ランマル視点
目の前に現れた巨大な骨の化け物。
それはもう2度と会いたくないと思った、75層のボスモンスター、【スカルリーパー】だった。
???「くっ、なんとか撒いたと思ったのに……やるしかないか」
ここ、森の中だよ。なんでフロアボスがここにいるの!?
ランマル「そこの貴女!ここにはこんなモンスターが出るんですか!?」
???「あんたたちみたいなならず者と、話す気はないわ」
ランマル「ならず者?どういうことですか!?」
何か勘違いされてるのかな。それとも、僕何かした?
そう思った直後、彼女の頭上にスカルリーパーの鎌が下りてくる。
ランマル「危ない!」
僕は刀でそれを受け止める。
???「あっ、あんた……どうして」
ぐぐぐ……僕1人で受けとめられるってことは、こいつは前の個体よりパラメーターが弱く設定されてるタイプか。だけど……こいつは安易に逃がしてくれないみたいだ。
ランマル「そこの貴女!」
???「何よ」
ランマル「こいつからは簡単に逃げられません!なので、2人で戦いましょう!」
???「な、なんで私があんたなんかと」
ランマル「こいつの鎌は僕が抑えます。なので貴女は横から攻撃してください!」
???「なぜ私を庇うの?後ろから攻撃されるかもしれないのに」
ランマル「貴女に襲われる覚えなんてありません!それに……貴女は生き残りたいんですよね!?」
???「……そうだけど」
ランマル「それは僕も同じです。僕にはまだっ!やり残したことがたくさんあるんです!」
???「そう……なら、今だけ協力してあげる」
ランマル「ありがとうございます。では、行きましょう!」
彼女がモンスターのサイドに移る。僕は彼女が移動したのを確認すると、刀で鎌を弾いて後ろへバウンドする。
ランマル「こいつの鎌の隙間から攻撃してください!」
???「わかった」
彼女は鎌の隙間から、スカルリーパーの胴体を攻撃する。
あの子、俊敏性に重きを置いたステータスみたいだ。
僕は彼女が鎌で狙われた時に、刀で鎌を抑え込む。
それらを繰り返し続け40分……スカルリーパーはHPがゼロになり、光の粒子をばら撒きながら消滅した。
ランマル「はぁ……はぁ……ようやく倒せた……」
75層の時と同じステータスだったら、2人だけでは勝てなかっただろう。
僕は協力してくれた少女の前へと駆け寄る。
ランマル「ありがとうございます!助かりました」
激闘を終えた直後でも、彼女は一向に表情を変えない。まるで出会ったばかりの頃のルナさんみたいだ。
???「スカルリーパー……あんなモンスター、初めて見た」
ランマル「75層のボスモンスターによく似ていましたけど……」
???「フロアボスがなんでここに?」
ランマル「わかりません……わかっているのはステータスが少し弱体化してたぐらいです。75層のと同じステータスだったら、2人だけじゃ勝てなかったと思います」
さて、ボスモンスターは倒したけど……
ランマル「……ボスモンスターを倒したってことは……また僕たちは敵同士ですね……」
???「……」
ランマル「僕が何かしてたら、謝罪します」
???「……本当に、あいつらの仲間じゃないの?」
ランマル「さっきから思ってたんですけど、あいつらって誰ですか?」
???「どうやら、ホントみたいね。でも、見えてるんでしょ。私のカーソル」
僕は彼女のカーソルを確認する。それは……犯罪者プレイヤーを意味するオレンジ色だった。
ランマル「オレンジですね」
???「それを見て何とも思わない?なんで普通に話しかけられるの」
ランマル「気になってましたけど、それどころじゃなかったですし。聞いたら答えてくれますか?」
彼女は一呼吸、置いて言う。
???「……いいわ……私……人を殺したの」
殺人経験有り?こんな若い女の子が?まあ、この
???「そういうこと……だから、私に関わらないほうがいい。……それじゃ、さよなら。さっきは助けてくれてありがとう」
そう言い終えると、彼女は立ち去る。しかし僕は……。
ランマル「ちょっと待ってください!」
僕はオレンジプレイヤーが嫌いだ。しかし、彼女からはそこらへんのオレンジとは違う雰囲気を感じる。なんだか……本当は犯罪なんかしない心優しい子のような……だから呼び止めたのだ。
???「……何?関わらない方がいいって、言ったでしょ」
ランマル「わかってます……でも、ひとつだけ聞かせてください。」
???「何?」
ランマル「ここ、ホロウ・エリアって言うんですよね?ここはいったい何なんですか。SAOの中だということはわかっているのですが……」
???「わからない……私は少し前に、ここへ飛ばされたんだけど……生き残るのに精いっぱいで、ほとんど探索できてないから」
ランマル「そうなんですか……アイテムとかメッセージは使えますか?」
???「……使える」
ランマル「そうですか。良かったです……」
僕が
アナウンス「【ホロウ・エリア】データ、アクセス制限が解除されました」
な、何なんだ!?今のアナウンスは!
