第一層の戦いから1年4ヶ月ぐらいが経過した。ようやくアインクラッドの未到達層も半分を切った。その間には色んなことがあった。園内事件という安全エリアでの殺人事件や、キバオウがアインクラッド解放軍というギルドを作ったり、突如現れた高レベルプレイヤー《ヒースクリフ》が血盟騎士団というギルドを作り、そこにキリトさんのパートナーであるアスナさんが副団長として参加したりなど様々な出来事があった。
僕の方も装備を一新した。赤紫と黒のカラーリングを基調としたコートを羽織り、刀も初期の物より上等な物にした。もちろん刀には元々の名前がついていたけど、僕は愛着をこめて『ランマルブレード』と呼んでいる。武器に自分の名前をつけるのは少し恥ずかしかったけど、なぜか頭の中にひらめいたんだ。そんなランマルブレードも今では僕の立派な愛刀だ。他にも予備の装備でダガーや小刀を持ち運んでいる。万が一のためだからね。そのために僕はカタナスキルだけでなく、ダガーのスキルも磨くことにした。今はまだ練習中だけど、せめてピンチを脱することができるぐらいまで使いこなせるようになりたい。
そんなことを考えながらフィールドを歩いていると、ルナさんを見かける。
ランマル「お〜い!ルナさ〜ん!」
ルナさんはこちらを見つけると走ってくる。
ルナ「ランマル!久しぶりだね。」
ランマル「ルナさんも装備変えたんですね。」
ルナ「ああ、俺はパワー重視だから少し金属部分が多いんだ。」
ランマル「結構似合ってますよ!」
ルナ「ありがとう……ランマルもおしゃれなコート着ているね。」
ランマル「そうですか!すごくお金かかっちゃったんですよ……でもこのコートが今の僕のアイデンティティです!それにこう見えて素早く動けるんです。」
ルナ「そうなんだ。俺もいつかコートとか、ローブ系の衣装を着たいな。」
ランマル「そうですか!僕も見てみたいです。」
ルナ「そうか。いつか見せてあげるよ。じゃあそろそろ……」
ランマル「ちょっと待ってください!」
ルナ「どうしたんだい?」
ランマル「ルナさんに聞きたいことがあります。」
ルナ「聞きたいこと?」
ランマル「少し長くなるかもしれませんけど、聞いてください。」
ルナさんは地面に座る。僕もルナさんと向かい合って座る。
ランマル「少し前にアスナさんが56層のパニの村でNPCを囮にフィールドボスを誘い込む作戦を考えて、キリトさんに止められることがあったんですけど……僕はそれを聞いてアスナさんに少しひどいという感情を覚えたんです。」
ルナ「たかがNPCだろ。しばらくすればまた復活するのが、基本だ。」
ランマル「でも……僕にはそう思えないんです。NPCにだって感情がある。だから……彼ら彼女らもアインクラッドで生きてる人間だと僕は思うんです。」
ルナ「そうか……でも俺にはやはり無機質な人形にしか見えない。」
ランマル「そうですか……まさかルナさんと意見が別れることがあるなんて……思ってもいませんでした。」
ルナ「それも仕方ない。人間関係にはどんなに仲が良くても、意見が合わないこともある。そこをどううまく収めるかが大事だと思うよ。」
ランマル「はい……」
ルナ「というわけで俺は君の考えを否定しない。でも俺の考えは曲げないからな。」
ランマル「わかりました……」
ルナ「ではこれで失礼するよ。幸運を祈るよ。」
ランマル「僕こそ、話を聞いてくれてありがとうございました。ルナさんこそ、また会いましょう。」
ルナ「そうだね。」
そう言うとルナさんは再びフィールドでモンスター狩りを始める。僕はランマルブレードを鍛えてもらうために鍛冶屋へ向かう。
ランマル「転移!48層!リンダース!」
僕は転移門を通り、あの有名な鍛冶屋へ向かった。