IS タイトル未定   作:半身浴

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なんとなくの勢いで初投稿です。


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高校受験、それは人生を大部分を決めると言っても過言ではない重要な行事である。

そして私【織斑十秋(おりむら とあき)】は今、その会場に赴いている。

とは言っても今回は私が受験を受ける訳では無く、我が愛しの愚弟である【織斑一夏】の付き添いとして来ているのだが。

受験に付き添いなど必要か?とも思われるだろうが、今年の高校受験は近年問題となっているカンニングの対策として受験会場の場所は前日に明かされるようになっており、その場所に関しても基本的に受験生の多いその高校の地元は避けらているという徹底振りである。

そのため一夏は地元の藍越学園を受けるにも関わらず、電車で駅を四つも跨ぐ羽目になったのだ。

そういった事情を加味してもわざわざ付き添うのは少々過保護と言われるかも知れないが、一夏には世界的に有名な姉上が居るため厄介事に巻き込まれる可能性は普通の中学生より高いのだ、少々過保護なくらいで丁度良いだろう。

 

 

 

 

 

 

さて観客である皆様にはここで自己紹介といこうか。

私の名は織斑十秋、歳は19歳、性別は男、職には就いていないが株取引などで自分が使う分を引いても家計の足しになる程度には金銭は稼いでいる。決してニートでは無いと言っておこう。

特筆すべき点といえば所謂転生者である事くらいか。

与えられた特典は私の前世にあったゲーム、Dies iraeに登場した能力、その全て。

あぁ、言いたい事は解るよ、私もこの特典に気づいた時は頭痛がしたものだ、まぁ使うつもりは毛頭無いのだがね。

なぜ使わないのか?それは愚問という物だよ、Dies iraeという歌劇を観覧した者ならば解ると思うが私がこの特典を使わない理由は唯一つきり、『飽いていれば良い、飢えていれば良い』この言葉に尽きる。

たとえこの世界が物語の世界であろうとも、私が転生者と呼ばれる特異な存在であろうとも、この世界は現実であり、私もまた現実に生きる唯の人間である。

そして現実を生きていれば、つまらぬ現実に飽い、満たされぬ夢に飢えることもあるが、それこそが人間である。

それを無理やり満たそうと神様の力、つまりこの特典に手を伸ばすことは、現実からの、人であることから逃避でしかない。満たされぬまま生きる人間でいいじゃないか。そうでなくてはならない。

故に私はこの特典を一度たりとも使用した事は無い。

とはいえ、私と同じ転生者などの異質な存在が特典を使用し、この世界で必死に生きている者たちを侮辱するような行為をしているとなれば躊躇うこと無く特典を使用し排除するがね。

 

多少特異とは言え所詮は有象無象の芥の一つでしかない私の事はここまでにしておいて話を戻そう。

 

 

 

 

 

 

 

市民ホールに到着し、後はホール内の受験会場へ行くだけなのだが、どうも愚弟の様子が可笑しい。

先程からある程度進んでは引き返し、そして以前と違う道を行ってはまた引き返す、端的に言ってしまえば迷子のそれだ。

 

「とあ兄・・・」

「何だね?我が愛しの愚弟よ」

「迷った・・・」

 

やはり私の懸念は正しかったようだ。

しかし、愚弟を責める気は無い、なぜならば・・・

 

「私も今気づいたのだが、最初の時点で道を誤っているのだ、目的地に着かぬのは当然の帰結と言えるだろう」

「最初の時点って・・・、案内板には確かにこっちって書いてあったぞ」

 

一夏の言っている事は正しい、私の記憶でも市民ホールに入って直ぐに張られていた案内板には左の矢印の上に藍越学園受験会場と記されており、私と愚弟はその指示通りに進んだ。

よもや右と左を間違える等という稚児でも犯さぬような過ちを犯す訳が無い、が・・・

 

「その案内板が既に誤っていたのだよ」

 

そう言い私は携帯に表示させた市民ホール内の地図を愚弟に見せる。

因みにカンニング対策のため受験者は携帯等の所持は禁じられているが、付き添いの者は受験中は電波の通らない別室に待機するため特に禁じられていない。

 

「これって・・・、最初の所を右に行かないと会場に着かないじゃないか!」

「然り、そして今から引き返しても時間内に会場に着くのは不可能、ならばここから近くのIS学園の受験会場に赴き、そこの職員に事情を説明するしかあるまい。今回の場合は運営側にも否はあるのだ、故にある程度は融通を利かせてくれるだろう」

