伝説のニート、平成のアイドルと共に佐賀を救う   作:スピリタス3世

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第十五話 ゴールデンゾンビSAGA 前編

  愛視点

 

 秋が深まり始めた11月のある日。私たちはいつも通り練習していた。

 

「はい、オッケー!」

「いいやんいいやん、全国制覇見えてきたっちゃない?」

「気が早いって。」

「例えだよ例え!」

「愛ちゃん厳しすぎる〜☆」

「そんな事ないわ!」

 

 全国区のアイドルからすれば全然だけど、それでも確実に成長しているのを感じていた。他のみんなもグングンやる気が上がってるし、私も表情が柔らかくなった、とよく言われるようになった。

 

「そうだよね〜、愛って厳しいよね〜。この間だって〜、金をせびるなだの仕事前に酒を飲むなだの言ってきてさ〜。」

「別に普通のことでしょ⁉︎」

「それはテメェが悪い。」

「当たり前のことですありんす。」

「反省してよね☆」

「がぁぁぁぁぁぁ‼︎」

「え〜、なんで〜⁉︎」

 

 それは皆と仲良くなれたのもあるけど、やっぱり奈々子が和らげてくれるからなのかな。そんな事を時々思うようになった。

 

 

 

 そんなこんなでしばらく休憩していると、

 

「おはようございまぁぁぁぁぁぁす‼︎」

「おはようございます!」

「おはようございます………」

 

 巽がレッスン室に入ってきた。珍しいわね。普段はボロ部屋でしかミーティングしないし。一体何があったのかな?隣のニートが金溶かしたとか………?

 

「今日はいつもの前振りはやらない。何故なら重大な話だからだ‼︎」

「「「「重大な話………?」」」」

「来る12月末、500人規模のライブを行う‼︎」

 

 そんな事を思ってたら、真面目に仕事の話だった。500人規模か………。そろそろこのサイズに到達するのね。ようやくなのか、それとも遅すぎるのか………。まあ、そろそろだとは思ってたけど。いずれにしても、越えるべき山場みたいね。

 

「500人規模⁉︎」

「何、すごいとや?」

「すごいっちゃよ!500人だよ500人!」

「まあ、そろそろかもね。」

「いつもの対バンやチェキ会、営業とは訳が違うぞ‼︎お前らに500人の箱が埋められんのか?どうなんじゃい、さくらぁぁぁぁ‼︎」

「えっ⁉︎」

「オーケー‼︎よく言ったぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 いや、何も言ってないでしょ。

 

「はい、そんな今回のライブの舞台は………唐津市ふるさと会館アルピノじゃぁぁぁぁい‼︎」

 

 ということで、今回の舞台はアルピノに決まった。嘘でしょ⁉︎懐かしいところじゃん‼︎私が初めて佐賀でライブしたとこだし‼︎

 

「えっ…………?」

「リリィも知らな〜い。」

「アタシも分からん。」

「がぁぁぁぁ。」

「佐賀組が知らなくてどうするのよ。」

「アタシふるさと会館なんか行かんし。」

「リリィ唐津じゃないもん*1☆」

「私記憶無いし………」

「がぁぁぁぁ。」

 

 ただ、佐賀組は知らないってどういうことよ。あそこあんまり有名じゃなかったのか。これは集客に苦労しそうね。

 

「皆役立たず〜。」

「「「奈々子ちゃん(お前)にだけは言われたくない‼︎」」」

「がぁぁぁぁぁ!」

「え〜、ひど〜い!」

「酷いのはアンタの頭よ。」

 

 それと、ニートの世話にも苦労しそうね。間違えても公共の施設を酒浸しにしないようにさせなきゃ。

 

「今から何も知らんお前らのために、俺がアルピノを案内する。ついてこい‼︎」

「はい!」

「は、はい………」

 

 ということで、私たちはアルピノへと向かった。

 

 

 

 

 数分後、私たちはあっという間にアルピノに着いた。そして中の大きな多目的ホールを見たのだが…………その光景がとても懐かしかった。10年経ってもあんまり変わってないんだな〜。そういや、奈々子は私のファンだったような………

 

「ねえ、奈々子。アンタはここ来たことある?」

「ボク〜?あるよ〜!愛の佐賀初ライブだよね〜。」

「えっ、そんなことも知ってるの⁉︎」

 

 嘘でしょ⁉︎それって結構なファンじゃん‼︎普通佐賀初だからって、ここまで追ってくる人はいないよ‼︎東京からここまで遠いもん!地元の秋田からなら尚更!

