超A級小姓 アインクラッドを往く。   作:渚カエデ

24 / 26
ランマルが強制転移で送り込まれた世界……そこはホロウ・エリアと呼ばれる未知の世界だった。



第22話 ホロウ・エリア

ランマル視点

 

 

 

目の前に現れた巨大な骨の化け物。

それはもう2度と会いたくないと思った、75層のボスモンスター、【スカルリーパー】だった。

???「くっ、なんとか撒いたと思ったのに……やるしかないか」

ここ、森の中だよ。なんでフロアボスがここにいるの!?

ランマル「そこの貴女!ここにはこんなモンスターが出るんですか!?」

???「あんたたちみたいなならず者と、話す気はないわ」

ランマル「ならず者?どういうことですか!?」

何か勘違いされてるのかな。それとも、僕何かした?

そう思った直後、彼女の頭上にスカルリーパーの鎌が下りてくる。

ランマル「危ない!」

僕は刀でそれを受け止める。

???「あっ、あんた……どうして」

ぐぐぐ……僕1人で受けとめられるってことは、こいつは前の個体よりパラメーターが弱く設定されてるタイプか。だけど……こいつは安易に逃がしてくれないみたいだ。

ランマル「そこの貴女!」

???「何よ」

ランマル「こいつからは簡単に逃げられません!なので、2人で戦いましょう!」

???「な、なんで私があんたなんかと」

ランマル「こいつの鎌は僕が抑えます。なので貴女は横から攻撃してください!」

???「なぜ私を庇うの?後ろから攻撃されるかもしれないのに」

ランマル「貴女に襲われる覚えなんてありません!それに……貴女は生き残りたいんですよね!?」

???「……そうだけど」

ランマル「それは僕も同じです。僕にはまだっ!やり残したことがたくさんあるんです!」

???「そう……なら、今だけ協力してあげる」

ランマル「ありがとうございます。では、行きましょう!」

彼女がモンスターのサイドに移る。僕は彼女が移動したのを確認すると、刀で鎌を弾いて後ろへバウンドする。

ランマル「こいつの鎌の隙間から攻撃してください!」

???「わかった」

彼女は鎌の隙間から、スカルリーパーの胴体を攻撃する。

あの子、俊敏性に重きを置いたステータスみたいだ。

僕は彼女が鎌で狙われた時に、刀で鎌を抑え込む。

それらを繰り返し続け40分……スカルリーパーはHPがゼロになり、光の粒子をばら撒きながら消滅した。

 

 

 

ランマル「はぁ……はぁ……ようやく倒せた……」

75層の時と同じステータスだったら、2人だけでは勝てなかっただろう。

僕は協力してくれた少女の前へと駆け寄る。

ランマル「ありがとうございます!助かりました」

激闘を終えた直後でも、彼女は一向に表情を変えない。まるで出会ったばかりの頃のルナさんみたいだ。

???「スカルリーパー……あんなモンスター、初めて見た」

ランマル「75層のボスモンスターによく似ていましたけど……」

???「フロアボスがなんでここに?」

ランマル「わかりません……わかっているのはステータスが少し弱体化してたぐらいです。75層のと同じステータスだったら、2人だけじゃ勝てなかったと思います」

さて、ボスモンスターは倒したけど……

ランマル「……ボスモンスターを倒したってことは……また僕たちは敵同士ですね……」

???「……」

ランマル「僕が何かしてたら、謝罪します」

???「……本当に、あいつらの仲間じゃないの?」

ランマル「さっきから思ってたんですけど、あいつらって誰ですか?」

???「どうやら、ホントみたいね。でも、見えてるんでしょ。私のカーソル」

僕は彼女のカーソルを確認する。それは……犯罪者プレイヤーを意味するオレンジ色だった。

ランマル「オレンジですね」

???「それを見て何とも思わない?なんで普通に話しかけられるの」

ランマル「気になってましたけど、それどころじゃなかったですし。聞いたら答えてくれますか?」

彼女は一呼吸、置いて言う。

???「……いいわ……私……人を殺したの」

殺人経験有り?こんな若い女の子が?まあ、この世界(アインクラッド)ならありそうかもしれないけど……

???「そういうこと……だから、私に関わらないほうがいい。……それじゃ、さよなら。さっきは助けてくれてありがとう」

そう言い終えると、彼女は立ち去る。しかし僕は……。

ランマル「ちょっと待ってください!」

僕はオレンジプレイヤーが嫌いだ。しかし、彼女からはそこらへんのオレンジとは違う雰囲気を感じる。なんだか……本当は犯罪なんかしない心優しい子のような……だから呼び止めたのだ。