???「あ、あんた。それ……」
ランマル「はい?どうしたんですか?」
???「その手に浮かんでる
ランマル「はい?」
僕は両手を確認する。右手を見ると、そこには何やら槍?みたいな紋様が手のひらに浮かんでいた。
ランマル「え!?さっきまでは無かったのに……これって、さっきのアクセス制限が解除とかいう、アナウンスと関係あるんですか?」
???「あんた……いったい何者なの?」
ランマル「それはこっちのセリフです。さっきから訳がわからないことばかりです」
???「私も……よくは知らないけど……ねえ、その手よく見せてくれない?」
ランマル「え?わ、わかりました……」
僕は右手のひらを彼女に見せる。
???「やっぱり、同じ」
ランマル「同じ?」
???「これと同じ紋様がある場所を知ってる」
ランマル「そこへ行けば、何か手がかりが見つかるかもしれませんね」
???「……多分ね」
ランマル「あの〜……貴女がよければですけど……そこへ案内をお願いできますか?」
???「……別に構わない。でも、そんな簡単にオレンジを……いいえ、レッドを信じていいの?」
ランマル「確かにカーソルがオレンジなのは気になりますけど……でも、スカルリーパーとの戦いで共闘してくれたじゃないですか。貴女はそこまで悪い人ではないと思います」
???「それは、そうだけど……」
ランマル「本当のオレンジは、平気で後ろから攻撃してきたりしますから。それをしなかった貴女は信用できます」
SAOでは、共闘相手が裏切って後ろから攻撃してくることが稀にある。それをしなかったこの人は、案外根は良い人かもしれない。
おっと!そういえば名前言わなかったね。名乗らないと。
ランマル「申し遅れました。僕はランマルといいます」
???「……フィリア」
ランマル「フィリアさんですか。これからよろしくお願いします」
フィリア「ふふ」
え?何この子。笑うとすごい可愛いんだけど。
フィリア「どうしたの?」
ランマル「いいえ。何でもないです」
フィリア「そう……それにしてもあんた。よっぽどのお人好しか、よっぽどの馬鹿よね」
ランマル「う〜ん、一応人を見る目はあると思いますが……」
フィリア「それは光栄、と言うべきかしら。さ、案内するわ。行きましょう」
テーブルマウンテンの坂を下ったところにある森。
僕はフィリアさんに案内されてここへたどり着いた。
そういえばさっきから疑問に思っていたことがあったな。質問しよう。
ランマル「あの、フィリアさん」
フィリア「何?」
ランマル「フィリアさんってなんでここにいるんですか?やっぱり転送されたって感じですか?」
フィリア「……そうね、確かダンジョンを探索中に、突然光に包まれて、気がついたらここに飛ばされてたわ」
ランマル「僕も似たような感じで、ここに飛ばされました。まあ、僕は市街地からここにですけど……」
フィリア「ほとんど私と同じね……ただ、私と違うのは……その手に浮かんでる紋様」
ランマル「フィリアさんにはないんですね」
フィリア「ええ、というか、ここでそんな紋様があるプレイヤーなんて見たことがない」
ランマル「え?ここにはフィリアさん以外にも、プレイヤーがいるんですか?」
フィリア「……ええ、でも、少しおかしなところがあるというか……」
ランマル「おかしなところ?」
フィリア「説明が難しいの、実際に会って確かめた方がいい」
ランマル「そうですね。ところで、僕たちは今、どこに向かってるんですか?」
フィリア「ほら、あそこに見えるでしょ」
フィリアさんが指差した方を見ると、そこには金色の柱から突き出た5本の爪で支えられている青い球体があった。
ランマル「あの球体ですか……あそこって入れるんですか?」
フィリア「入れるかはわからない……でも……あんたがいれば入れる気がする。その紋様と同じものが描かれていたから」
ランマル「紋様が浮かんできたのは、スカルリーパーを倒したことがキッカケかと思われますけど……」
フィリア「でも、私には紋様が出なかった。もしかしたら、あんたの取っているスキルが関係があるんじゃない?」
ランマル「こんなことが起きるスキルなんて……思い浮かびません」
僕は少しウソをついた。僕には他の人にないスキル【暴走】がある。でも、他人には明かすのは恥ずかしいし、このエリアとは特に関係がないと思うんだけど。