「IS学園の受験会場は・・・この扉の先か!」

 

言うが早いか扉を開ける愚弟、そこには二つの鎧が佇んでいた。

 

「とあ兄、これって・・・」

「【インフィニット・ストラトス】通称IS、もっと具体的に言うなら日本が開発した第二世代型IS【打鉄】だな。しかしなぜこんな入り口に二つもISがある・・・?」

 

私は頭の中に生じた疑念に囚われ愚弟から目を離してしまった、これが過ちだったのだろう、いやそれを言うならばなぜ案内板の表示が誤っていたのか、なぜここに至るまで職員や受験生の姿が無かったのか、そこに疑念を抱かなかった事が過ちの始まりか。

 

「これがISか・・・ちょっと位なら触ってもいいよな」

「待て一夏!」

 

結果から言ってしまえば私と愚弟はこの瞬間を持って有象無象の芥ではなく舞台の役者となった。

一夏は興味本位からかISに触れてしまい、私もまたそれを止めようとし体制を崩しもう一機のISに触れてしまった、そして・・・

 

「なんで動いてるんだ・・・」

「ありえないなんて事はありえない、とはよく言うが・・・。このような未知を間近で見て、そして自身の身を持って体感する事になるとはな」

 

男である私と一夏の身をISが包んでいた。

 

ここでISについて少しばかり説明しよう。

【インフィニット・ストラトス】通称ISとは宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツである。

その性能は従来の通常兵器を凌駕しており、現在では宇宙進出よりも飛行パワード・スーツとして軍事転用が始まり、各国の抑止力の要がISに移っているという現実があるが今重要なのはそこではない。

ISには謎が多く、全容は明らかにされていない。特に心臓部であるコアの情報は自己進化の設定以外は一切開示されておらず、完全なブラックボックスとなっている。原因は不明であるがISは『女性にしか動かせない』。

 

そう重要なのはここ『女性にしか動かせない』という所である。

故に正真正銘の男である私と一夏がISを身に纏うというのは異常事態なのだ、それこそ世界が動くほどの。

 

「ISって男は動かせないはずじゃ」

「落ち着け愚弟、直ぐにISを解除・・・」

 

このような異常事態を他人に見せるわけにはいかない、そう思い愚弟にISを解除するよう言おうとしたが一寸遅かったようだ。

 

「そんなっ!どうして男がISを・・・!」

 

見られてしまった・・・か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前達はIS学園に入学する事に決まった」

 

あの後別室にて待機した後、意外にもあっけなく自宅に帰された私達の前でそう言い放つのは織斑家の大黒柱であり、我等の姉上でもある織斑千冬である。

IS競技においてはモンド・クロッソと言う世界大会で優勝しており、現役を退いた今尚世界最強やブリュンヒルデ等の異名と共に称えられている半ば伝説と化している人である。

本人はそういった名声は煩わしく感じているようであるが。

 

「俺の今までの受験勉強とは一体なんだったのか・・・」

「藍越とIS学園ではIS学園の方が遥かに格が上なのだから受験勉強は無駄にはならないだろう、それどころか今まで以上の勉強が必要になるのではないのか?」

 

私がそう言うと愚弟は死んだ目となり項垂れた。

愚弟の頭の出来は悪くは無いが元々熱心な勉強家でもないので取り立て良いという訳でも無い。

事情が事情であるためそれなりに面倒は見てくれるだろうがIS学園の授業についていけるか兄として心配である。

 

「ところで姉上よ、愚弟はともかくとして私は既に高校を卒業している身であるし、年齢的にも些か場違いであるため直接日本の所属でいいのではないかと愚考するのだが?」

「お前、解ってて聞いているだろう?」

「私とて全知全能という訳では無いよ、だが成程、今の姉上の言葉で理解したよ」

 

詰まる所、私と愚弟をIS学園に入れる理由は身柄の保護という名目の他、今後の私達兄弟の所属をどうするかという問題の解を出すのを先延ばしにする理由もあるのだろう。

普通に考えるのであれば私と愚弟は生粋の日本人であり、国籍も日本なので今後も変わらず・・・なのだが、男性IS操縦者というのはどこの国も企業も欲しがるほどの価値がある。

なぜ男がISを動かせるのか、その答えを見つけることが出来ればIS産業においてトップをひた走れるだろうし、その希少性から所属しているだけでその国や企業に莫大な利益を生み出すだろう事は想像に難くない。

