仮面ライダーパラレルワールドクロニクル 作:アウトレットホール
「ここか……『アイツ』がいる場所は」
アインズが忌々しそうに呟く。
見上げるとそこにはかつての仲間たちと作り上げた栄光_ナザリック地下大墳墓があった。
アインズ、カズマ、スバル、ターニャ、尚文たちの目の前にはナザリック地下大墳墓内部に続く階段があった。
パルテノン神殿のような外観で荘厳な装飾の柱たちまでもがアインズ達を出迎えるように立っていた。
(そう、ここには黒幕がいる。今回の事件、「異世界全て」をゲームに変えようとした狂人が……アルベドたちを消し去ったやつが……!!!)
かつてナザリックに攻め入ろうとした命知らずたちがいた。
アインズが仲間たちと共に作り上げた栄光に土足で立ち入ろうとした命知らずたちは全員命で償ったが、正当防衛とはいえ殺生を働く。それ以上にかつての仲間たちとの思い出を少なからず汚されてしまった罪悪感。
気分がいいものではなく、アインズの中では未だに思い出すだけでぶつけようのない怒りを覚えることがあった。
しかし、今回の事件はそんなものの比ではない。
(俺たちの思い出を……!! 仲間たちを奪ったアイツを絶対許さない……!!!)
アインズの身体からドス黒いオーラのようなものがにじみ出る。
後ろから様子を見ていたカズマが口を開いた。
「アインズ、平気か?」
カズマの言葉で冷静さを取り戻したらしく、黒いオーラが引っ込む。
危うく感情に振り回されるところだった。感情抑制魔法が働いてるとはいえ敵地の真ん中で軽率なことは控えようと肝に銘じる。
「大丈夫だ。カズマ、すまない」
「いいって。ここがアインズの世界で、このクソ立派な建物が住処なんだよな?」
「あぁ、そうだ。ナザリック地下大墳墓。私たちはそう呼んでいる」
階段を上がりながらスバルが口を開く。いつもより暗く感情のこもった声で。
「……あのオッサンが言ってたこと本当だと思うか?今朝ロズっち先生と見た気色わりぃ映像」
『このゲームをクリアすれば仲間たちは返してやる! 何とかしたければナザリック地下大墳墓の王座まで来てみろ!!
という不快な笑い声と黒幕のドアップ顔と共に映像が映し出されたパソコンの端末がシャットダウンされる_
それが今朝、スバルたちが見た不快な映像だった。
映像を見た後、突如としてグラウンドにワームホールが現れた。突入するか否か議論した結果、突入しアインズの世界に飛ばされ現在に至るということだ。
「信頼はできるはずだ。ああいった頭の狂った連中は自分の中で制定した
かつてなく目を見開いて親指の爪を噛むターニャに少し引く。
「そ、そうなのか。だったら早くクリアしてやろうぜ。エミリアたちを取り戻すためにも」
全員がある人物に対して憎悪と怒りを募らせる。
一方で一番後ろを歩いていた尚文は後悔に満ちた顔をしていた。
「フィーロ、ラフタリア、すまない。もっと俺が最初に気づいていれば…!」
「自分を責めすぎるなよ尚文。『みんな仲良く』って毎回言われてたんだから仕方ないんだ。それに取り戻せばいいだけの話だろ?」
「ぐっ・・・!!うっ…!!」
「こいつ、ラフタリアがいないとてんでダメだな…」
カズマが励ましても胸の前で手をギュッと握りしめて俯いている尚文を見て一人ごちる。
そう、油断していたのだ。この世界ではなく前にいた異世界。
学校があり、そこで学園生活を営むという何とも他愛ない世界があった。
しかし、そこでは絶対順守のルール『みんな仲良く』というものがあり、
学園で生活を共にするものは全員互いを傷つけることを許されず、カズマ達はそれに従っていた。
ある一人の男を除いて、それが今回の『異世界ゲーム化』事件を引き起こしたのだ。
「ロズワール先生たちは気づかなかったのだろうか?彼らの管理不行届のせいでこんなことになっているという想定は?」
ターニャが前を歩くアインズに疑問を投げかける。
「可能性は3つ考えられる。1つはターニャが言ったように気づかなかった可能性。しかし、これは一番あり得んだろう。奴が学校の世界に来てから『異世界ゲーム化』を企てて実行するまでの間に気づかれないよう行動する。先生だけでなく生徒たちも気にしながらできる芸当ではない。2つ目は協力者がいる可能性。奴の他にあの世界に来ている人物がいたのかもしれん。だが、これも先ほど言った通りの理由で難しいだろう。そして、3つ目、異世界に来る前に準備を予め終わらせていた可能性。これが今のところ有力かもな。そうすれば異世界での煩わしい準備を全てカットして事件を引き起こすことができる」
