IS タイトル未定   作:半身浴

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二話目にして筆が暴走したので初投稿です。


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成程、視線が刺さるとはこの様な物か・・・

周りを見渡してみれば、女、女、女、女しか見えない。

例外として私以外にも一人だけの男、即ち我が愛しの愚弟、一夏も居るのだが、その愚弟はこの状況に耐え切れず現実逃避をしているようだ。

かくいう私もまた愚弟ほどではないがこの未知の状況に少々動揺している。

愚弟以外の知り合いである、篠ノ之箒の姿を認め安堵した程度には精神的に追い詰められていたようだ。

篠ノ之箒は愚弟の所謂幼馴染であり剣道の同門でもある、そして姉上の幼馴染である篠ノ之束の妹でもあるのだ。

故に家族ぐるみでの付き合いが多く、必然私と彼女達もそれなりの交流があった。

過去形なのは姉の方である篠ノ之束がISを開発し、それが起因となり一家離散せざる負えなくなり、彼女もまた六年前に引越し、転校してしまったため、そこで交流が途絶えてしまったのだ。

束の方からは今も稀に一方的な連絡があり、世間話に花を咲かせているのだが箒の方とはまったく連絡が取れない状態であった。

実は束から箒の居場所を聞き出し文を送ったり、箒が剣道の大会に出ると聞き現地に赴いた事もあったのだが、終ぞ文の返信が届く事も無く、直接会い、言葉を交わす事も叶わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「織斑一夏です!・・・以上です!!」

 

愚弟よ、緊張しているのは理解できるが他にやりようはなかったのか・・・

それとも我が愚弟はコミュ障という病に冒されていたのだろうか。

 

「え、え~と・・・つ、次は織斑十秋さんお願いします」

 

先程一夏に無視される一幕もあり、今度は簡潔にも程がある自己紹介をされ若干涙目になりつつ私を指名するのが私達が所属する1-1の副担任である山田真耶教諭である。

前から読んでも、後ろから読んでもやまだまや、日本人あるまじき緑髪、そしてロリ巨乳である。

 

「名は織斑十秋、歳は19才、読書とクラシック音楽やオペラを始めとした芸術鑑賞を趣味としている。正直に言うと荒事は苦手なのでね、試合で相対する時はお手柔らかに頼む」

 

荒事は苦手、の部分で愚弟と箒からこいつは一体なにを言っているんだという目で見られたがここは流しておこう。

 

「この学園には男でありながらISを動かせたが故に入学する事となった。二度目の高校生活となり些か辟易としていたが、君達のような可憐な花々と共に席に並べられると思えばこれもまた是と言えるよ」

 

少々臭すぎる発言かも知れぬが私の容姿は贔屓目抜きに美形と言っても良いだろう、解りやすくいうなれば胡散臭さの抜けたメルクリウス、と言ったところか。なのでこの様な発言も大目に見てもらえるだろう。

少しばかり周囲を見てみれば、初々しく頬を朱に染めている者が多数、反応は上々と言ったところか。これで私が醜男ならばまた違った反応だったのだろうが。

しかし私のこうした口車に慣れているはずの箒までもが頬を染め、照れているのはなぜだろうか。

まぁいい、自分の分の自己紹介はここまでとして先程小学生並みの自己紹介をしてくれた愚弟の尻拭いもしておこうか。

 

「苗字から察していると思うが先程自己紹介をした一夏は私の弟だ、これは私とは違い剣道等のスポーツを嗜んでいてな、所謂頼りがいのある男という奴だ。それからこれの作る料理は旨いぞ、一度食べてみるといい」

 

「クールなお兄さんとワイルドな弟・・・、神よ!私はどちらを選べばいいのですか!?」

「一夏君の手料理と、十秋さんとの芸術鑑賞・・・、だめっ!私には選べないわ!!」

「問題なのは、一夏x十秋なのか、十秋x一夏なのかだ!」

「十秋さんの鬼畜攻めもいいけれど一夏君のへたれ攻めも捨てがたい!」

「いえ、ここは逆転の発想で一夏君の鬼畜攻め、十秋さんのへたれ受けというのはどうでしょう?」

 

ここの生徒はみな気が触れているのであろうか・・・

 

