特定人類絶対守護 ベリアル   作:ぶ千切れた尻尾

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お久しぶりでございます。
本日はなんと二話同時投稿!この話の投稿の5分後、二話目が上がります。ご堪能くださいませ……え?こんなに投稿日が遅くなるならまとめずにちゃっちゃと出したほうが良い?……ごほん。

えー、是非読んでいってくださいね。

それはそうと、新しいウルトラマンが気になりますなあ。


7-2/8-1

 

 

 

side.M

 

 

「はー、満足満足」

 

『うむ』

 

「たらふく食っちまったなァ」

 

ベリアルさんはまだ杯をくぴりくぴりと傾けているけど。俺たち四人と一匹は好きなだけ食べて腹を膨らまし終えたので、おのおの好きな格好でのんびりしていた。

 

『……美味かった。それにしても前から思ってたが、お主の出す料理を食うと活力が(みなぎ)るな。今日は特にだ。今ならかつて引き分けた古竜にさえ余裕で勝てる気がするぞ』

 

古竜(エンシェントドラゴン)ですか」

 

え、活力って──……あ!

 

しまったーーッ!!ネットスーパーの食材を食べるとステータスの強化効果があるんだった!いつも魔物の肉をメインに使ってたから大した効果もなかったけど、今日は全部(ぜぇ〜んぶ)ネットスーパー産で……!

 

「フェ フェルさん?ちょっと鑑定させてもらっても……?」

 

 

───────────

【名前】フェル

【年齢】1014

【種族】フェンリル

【レベル】906

【体力】9843(+5118)

【魔力】9481(+4550)

【攻撃力】9036(+4518)

【防御力】9765(+4394)

【俊敏性】9684(+4551)

───────────

 

 

は?……え?か、鑑定…

 

 

───────────

【名前】フェル

【年齢】1014

【種族】フェンリル

【レベル】906

【体力】9843(+5118)──……

 

 

 

 

あーあーもういいもういい!!

 

目を疑ったけど、事実だってことははっきりわかったよ!!酔いも覚めたよ!!何をどうしたらそうなるんだ?

 

五割増しってマジかー……。

 

原理はさっぱりだけど、ネットスーパーの食材のせいでこうなってるのは間違いない。でも確か効果は時間制限があった(永続じゃない)しそのうち元に戻ると思うけど──

 

『おい』

 

「ァン?なんだ」

 

『力が漲ってジッとしているのが惜しい。狩りに行ってくるぞ』

 

「えっ、今から?ちょちょっちょい待ち!」

 

「もう真っ暗ですよ、フェルさん」

 

「夜だってのに今から狩り?!あぶれた魔物とかがこっちに来たらどうすんだよっ」

 

そりゃベリアルさんいるけど寝てる間になんかあったらいやベリアルさん寝ないけどそーいう話じゃなくてとてもこわいっていうかこんな夜遅くに行かなくってもいいじゃんというか──

 

キィン!*1

「眩しっ」「目がっ」

 

『──今の我が結界ならば、ドラゴンブレスも余裕で弾き返すことだろう。ベリアルでも容易には壊せまい』

 

「ええ……」

 

「ほォーん」

 

『では行ってくる』

 

……そのままフェルは猛烈な勢いでダッと森の中に消えていった。速っ。

 

「行っちまったなァ」

 

「っていうか暗っ!明かり明かり!」

 

「フェルさんってうっすら光を纏ってるんですね。どうりで」

 

「暗くなっても結構歩きやすかったもんね〜」

 

急いでランプを取り出して明かりを灯す。

 

まったくフェルめ……結界やら皆がいるからよかったものの、俺は戦闘力なんて皆無の一般人なんだぞ?はしゃぎやがって──まあネットスーパーのせいなんだけどさ。

 

「フッ、あの調子じゃしばらくァ帰ってこねェだろうな。お前らも明日に備えて先に寝ちまえよ」

 

「そうですね、そうしますか」

 

「はーい」

 

マントにくるまっ……

ちょっと待てよ、ネットスーパーになんかそういうの売ってないかなあ?

 

「えーっと……お!あるじゃんあるじゃん」

 

「どうしたんですか?」

 

ふふ、君たちの分も買ってあげようねえ。フェルのおかげでお金には余裕があるからねえ!

 

下敷き用のブルーシートと、敷布団、掛け布団、枕!そう、寝具だ!

