伝説のニート、平成のアイドルと共に佐賀を救う   作:スピリタス3世

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第二話 キャッスルオブSAGA

  愛視点

 

 皆と出会った翌日。私たちは巽が運転する黒い車に乗り、次の仕事の場所、佐賀城に向かっていた。皆ゾンビばれ防止メイクを済ませ、ライブに向けて車の中で準備を整えていた。緊張してる人、楽しみにしている人。いろんな人がいる中で………

 

「あ〜、お酒美味し〜♪」

 

 1人やる気のない奴がいた。巽奈々子。仕事前にもかかわらず、鍋島と書かれた日本酒をラッパ飲みしているこのクズは、伝説のニートである。その名を体現するかのような仕事ぶりに、思わずため息が止まらない。

 

「奈々子、アンタ何飲んでんのよ⁉︎仕事前でしょ⁉︎」

「愛〜、それがどうしたのさ〜?」

「ベロンベロンで現地の人とやり取りするわけ⁉︎」

「大丈夫、ボクお酒強いから!」

「そういう問題じゃない‼︎」

 

 一応服装はいつものスウェットじゃなくてスーツを着ている。ただ髪の色が黄緑で、かつピアスも着いてるので正直合ってない。いつものスウェット姿がパチンカスとして、あまりにも似合いすぎてるからだ。

 

「愛、そいつ車から突き落とすぞ!」

「分かったわ、サキ!ほら純子、窓開けて!」

「は、はい‼︎」

「いや、ちょっと待って〜!落とさないで〜!」

「な、奈々子さんが落ちそう〜!どやんすどやんす〜⁉︎」

「別に落としていいんじゃない?」

「たえはん、するめでありんす。」

「がぁぁぁぁぁぁ!」

「あぁぁぁぁぁぁぁもう‼︎お前らうるさい‼︎静かにせんかい‼︎」

 

 巽もこんなのを相方にしなくていいのに。つーか奈々子も巽か。紛らわしい‼︎片方苗字変えなさいよ‼︎さくらに至っては敬語だし。要らないでしょ、こんな奴に敬意なんか。

 

「そういやさくら。なんでこんな奴に敬語なのよ?」

「いや、だって26歳のマネージャーだし………」

「お〜、さくらは偉いね〜!それに比べて愛は、ボクに対する敬意が足りないと思う!だから敬え〜♪」

「アンタのどこに敬える要素があんのよ⁉︎」

「さくら、コイツにはタメ口な。じゃねえとぶっ殺すから。」

「サキちゃんなんで⁉︎」

「サキも怖〜い!まあそれはそれとして〜、さくらもタメ口でいいよ〜!」

「そ、そうなんだ……よ、よろしく、奈々子ちゃん!」

「よろしく〜♪」

 

 それにしても、この圧倒的なだらしなさ。とても自分より10個も上とは思えない。26歳なんて立派な大人なんだし、もっとしっかりしてほしい。

 

 

 

 

 そんな事を思っていると、会場である佐賀城に辿り着いた。

 

「はい到着‼︎それじゃあまずお前らには、俺が案内する控室に入ってもらう‼︎それで時間が来たらステージ袖に待機だ‼︎いいかお前ら、絶対にゾンビィばれするなよ⁉︎」

「「はい!」」*1

 

 とりあえず流れは普通のライブと同じ。巽は私たちを案内した後に受付や挨拶回りに行くのだろう。恐らく奈々子もそこに同席するのね。

 

「ボクはみんなの出番までパチンコ行ってくるよ〜!」

 

 しないの⁉︎なんなのコイツ⁉︎

 

「アンタ何しに来たのよ⁉︎」

「奈々子は俺と一緒に受付だ。今日はちゃんと仕事をしてもらう。」

「え〜、めんどくさ〜い!仕方ないな〜。」

「仕方なくない‼︎早く行け‼︎」

「愛ったら、厳し〜!」

 

 よかった。一応そこはちゃんと巽が引っ張ってくれるのね。にしてもマジで殴りたくなるな、コイツ。私は10年後こんな大人にならないようにしよう。ゾンビだから歳取らないけど。

 

