出生率の狂った世界線の美男子トレーナー   作:鼻毛王

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ゴールドシップ 3

 

トレセン学園が誇る破天荒ウマ娘――ゴールドシップ

 

その名前を聞くだけで、10人中12人が「ああ、あのバカか」と答える。

 

ゴルゴル星に招待され、被害を被ったウマ娘は数知れず。

 

そんな彼女に、ある日予想外の一言が降ってきた。

 

 

 

 

『休日にお出かけしないかしら?』

 

 発言者:トレーナー

 状況:平日の昼

 

(…… 耳が壊れたか? “外出禁止”の聞き間違いじゃねーのか?)

 

ゴルシちゃんの脳内は混乱状態だった。

 

これまで幾多の騒動を共にしてきた(一方的に巻き込んだ)仲とはいえ、休日に“お出かけ”に誘われるのは初めての事態。

 

何か裏があるに違いない――そう思ってゴルシちゃんは調べてみた。

 

だが、彼女の得意分野である詮索は通じなかった。

 

ネットで名前を検索しても、出てくるのは「アクセス拒否」の文字。

跡を付けて電子ロック付きの施設に潜入を試みたが、三重のセキュリティの前に敗北を喫した。

 

「くっそ、あのトレーナー、経歴どころか名前すらヒットしないとか、どんなラスボスだよ……」

 

それでも、約束は約束だ。

 

ゴールドシップは意外と時間に律儀なウマ娘である。

 

待ち合わせの15分前には、駅前の噴水広場に颯爽と到着していた。

 

「ゴルシちゃんを顎で使おうなんて、百億年早いぜ!

今日は馬車馬のようにこき使ってやるか~!」

 

鼻を鳴らして胸を張る。

 

 

 

 

だがその背後から、妙なざわめきが近づいてきた。

 

通行人たちが道を開け、視線を向けた方向――

黒服のボディーガードたちに囲まれた一団がゆっくりと歩いてくる。

 

最初は見物人のひとりとして眺めていたが

その一団がそのままゴルシの目の前に立った瞬間、時が止まった。

 

 

 

 

 

 

「お待たせいたしました、ゴールドシップさん。

さあ、お出かけに参りましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………ふぇ?」

あまりの衝撃に、思わず顎が外れかけたゴールドシップ。

 

 

 

目の前には、妄想の世界ですらお目にかかれない

――絶世の美男子がそこには居た。

 

神が気まぐれで創りかけた芸術作品を、間違って人間界に落としたような存在。

 

女性なら拝観料を払ってでも、ご尊顔を賜りたいと思うレベル

 

そんな神の使徒のような男性を前に、ゴールドシップは過呼吸に陥りそうになった。

 

「あ、あの……人違いじゃ、ありません?」

 

思わず敬語を使うゴールドシップ。

 

ゴルシちゃんから丁寧語を引き出したのは、彼が史上初である。

 

 

 

「つれないですね、私ですよ。

こうすれば、わかりますか?」

 

男は軽く咳払いし、声色を変える。

 

『ゴールドシップ、いつも将棋指してないで練習に参加しなさい』

 

どこかで聞いたことのある声質。

 

しかし、それを結びつけるのがこれほど恐ろしいと感じたことはない。

 

 

「……と、トレーナー……なのか?」

 

 

彼はにっこりと微笑んだ。

 

その笑顔だけで、ゴルシちゃんにクリティカルダメージを与えた。

 

 

 

➤トレーナーの防御貫通攻撃

 

➤ゴールドシップに564ダメージ!

HP 残り1 (気力)

 

「いやぁ、最近の技術はすごいですよね。

 

三十分もあれば特殊メイクで女性に変装できますし

ウマ娘の鋭敏な嗅覚を誤魔化す香水もあるんですから」

 

さらりととんでもない事実を口にしてのける目の前の男性。

 

ゴルシちゃんは完全に混乱していた。

 

「さあ、時間は有限です。

今日はあなたのために時間を設けましたから」

 

そう言って、ボディーガードに囲まれながら手を差し伸べてくるトレーナー(トゥルーフォーム)

 

 

ゴルシちゃんは、流れに逆らえなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日。

 

普段の奇行が鳴りを潜め、トレーナーの指示にも素直に従うゴールドシップの姿があった。

 

その異常事態に、学園は軽いパニックを迎え

「明日は空から錨が降ってくる」

と騒ぐ生徒が続出した。

 

ゴールドシップが真面目に学園生活を送る

それすなわち、“不吉の予兆”である。

 




コメントして下さった方、有難うございます。
実はこっそり覗いてます。
リアルが落ち着いたら、ゆっくり返信していきます。
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