 

「愛のことならなんでもお見通しさ〜♪」

「なんかキモいわね。」

「え〜、ひど〜い!ボクやけ酒しちゃ〜う!」

「いつも飲んでるじゃない‼︎」

 

 にしても、こんなコアなファンを私が覚えてないことってあるんだろうか。私は何回も来てくれるファンは結構ちゃんと覚えていた。それなのに、私の記憶では巽奈々子って人はいなかった。何よりこんなアル中がいたらすぐに気がつくはずなのに。もしかして、私が死んだ時は未成年だったのかな。それか佐賀じゃないにしろ、この近辺の出身とか。聞いてみよう。

 

「そういや、奈々子って佐賀出身じゃないよね?どこなの……?」

「ボクの地元?う〜ん…………」

 

 えっ?地元答えるのにそんな悩むことある⁉︎分かりにくいところなの⁉︎

 

「お酒飲みすぎて忘れちゃった〜♪」

「はぁ⁉︎」

 

 いや、そんな事ある⁉︎普通いくら飲み過ぎても忘れないでしょ⁉︎コイツ頭おかしいんじゃないの⁉︎

 

「ボクの脳みそはお酒とタバコとギャンブルでいっぱいなんだよ〜♪」

「バカなの⁉︎自分の地元くらいは覚えておきなさいよ‼︎」

「む〜り〜♪ちなみに、仕事のことも入る余裕ないかな〜。だから休みま〜す♪」

「休むな‼︎頭に叩き込め‼︎」

 

 ホント無茶苦茶な奴ね‼︎地元覚えてないで許されるのは転勤族くらいよ!まあ、その可能性の方が高いか。そう思ったアルピノの下見だった。

 

 

 

 それから数日は、いつも以上に集中して練習した。のだが………

 

「さくら、先走り過ぎ。最近ちょっと変よ。」

「あっ、ごめ〜ん♪もっともっとやらないとって思っちゃって〜♪」

 

 さくらの様子が日に日におかしくなっていたのだ。普段以上に明らかなハイテンション。そして暴走することが多々増えた。

 

「さくら〜、ちょっと冷静になろうか〜。きゅうけ〜い!」

「平気平気‼︎まだまだ練習足りないくらいだよ〜♪単独ライブだも〜ん、ちゃんとしたパフォーマンス見せないとね♪」

「きゅ・う・け・い‼︎ちゃんとしたパフォーマンスのために休むの〜‼︎」

「だから私は全然平気やけん♪」

 

 まるでお酒にでも酔ってるかのよう。これは完全にハイになってるわね。一回なんとか落ち着いてほしいけど………。あと奈々子、私の時ほどはキツい口調使わないのね。流石に皆の前だからかな。

 

「ボク、ちょっと幸太郎呼んでくる。」

「うん、お願い。」

「あれ〜、行っちゃうと〜?」

「さくら、お前一回落ち着け。とりあえず休憩や。」

 

 そして、奈々子が巽を呼びにいった。それを見たサキがすぐさま休憩の指示。とりあえず、今はこうするしかない。心は熱く頭は冷静にって、私も生前の時よく言われてたなぁ。側から見るとこう感じるんだって、知ることができた。

 

 

 

 

 しばらくすると、奈々子が巽を呼んで帰ってきた。

 

「みんな〜、幸太郎連れてきたよ〜。」

「あ〜、ヒンナヒンナ‼︎このイカゲソヒンナヒンナ〜‼︎」

 

 だけど、肝心の巽が壊れていた。いや、元からか。イカゲソ食いながら何言ってるのよ、コイツ?

 

「今から特別メニューを発表しまぁぁぁぁぁす‼︎その名も………山籠りじゃぁぁぁぁぁい‼︎」

 

 山籠り⁉︎嘘でしょ⁉︎何がどうしてこうなった⁉︎それで奈々子はなんで隣で納得したような顔してるのよ‼︎これのどこがいいって言うの⁉︎

 

「いっかい頭をリフレッシュしよ〜♪」

 

 あっ、そういうこと。斬新な休憩ってことね。確かに場所を変えるのはありかも。よく私も練習で煮詰まっていた時に、友達に色んなところ連れてってもらったし。

 

 ということで、私たちは山へとやってきたのだった。

*1
確か佐賀市近辺のはず。




金カムパロでラッコ鍋をやろうとしましたが、流石にフランシュシュに合わないのでやめました。
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