 

 

 

 

 楽屋でしばらく待機した後、いよいよ私たちの出番となった。

 

「続いては、グリーンフェイス*2さんです!」

 

 司会の人に呼ばれて、私たちがステージに出ると………

 

 

 

 

 

 

 

 

「グリーンフェイス〜!がんばれ〜!」

 

 なんと客席の後ろの方で、ニートが酒を飲みながら待機していた。マジでアイツ何してんのよ⁉︎営業終わったらもう遊びモード⁉︎それともサクラになってくれるってこと⁉︎それはまあ、ありがたいけど………

 

「おぉ、嬢ちゃんいい飲みっぷりじゃな!」

「だいぶ若いのに大したもんだ!」

「えへへ〜、あざま〜す!実はですね〜、このグリーンフェイスって娘たちすごいんですよ〜!」

「おお、そうなのか!」

「これは楽しみじゃのう‼︎」

 

 しかもなんか近くの爺ちゃんたちに気に入られてる〜⁉︎そんな事ある⁉︎さらっと私たちの宣伝もしてるし‼︎まあ確かに、少し幼い見た目で奇天烈な行動。それでいて素直でなんか憎めない。おまけにふにゃふにゃと柔らかい口調。歳上から好かれそうな要素はある。とはいえ、アイツ意外とやるわね………

 

 

 

 そして、その後ライブが始まると…………

 

「おお〜!いいね〜!みんな可愛いよ〜!」パシャ、パシャ

 

 持っていたカメラで皆を撮り始めた。なるほど、カメラマンもやるのね。後ろの方にいるから、多少動き回っても邪魔にはならない………って思ってたら前の方に来た!一応スタッフの名札ぶら下げてるからいいのか。元ニートのくせに、意外と仕事するのね。

 

「お〜、もうちょっとで3号のパンツだ〜!何色かな〜?」

 

 前言撤回。後でぶっとばす‼︎つーか名札つけながら酒飲んでたのかよ‼︎やっぱりふざけすぎでしょ‼︎覚えてなさい!

 

 

 

 

 

 

 その後、私たちのライブは大盛況………とまではいかないけど、そこそこの盛り上がりで終わった。初陣にしては上出来だが、まだまだ課題だらけだ。

 

「みんなおつかれ〜!」

「初めてにしては上出来だ。だがまだまだこんなもんじゃ佐賀は救えん‼︎これからとことん特訓して、もっとレベルを高く高く高〜く、多良経ヶ岳くらいまで高くする必要がある‼︎分かったか⁉︎」

「はい!」

「へっ?」

「純子ちゃん!多良の経ヶ岳は佐賀で一番おっきな山やと!」

「あ、ありがとうございます!なんとなく伝わりました!」

 

 そして、私はやらなければならないことがある。

 

「奈々子。」

「愛〜、どうしたの〜?もしかして、ボクの人生初仕事を褒めてくれるの〜?」

「今すぐパンツの写真を消せ‼︎」

「「「「えっ⁉︎」」」」

 

 変態が盗撮した写真を消してもらうことだ。アイドルのパンツをカメラに残すなんてあっちゃいけない。だから殴ってでも消させる‼︎

 

「撮れなかったから大丈夫〜!その衣装、見えないようになってたし〜。ざんね〜ん!」

「見えなかったんだ、ならよかった………ってなると思う⁉︎とりあえず殴らせなさい‼︎」

「え〜、許してくれないの〜?愛怖〜い、純子助けて〜!」

「なっ、奈々子さん⁉︎えっ、えっと………とっ、盗撮はダメだと思います!」

「マジ〜?純子にハシゴ外された〜!」

「ありがとう、純子。これで心置きなく殴れるわ。」

「わ〜、暴力はんた〜い!やめて〜!」

「待て‼︎逃げるな‼︎」

 

 つーか、私だけ特にナメられてない⁉︎他の人のは全然撮ろうとしなかったし‼︎マジでムカつく‼︎そんな事を思った初ライブの日だった。

*1
さくらと純子

*2
1期2話時点なので、まだフランシュシュじゃない




佐賀弁めちゃくちゃですいません!
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