伝説のニート、平成のアイドルと共に佐賀を救う   作:スピリタス3世

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第十六話 ゴールデンゾンビSAGA 後編

  愛視点

 

 私たちがやってきたのは佐賀の天山。佐賀にしては珍しく雪がそこそこ積もっている。秋田ほどじゃないけど。ちなみに巽だけは凍死のリスクがあるので帰った。

 

「え………?これ意味あるとかな?」

「あるわよ。」

「愛ちゃんが言うと⁉︎」

「うん。」

 

 それにしても、なんか懐かしいな〜。ホント小さい時を思い出す。確かこんな感じで近くの枯草を集めて防寒着にし、木の枝をこうして弓矢の形にして………

 

「愛ちゃん⁉︎」

「お〜、完全にマタギじゃねえか⁉︎」

「手慣れてますね………」

「わっちの時代の狩人に居てはりましたなぁ。」

「流石秋田出身☆」

「がぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 できた、マタギスタイル‼︎そういえば、最初は小学校の時の体験だったなぁ。その時はやる気がなかったけど、気がついたら楽しくなってハマったっけ。そして、これで友達を連れて山を駆け回ってたな〜。よく猟友会の人に危ないって怒られたのはいい思い出だ。

 

「これはとんだスケベマタギですなぁ〜。」

「スケベは余計よ‼︎」

「え〜、でも誰かさんの写真を………」

 

 そうそう、こんな感じで友達を連れて………って違ぁぁぁぁぁう‼︎なんでコイツは私が純子の写真持ってることバラそうとしてんのよ⁉︎あとそれエッチな意味じゃないから‼︎アンタだって(わた)しの写真の1枚や2枚くらいは持ってるでしょ⁉︎

 

「「「「写真………?」」」」

「違う違う‼︎なんでもないから‼︎コイツが酔っ払って変なこと言っただけよ‼︎///」

「まあ、そうやろな。」

「奈々子ちゃん、いっつもおかしなことしか言わないからね☆」

「がぁぁぁぁ‼︎」

「破廉恥なのは奈々子さんの方じゃないですか………」

「日頃の行いの差でありんすなぁ。」

「え〜、なんで〜⁉︎みんな厳し〜い!」

「皆、大丈夫と…………?」

 

 ということで、なんとか私は誤魔化せたのだった。

 

 

 私たちはその後役割分担をし、リリィとゆうぎりを火おこし担当に、たえとサキを鎌倉づくり担当にした。純子は趣味の釣りがしたかったので、そのまま1人にさせてあげた。そして、私とさくらと奈々子は………

 

「で、今から何すると………?」

「狩りよ‼︎」

「えっ⁉︎」

 

 マタギだ。

 

「私他のみんなより動体視力いいから、狩りが向いてるの。」

「ええ………」

「さくら〜、愛は結構おバカさんだから、優しくしてあげて〜。」

「誰がバカよ⁉︎アンタの方がバカでしょ⁉︎」

「そんな事ないって〜。」

 

 にしても、コイツはなんなの⁉︎確かに私はあんまり勉強できないけどさ‼︎アンタだってすぐ金を溶かすバカでしょうが‼︎

 

「ふっ、2人とも落ち着いて………」

「「それはさくら‼︎」」

「えっ⁉︎」

 

 とまあ、それはさておき………今回はさくらを落ち着かせにきた。今のさくらは完全におかしくなっている。せっかくダンスも歌も上達してきたのに、もったいない。だからそれを元に戻すために、私たちはこうしてこんな山まで来たのだ。

 

「さくら〜、さっきはキツく言ってごめんね〜。」

「いや、大丈夫だよ!それは気にしてないけん。ばってん……」

 

 えっ?あれでキツかったの?私の時と全然違うじゃん。びっくりするぐらいの怒鳴り声だったよ。

 

「皆本番前で練習しなきゃいかんとに、こがんことしててよかと?」

「それなんだけどね〜、ボクより愛から言った方がいいか〜。」

「それもそうね。」

 

 まあいいや、今その話は後だ。

 

