伝説のニート、平成のアイドルと共に佐賀を救う   作:スピリタス3世

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第十八話 チームハードラックSAGA

  愛視点

 

 翌日から、私たちは早速さくらを説得することにした。

 

「ねえさくら〜。」

「なんですか、ニートさん。私はアイドルなんてやりませんよ?」

「もってないから〜?」

「そうです。」

「ならボクと一緒だね〜。」

「へっ⁉︎」

 

 とりわけ奈々子は人の懐に入るのが得意だ。あの独特の空気感と人懐っこさは、フランシュシュのファンを増やす要因にもなっている。実際奈々子目当ての人もいるくらいだし。そんな彼女なら、ちゃんと説得できるはず…………

 

「だってボクはボートレースに全財産突っ込んで負けたから‼︎」ドヤァ

「ただの自業自得じゃないですか。」

 

 ダメじゃん‼︎何してんのよコイツ⁉︎

 

「え〜、そんな事ないよ〜。」

「ただギャンブラーが後先考えずに全額突っ込んだだけでしょう?というかその後どうしたんです?」

「え?自殺したよ〜。だって働いてお金稼ぐのはキツいし〜。」

「ただのクズじゃないですか。どうやって今まで生きてたんですか?」

「最初は親に養ってもらおうと思ってたんだけどさ〜、生涯無職宣言をしたら捨てられたんだよね〜。だから男にナンパされては捨てられて〜、を繰り返してた!」

「酷い人生ですね。」

 

 本当それ。なまじ容姿がいいからナンパしてきた男に養われてたのね。料理覚えたのもそれだっけか。でも働く気がない上にギャンブルで金も溶かすのなら、そりゃ捨てられて当然ね。意外と今の仕事はちゃんとやってるんだから、生前もやればよかったのに。

 

「でもまあ〜、他の皆も大概だよ〜。見てあれ〜、全員ゾンビだし〜。」

「それはまあ、見れば分かります。」

「だからさ〜、………」

 

 さてと、ここからまくし立てるわよ!私も説得に入って!

 

「試してみようじゃない。これだけもってない人……ゾンビが集まったらどうなるか?一緒にアルピノでね!」

「でも今まで皆、一生懸命練習してきたとに……」

「さくらちゃんだって、一緒にやってきたんだよ☆」

「それも、さくらはんが一番真剣にやってたでありんすか。」

「がぁぁぁぁぁぁ‼︎」

「もう腐れ縁なんです。ゾンビなだけに。」

「大丈夫‼︎アタシらが出来るのは、ベストを尽くすことだけや‼︎」

「がぁぁぁぁぁぁ‼︎」

「失敗はいくらでもしていい‼︎それって絶対次に繋がることだから!」

「そうか………そうっちゃね………」

 

 私以外も全員で説得にかかる。どうやらさくらは何か納得した様子だけど………上手くいったかな?

 

「そこまで言うなら、私もやってみるけん。でも失敗した時は………」

「気にしな〜い♪」

「それでもいいならやってみると。」

「「「「おおおおおお!」」」」

 

 どうやらさくらもやる気出してくれたみたいね。本当によかった。これでよし‼︎

 

「それじゃあアルピノライブに向けて、気合い入れるばい‼︎」

「「「「「オー‼︎」」」」」

 

 あとは本番を迎えるだけ。どんな不運が舞い込もうとも、必ずそれに打ち勝ってみせる‼︎

 

 

 

 

 そしてアルピノライブ当日がやってきた。やってきた不運はなんと、佐賀史上最大の降雪。バスも電車も運休することになった。しかも相当積もってる。秋田だったらこのくらいはなんてことないけど、ここは佐賀。だから雪かきしないとマズいわね……

 

「みんなは練習に励んで〜!ボク雪かきしてくる〜!」

「そうね。私もちょっと休憩中にやらないと。屋根の上とかは慣れてる人じゃないと危ないし。」

 