 

「何買ったンだ?」

 

「どうせ結界で警戒しながら寝ないで良いなら、こういうのもありかと思いまして!」

 

「おぉ〜、ふとん?!すっご!」

 

「もう、とてもここが異世界だとは思えませんね……」

 

地面のゴツゴツで痛くならないよう、アイテムボックスの肥やしになっている段ボールを敷いた上にブルーシートをさらに敷き、その上で布団を人数分設置。

 

いそいそと端の布団に潜り込んでみれば──

 

「うわーっ野宿とは思えない寝心地の良さ!これは快適だわ」

 

「良かったなァ。ほれ、お前らもさっさと寝ろ」

 

「「「はーい」」」

 

あとは……フェルの、結界魔法を…………

 

信じ…………

 

 

て……

 

 

 

「おォおォ派手にやってんねェ」

 

 

 

 

 

 

 

side.B

 

「フ。おかえり」

 

『おお、ベリアルか。ただいま戻ったぞ』

 

フェルが口に咥えていたどデカい双頭の獣を取り落とす。ちゃんと死んでるみてェだが、なかなか手強そうな(ツラ)した魔物だな。獅子の頭と黒山羊の頭、……ン?尾は蛇か。

 

「この魔物は何つう名前だ?」

 

『気になるか?コレはな、キマイラだ。キメラともいうが……中々に美味い。ムコーダの手によって料理に生まれ変わるのが楽しみでならんわ』

 

「へェ、そりゃあ」

 

レッドボアやらなんちゃらベアやらオークやら、それらも俺は結構美味いと思ったんだが……一緒に食ってきたフェルがそんなに言うっつーのはちと気になるなァ。

 

「まさか一、二(いちに)時間ぶっ通しで暴れるとはなァ」

 

『昂っていたものがようやく(おさま)ったわ。いや、正直狩り足りんがな……』

 

「ま、コレでまた懐もあったまるってもんだろ。あって困るもんじゃねェだろうしな、金は」

 

『ベリアル。お主はあの飯を食って、高揚感は無かったのか?普段と然程変わらぬ様子であったが』

 

まあ……気にしてねェふりをしてたんだが、フェルや櫂斗達を見ればど〜考えても向田の飯には身体能力を向上させる効果があると見て良い。本人の様子的に、うっかり忘れてた様だがねェ……

 

とはいえ、だ。流石にフェル程とは言えやしねェものの、俺もそれなりに食った。材料も調味料も関係なく、出来合いの飯──つまり全て向田産(異世界産)だった。

 

のにも関わらず、俺は俺自身の力が湧き上がる様な感覚なんて全く無ぇンだよな〜。なんでだ?

 

「無えんだな、それが……お前も気づいちゃいるんだろ?向田の飯について」

 

『当たり前だ。我は鑑定を持っているのだぞ、ステータスの変動なぞ真っ先に見たわ』

 

鑑定……ね。レイセヘル王国に居た頃から気になっちゃいたが、ステータスっつーのは一体何なんだ?この世界の全てが数値で決まってる、なんて言わねェよな。

 

俺が飯で強くなれねェ理由……ちったあ思い当たるがな。俺は既に死んでて生きてねえから強くする肉体が無ェから、なんつってな。

 

もしくは強くなれんのはこの世界の仕組みや法則であって、俺は異物であるから適用されねー……とかか。俺ァ明らかに向田達とは違うルートでこの世界に来たっぽいからなァ。

 

向田のスキル対象に何某かの条件があって、それに俺が当て嵌まら無えなんて線もなくはないか?

 

「あ゛ァ〜、不確定要素が多すぎるなァ。なんで俺ァダメなのか一切わからん」

 

『ふん。お(ぬし)は元より多大な力があるのだから、それでよいではないか。我が力を得る様子を指でも咥えて眺めておれ、フッフッフ』

 

「あのなァ……まあいい、お前も寝ちまえ」

 

『うむ、しかし我の狩った獲物がまだまだ転がっているのでな。回収せねばならん』

 

「あァー、そういやそうか。なら俺も手伝ってやるよ」

 

『ム。たすかる』

 

さてと、コイツは一体どれだけの獲物を仕留めたんだかな。

 

それと、町を出た頃からず〜ッと誰かが俺たちを見てやがる。悪意もある。手ェ出してはこねえし、魔物じゃなくて人間みてえだしなァ……様子見だが、警戒はしとかなきゃなァ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「フェルさんって、やっぱヤバい人……狼?だったんですね」

 

「あたしらじゃ絶対敵わないねコレ、ここの死んでるやつ」

 

「それだけじゃないよ、あっちこっちにすごく強そうなのが……」

 

『フフッ。実際に我は強いからなあ!お主らも勇者であろう、励めよ』

 