故に今各国のお偉方は膝をつき合わせ延々と平行線の会議を躍らせているのであろう。

日本はこの兄弟は日本人であるのだから当然身柄は日本の物だと主張し、その他の国は希少な男性IS操縦者を独占すると何事だと言い、その後彼等に相応しい国はわが国だと主張する。

どの国も当然簡単には引き下がらない、そこで出てくるのがIS学園の特異性だ。

あの学園は学んでいる物の特異性からどの国にも属しておらず、一種の治外法権になっている。

なので私と愚弟をそこに通わせておけば少なくとも三年間はこの問題を先送りに出来る上、その三年間で自国の生徒を介して営業活動も出来るのだ、お偉方にとっては良いこと尽くめの策である。

少々イリーガルなやり方ではあるがこの営業にはハニートラップ等も含まれるのであろう、私はあの黄昏の女神でも現れない限り平気であるが年頃の愚弟には注意させる必要が・・・無いだろうな・・・。

 

「・・・どういう事だってばよ」

「私達は今後ISと山のような厄介事から逃れられないという事だ」

 

私と姉上の会話について来れなかった愚弟に簡潔に説明する。

直接的な表現で言わないのは愚弟はどうにも綺麗事が好き、というより世の中や人の汚い所を見ようとしない節があるからである。

我が愚弟はこの綺麗事好き以外にも短絡的であり、直情的であり、愚直な愚か者だ。

しかし私はそれを非難などしない、歳を経るにつれて私が失ってしまったその愚かしさは時に私の想像を超える輝きを魅せるのだから。

あのかくも鮮烈に美しい輝きを愚かな屑星と断じ、笑う事など出来る物か。

私はあの輝きをどうしようもなく愛おしく感じそして同時に憧れをも抱いてしまう。

故に私はその輝きを放つ一夏の事を敬愛をもって愚弟と呼んでいる。愛しい愚弟よ、例え他者に定められた道であったとしても雷鳴のごとく疾走し、その永劫たる星の輝きを見せてくれ。

 

少々思考が脱線してしまったようだな、いやはや恥ずかしい。

 

「参考書は渡しておくので勉強しておけ、十秋、一夏の勉強を見てやってくれ」

「承知した」

 

姉上が取り出した参考書は分厚く、自分が理解するだけならば容易であるが他人に教えるとなると中々に骨が折れそうであった。

愚弟の為なればこの程度大した労力ではないが。

 

「では私は仕事があるのでもう家をでるが、もしマスコミや不審者が来たら直ぐに警察を呼べ、いいな」

「夜も更け始めている故、気をつけたまえ」

「行ってらっしゃい、千冬姉」

 

この様な事態であっても仕事に出るとは、なんとも仕事熱心というべきか。

仕事熱心すぎて家族としては少々心配なのだが、姉上の年齢からいってそろそろいい男を見つけなければこのまま仕事が恋人となってしまうのではなかろうか。

ところで今更の疑問なのだが姉上の職業はなんなのだろうか、二年前まではIS操縦者として日本の国家代表を務め、とある事情により現役を退きドイツに向かったところまでは把握している。

しかしこの後が解らないのだ、既にドイツとの契約は切れているのでまた別の職を見つけたのであろうがその職について姉上の口から語られることは一切無く、こちらとしても姉上の事は心配要らないであろうとあえて問う事も無かった、精々解ることといえば少なくとも国内で働いていることくらいか。

 

「千冬姉、かなり不機嫌そうだったな」

「姉上は我々がISに関わる事を忌避していたからな、それ故であろう」

 

事実、今の家族会議の際の姉上の表情は険しく、なにやら後ろめたさすら感じているような、そんな表情であった。

家族がこの様な厄介事の当事者となったのだ、表情が険しくなるのは理解できる、しかし後ろめたさを感じる必要は無いと思うのだが。

これは邪推であろうか、それとも今までISとの接触を禁じて来た事となにか関係があるのだろうか・・・

 

「とりあえずとあ兄、勉強教えてください」

 

とりあえず答えの出ない考察は後回しにし、今は情けない顔で土下座を決め込んでいる愚弟に勉強を教える事が先決か。




万仙陣が楽しみで楽しみでしかたありません。
静乃が自分の好みにドンピシャな匂いがするのでこの子がどう張っちゃけるか楽しみです。
前作要素もツンデレセージとアマッカスの過去話とかたまりませんね、ノブは正直どうでもいいです。

今更ながら十秋君のチート要素は要らない気がする、というか転生者である意味があるのだろうか?
まぁチート要素と前世という経験地があるからこそのこの底知れない余裕とうざさという事で。
チート要素は絶対使わないけど。
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