「二人だけの男、それも私は3つほど歳が離れている、故に様々な面で迷惑をかけると思うが弟共々よろしく頼むよ」

 

こんな所か、と自己紹介を締めると突然教室のドアが開かれ、一人の女性が入ってくる。

 

「織斑先生、職員会議は良いんですか?」

「あぁ、もう終わった。ご苦労だったな、山田先生」

 

入ってきた女性というのは我等が姉上、織斑千冬その人であった。

成程、姉上の職業とはIS学園の教師であったか、ならばあの日IS学園の受験会場でISを動かした後の学園側の対応の速さにも得心がいく。

なにせ保護者であり後ろ盾にもなる存在がIS学園に所属しているのだから。

 

「なんで千冬姉がここに?」

 

愚弟よ恐らくこの場、この時においてはそれは失言だ。

 

スパァン!!

 

ふむ、美しい一閃である、陳腐な表現ではあるが究極に近くなるほど、形容する言葉は陳腐になるものだ。

 

「織斑弟、ここでは織斑先生と呼べ。織斑兄もわかったな」

「承知した、織斑教諭」

「よろしい」

 

愚弟への制裁と忠告をすませた姉上は教壇に立つ。

 

「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが私の仕事だ。私の言うことはよく聞き、よく理解しろ。私の仕事は弱冠十五歳十六歳までに鍛え抜くことだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。安心しろ、できないものにはできるまで指導してやる。いいな?」

 

姉上よ、それは教師ではなく教官の物言いだと私は愚考するのだが・・・と言ったら叩かれるのであろうな。

 

「きゃー!!本物の千冬様よ!!」

「ずっとファンでした!」

 

「まったく毎年私のクラスは馬鹿者ばっかり集まってくるな。もしかしてあれか?私のところに来るように仕込んであるのか?」

 

「キャー!もっと罵って!」

「そして私を躾して!」

 

姉上の人気はあいも変わらずどころか少々頭の螺子が飛んでいる者も見受けられるのだが・・・

 

「休み時間の後このまま授業を開始する。準備しておけ」

 

そういい残し姉上と山田教諭は教室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと良いでしょうか」

 

休み時間が始まって早々、私と愚弟の席に箒がやってきた。

敬語なのは私が年上であるからであろうが、当時は姉上はともかく私に対しては敬語は使わなかったと記憶している、それに私の記憶では箒は快活な少女そのものといった印象であったが今目の前に居る箒はどうだ、そのしとやかで凛とした佇まいはまさに大和撫子という言葉が相応しいであろう。

六年もあれば人は変わる、と言ったところか

 

「お久しぶりです、とあ兄さん、一夏」

「ああ、久しいな箒よ」

「箒・・・なのか?」

 

まさか気づいていなかったのかこの愚弟は・・・?

 

「積もる話もあるだろう、場所を変えるぞ」

「はい」

「わ、わかった」

 

六年ぶりの再会なのだ、一回の休み時間では語り切れぬだろうが、かと言ってわざわざ出向いてくれたのだ、後回しにするのも酷であろう。

屋上に出るために席を立つ、やはりというべきか視線は集まっているがこれはもう慣れるしかあるまい。

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、改めて、久しぶりだな箒よ。六年で随分と良い女になった物だな」

「い、良い女・・・ですか」

「然り。愚弟よ、お前もそう思うだろう」

「あ、あぁ、上手くはいえないけどすげぇ美人になったと思うぜ」

 

織斑家男子の部、教訓その壱、女性はとにかく褒め称えるべし。

その後の教訓は仕事で疲れている姉の部屋が汚くても文句を言うな。やら、姉の唯一の癒しである酒を奪うな。やら、この教訓を定めた姉上の私利私欲が垣間見えるどころかそれしか見えない内容となっている。

 

「それに剣道の方でも弛まぬ努力を続けているようだな。全国大会、見事だったと言わせて貰おう」

「見ていらしたのですか!」

「ああ、愚弟も姉上も都合が合わず、私だけではあったが久方振りの篠ノ之流、現地でしかとこの眼に焼きつけさせてもらったよ」

「俺も見に行きたかったんだけどなー、畜生、弾の奴この恨みは一生忘れないからな」

 

因みにその日の愚弟は学友である五反田弾の実家の商いの手伝いが断りきれずに欠席とあいなった。姉上はそもそもその時分は日本に居なかった。

 

