伝説のニート、平成のアイドルと共に佐賀を救う 作:スピリタス3世
愛視点
秋が深まり始めた11月のある日。私たちはいつも通り練習していた。
「はい、オッケー!」
「いいやんいいやん、全国制覇見えてきたっちゃない?」
「気が早いって。」
「例えだよ例え!」
「愛ちゃん厳しすぎる〜☆」
「そんな事ないわ!」
全国区のアイドルからすれば全然だけど、それでも確実に成長しているのを感じていた。他のみんなもグングンやる気が上がってるし、私も表情が柔らかくなった、とよく言われるようになった。
「そうだよね〜、愛って厳しいよね〜。この間だって〜、金をせびるなだの仕事前に酒を飲むなだの言ってきてさ〜。」
「別に普通のことでしょ⁉︎」
「それはテメェが悪い。」
「当たり前のことですありんす。」
「反省してよね☆」
「がぁぁぁぁぁぁ‼︎」
「え〜、なんで〜⁉︎」
それは皆と仲良くなれたのもあるけど、やっぱり奈々子が和らげてくれるからなのかな。そんな事を時々思うようになった。
そんなこんなでしばらく休憩していると、
「おはようございまぁぁぁぁぁぁす‼︎」
「おはようございます!」
「おはようございます………」
巽がレッスン室に入ってきた。珍しいわね。普段はボロ部屋でしかミーティングしないし。一体何があったのかな?隣のニートが金溶かしたとか………?
「今日はいつもの前振りはやらない。何故なら重大な話だからだ‼︎」
「「「「重大な話………?」」」」
「来る12月末、500人規模のライブを行う‼︎」
そんな事を思ってたら、真面目に仕事の話だった。500人規模か………。そろそろこのサイズに到達するのね。ようやくなのか、それとも遅すぎるのか………。まあ、そろそろだとは思ってたけど。いずれにしても、越えるべき山場みたいね。
「500人規模⁉︎」
「何、すごいとや?」
「すごいっちゃよ!500人だよ500人!」
「まあ、そろそろかもね。」
「いつもの対バンやチェキ会、営業とは訳が違うぞ‼︎お前らに500人の箱が埋められんのか?どうなんじゃい、さくらぁぁぁぁ‼︎」
「えっ⁉︎」
「オーケー‼︎よく言ったぁぁぁぁぁぁ‼︎」
いや、何も言ってないでしょ。
「はい、そんな今回のライブの舞台は………唐津市ふるさと会館アルピノじゃぁぁぁぁい‼︎」
ということで、今回の舞台はアルピノに決まった。嘘でしょ⁉︎懐かしいところじゃん‼︎私が初めて佐賀でライブしたとこだし‼︎
「えっ…………?」
「リリィも知らな〜い。」
「アタシも分からん。」
「がぁぁぁぁ。」
「佐賀組が知らなくてどうするのよ。」
「アタシふるさと会館なんか行かんし。」
「リリィ唐津じゃないもん*1☆」
「私記憶無いし………」
「がぁぁぁぁ。」
ただ、佐賀組は知らないってどういうことよ。あそこあんまり有名じゃなかったのか。これは集客に苦労しそうね。
「皆役立たず〜。」
「「「奈々子ちゃん(お前)にだけは言われたくない‼︎」」」
「がぁぁぁぁぁ!」
「え〜、ひど〜い!」
「酷いのはアンタの頭よ。」
それと、ニートの世話にも苦労しそうね。間違えても公共の施設を酒浸しにしないようにさせなきゃ。
「今から何も知らんお前らのために、俺がアルピノを案内する。ついてこい‼︎」
「はい!」
「は、はい………」
ということで、私たちはアルピノへと向かった。
数分後、私たちはあっという間にアルピノに着いた。そして中の大きな多目的ホールを見たのだが…………その光景がとても懐かしかった。10年経ってもあんまり変わってないんだな〜。そういや、奈々子は私のファンだったような………
「ねえ、奈々子。アンタはここ来たことある?」
「ボク〜?あるよ〜!愛の佐賀初ライブだよね〜。」
「えっ、そんなことも知ってるの⁉︎」
嘘でしょ⁉︎それって結構なファンじゃん‼︎普通佐賀初だからって、ここまで追ってくる人はいないよ‼︎東京からここまで遠いもん!地元の秋田からなら尚更!
