特定人類絶対守護 ベリアル   作:ぶ千切れた尻尾

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☆9評価をしてくださった、
加賀見式様 RaguNya様 ララララミー様 ガランゴルム亜種様 バーベキュー様 結城刹那様 Tシロー様 危険地帯様。

本当に、本当にありがとうございます。

色がつきました。
感謝の念に堪えません。



1-3

 

 

 

side.B

 

「もうすぐ日が落ちる。今日はここまでだな……野営の準備をしよう」

 

「手伝うことはあるかァ?」

 

「いや、大丈夫っすよ!それより今日の飯も期待してます!」

 

「飯はムコーダの領分だからなァ」

 

食材を洗ったり切ったりするくらいなら手伝えるかと思って申し出てみたりしたが……断られちまった。料理そのものが好きな様だし、それを俺が邪魔しちまうのも悪いしなァ。

 

 

 

 

 

 

 

「夕飯できましたよ」

 

ムコーダの抱える皿から豊かな湯気がたちのぼっていやがる。皿に見えるスープの中には鮮やかなキャベツやにんじんなんかの野菜がくたりと浸っていて、そして肝心のソーセージは俺たちに見せつける様にその身を反り、切れ込みから肉汁を噴き出して鎮座してらぁ。

 

「ポトフとパンです。熱いんで気をつけてくださいね」

 

「わ!もしかしてスープ!?」

 

温かい皿を受け取った鉄の意志の面々はその顔を朗らかに綻ばせている。芳しい料理の香りに期待が溢れちまってるみてえだなァ。微笑ましいぜ、人間の喜ぶ姿っつうのがこんなに我がことのように心を揺らすとはよォ。

 

「ベリアルさんも是非食べてください」

 

「んァ?いや、だから俺は飯が必要ねェと……」

 

「ムコーダさんの飯は美味いっすよ!」

 

だからァ、俺にゃ飯は必要ねぇんだって言ってんだろ。必要ねェ奴に食わせるなんざ勿体ないたぁ思わねぇのか?

 

「必要ないのがどういう理屈なのだとか、便利な身体だなとか、そう言ったことを咎めはしないが……」

 

「美味いモノを食べることは心の安らぎにも繋がる。もし忌避感が無いのであれば、共に食事を摂らないか?」

 

 

「……フン、そこまで言われちゃあなァ」

 

食事なんて十数万年ぶりだなァ……光の国は娯楽が極端に少ねえからな。ま、向田のお手並み拝見といくとしよう。

 

「悪いなムコーダ。頂くぜ」

 

「是非是非!食べてくれた方が嬉しいですよ」

 

フーン、そんなもんか。それならまあ、遠慮なく──……

 

ズズッ。

 

 

皿に口をつけて、野菜の味とやらが沁みたスープを喉に流し込む。単純な塩とか胡椒だとかの味じゃねえ、風味や香りって奴が俺の鼻腔をくすぐってゆく。

 

 

パリッ。

 

 

 

弾ける様な音と噛み心地のソーセージを口の中に納めれば、「肉とはこういうモンだ」っつう強い主張が俺の舌の上で伸び広がるように踊っている。

 

 

 

 

 

 

……。…………、飯を食うっつうのはこんなにも多幸感を生むことだったっけか。決して中毒になっちまいそうな濃い味でもねぇし、使ってた材料は至って普通のものか、向田の元の世界のものばかり……

 

 

 

 

……元日本人ともあろう俺が、食事を侮っていた、っつーわけだな。こりゃあ……これからも向田に宜しくしたくなるってもんだぜ……。

 

「「「…………」」」

 

ちっ、そんなじっと「今にも唾ァ飲み込みそうです」ってくれぇの顔して見つめんでも良いだろォが。わかったわかった……

 

「……美味え」

 

「!!」

 

「おお!」

 

「心の底から、美味えと思ったぜ……なんか大事なモンを忘れてたみてェな心地だ」

 

「そっ、そこまで褒められるとは……」

 