「久方振りの・・・、というと一夏は剣道を辞めたのか?」

「いや、部活には入っちゃいないけど剣は振り続けてるぜ、ただ柳韻さんから教えてもらっている訳じゃないし、千冬姉独自の教えと我流も混じってるからな、篠ノ之流とは言えないだろ」

「なるほど、そういうことか」

 

篠ノ之流一本の箒の剣と世界最強である姉上の教えと我流混じりの愚弟の剣、その戦いには些か興味があるな。

 

「とあ兄さんの方は・・・?」

「私は相変わらずだよ、元より知っているだろうが私は荒事は苦手なのだ、時折姉上と愚弟の相手をする事もあるが、それだけだ」

「俺はともかく千冬姉に対しても互角なのに、荒事は苦手・・・?なぁ箒、この人がなにをいっているか解るか?」

「相変わらずなんですね・・・ハハハ・・・」

 

特典を使わずともその入れ物である肉体と魂が既に規格外なのだ、こればかりは私の意志ではどうしようもない。

 

「それでとあ兄さん、一つ伝えたいことがあるのですが・・・」

「なにかね?」

「い、一夏!悪いが先に戻っていてくれないか!」

「あ、あぁ、わかった」

 

箒の剣幕に押されたのかすごすごと退散していく愚弟。

しかし箒の用件とはなんだろうか、皆目見当がつかない。

 

「それで箒よ、伝えたい事とはなにかね?」

「あ、ありがとうございました!」

 

見事な礼と共に感謝の言葉を口にする箒、しかしこれは何に対する感謝なのだろうか。

 

「箒よ、言葉が抜けているのではないかね?これではなにに対して感謝されているのかわからぬ」

「え、えっと私が転校した後にたびたび送って下さった手紙の事です!」

「ああ、なるほど。あれは届いていたのか、最悪検閲され捨てられている物だと思っていたのだが・・・、政府もそこまで鬼ではなかったか」

「お返事こそ書けませんでしたが・・・私は、あの手紙にすくわれて・・・ひぐっ・・・」

 

途中で涙ぐみ私の胸に体を預ける箒、どちらかと言えばこういうのは愚弟の役回りだと思うのだが、事ここに至ってその様な事を言うのも無粋という物か。

 

「辛かったのだろうな、寂しかったのだろうな。私の様な男の胸で構わなければ幾らでも貸そう、好きなだけ泣きたまえ」

 

そう言ってやると今まで塞き止めていた分の涙を全て流しているのだろう、先程までの凛とした雰囲気はどこかに消え失せ、そこに居たのは寂しさに泣き喚く唯の少女であった。

時間にしてみれば三分程泣きつくした後、涙は止まり、箒も気は晴れたのか、顔を上げる。

 

「もう、大丈夫です。申し訳ありません御見苦しいところを見せてしまい」

「なに、構わんよ。これも年長者の役目という物だ、気にすることは無い。箒はまだ子供なのだ、故に好きなだけ甘えればいい」

「で、ではお言葉に甘えてもう少しこのままでもいいでしょうか・・・?」

「承知したよ、お姫様。しかし授業には遅れぬよう後三分までだぞ、箒とて姉上の出席簿は食らいたくあるまい」

「わかりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅刻だ馬鹿者共」

 

スパパァン!!

 

箒は泣きはらした顔を洗うための時間を、私は箒の涙で汚れた制服を脱ぎ、入学式前に受け取った変えの制服に着替える時間を失念し、結局姉上の出席簿からは逃れられなかった事を追記しておこう。




この箒はいったい誰なのだろうか・・・

十秋君は永劫破壊や聖遺物無しでも十分チートですがまだ才能ある人間が頑張って鍛えれば追いつける範囲内です。
現状では撃たれれば死ぬし、千冬さんと互角ですし。

因みに自身の身に永劫破壊を施していない現状でもルサルカの食人影やニートのインチキ占星術は使えますし死に瀕すればニートの奥義、ちゃぶ台返しも発動可能ですが無論ここら辺は十秋君の縛り対象。

いっその事十秋君は無間身洋受苦処地獄を発動し続けるかこれをそのまま流出させればいいんじゃないかと思ったけどそれすると神様転生してる十秋君自身も消えちゃいそうなので没で。
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