???「……何?関わらない方がいいって、言ったでしょ」

ランマル「わかってます……でも、ひとつだけ聞かせてください。」

???「何?」

ランマル「ここ、ホロウ・エリアって言うんですよね?ここはいったい何なんですか。SAOの中だということはわかっているのですが……」

???「わからない……私は少し前に、ここへ飛ばされたんだけど……生き残るのに精いっぱいで、ほとんど探索できてないから」

ランマル「そうなんですか……アイテムとかメッセージは使えますか?」

???「……使える」

ランマル「そうですか。良かったです……」

僕が安堵(あんど)した直後、頭上からアナウンスが流れた。

アナウンス「【ホロウ・エリア】データ、アクセス制限が解除されました」

な、何なんだ!?今のアナウンスは!

???「あ、あんた。それ……」

ランマル「はい?どうしたんですか?」

???「その手に浮かんでる紋様(もんよう)は……」

ランマル「はい?」

僕は両手を確認する。右手を見ると、そこには何やら槍?みたいな紋様が手のひらに浮かんでいた。

ランマル「え!?さっきまでは無かったのに……これって、さっきのアクセス制限が解除とかいう、アナウンスと関係あるんですか?」

???「あんた……いったい何者なの?」

ランマル「それはこっちのセリフです。さっきから訳がわからないことばかりです」

???「私も……よくは知らないけど……ねえ、その手よく見せてくれない?」

ランマル「え?わ、わかりました……」

僕は右手のひらを彼女に見せる。

???「やっぱり、同じ」

ランマル「同じ?」

???「これと同じ紋様がある場所を知ってる」

ランマル「そこへ行けば、何か手がかりが見つかるかもしれませんね」

???「……多分ね」

ランマル「あの〜……貴女がよければですけど……そこへ案内をお願いできますか?」

???「……別に構わない。でも、そんな簡単にオレンジを……いいえ、レッドを信じていいの?」

ランマル「確かにカーソルがオレンジなのは気になりますけど……でも、スカルリーパーとの戦いで共闘してくれたじゃないですか。貴女はそこまで悪い人ではないと思います」

???「それは、そうだけど……」

ランマル「本当のオレンジは、平気で後ろから攻撃してきたりしますから。それをしなかった貴女は信用できます」

SAOでは、共闘相手が裏切って後ろから攻撃してくることが稀にある。それをしなかったこの人は、案外根は良い人かもしれない。

おっと!そういえば名前言わなかったね。名乗らないと。

ランマル「申し遅れました。僕はランマルといいます」

???「……フィリア」

ランマル「フィリアさんですか。これからよろしくお願いします」

フィリア「ふふ」

え?何この子。笑うとすごい可愛いんだけど。

フィリア「どうしたの?」

ランマル「いいえ。何でもないです」

フィリア「そう……それにしてもあんた。よっぽどのお人好しか、よっぽどの馬鹿よね」

ランマル「う〜ん、一応人を見る目はあると思いますが……」

フィリア「それは光栄、と言うべきかしら。さ、案内するわ。行きましょう」

 

 

 