ああ。いや、謙遜すんじゃねえぜ。これなら地球に降りた時に飯を食わなかったのがとんでもなく勿体なく感じちまう……あァ、柔らかいじゃがいもって美味えなァ。

 

「別に俺は食わなくても生きていける身体ではあるんだがよォ……」

 

「…………」

 

「これからはよ。飯ィ、頼んでも……良いかァ?」

 

「!もちろん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side.M

 

鉄の意志(アイアンウィル)の面々が固唾を飲んで見守るなか、俺はベリアルさんに飯を食わせることに成功した。

 

いや、食わなくてもいいってのはわかってる。けど皆で食べてる時に一人だけ食べてないってのも気まずかったし、何より自分で作った飯を「美味い」って褒めてもらえるならそれが一番嬉しいもんだ、そうだろ?

 

人間じゃ無いみたいだし、何十年何百年──下手したら数千年ご飯を食べてなかったのかもしれない。ポトフを口に含んで、ベリアルさんは少し固まってしまった。

 

なんか、多分数秒くらいの沈黙が数分にも感じるくらい緊張してる。うわうわ、口に合わなかったらヤバイかな……その無表情はどんな感情なんだ……!

 

「……美味え」

 

 

……おおッ!!

 

聞きましたか皆さん!美味いですってよ!!おぉー、キャベツもにんじんもパクついてくれてる……いや、なんかめっちゃ嬉しいわ。

 

「心の底から、美味えと思ったぜ……なんか大事なモンを忘れてたみてェな心地だ」

 

え?な、なんかめっちゃベタ褒めしてくれんじゃん。声色もなんか静かだしなんか怖さとは違う「迫力」ってやつを感じるッ……!

 

「そっ、そこまで褒められるとは……」

 

くっ、なんだこの気持ち──懐かなかったペットがようやく近づいてくれる様になった、的な……!?いや大柄な男に抱く感情じゃねぇー!

 

「別に俺は食わなくても生きていける身体ではあるんだがよォ……」

 

な、なんだ……恨み言か?よくもこんなこと覚えさせてくれやがったな、か?いやいやいや、そんなことはないはず。だって喜んでくれてたし──

 

「これからもよ、飯ィ頼んでも……良いかァ?」

 

「!もちろん」

 

なんだそんなことか。ええ、ええ、任せてくださいよ!飯を喜んでくれる人物がいるってのは飯のクオリティに直結するんだよなぁ。

 

一人だとどぉ〜しても雑になるっていうか……男性諸君ならわかるだろ?男の一人飯は雑だ。女性についてはわかんないけど……

 

「俺たちも食わせてもらうとするか」

 

「美味い!やっぱムコーダさんの飯はウメェなぁ!」

 

「体の芯からあったまる〜!」

 

もーほんと、この世界に来てから料理めっちゃ褒められてもー困っちゃいますなあ。そんなに褒めてもおかわりしか出せませんて、へへへ。

 

「旅の食事といえば、干し肉か硬いだけのパンばかりだが……こんな温かい飯が食えるなんてな」

 

「それは良かった」

 

「いやホントこの依頼受けて正解でしたね!」

 

そうそう、道中で聞いたけど鉄の意志(アイアン・ウィル)さん達もあの国がきな臭いから早いこと出たかったんだって。

 

移動も兼ねてなにか依頼を受けようか〜って時にうまいこと俺の飯付き依頼があったらしい。似たような依頼もあったし、飯付きにしてて良かった〜ッ!

 

「美味い飯のおかげか、あたいなんていつもより体のキレが良い感じだもん!」

 

いやいやそんな、ハハ。

 

「私もムコーダさんのお食事を頂いてから、力が湧いてくるような感じがします」

 

照れますなぁ──……

 

 

ん?

 

 

キレがいい?力が湧く?身体に影響ありそうなものなんて入れてないはずだけどな……滋養強壮的な……にんにくとかニラとかさえ使ってないんだけど?

