Mirror Rider Stratos【完結】 作:無限正義頑駄無
襲撃事件におけるテロリストの撃退に成功し、時刻は夜だ。
あの後、俺たちは撃墜したISの回収と操縦していたテロリストの捕縛に奔走することになった。
もっとも、束お姉ちゃんの無人ISや襲撃直後に投降してきたオータムさんやスコールさんも手伝ってくれたので、それほどの重労働でもなかったのだが。
士さんはもう居ない。
『この世界でのやるべきことはもう済んだ』と言い残して去って行ってしまった。
お礼を言いたかったし、サインも欲しかったんだけどな……。
俺から話を聞いた簪も、本物のディケイドに会えず終いで非常に残念そうだった。
龍騎シリーズ以外の仮面ライダーは、この世界でも特撮ヒーローとして存在しているからな。
そして簪からは、オーディンの正体がIS学園の学園長だと教えられた。
学園の関係者だというのは薄々勘付いていたが、まさか学園長だとはな……。
生徒会長である楯無さんも、今日初めて知ったらしい。
楯無さんすら欺くとは、学園長は若い頃は何をやっていたのやら。
「一夏」
物思いに耽っていると、背後から篠ノ之が声をかけてきた。
「ん?何だ?」
「わたしはまだ刑期が残っているから、これから刑務所に戻る。服役中の間、
篠ノ之はそう言って、契約モンスターのカードを差し出してきた。
俺はそれを受け取る。
「わかった、任せろ。しかし……少し見ない間に、随分と雰囲気が変わったな」
臨海学校までの篠ノ之は、癇癪を起こして暴力を振るうというのを繰り返す、『猪武者』という表現がぴったりだったが、今では凛とした雰囲気を醸し出していて、正に『武人』と呼べるものとなっている。
「流石にわたしも目が覚めたよ。かなり時間がかかってしまったがな。光莉にもさっき謝罪をして来た」
「人は過ちから学び、進歩していく生き物だ。光莉がお前を許したなら、俺が特に何か言う必要は無い」
篠ノ之に関しては、これで水に流すこととしよう。
「では一夏、わたしはそろそろ行くとする。出所したらまた会おう」
「あぁ、待ってるぞ…………『箒』」
別れの挨拶をして、篠ノ之……いや箒が去って行く。
それを見送った俺は、戦後処理をしている千冬お姉ちゃんと束お姉ちゃんの元へと向かった。
そこで話した結果、女尊男卑はテロに繋がる危険な思想だと世界に広まるだろうという結論に至った。
いずれは各国で残存の女性権利団体の撲滅が始まるだろう。
それで女尊男卑の歴史は終わる。
100を越えるISを用いての襲撃事件を起こしたのだ。
思想・言論の自由という権利を掲げたところで、許されるものではない。
また、一緒に作業をしているスコールさんに聞いてみたところ、今回の件で
「お兄ちゃん!」
話を済ませて1人で歩いていると、マドカが平行世界のマドカを引き連れて現れた。
「元気そうでなによりだ、兄さん」
「そっちもな。どれくらいぶりだ?」
「兄さんと光莉が去ってから、わたしの世界の方では半年が過ぎたな」
「半年ねぇ……。その間のことを聞かせてくれないか?」
「わかった。まずは……」
そう言って、平行世界のマドカは自身の世界のことを語り始める。
黒騎士を手に入れたマドカは、一夏や暮桜を纏った千冬お姉ちゃん、その他専用機持ちの皆と戦い、圧勝したそうだ。
それでもなんだかんだで死人を出さずに和解したのだとか。
結局、ご都合主義には勝てなかったか……。
それで一夏はというと、マドカとの戦いの直後に箒たち5人の女性の好意に気付きはしたものの、誰か1人を選ぶという時点で行き詰まっているらしい。
「あいつらしいと言えばあいつらしいんだが……」
「見てて非常にやきもきさせられたものだ」
「となると、平行世界のお兄ちゃんはハーレムを作るのかな?」
「いや、無理だろ。5人とも所属する国がバラバラだし、一夏に女5人を養うだけの財力も無い。それ以前に重婚が合法化されている国自体が存在しないのだから」
「だからわたしや姉さんを含め、周囲の者は『1人を選べ』と言っているのだが、あいつは『誰も不幸にしたくない』と甘い考えを捨てきれず、煮え切らない状態が続いているんだ」
「それが半年間……」
ハァ、と3人揃って溜息を吐く。
平行世界のマドカは、あちらの世界の束お姉ちゃんが開発した
なかなか良いチョイスだと思う。
「それで……マドカ、お前はこの世界じゃあ何て名乗るつもりだ?ちなみに俺とこの世界のマドカは双子だから、お前は末っ娘となるが」
「そうだな……。ではハルカ、そう名乗ろう。わたしは今日から『織斑ハルカ』だ」
「あぁ、改めてよろしくなハルカ。後で束お姉ちゃんに戸籍を作ってもらおう」
2人のマドカ……いや、マドカとハルカとの話を終えた俺は、光莉と出会った。
箒との戦いで軽い火傷を負ったため右腕に包帯を巻いているが、臨海学校の刀傷と同じく、すぐに治るとのこと。
「これで、全て終わったのでしょうか……?」
「少なくとも女性権利団体が国家や企業に食い込んで、権力を振りかざすことはもうできはしないだろう。俺たちがそういった連中を闇に葬ることも、もうしなくて良いだろう」
「そうだと、いいですね……」
「…………」
「……旦那様」
「どうした光莉?」
「ん……」
光莉が目を閉じて、唇を突き出してきた。
そういや最近、光莉とイチャイチャしてなかったな……。
俺がそれに応えて、光莉と唇を重ねようとした瞬間……。
シュパッ。
「「ん?」」
何者かが俺たちの横を通り過ぎ、何かを掠め取って行った。
見ると、仮面ライダーディエンドこと
「この『お宝』はもらっていくよ」
そう言って、彼は去って行く。
一瞬思考停止してしまったが、すぐに追跡を開始する。
「おのれディエンド!よくも俺と光莉のいい感じな雰囲気を破壊してくれたな!」
「デッキ盗まれたことよりもそっちですか!?」
光莉のツッコミは無視しつつ、俺は夜の町を走り抜けた。
本編はこれで終わりです。
後はエピローグを書いて完結ですかね。
明日に投稿できるかはわかりませんが。