そんなことを考えていると、またアナウンスが流れる。
アナウンス「規定の時間に達しました。これより、適性テストを開始します」
謎のテストの開始を告げ、アナウンスが終わる。
フィリア「い、いきなり何?」
フィリアさんが驚く。どうやらフィリアさんも聞いたことがないようだ。
ランマル「規定の時間!?適性テスト!?フィリアさん!これはいったい何ですか!?」
フィリア「私に聞かれても困る!」
ランマル「適性テスト……と言ってましたよね?」
フィリア「私にも……確かにそう聞こえた」
ランマル「なら……やるしかないですよね、なんて言いたいところですけど……僕にはこのエリアの情報がほとんど無いんです。」
フィリア「なら、どうするの?」
ランマル「フィリアさん、周辺エリアでいままで戦った敵モンスターのデータを全部くれませんか?それと、状態異常やトラップの傾向などを。」
フィリア「わかったから!一度にいろいろ聞かないで!わかんなくなるから」
ランマル「すいません」
少し道を進むと、そこには斧を持った牛型モンスターがいた。行く手を阻むそいつを2人で撃破すると。
アナウンス「クリアを確認しました。承認フェイズを終了します」
ん?承認フェイズ?
フィリア「また出た。このアナウンス」
僕は考える。承認フェイズ……適性テスト……これってもしかして。
フィリア「ねえ、どうしたの?」
ランマル「あ、すいません。少し考え事をしていて……」
フィリア「何を?」
ランマル「このエリアのことをです。テストとか、承認フェイズとか、気になる単語が出てきてて。」
フィリア「ふぅん、それで、何かわかった?」
ランマル「う〜ん、仮説はあるんですけど、まだ決め手に欠けていて……もう少し情報を集めたいです」
フィリア「そう」
ランマル「どうしたんですか?少し不満そうな顔してますよ」
フィリア「だって、私がずっと調べててもわからなかったのにさ、ここに来て数時間のあんたが謎を解いちゃったら……悔しいに決まってるでしょ」
ランマル「い、いえ……まだ解けてないんですけど……」
フィリア「あーあ、これじゃトレジャーハンターの名がすたるわ」
ランマル「トレジャーハンター?」
フィリア「まあ、自称だけど。SAOには職業ってないし」
トレジャーハンターか〜。面白そうだな。
フィリア「モンスターと戦ったり、クエストをクリアしたりするよりも……ダンジョンに潜ってお宝を見つける方が、私には向いてると思うから」
ランマル「そうなんですか」
フィリア「うん、それが……生き残るために重要なアイテムであること多いしね。だから、トレジャーハンターになることに決めたの」
ランマル「そうですか。でも……危険じゃないんですか?ソロでの戦いはただでさえ大変なのに」
フィリア「大丈夫よ。トラップ対策や索敵スキルはマスタークラスだから」
ランマル「おお、それはすごいですね!」
フィリア「特に得意なのは鍵開けスキル。私に開けられない宝箱はないね。どんな強いモンスターが守っている宝箱でも、隠蔽スキルで気付かれずに開ける自信があるわ」
ランマル「すごい!機会があったら見せてくれませんか?」
フィリア「まあ、いつまであんたと一緒にいるか分からないけど、その時が来たら期待していいわ」
ランマル「お願いします!」
フィリア「はいはい。さーてと、ちょっと順番が変わったけど、この先に例の転送装置があるわ。行きましょう」
ランマル「はい」
森の奥深くへたどり着くと、そこには浮遊している石柱があった。
フィリア「ほら、これよ」
ランマル「確かに、この紋様と同じものが刻まれている」
フィリア「ね?見間違いじゃないでしょ?ここが球体の入り口だと思う。ねえ、試してくれる?」
ランマル「わかりました」
僕は右手を、装置の紋様にかざす。
ランマル「これでいいんですか?」
フィリア「たぶん……ほら、紋様が光ってる……」
すると腕の紋様が再び輝き始める。
ランマル「当たったようですね。さすがトレジャーハンターです」
フィリア「……私も、球体の中に何があるのか知らないんだけど……きっと、この先にホロウエリアの秘密があると思う」
ランマル「そうですね。見るからに怪しいものですから」