 

「人にとって食うことは最も大切なことだ……これだけ美味ければ、気の持ちようも変わってくるさ」

 

「フッ、ラモンの言うとおりだぜ向田ァ。食に興味のなかった俺でさえハマっちまったんだからなァ……ククッ。あー美味ェ」

 

気の持ちようねぇ……。単に気のせいだったらそれでいいんだけど、一応鑑定しとこっかな?さりげなく、バレないように──

 

────────────

リタ

【年齢】16

【種族】人間

【職業】斥候

【レベル】18

【体力】135(+27)

【魔力】64(+2)

【攻撃力】119   【防御力】107

【俊敏性】138

【スキル】

短剣術 聞き耳 忍び足

────────────

*1

 

「ゴブフォッ!?」

 

「ちょっ」

 

「ムコーダさん!?」

 

「どうした向田!大丈夫か」

 

な、なんだよ+27とか+2とかって!括弧までついて明らかに後から生えてるし……

 

「いきなりどうしたんすか!?」

 

「い いやゴホッ、スープが変なとこ入ってゲホッ」

 

俺の飯を食べた所為なのか?このポトフとか食パンの所為なのか……?

 

「『鑑定』……」*2

 

Oh──……

 

マジかぁ、マジかマジか。俺の飯が原因かァ……

 

いや、これって考えたらかなりヤバいモンだよな。異世界の食べ物だし、食べるだけで体力とか魔力とかが上がるんだから。もしこれを誰かに知られたりしたら──マズイ*3。(※マズイ)絶対ヤバい。

 

幸い鑑定スキルは召喚勇者しか持ってないって話だし、鑑定の魔道具は個人で持てる代物じゃないはずだ。自分のステータスをすぐに確認されることはまずないだろう……

 

俺が口をつぐんでいれば絶対にバレないはず。口にチャックだ、何がなんでも喋らないぞ……

 

「おい、向田。さっきから黙りこくってるが……本当に大丈夫かァ」

 

「えっ?あ、はい。ありがとうございます」

「大丈夫なら良いがなァ……」

 

そういえば鑑定あるのにベリアルさんのこと見てなかったな。悪魔じゃないって言われたのは覚えてるけど、結局なんの種族か教えてくれなかったし、チラッと見てみようかな──

 

(『鑑定』)

──────────

ベリアル

【年れi】178,095

〔S hu族】ultr-*4

──────────

 

 

 

 

……んあ????

 

 

 

いや、まあ、なんか通りが悪いなーって感じだったりとか結果まともにステータスも見れないだとかそこも気になるんだけど──

 

 

……まず180,000(18万)歳ってなに!??????

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キールスを出発して5日目──乗り合い馬車なら今頃隣国のフェーネン王国に入ってるところだろうが……この調子ならあと2日はかかる」

 

結構それなりに鋪道されてるとはいえ斜面のある山道を越えたり、検問っぽいけどよくわからない建造物をくぐって進んだりしながら歩いた。

 

ベリアルさんの年齢の衝撃的な事実がちょっとマジで頭から離れなかったけど、俺以外全員(フランカ(回復役)さんも含めて)へばったりしてなくてちょっと悔しい。

 

「国境を越えたら街までは半日ほどだ。今のところ旅程も問題なし、たいして危険な道じゃないが……残りも気を引き締めていこう」

 

「おー!」

 

「おぉ……」

 

まあ何はともあれ進んでるのは進んでる。勿論ベリアルさんのことだって気になるけど、今はとにかくフェーネン王国を目指そう──

 

──そしてその日の晩、野営中。

 

「それじゃあレッドボアの肉、使わせていただきますねー」

 

「おぅ、楽しみにしてるぜ」

 

レッドボアってのは、道中に飛び出てきた赤毛のデカい猪のような魔物の名前だ。

 

いやぁ、鉄の意志の皆が危なげなく対処してくれたんだけど……かっこよかったなあ。これぞ冒険者!って感じで。

 

それと俺の前にまるで庇えるようにって感じで仁王立ちして微動だにしなかったベリアルさんの背中の頼もしさよ。一っつも動揺してなかったもんなあ。……さすが19万歳?