テーブルマウンテンの坂を下ったところにある森。

僕はフィリアさんに案内されてここへたどり着いた。

そういえばさっきから疑問に思っていたことがあったな。質問しよう。

ランマル「あの、フィリアさん」

フィリア「何?」

ランマル「フィリアさんってなんでここにいるんですか?やっぱり転送されたって感じですか?」

フィリア「……そうね、確かダンジョンを探索中に、突然光に包まれて、気がついたらここに飛ばされてたわ」

ランマル「僕も似たような感じで、ここに飛ばされました。まあ、僕は市街地からここにですけど……」

フィリア「ほとんど私と同じね……ただ、私と違うのは……その手に浮かんでる紋様」

ランマル「フィリアさんにはないんですね」

フィリア「ええ、というか、ここでそんな紋様があるプレイヤーなんて見たことがない」

ランマル「え?ここにはフィリアさん以外にも、プレイヤーがいるんですか?」

フィリア「……ええ、でも、少しおかしなところがあるというか……」

ランマル「おかしなところ?」

フィリア「説明が難しいの、実際に会って確かめた方がいい」

ランマル「そうですね。ところで、僕たちは今、どこに向かってるんですか?」

フィリア「ほら、あそこに見えるでしょ」

フィリアさんが指差した方を見ると、そこには金色の柱から突き出た5本の爪で支えられている青い球体があった。

ランマル「あの球体ですか……あそこって入れるんですか?」

フィリア「入れるかはわからない……でも……あんたがいれば入れる気がする。その紋様と同じものが描かれていたから」

ランマル「紋様が浮かんできたのは、スカルリーパーを倒したことがキッカケかと思われますけど……」

フィリア「でも、私には紋様が出なかった。もしかしたら、あんたの取っているスキルが関係があるんじゃない?」

ランマル「こんなことが起きるスキルなんて……思い浮かびません」

僕は少しウソをついた。僕には他の人にないスキル【暴走】がある。でも、他人には明かすのは恥ずかしいし、このエリアとは特に関係がないと思うんだけど。

そんなことを考えていると、またアナウンスが流れる。

アナウンス「規定の時間に達しました。これより、適性テストを開始します」

謎のテストの開始を告げ、アナウンスが終わる。

フィリア「い、いきなり何?」

フィリアさんが驚く。どうやらフィリアさんも聞いたことがないようだ。

ランマル「規定の時間!?適性テスト!?フィリアさん!これはいったい何ですか!?」

フィリア「私に聞かれても困る!」

ランマル「適性テスト……と言ってましたよね?」

フィリア「私にも……確かにそう聞こえた」

ランマル「なら……やるしかないですよね、なんて言いたいところですけど……僕にはこのエリアの情報がほとんど無いんです。」

フィリア「なら、どうするの?」

ランマル「フィリアさん、周辺エリアでいままで戦った敵モンスターのデータを全部くれませんか?それと、状態異常やトラップの傾向などを。」

フィリア「わかったから!一度にいろいろ聞かないで!わかんなくなるから」

ランマル「すいません」

 

 

 

少し道を進むと、そこには斧を持った牛型モンスターがいた。行く手を阻むそいつを2人で撃破すると。

アナウンス「クリアを確認しました。承認フェイズを終了します」

ん?承認フェイズ?

フィリア「また出た。このアナウンス」

僕は考える。承認フェイズ……適性テスト……これってもしかして。

フィリア「ねえ、どうしたの?」

ランマル「あ、すいません。少し考え事をしていて……」

フィリア「何を?」

ランマル「このエリアのことをです。テストとか、承認フェイズとか、気になる単語が出てきてて。」

フィリア「ふぅん、それで、何かわかった?」

ランマル「う〜ん、仮説はあるんですけど、まだ決め手に欠けていて……もう少し情報を集めたいです」

フィリア「そう」

ランマル「どうしたんですか?少し不満そうな顔してますよ」

フィリア「だって、私がずっと調べててもわからなかったのにさ、ここに来て数時間のあんたが謎を解いちゃったら……悔しいに決まってるでしょ」

ランマル「い、いえ……まだ解けてないんですけど……」

フィリア「あーあ、これじゃトレジャーハンターの名がすたるわ」

ランマル「トレジャーハンター?」

フィリア「まあ、自称だけど。SAOには職業ってないし」

トレジャーハンターか〜。面白そうだな。

フィリア「モンスターと戦ったり、クエストをクリアしたりするよりも……ダンジョンに潜ってお宝を見つける方が、私には向いてると思うから」

ランマル「そうなんですか」

フィリア「うん、それが……生き残るために重要なアイテムであること多いしね。だから、トレジャーハンターになることに決めたの」

ランマル「そうですか。でも……危険じゃないんですか?ソロでの戦いはただでさえ大変なのに」

フィリア「大丈夫よ。トラップ対策や索敵スキルはマスタークラスだから」

ランマル「おお、それはすごいですね!」

フィリア「特に得意なのは鍵開けスキル。私に開けられない宝箱はないね。どんな強いモンスターが守っている宝箱でも、隠蔽スキルで気付かれずに開ける自信があるわ」

ランマル「すごい!機会があったら見せてくれませんか?」

フィリア「まあ、いつまであんたと一緒にいるか分からないけど、その時が来たら期待していいわ」

ランマル「お願いします!」

フィリア「はいはい。さーてと、ちょっと順番が変わったけど、この先に例の転送装置があるわ。行きましょう」

ランマル「はい」

 

 

 

森の奥深くへたどり着くと、そこには浮遊している石柱があった。

フィリア「ほら、これよ」

ランマル「確かに、この紋様と同じものが刻まれている」

フィリア「ね?見間違いじゃないでしょ?ここが球体の入り口だと思う。ねえ、試してくれる?」

ランマル「わかりました」

僕は右手を、装置の紋様にかざす。

ランマル「これでいいんですか?」

フィリア「たぶん……ほら、紋様が光ってる……」

すると腕の紋様が再び輝き始める。

ランマル「当たったようですね。さすがトレジャーハンターです」

フィリア「……私も、球体の中に何があるのか知らないんだけど……きっと、この先にホロウエリアの秘密があると思う」

ランマル「そうですね。見るからに怪しいものですから」

フィリア「ねえ、私も……行っていい?」

ランマル「もちろんです。行きましょう」

フィリア「……うん」

僕たちの体は光に包まれる。ここに転送された時のように。

 