「愛のことならなんでもお見通しさ〜♪」
「なんかキモいわね。」
「え〜、ひど〜い!ボクやけ酒しちゃ〜う!」
「いつも飲んでるじゃない‼︎」
にしても、こんなコアなファンを私が覚えてないことってあるんだろうか。私は何回も来てくれるファンは結構ちゃんと覚えていた。それなのに、私の記憶では巽奈々子って人はいなかった。何よりこんなアル中がいたらすぐに気がつくはずなのに。もしかして、私が死んだ時は未成年だったのかな。それか佐賀じゃないにしろ、この近辺の出身とか。聞いてみよう。
「そういや、奈々子って佐賀出身じゃないよね?どこなの……?」
「ボクの地元?う〜ん…………」
えっ?地元答えるのにそんな悩むことある⁉︎分かりにくいところなの⁉︎
「お酒飲みすぎて忘れちゃった〜♪」
「はぁ⁉︎」
いや、そんな事ある⁉︎普通いくら飲み過ぎても忘れないでしょ⁉︎コイツ頭おかしいんじゃないの⁉︎
「ボクの脳みそはお酒とタバコとギャンブルでいっぱいなんだよ〜♪」
「バカなの⁉︎自分の地元くらいは覚えておきなさいよ‼︎」
「む〜り〜♪ちなみに、仕事のことも入る余裕ないかな〜。だから休みま〜す♪」
「休むな‼︎頭に叩き込め‼︎」
ホント無茶苦茶な奴ね‼︎地元覚えてないで許されるのは転勤族くらいよ!まあ、その可能性の方が高いか。そう思ったアルピノの下見だった。
それから数日は、いつも以上に集中して練習した。のだが………
「さくら、先走り過ぎ。最近ちょっと変よ。」
「あっ、ごめ〜ん♪もっともっとやらないとって思っちゃって〜♪」
さくらの様子が日に日におかしくなっていたのだ。普段以上に明らかなハイテンション。そして暴走することが多々増えた。
「さくら〜、ちょっと冷静になろうか〜。きゅうけ〜い!」
「平気平気‼︎まだまだ練習足りないくらいだよ〜♪単独ライブだも〜ん、ちゃんとしたパフォーマンス見せないとね♪」
「きゅ・う・け・い‼︎ちゃんとしたパフォーマンスのために休むの〜‼︎」
「だから私は全然平気やけん♪」
まるでお酒にでも酔ってるかのよう。これは完全にハイになってるわね。一回なんとか落ち着いてほしいけど………。あと奈々子、私の時ほどはキツい口調使わないのね。流石に皆の前だからかな。
「ボク、ちょっと幸太郎呼んでくる。」
「うん、お願い。」
「あれ〜、行っちゃうと〜?」
「さくら、お前一回落ち着け。とりあえず休憩や。」
そして、奈々子が巽を呼びにいった。それを見たサキがすぐさま休憩の指示。とりあえず、今はこうするしかない。心は熱く頭は冷静にって、私も生前の時よく言われてたなぁ。側から見るとこう感じるんだって、知ることができた。
しばらくすると、奈々子が巽を呼んで帰ってきた。
「みんな〜、幸太郎連れてきたよ〜。」
「あ〜、ヒンナヒンナ‼︎このイカゲソヒンナヒンナ〜‼︎」
だけど、肝心の巽が壊れていた。いや、元からか。イカゲソ食いながら何言ってるのよ、コイツ?
「今から特別メニューを発表しまぁぁぁぁぁす‼︎その名も………山籠りじゃぁぁぁぁぁい‼︎」
山籠り⁉︎嘘でしょ⁉︎何がどうしてこうなった⁉︎それで奈々子はなんで隣で納得したような顔してるのよ‼︎これのどこがいいって言うの⁉︎
「いっかい頭をリフレッシュしよ〜♪」
あっ、そういうこと。斬新な休憩ってことね。確かに場所を変えるのはありかも。よく私も練習で煮詰まっていた時に、友達に色んなところ連れてってもらったし。
ということで、私たちは山へとやってきたのだった。
金カムパロでラッコ鍋をやろうとしましたが、流石にフランシュシュに合わないのでやめました。