Mirror Rider Stratos【完結】   作:無限正義頑駄無

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第66話 学園祭

「お帰りなさいませ、ご主人様!執事・メイド喫茶『AI☆ESU』へようこそ!」

 

9月の下旬。

今日はIS学園の学園祭だ。

俺たち1年1組は執事・メイド喫茶をやることになった。

最初に出た、俺や鋼夜とのポッキーゲームやらツイスターやらに比べたら遥かに健全な企画だ。

鋼夜はともかく、俺は既婚者だ。

そんなふしだらな真似が出来る筈がない。

しかもその配偶者(光莉)が同じクラスに居るのだ。

そんな案が通る道理などない。

そして行き詰まった状態で、メイド喫茶という意見を出したのがラウラだ。

そして衣装は、シャルがどこかから借りて来た。

最近似たような衣装を見たような…………気のせいか?

 

「旦那様、これは@クルーズの衣装では?」

「あぁ。それだ、思い出した」

 

平行世界でデートした際に立ち寄った喫茶店のウェイトレスの制服だよこれ。

この世界にも@クルーズがあるんだな。

シャルとラウラはそこへ行ったことがあるという訳か。

 

「へぇ〜、ここって執事・メイド喫茶なんだ?」

「あ、鈴さんですか。いらっしゃいませ」

 

ん?

次の客は鈴か。

鈴はチャイナドレスを着ている。

ということは……。

 

「2組はチャイナ喫茶ってことか?」

「そうよ。わたしは休憩時間だからお邪魔させてもらいに来たわよ」

「どうぞどうぞ。それで、ご注文は?」

「そうね……。じゃあ、チーズケーキと紅茶で」

「かしこまりました」

 

そして鈴の注文を済ませ、しばらくの間店内の客を捌いていると……。

 

「執事か。随分サマになってるじゃねぇか、一夏」

「オータムさん!?」

 

オータムさんが変装した状態で入店して来た。

IS学園の学園祭は、一部の例外を除いて生徒に1枚ずつ配布された招待券が無ければ参加出来ない。

ちなみに俺は弾に、光莉は中学の学友に招待券を渡している。

いったいどうやって入って来たんだ!?

 

「あ、オータムだ!」

「ようエム!いや、今はマドカか。招待券ありがとな!」

 

あ、マドカがオータムさんに招待券を渡した訳ね。

亡国機業(ファントム・タスク)に所属していたマドカに、学園外で親しい関係の人物といったらオータムさんとスコールさんくらいか。

マドカのやつ、テロリストに加担した罪で罰せられないか心配だ。

 

「一夏」

「なんですか?」

「後でお前に用事がある。休憩時間になったら連絡をしてくれ」

 

自身が注文したものを平らげたオータムさんは、俺にISの個人秘匿回線(プライベート・チャンネル)のアドレスを渡すと会計を済ませて店を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………あ〜、なんか悪ぃな」

「いえ、気にしないでください」

 

俺と光莉は、休憩時間にオータムさんと連絡を取って合流する。

オータムさんは、俺と光莉の2人きりの時間を潰してしまったことに引け目をいるようだが、申し訳なさを感じてくれているようなので、気にしないことにした。

そして3人で校内を回りながら話をする。

 

「オータムさんやスコールさんは、どうして亡国機業(ファントム・タスク)に入ったんですか?」

「アタシとスコールは、『女尊男卑を正して、男女平等の世界を作らないか?』って誘われて入ったんだよな。女尊男卑に染まった連中を見ると凄ぇムカつくからその話に乗ったって訳だ。でも、最近は亡国機業(ファントム・タスク)がアタシやスコールが思っていたものとは違う組織のように感じ始めたんだ」

「どういうことなんです?」

「段々とやることが過激になってきたんだよ。殺しの経験があるアタシが言えたことじゃねぇかもしれねぇけどよ、最初はそうでもなかったんだぜ?一夏を誘拐した時も、ゴロツキ共はお前に直接危害を加えなかっただろ?だが今は違う。篠ノ之束から強奪した無人ISにライダーのデッキを持たせての襲撃が実行された。銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)にクラックを仕掛けたのもウチの組織がやったことなんだ」

「なっ!?」

「マジかよ……」

 

薄々勘付いてはいたが、全体的に見れば結構なワルなんだな、亡国機業(ファントム・タスク)は。

オータムさんとスコールさんにしか会ってなかったら、時々忘れそうになる。

 