「腐っちゃいねえが、血の臭いはどうしてもしてなァ。向田が先に起きて来りゃ良かったんだが、お前らに頼んで悪ィな」

 

俺に“アイテムボックス”はねェ。だからそこに置いてた魔物どもは傷んでいく一方だ……だから、早く起きた櫂斗達三人にしまってくれるよう頼んだ。どォせ次の街も同行すんだしなァ。

 

「あ、いえ……構わないですよ。それよりベリアルさんがスキルを持ってなかったのがめっちゃ以外でした」

 

「それ私も思った〜」

 

「なんでなんだろなァ。俺にもわかんねェわ」

 

「でも、フェルさんは外だと毎晩こんなに狩りをするんですか?このペースだと、そこら中の辺り一体から魔物が消えちゃうんじゃ……」

 

『昨日はムコーダの飯を食って、厭に高揚したのでな。楽しくてつい狩りすぎてしまった……定期的に狩り自体はするが、此度(こたび)の様な事は稀よ』

 

粗方片付いた、か?

 

……あー、まだ山一つ分残ってらァ。

 

「ふぅあ〜〜、よく寝た……やっぱり寝具があると違──」

 

お、向田が起きたな。のんきに欠伸なんてしやがって……

 

「…………」

 

『ククク、絶句しておるなあ。無理もない、この山一つでこの前の狩りの時の成果を超えておるからなあ!』

 

「そォいやそうか。確かに多いな……」

 

「フェッ、フェル!どうしたんだあの山!」

 

『驚くな、さらにあとあの山二つ分ほどは狩ったぞ』

 

「はあ?!……じゃなくて!でもえっそれあの山三つ分ってこと!?」

 

「櫂斗達がアイテムボックスに収納してってくれてんだよ。お前も入れてくれ」

 

「……あ、はぁい……」

 

 

 

 

 

 

 

side.M

 

あーー終わった終わった。まったく山三つ分の獲物なんてどうやったら一晩で狩れるんだか……櫂斗くん達にもありがとうって言っとかなきゃな。

 

……そういえば俺、フェルが戦ってるところって見た事ないなあ。猛烈ダッシュで狩りに飛び出していくところなら見てるけど──

 

「フェルって普段どうやって戦うんだ?やっぱり噛み付くの?」

 

『む?馬鹿を言うな、いちいち雑魚共相手に噛み付いておるわけなかろう。おほん……我には爪もあるが、魔法もある。その中でも特に風魔法が得意なのだ』

 

おおっ!?フェルの手の周りに緑の光が……!あれは風が渦巻いてるのか!?すごい!

 

「おお魔法!本物だ!」

 

『お主にかけた結界も魔法だぞ?』

 

「そうなんだけど、目に見えないからピンとこなくてさ……そういう見える魔法ってワクワクしちゃうんだよ!それって俺でも使える様になるかな?」

 

『?魔力があれば使えるだろう』

 

…………?

 

「一応俺も魔力はあるらしいけど……それで?どうやって使うんだ?」

 

『どうって使おうと思えば使えるだろう』

 

 

………………?……??

 

『だから風魔法を使いたいならばそう念じれば使えるし、火魔法を使いたいならばそう念じればよいだけだ』

 

「…………くっ、感覚的な天才肌め。要はイメージが大切ってことか?」

 

「あー、えっと。ムコーダさん?魔法なら、私らが多少教えられるかなーって」

「え、マジ?」

「マジマジ」

 

そーだ、そういえばこの子ら勇者だった。俺とは比べ物になんないくらい高ステータスのしかもめっちゃ多彩な魔法にスキルに持ってるんだった。忘れてた。

 

「魔法、か。そォいや俺もラモン以外の魔法は見てねェな」

 

『ラモン?』

 

「てめェと会った時にいた、魔法使いの爺さんだよ」

 

「あの時もチョロっと魔法使ってたけど、なんだかんだ聞けなかったんだよね……それで、魔法ってどう使うの?」

 

「まず前提として、魔法を使うには魔力が必要なんですが……どう必要か、どう使うかといいますと」

 

「身体の──まあ、魔法を射出する部位に集めなきゃなんだよね」

 

「そこから絞り出すというか、練り上げるというか、そんな感じに魔力の塊を作って」

 

「最後に使いたい魔法をイメージするんです」

 

……ほ、ほほう。

 

『コヤツ、これはわかっておらんぞ』

 

「まあ、口頭だけですとわかりにくいですし……」

 

「こう言うことに関しちゃ俺の得意分野だぜ、向田。まずは感覚を覚えさせてやらねェとなあ、フッ」

 

えっ何っ怖いんだけど?得意分野?何が?魔法のことかな。

 

「手ェ出しな」

 

「アッハイ」

 

「今から……まず俺の持つ魔力を使ってお前の魔力を探る。で、一旦それで魔力の感触を覚えろ」

 

お……おぉ。ベリアルさんが俺の手首の、丁度脈を測れるところを軽くゆるっと掴んでいるんだけど。その辺りから、なんて表現したらいいか──少し冷たい水?いや滑らかな泥の様ななにかが俺の心臓に向かってくる。

 

これが、魔力?