 

「よいしょと」

 

話を戻して、レッドボアはゴブリンやそこらの魔物と違って肉や牙や、皮なんかもそこその値段で買い取ってもらえるそうなんだけど──

 

その巨体ゆえに全部は(主に肉は)持っていけないから半分以上は捨てていく、っていう話をきいてそれなら残りは俺のアイテムボックスに入れていきませんかと申し出たわけだ。

 

(そんなわけで……)

 

そのレッドボアの肉を食事に使っていいとお許しが出ている。今日のメニューはアレにしよう──俺も大好物の生姜焼き!

 

まずはこのデッカいレッドボアの肉を薄切りにして、と。ネットスーパーで買っておいた生姜焼きのタレに漬け込む……んで漬け込んでる間にキャベツを千切りにしようか。

 

肉を焼いたら──ッ完成!

 

「レッドボアの肉を私の故郷の味付けにしてみました〜」

 

『レッドボアの生姜焼き』だ!

 

「おお、食欲をそそる良い匂いだな」

 

「うンまそ〜ッ」

 

いただきまーす。

 

 

 

「「「「「「 ッ!!? 」」」」」」

 

 

 

うーん、やっぱり美味しいね。

 

 

「なんだコレっウンメェーッ」

 

「美味いッ」

 

「あたいこんな美味いもの初めて食べたっ」

 

「んッだこれェ……美味ぇぇなァおいィ……!」

 

ふふはははは。そうだろうそうだろう、美味いだろう……!

 

「レッドボアの肉はあまり好きではなかったけど、くさくもなくて……これなら美味しく頂けるわ」

 

「あまい!」「うまい!」

 

「キャベット()を生で食うのは初めてだが……この肉と一緒に食べると絶品だな。ウム」

 

生姜焼きのたれで焼いただけなんですけどねー。某社様々ですな、こんなに喜んでもらえるなんて思ってなかったぜい。

 

 

「……匂いにつられたか」

 

「!」「ッ」

 

「そういえばこちらのほうでは、キャベツのことをキャベットって言──」

 

カランッ。

 

?どうしたんだヴェルナーさん、フォーク落としたぞ。

 

ムコーダさん……っ

 

「?」

 

う、うしっ

 

「牛?」

 

後ろ!

 

言われるがままに振り向いた。そこには──今まで見てきた魔物と比べることも烏滸がましく思える様な、大きく、神々しささえ覚える様な狼の魔物がいた……

 

『人間よ』

 

俺たちは、全員まとめて固まって動けなかった。

 

『我──』

 

おい、犬ッコロ

 

 

 

 

 

『あ゛ぁ?』

 

「今ァ楽しく歓談中なんだ。わかんねーかァ?」

 

 

俺含めて、全員がガクガクと身体を鳴らしている。

 

『──痴れ者が』

 

「失せろってんだ若造ォ」

 

ヴェルナーさんたちは皆、なんでそんな立ち向かえるんだ?って顔だ。

 

この我に……若造だと?

 

「わかる様に言わなきゃならねえ様だなァ──

 コイツらに危害を与えるつもりなら、ブチ殺す

 

どうしよう。頼もしいけど、胃痛と緊張で先に死にそうだ。

 

 

 

 

 

 

スープに滲む野菜の味(コンソメブロック)

*1
種族欄は原作になし

*2
料理にステータスバフ効果がありました。どうやら異世界由来の素材を口にすると発動するようです

*3
マズイ

*4
これ以降の情報はない




人類の守護者としての魂・精神は、二万年以上の幽閉を経ても彼の中にしっかりと残っていた様です。


食欲よりもムコーダさんのことを優先してくれる味方が欲しくて、そんで絶対守り切れるレベルの強さも欲しくて、クロスオーバーさせたいからそっちの原作から離脱しても違和感なさそうなキャラ──ということで私は好きな作品からボス級のド悪役を引っ張ってきました(矛盾)。

オリ主を憑依させてしまうことでなんとかそれっぽく……やさしくお見守りください。

これでコミック一話部分は書きましたが……二話目は現在執筆中なものの、明日投稿──というわけにはいかないと思います。
皆様の心ばかりの評価で、私はたいへんにはげまされております。
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