 

 

光が消えると、目の前にデジタルな風景が飛び込んできた。

空中に浮かぶディスプレイや、目の前にある操作コンソール。もしかするとここはSAOのデバックルームなのかな。

フィリア「ビンゴ!やっぱりそうだった」

ランマル「へえ〜、ここがあの球体の中ですか」

フィリア「おそらくね」

ランマル「今のところ、敵の姿はないようですけど」

フィリア「ねえ、ここって……【圏内】だね」

ランマル「言われてみれば……確かにここは【圏内】のようですけど……でも、そしたらガーディアンが侵入者である僕たちを攻撃しにくるんじゃ……」

フィリア「……来てないみたい」

ランマル「う〜ん、なんだかいつもと違いますね……」

フィリア「でも、これなら安心して調べられる」

ランマル「そうですね。では、手分けして探索しましょう」

フィリア「わかったわ」

さてと、とりあえず目の前にあるコンソールでも調べるか。

僕がコンソールに触れると、キーボード状になっている部分から光が周りに広がる。

なんだろう……何かのリストかな?

……実装……エレメント……?

どうやら、ここは管理区と呼ばれているようだけど……いったい何なんだ?訳がわからないよ。

ホロウエリアの管理区……という感じ?

僕が謎解きに苦戦していると、コンソールにシステムメッセージが表示された。

『アクセス権限者を確認しました。管理区への転移オブジェクトを解放します』

メッセージの下に現れた【転移石の開通】と表示されたボタンを押すと、転移オブジェクトの説明が始まった。

『マップのあちこちに【転移石】という特別なオブジェクトが存在します。

これらに一度でも触れると場所が記憶され、管理区と行き来が可能になります。見かけたら開通しておきましょう』

転移石って、さっき触れた石柱か。ホロウエリアでは転移石に触れれば、いつでも管理区に戻れるということね。

『ホロウエリアに転移オブジェクトが出現しました』

どうやらホロウエリアは思ったより広大みたいだ。まだまだ未開のフロアがあるってことみたいだね。

フィリア「ねえ!ちょっとこっちに来て!」

ランマル「どうしたんですか!」

フィリアさんに呼ばれて駆けつけると、そこにはおなじみの転移門があった。

ランマル「転移門……ここにもあったんだ……。」

フィリア「そうみたいね……ちょっと、見た目が違うけど」

ランマル「でも転移門には違いないみたいですね。良かったですね!フィリアさんもここから出られますよ!」

フィリア「……出られるか……よかったね」

ランマル「どうしました?あんまり嬉しそうじゃないようですけど」

フィリア「……そう見える?」

ランマル「はい。フィリアさんは一緒に行かないんですか?」

フィリア「一緒には行かない……から。あんたは帰りなよ。だから……ここでさよなら。あんたと一緒で、結構楽しかった」

ランマル「そうですか……わかりました。とりあえず僕は戻ります」

フィリア「……」

ランマル「僕、ここ(ホロウ・エリア)のことが気になっているので、たまに来ます」

フィリア「……わかった。でも、もし来ることがあったら、私にメッセージを頂戴。ここに来るようにするから」

ランマル「この紋様(もんよう)がなくても、管理区に入れるんですか?」

フィリア「へぇ……ここ管理区?っていうんだ。試してみたけど、一度開通したら通るだけはできるみたい」

ランマル「わかりました。また来る時は連絡します」

フィリア「……期待しないで待ってる」

ランマル「では、またお会いしましょう。モンスターとかには気をつけてくださいね」

言葉を言い終えると、僕の体は再び青い光に包まれた。

 




キャラ紹介

フィリア
CV 石川由依

トレジャーハンターを名乗る少女。クールな雰囲気だが、たまに見せる表情から根は明るい子なのかもしれない。 訳あってホロウエリアから出られないらしいが……

今後もFGOのサーヴァントを元ネタにしたキャラを登場させますが、このキャラを見たいというのはありますか?

  • エルキドゥ
  • 徐福
  • バーヴァン・シー
  • メリュジーヌ
  • バーゲスト
  • 長尾景虎
  • 武田晴信
  • ノア
  • エリザベート・バートリー
  • 花咲翁
  • 宮本武蔵
  • アントニオ・サリエリ
  • マシュ・キリエライト
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。