フィリア「ねえ、私も……行っていい?」
ランマル「もちろんです。行きましょう」
フィリア「……うん」
僕たちの体は光に包まれる。ここに転送された時のように。
光が消えると、目の前にデジタルな風景が飛び込んできた。
空中に浮かぶディスプレイや、目の前にある操作コンソール。もしかするとここはSAOのデバックルームなのかな。
フィリア「ビンゴ!やっぱりそうだった」
ランマル「へえ〜、ここがあの球体の中ですか」
フィリア「おそらくね」
ランマル「今のところ、敵の姿はないようですけど」
フィリア「ねえ、ここって……【圏内】だね」
ランマル「言われてみれば……確かにここは【圏内】のようですけど……でも、そしたらガーディアンが侵入者である僕たちを攻撃しにくるんじゃ……」
フィリア「……来てないみたい」
ランマル「う〜ん、なんだかいつもと違いますね……」
フィリア「でも、これなら安心して調べられる」
ランマル「そうですね。では、手分けして探索しましょう」
フィリア「わかったわ」
さてと、とりあえず目の前にあるコンソールでも調べるか。
僕がコンソールに触れると、キーボード状になっている部分から光が周りに広がる。
なんだろう……何かのリストかな?
……実装……エレメント……?
どうやら、ここは管理区と呼ばれているようだけど……いったい何なんだ?訳がわからないよ。
ホロウエリアの管理区……という感じ?
僕が謎解きに苦戦していると、コンソールにシステムメッセージが表示された。
『アクセス権限者を確認しました。管理区への転移オブジェクトを解放します』
メッセージの下に現れた【転移石の開通】と表示されたボタンを押すと、転移オブジェクトの説明が始まった。
『マップのあちこちに【転移石】という特別なオブジェクトが存在します。
これらに一度でも触れると場所が記憶され、管理区と行き来が可能になります。見かけたら開通しておきましょう』
転移石って、さっき触れた石柱か。ホロウエリアでは転移石に触れれば、いつでも管理区に戻れるということね。
『ホロウエリアに転移オブジェクトが出現しました』
どうやらホロウエリアは思ったより広大みたいだ。まだまだ未開のフロアがあるってことみたいだね。
フィリア「ねえ!ちょっとこっちに来て!」
ランマル「どうしたんですか!」
フィリアさんに呼ばれて駆けつけると、そこにはおなじみの転移門があった。
ランマル「転移門……ここにもあったんだ……。」
フィリア「そうみたいね……ちょっと、見た目が違うけど」
ランマル「でも転移門には違いないみたいですね。良かったですね!フィリアさんもここから出られますよ!」
フィリア「……出られるか……よかったね」
ランマル「どうしました?あんまり嬉しそうじゃないようですけど」
フィリア「……そう見える?」
ランマル「はい。フィリアさんは一緒に行かないんですか?」
フィリア「一緒には行かない……から。あんたは帰りなよ。だから……ここでさよなら。あんたと一緒で、結構楽しかった」
ランマル「そうですか……わかりました。とりあえず僕は戻ります」
フィリア「……」
ランマル「僕、
フィリア「……わかった。でも、もし来ることがあったら、私にメッセージを頂戴。ここに来るようにするから」
ランマル「この
フィリア「へぇ……ここ管理区?っていうんだ。試してみたけど、一度開通したら通るだけはできるみたい」
ランマル「わかりました。また来る時は連絡します」
フィリア「……期待しないで待ってる」
ランマル「では、またお会いしましょう。モンスターとかには気をつけてくださいね」
言葉を言い終えると、僕の体は再び青い光に包まれた。
キャラ紹介
フィリア
CV 石川由依
トレジャーハンターを名乗る少女。クールな雰囲気だが、たまに見せる表情から根は明るい子なのかもしれない。 訳あってホロウエリアから出られないらしいが……
今後もFGOのサーヴァントを元ネタにしたキャラを登場させますが、このキャラを見たいというのはありますか?
-
エルキドゥ
-
徐福
-
バーヴァン・シー
-
メリュジーヌ
-
バーゲスト
-
長尾景虎
-
武田晴信
-
ノア
-
エリザベート・バートリー
-
花咲翁
-
宮本武蔵
-
アントニオ・サリエリ
-
マシュ・キリエライト