「それを俺たちに伝えて、どうするんです?」

「アタシとスコールは亡国機業(ファントム・タスク)を離反するつもりだ。それで、篠ノ之束が最近AMWって企業を設立しただろ?アタシとスコールをそこに匿って欲しいんだよ」

「なるほど。う〜ん…………」

 

しばし考え込む。

オータムさんの申し出は、こちらにとっても渡りに船だ。

亡国機業(ファントム・タスク)の情報を得られるし、オータムさんとスコールさんという人材も確保できる。

人手不足なAMWとしては良い事尽くめと言える。

問題は、オータムさんとスコールさんの『テロリスト』という肩書きか……。

束お姉ちゃんなら、どうにか出来るかもしれないな。

もし何らかの代価が必要なら、2人がAMWで働いて返せばいいし。

 

「わかりました。社長(束お姉ちゃん)には俺から伝えておきます」

「感謝するぜ、一夏。だが……」

「えぇ、まだやらなければならないことがありますね」

「旦那様、オータムさん、何ですかそれは?」

「アタシと一夏は、まだ決着がついてねぇんだよ」

「第2回モンド・グロッソの時は、バッドタイミングでシュヴァルツェ・ハーゼの人たちが来てしまいましたからね」

 

俺とオータムさんは、それぞれ男子トイレと女子トイレに入る。

そして洗面所の鏡の前でカードデッキを翳す。

 

「「変身!!」」

 

ライダーモードの龍騎士(ドラグナー)を身に纏い、ミラーワールドへと潜る。

一緒について来た光莉と共に、学園の中庭でオータムさんと落ち合う。

オータムさんは、やっぱり王蛇のカードデッキだった。

ただ、その身体の色は紫じゃなく黄色だ。

 

『ADVENT!!』

「シャアァァァッ!」

 

オータムさんが、契約モンスターを召喚する。

現れたのは、黄色いベノスネーカーだ。

ベノスネーカーの類型モンスターということか。

 

「あれは『パラスネーカー』というモンスターです、旦那様」

「パラスネーカー?」

 

ベノじゃなくてパラね……。

ベノスネーカーの『ベノ』が(Venom)を表しているのだとすれば、パラスネーカーの能力は……麻痺(Paralyse)か?

 

「正解だぜ、ミラーモンスターな奥さんよぉ。アンタはコイツの相手を頼むぜ。コイツもなかなかのバトルマニアだからな」

「…………いいでしょう。かかってきなさい、パラスネーカー」

「シャアァッ!」

 

ミラーモンスターとしての力の一部を解放して、光莉はシャインナーガの鱗と爪を身に纏う。

そしてそのままパラスネーカーとの戦闘を開始した。

 

「んじゃ、アタシたちも始めようぜ」

『SWORD VENT!!』

「そうですね」

『THRUST VENT!!』

 

オータムさんは、ベノサーベルと同じ形状の剣(名称は恐らくパラサーベル)を構える。

対する俺も、シャインランサーを召喚する。

 

「ハァッ!」

「おらっ!」

 

オータムさんの振り下ろしを、シャインランサーで受け止める。

女性なのにかなり重い一撃だった。

 

「今のは当たると思ったんだが、さすがは龍騎士(ドラグナー)だ!じゃあこれならどうだ!」

『NUMBNESS VENT!!』

 

オータムさんが知らないカードを使った瞬間、身体に電流が走り、身体の自由を奪っていく。

相手を麻痺させる特殊カードか!

だったらこっちは……。

 

『FREEZE VENT!!』

「ぐっ……そっちは凍結のカードか……。寒いったらありゃしねぇ!」

「これでおあいこだ」

「お互いこんなんでどうやって戦うんだよ!?」

「これはどっちが先にカードの効果が切れるかの勝負ですね」

 

 

 

〜しばらくお待ちください〜

 

 

 

「ハァ……ハァ……。やっと解けた……。ちくしょう、ミラーワールドでの制限時間をかなり消費しちまったぜ」

 

結果として、俺の麻痺とオータムさんの凍結はほぼ同時に効果が切れた。

 

「こうなったら一気に決めてやる!」

『FINAL VENT!!』

「来い、パラスネーカー!」

「シャアァァァ……」

 

パラスネーカーは、光莉の足下でぐったりとしており、オータムさんのファイナルベントに応えられないでいた。

どうやら光莉相手にかなりコテンパンにされたようだ。

 

「あらら……」

「…………」

「どうします?」

「制限時間のこともあるし、アタシの負けだな。あぁ〜あ、また思う存分戦うことが出来なかったぜ……」

「それを望むなら、なおさら表社会に戻らなければなりませんね」

「違いない」

 

