痛を抑えるようにこめかみを揉んでいる。

 

「『嫁』という表現は女性に対して使うものだ。お前は一夏に1人の女性として接して欲しいのだろう?なのにお前が一夏を女性扱いしてどうする」

「むぅ、確かに……」

「織斑さんとの夫婦関係を望むのでしたら、わたしのように『旦那様』と呼んだらどうですか?その方がよっぽど夫婦らしく見えますよ?」

「何、そうなのか?」

「少なくとも一般的な夫婦に、妻のことを『嫁』と呼称する夫は居ないぞ?」

「……そうか、わかった」

 

ラウラさんは納得してくれたようだ。

 

「とりあえずは暴力癖を直して、アプローチの仕方も1度見直すことだな。それでも駄目な場合は……その時まだ俺と光莉がこの世界に滞在していたらまた相談に乗るよ」

「うん。ありがとう、2人とも」

 

シャルロットさんにお礼を言われて、この話を締めくくる。

そろそろ昼休みが終わりそうなので、わたしはカスタムバイザーに入り、旦那様と女子5人は教室へ向かう。

織斑さんは今日は居ない。

特別外出扱いで、専用機の開発元に行っているらしい。

 

ブツッ。

 

突然、廊下の灯りが一斉に消えた。

廊下だけでなく、教室・電光掲示板に至るまで全てだ。

だが、現在の時刻は昼のため窓から入ってくる日光のおかげで真っ暗には……。

 

ガラガラガラガラ。

 

「防御シャッター!?なんで降りてんのよ!?」

 

窓ガラスを保護するように、防壁が閉じていく。

そして全ての防壁が閉じられ、校舎内は暗闇に包まれた。

 

「2秒経ったわ。ねぇ、シャルロット」

「うん、わかってる。緊急用の電源にも切り換わらないし、非常灯も点かない。おかしいよ」

 

旦那様と皆さんはそれぞれのISをローエネルギーモードで起動し、視界を暗視界モードに切り換える。

 

『専用機持ちと星村夫妻は全員地下のオペレーションルームへ集合。今からマップを転送する。防壁に遮られた場合、破壊を許可する』

 

千冬義姉さんの、静かだけれど強い声。

今、この学園に一体何が起こっているのでしょうか……?

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