 そう思ったら、奈々子が代わりにやってくれるみたいだった。だけどこの雪の量、慣れていない上に運動音痴の彼女じゃ厳しいだろう。

 

「大丈夫〜、ボクがやっとくよ〜!落ちても死なないし〜!」

「あのねぇ、雪は結構重いのよ。非力で雪に慣れてないアンタじゃ厳しいって。」

「慣れてるから大丈夫〜!愛は練習、練習〜!」

「アンタねえ…………」

「行ってらっしゃ〜い♪」

 

 それでもやろうとするの⁉︎私があんなに言ってるのに‼︎コイツたまに頑固なとこあるから、こうなると全然言うこと聞かないし‼︎本当に大丈夫なのかな?雪に慣れてるとか、嘘…………

 

 いや、本当かも。山籠りの時にさくらは歩くの遅かったけど、奈々子はそんな事なかった。あの運動音痴の奈々子が、だ。しかもこの雪の量を見て、普通屋根を上の雪をどかすという発想は、非雪国の人からは出てこない。アンタさては、雪国出身ね?

 

「ちなみに酒は飲まないでね。本当に危ないから。」

「分かってるって〜!あっ、タバコのライターで火をつけて溶かそうかな〜。」

「それは建物が燃えるでしょ‼︎」

 

 いや、そんな事ないか?適度な事言ってるし。よく分かんないな。でもまあ、私がライブに出なきゃいけない都合上、誰かがやらなくちゃいけないしね。そんな事を思いながら、私はライブに集中した。

 

 

 

 

 その後のライブでは、途中ステージが雪の重みで潰れたけど、客席にはなんの影響もなかった。やっぱアイツ1人で雪かきは厳しいよね。ただ、本当にお客さんに被害がなくてよかった。その辺はアイツなりに考えてやってくれたのかな?

 

 それはそうと、さくらの記憶が戻って本当に良かった。生前の記憶とゾンビになってからの記憶がどっちも復活してくれた。それは本当に良かった。良かったのだけど………

 

「ねえねえさくら〜、愛の秘蔵写真見たい〜?」

「えっ、そんなのあると⁉︎奈々子ちゃん、見せて見せて‼︎」

「勝手に変な取引しないでよ‼︎」

 

 同担同士、変な取引をして私が困るハメになった。全然良くないし‼︎後で奈々子の持ってる写真を全部消させよう。そう思った。

 

 

 

 

  幸太郎視点

 

 源さくらの完全復活。これでまた、フランシュシュが更なる高みへと上がったな。

 

「幸太郎〜、どうだった〜?好きな子のライブは〜?」

「ううう、うるさい‼︎お前は何を言っとるんじゃい⁉︎///」

「あ〜、照れてる〜♪」

 

 そうやって俺が耽っていた時に、奈々子が邪魔してきた。ふざけるな‼︎俺はさくらのことなんか………さくらのことなんか………

 

「だ、第一お前だって、愛のライブに喜んどるじゃろがい‼︎///」

「そ〜だよ〜♪本人にも言ってるし〜♪」

「くっ、くそ‼︎///」

 

 にしてもこの女は揶揄えないな‼︎なんでそうやって堂々として居られるんだよ‼︎お前に負の感情は無いのか⁉︎恥ずかしいとかないのか⁉︎まあ、そんな感情あったら、ニートなんかやってないか。

 

「で〜、告白はするの〜?」

「そんなつもりはない。俺はただ、アイツをアイドルにしたいだけだ。」

「そっか〜。ざんね〜ん♪面白いところが見れそうなのに〜♪」

「い、いちいち揶揄うな‼︎///」

 

 それにしても、全くブレない女だな。常に愛を追い続け、酒を飲み金を溶かす。柔らかいようでどこか固い信念がある。それだからこそ、俺の相棒に相応しい。そう思った日だった。




2期の内容に入る前に、オリジナルの話を1話やります。

ちなみに映画は公開中&ストーリーに沿うには配信されないと厳しい、ということで、しばらくやりません。
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