戦闘を終えてミラーワールドから戻り、オータムさんから1枚のメモ用紙を受け取る。

 

「その紙には亡国機業(ファントム・タスク)の機密情報が書かれている。せいぜい役立てな」

「ありがとうございます、オータムさん」

「アタシ自身やスコールのためでもあるんだ。礼を言われる筋合いは無ぇよ。それより、奥さんが大変なことになってるぜ?」

「え?」

「旦那様ぁ……」

 

オータムさんの言葉に疑問符を浮かべていると、光莉が背中に抱きついてきた。

見ると、光莉の表情は蕩けきっていた。

一体何があったんだ!?

 

「パラスネーカーがそいつとの戦闘で使ったのは麻痺毒じゃない。媚薬(・・)だ」

「ハァ!?ちょっなんてものを!」

「あとは若いお2人でってことさ。今回の件でのアタシなりの詫びだよ。じゃあな一夏!」

 

オータムさんはそういい残し、全速力で去って行く。

 

「待てコラァ!オータムさん、アンタって人はぁーーーーーっ!」

 

俺の叫びが、無人の廊下に木霊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学園祭が終わったその日の夜。

盗聴防止が施された部屋に、俺・光莉・千冬お姉ちゃん・束お姉ちゃん・楯無さんの5人が集まっていた。

あの後、光莉の発情を鎮めることに奔走した以外には特にトラブルは起きなかった。

オータムさん以外の『外敵』は、全てミラーモンスターたちが『排除』してくれたからだ。

 

「3人とも、このメモ用紙を読んでください。俺と光莉は既に目を通してあるので」

「わかった」

「どれどれ……」

 

3人がメモ用紙の内容を見る。

その途中から3人とも表情を驚愕に染める。

 

「これに書かれているのは……事実か?」

「そう判断して良いでしょうね。オータムさんは、スコールさんと共にAMWへの亡命を望んでいます。ガセネタを掴ませる真似はしないでしょう」

 

オータムさんのメモに書かれていたこと。

それは…………。

 

亡国機業(ファントム・タスク)と女性権利団体の結託』

 

女尊男卑の風潮が過激になり始めた頃から、俺はタイムベントのカードを『ハリー・ポッター』の『逆転時計(タイム・ターナー)』と同じように使い、小・中学生としての日常を過ごしながら、光莉たち契約モンスターと共に世界各地の女性権利団体を壊滅させてきた。

だが、それでも根絶させるまでには至らなかった。

そして束お姉ちゃんが男でもISを動かせる技術を発表し、これまでしぶとく生き残っていた連中が自身の立場を危ぶんだ結果がこれだ。

 

各国で女性権利団体とコネのあるIS関連の企業。

女尊男卑に染まっている国家代表や代表候補生。

1国2国なら大したことはない。

だが、オータムさんのメモによると、俺と光莉が潰し損ねた女性権利団体のほとんどが亡国機業(ファントム・タスク)と結託するらしい。

亡国機業(ファントム・タスク)が自前で各国から強奪したISのことも考えると、世界で467+4機あるISの内、50〜150機があちらに揃うことになるだろう。

 

「それだけの数のISを集められたら……!」

「国の1つや2つ、僅か1日で焼け野原にできるね」

「篠ノ之博士、ISコアには強制停止信号とか無いんですか?」

「あるにはあるけど、コアネットワークを遮断されたらアウトだよ。今から強制停止信号を送って、どれだけのISを凍結できるか……」

「そこら辺は束お姉ちゃんに任せるとして、俺たちに出来ることは……」

「先方が仕掛けてくるとすれば、次にIS学園が開催するイベント中です。つまり……」

「ISによるレース競技『キャノンボール・ファスト』ということか。だが、あまりにも警備を厳重にするとあちらが仕掛けて来ない可能性もあるな」

「そうですね。この情報の公開は、専用機持ちおよびライダーのみに留めましょう。それ以外は漏洩の可能性がありますし、情報源であるオータムさんとスコールさんにも危険が及びます」

「そうだな。この続きは各人への伝達と束の作業が済んでからとしよう。今日はこれにて解散とする」

「「「了解」」」

 

俺・光莉・楯無さんは先に退室して、各々の部屋に戻った。

ちなみに光莉の個室は、俺とマドカの隣の1049号室(1人部屋)だ。

束お姉ちゃんの計らいだろうか……?




あれ?
原作5巻がたった2話で終わってしまった……。
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