 

「まだだ。集中してろ、向田」

 

……俺の皮膚の下をベリアルさんの魔力が通っていく時に、まるで革が(なめ)されていくような感覚。

 

俺の血液の温かさを冷やすことなく、混ざり合うことなく、その隣を流れ進む心地よい闇というべきか──

 

「見つけたぜ」

 

ドクン。

 

……?心臓が脈打ったわけじゃない。ベリアルさんが動かしたわけでもない。何かが(つっか)えていたような感じでもなかった。

 

身体が熱を発したわけじゃないけど、俺の身体は確実に、俺の中を流れる温かい何かを見つけた。ベリアルさんの魔力が通ってきた道を、ゆるゆると押し返すように、もしくは引っ張り上げられるみたいに全身を満たす。

 

触れられていた右手の芯を、俺の温かい何か(魔力)が満たす。湯気や煙の様に、不定形なそれが押し固められていくようだった。

 

「わかったか?」

 

「はい」

 

「向田。どんな魔法が使いてェんだ」

 

イメージ……たとえば火。火の魔法といえば?

 

ファイヤー()ボール()

 

ぽっ。

 

閉じていた目をゆっくり開く。煌々と、揺ら揺らと俺の右手が照らされていて──ソフトボールくらいの火の玉が俺の手のひらの上に浮かんでいた。

 

不安定で不定形で、こんなに大きいのに風が吹けば消えちゃいそうだけど──

 

「成功だ!」

 

『フム。小さいが、形は成しているな』

 

「うわやばい、これ楽しいぞ!」

 

『慢心するでないわ。そこの岩に叩きつけてみろ、それは攻撃用の魔法なのであろう?』

 

……ん?叩きつける、ってどうやってやるんだ?え、え〜と……そらっ!

 

ひゅるる〜ん……ぽしゅ。

 

「…………」『ハンッ』

 

野球ボールみたいに炎の玉を岩に向かって投げた。……そしたら、山なりに弱々しく飛んで、岩に届かないで地面に落ちてちりちり言って消えた。こ、これは失敗じゃないし……初魔法成功だし……

 

「魔法っつーのは皆素手で出すモンなのかァ?そりゃ俺やフェルは身のまま使うが、ギルドなんかで杖だなんだを持ってるやつは山ほど見たぞ」

 

「えと、私達も詳しいことはまだ知らないんですが……魔法使いの杖っていうのは確かにあります」

 

「解体のおっちゃんも素材の使用先で挙げてました。やっぱり補助具なんですかね」

 

「ウチらもちょっとは魔法使えるよ〜」

 

え。あ、羨ましい……そういえばそうか。すごいステータスしてたもんな……雷魔法とか聖魔法とか、物々しい名前のカッコよさそうな魔法……

 

「ンン……向田は魔法を使いてェんだろ?なら、初心者にこそそォいうのは必要だ。次の街で手に入れられると良いがな」

 

『軟弱な……道具になど頼らず放てるようになれば良いだけではないか』

 

「馬鹿言え、今の向田の使い方じゃまともな使い物になりやしねェよ。威力も、使える回数もな」

 

杖。魔法使いの杖ねえ……それがあれば俺の魔法もマシにはなるのかな?俺の持ってる棍も、杖っちゃ杖だけどただの木と金属部品の棒だから多分魔法の杖とは違うんだろうな。

 

今持ってみても別に魔法が使いやすそうなかんじじゃないし、やっぱりなんだか特別な仕掛けとかあるんだろうか。

 

「行くぞ。道中でも修行はできるだろ」

 

「あ、はい」

 

勇者くん達の魔法はどんな感じなんだろ?俺だって男だもの、かっこいい魔法を使ってみたい!……こっそり、今度教わろうかな。

 

 

 

*1
結界を張る音




ここまで何事もない話だと次も書いてから上げたかったんです!ヤメテッ石を投げないで!ムルチ呼ぶぞ!こないけど!
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