「3つ目の説が有力だとすれば一体どうやって…?奴が我々と同じ異世界人であることは間違いないにしても、ここまでの大惨事は常軌を逸している…!」
「確かにそうだ。普段なら皆を連れて王座の間まで一瞬で移動できるのだが_」
「あぁ、
この場にいる全員がそうだった。カズマ、スバルは完全に魔法を封じられており、尚文の盾も魔法の機能を完全に停止していた。
まるで最初からそんなものはなかったかのように_
アインズが神殿内部に入るとそこは薄暗く土煙が舞う空間、その空間の中央に人が数十人は入れるのではないかというほど巨大な棺が鎮座していた。
巨大な棺に手をかける。すると、軽い地ならしと共に棺が移動しナザリック地下大墳墓内部に侵入できる階段が現れた。
「いろいろ議論したいのは山々だが、此度の事情は黒幕から聞くとしよう。行くぞ。努々油断はするな」
「くっそ…!こんなのほとんど丸腰でアイツと戦えって言われてるもんじゃねぇか…!」
カズマが剣を構えて愚痴をこぼす。スバルも同じ気持ちで鉄パイプを構えた。
尚文、ターニャは神妙な面持ちで魔法が発動しない盾と魔法起動銃を携える。
かつてここまでの危機があっただろうか?
いざ敵の本拠地に突入するとなるとさっきまでの威勢も多少そがれるというもの。
「黒幕・・・いや、
アインズの目の奥が赤く光る。
場面は打って変わってナザリック地下大墳墓、玉座の間にて_
***
幻夢コーポレーション
広間の奥、王座の背面の壁に仰々しい文字が掲げられている。守護者たちが見たら憤慨どころでは済まないだろう。
主に守護者たちやプレアデスが闊歩するペルシャ絨毯の下には配線が敷かれており、接続先には無数のスーパーコンピュータ。
そして、スーパーコンピュータの下は白い丸テーブルの上にノートパソコンと傍にはトロピカルフルーツジュース、さらにはビーチパラソルとビーチベッドが設置され王座の間と不釣り合い極まりない光景が広がっていた。
檀黎斗はといえば王座の間で膝を抱えながら座り、見るものをドン引きさせる笑みを浮かべていた。手にはブラブラと謎の機械を揺らしながら_
壁に目をやる。なんと壁一面に「檀黎斗神Ⅱ」という張り紙がビッシリ。
「プレイヤーは揃ったようだな…ぁはぁ…!!!いよいよゲームスタートか…!!」
私はやはり自分の才能が恐ろしい。
たった一つ、他者のゲームを体験しただけでここまでのことが出来てしまうのだ。
ここまで来てしまえばもはや文字通り
この世界では何が生まれても不思議ではない。人間だけではなく動物、魔物、食物、次世代の人間ですら…!!
そして、全てのあらゆる事象を
そんな芸当が可能なのは神である私だけ_
いやダメだ!!!もはや私は檀黎斗神Ⅱですらない!!!
壁に駆け寄って張り紙をビリビリと片っ端から破き、床に残骸を散らかしていく。
そして、新たに一枚の張り紙。
「新檀黎斗宇宙神」
「ふふっ…!!ふへぇあははは!!ブウェーハッハッハッハッハッハァ!!!!!!」
なぜか上着を脱いで半裸になりながら、狂乱状態で上体を逸らしつつ広間中に響き渡る声で笑った。
「出てこい!バグスターども!!」
その声に応え、空間がジリジリと少し歪んだかと思うと優に1000体は超える気味の悪いオレンジ色の仮面を被った白タイツの群れが王座の間を埋め尽くした。
跳び箱をする要領で王座に飛び戻り檀黎斗は人差し指をピンと大衆に向け叫ぶ。
「バグスターどもぉ!!!これからここにプレイヤーがくる!!!中でも優秀なプレイヤーをここに連れてくるのだぁ!!!貴様らにやられるような雑魚プレイヤーはいらん!!!もし、連れてきたものには数多の世界を滅ぼせるほどの力を与えてやろう!!!!」
バグスターの群れが歓声をあげる。
手を大きく広げ天井を仰ぎながら続ける。
「そして、世界_いや、
ブウェーァハッハッハッハッハッハァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
どうしてこんなことになってしまったのか・・・。
それは彼がユグドラシルのNPCに転生してしまったことから始まってしまった_
次からはオバロ世界からどうやって成り上がったのか書いてくつもりです。