「さくら、アンタは今テンションが上がり過ぎちゃってたの。」

「えっ?それはよかことやなかと?」

「テンション上がるのはいいんだけどね、頭でちゃんと自分のことをコントロールしなきゃダメなの。今はそれが出来てない。隣のニートが楽しくなって、すぐギャンブルで金を溶かすのと同じよ。」

「そう、なのかな…………?」

「ちょっと、ボクは関係なくない⁉︎」

「私の大切な友達が言ってたんだけどね。心は熱く、頭は冷静に。人間は感情が昂りすぎるとパフォーマンスが落ちる。それに、適度に休まないと集中力は続かない。ゾンビになっても私たちは寝るでしょ?それは脳みそがあまり生きてた頃と変わってない証拠なの。」

「そう、なんだ………」

 

 幸い隣のニートと違って、さくらは素直だから助かる。きちんとアドバイスも聞き入れてくれるし。巽に気に入られるのも分かる気がする。

 

「だから煮詰る前に休むの。こうやって場所を変えて、ね。」

「うん………」

「さくらは素直でいいね〜。愛なんかすぐ言い訳するのに〜。」

「アンタだってすぐグチグチ言ってるでしょ‼︎」

 

 そんな事を思っていたら、素直じゃない奴に文句を言われた。マジでムカつく‼︎

 

「それはさておき〜、」

「おくんだ…………」

「さくら〜、もしかして何かあった〜?悩みや考え事があるなら聞くよ〜?」

 

 でもまあ、相談されやすい優しさはコイツのいいところよね。私だったらそこまで考えが回らなかった。確かに、他に悩みがあるのかな?

 

「それなんやけど………なんか私、アルピノ行ってから過去を思い出せそうな気がして………それで先走ってたかも……」

 

 そんな事を思ってたら、さくらが意外なことを言った。もしかして、昔行ったことある場所から記憶に繋がる何かを得たのかな?にしても、何も覚えてないのも辛いよね。

 

「おお〜!もしかしたら過去に行ったことがあったんじゃな〜い?」

「さくらはこの辺の出身っぽい方言だもんね。」

「そう、なのかな………」

「だいじょ〜ぶ!ボクたちと一緒に思い出してこ〜!」

「そうね。アンタが本調子じゃなかったら、私も困るんだから。」

「ありがとう、2人とも………」

「愛ったら、素直じゃないんだから〜。」

「うるさい、奈々子‼︎」

 

 これからは、皆の悩みも一緒に背負いながらいこう。それが出来るのが、グループの強みなんだから。

 

 

 

 こうして、私たちはしばらく動物を探して雪山を歩いてた。

 

「ちょっと〜、2人とも速いっちゃと〜!」

「ごめんごめん!」

「もっとゆっくり歩くよ〜!」

 

 さくらがちょっと遅れ気味だった。まあ佐賀は普段雪降らなそうだし、慣れてないのも仕方ないか。普段は運動神経いいんだけどね。ダンスの覚えも早いし。あと奈々子、アンタはなんで逆に普通に歩けるのよ。運動音痴のはずでしょうが。

 

「愛は流石雪国出身だね〜。慣れてる〜!」

「そう?」

「秋田はいつもこんな感じなんやね。」

「冬以外は違うわよ!冬はもっと積もるけど。」

「え〜、これ以上っちゃと⁉︎信じられな〜い‼︎」

 

 それにしても、秋田の雪山は懐かしいな。私の身長以上に積もるのが当たり前だったし、家も冬場は1階が埋もれていたし。アイアンフリルのメンバーになって東京に来てからは、全然そんなことなかったけど。たまに帰省はしていたけどね。

 

 その後、私たちは何も狩れなかったが、無事さくらの心を落ち着かせることができた。なので、巽を呼んで下山し、屋敷で引き続きレッスンに励んだのだった。

 

 

 

 そんなこんなで1週間くらい経ち、アルピノライブまであと2週間ほどになった。皆のコンディションは良好。あと少し詰めれば、万全になる。安心してライブに挑める。はずだった…………

 

「さくら、どうしたの………?」

「ぎゃぁぁぁぁぁ⁉︎ゾンビィィィィ⁉︎」

 

 山籠りから数日後のこと。さくらがなんらかの衝撃で記憶喪失になった。

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