伝説のニート、平成のアイドルと共に佐賀を救う   作:スピリタス3世

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サブタイは違いますが、アニメ2期1話の話です。


第二十話 ハードワークニートSAGA

  愛視点

 

 パチンコの新台が出てから1ヶ月と少し。私たちは駅前不動産スタジアムで30,000人規模のライブを実施した………が、当然爆死した。私にとってのリベンジとして意気込んでいたものの、正直人数を広げすぎて無茶だとは思ってた。しかも当日券のみ。そりゃダメなわけだ。

 

「まあ、そりゃそうだよね〜。」

「アンタやけに呑気ね。」

「いきなり規模広げすぎ〜、って幸太郎に言ってたも〜ん。聞き入れてくれなかったけど〜。」

 

 どうやら奈々子も同意見の様子。

 

「なんか事情があったのかな?」

「さぁ?でもまあ、これでまた目標が出来たんじゃな〜い?あそこでもう一度ライブをするって〜。」

「ファンの数を取り戻して増やして、あそこまで到達するのね。上等、やってやろうじゃない!」

「お〜!」

 

 ただ、案外奈々子は挫けてない。むしろここからやってやるという雰囲気だ。もちろん私もそう。元々がゾンビが佐賀の地方アイドルという無茶苦茶なスタートだったからね。これくらいは平気。雷だって奈々子のおかげで克服できたし、生前と同じ会場で失敗するのだって大丈夫だ。元々失敗をそんなに悪い事だと思ってないし。

 

 ただ、もう1人の裏方は平気じゃなかった。

 

「で、アイツには電話繋がったの?」

「ぜんぜ〜ん。ずっと電話に出な〜い!」

「全く、何してるのよ………」

 

 巽が音信不通になったのだ。どこに行ったかすらも分からないという。普段無茶苦茶な振る舞いで折れてるところとか見なかったから、これは新鮮だ。確かに今まで順当だったから、失敗を知らなかったんだろうけど。

 

「とりあえず、大量の借金を返さないとね。」

「そうだね〜。じゃ、ボクはボートで一発当ててくる〜♪」

「ダメに決まってるでしょ‼︎借金増やしてどうすんのよ⁉︎」

 

 にしてもコイツ、巽とは対照的に呑気ね‼︎相変わらずギャンブルしか頭にないし‼︎

 

「え〜、じゃあどうするの〜?」

「働くのよ。バイトでね。」

「働く⁉︎そんなのムリムリ‼︎ボクを誰だと思っているの⁉︎」

「うるさいニート‼︎働くったら働く‼︎」

「嫌だ〜‼︎」

 

 しかも働く気ないし‼︎本当になんなのよ⁉︎これはもう、強引にでも職場に引き摺り回すしかないわね。そう思った日だった。

 

 

 

 私たちが労働を始めてからしばらく経ったある日のこと。

 

「ただいま。」

「おかえリリィ☆」

「おかえり、愛ちゃん!」

「んんんんんん!」

「おかえりなさい。」

「はい、お土産。殿様スルメ。」

「やった〜☆」

「「がぁぁぁぁぁ!」」

「たえちゃん、皆で食べなきゃダメ!ロメロも!」

「おう、愛。ちょうど水道空いたぞ。」

「ありがとう。浴びてくる。」

 

 私はお土産を持ってアルバイトから帰ってきた。今私は小島食品工場という会社でスルメを製造している。ちなみに他のみんなは違うところでアルバイトしている。さくらとたえが牧場、サキが工事現場、純子が陶芸製造、リリィが牛乳配達だ。そして………

 

「さて、そろそろ日が暮れるでありんす。」

「ボクたち夜の女の出番だね〜!」

 

 ゆうぎりと奈々子がスナックだ。ゆうぎりはともかく、奈々子は最初私と同じ工場の予定だった。しかし仕事中に酒を飲みたい&コミュ力が高いなどの理由から、夜職の方がいいということに。以降ゆうぎりの監視の元働いているのだ。

 

「今から出勤?頑張って!」

「夜の佐賀を任せるばい‼︎」

「はい!」

「ありがと〜!」

 

 しかもなんだかんだゾンビバレせずにやれている。ゆうぎりの監視もあるからだろうか。さらにアイツ、嫌がりながらもなんだかんだ働いている。もしかして仕事している方が合ってるんじゃないか。生前も普通に働いていればよかったのに。ついそう思ってしまった。

 

 

 

 皆が働いてくれたおかげで、私たちの借金返済は予定より早くなりそうだった。だが、別の問題が出てきた。

 

「う〜ん、巽みたいなメイクって難しいね。」

「ミニライブ*1しても〜、顔色悪くなってるって言われるし〜。営業先からの感触も、微妙になってるんだよね〜。」

「アイドルは顔が命だからね。」

 

 メイクの問題だ。私たちもそれなりに出来るとはいえ、巽ほどじゃない。そのためゾンビバレは防げているものの、アイドルとしての顔色には届いていない現状。奈々子が代わりに頑張ってるけど、それでも微妙なのが現状だ。

 

 更には作曲。巽以外に作曲できる人が全くいない。そのため既存の曲だけで回していくのはかなりキツい。そのうち飽きられるのがオチだ。

 

「さくら〜、幸太郎を煽っといて〜。ボクみたいなニートになるよって。」

「確かに、それはありっちゃね!」

「アンタのその発言、相当効くと思うわ。」

 

 ぶっちゃけ、巽がいなくなってから奈々子の働きっぷりは凄まじい。夜はスナック、昼はプロデューサー。もうニートなんて呼べないくらい、すごい頑張っていると思う。最近はメイクに作曲もなんとかしようとしてるし。元ニートがどこにそんな情熱を隠してたのか。本当に意外だ。

 

 

 

 

 しばらくして、私たちはデスメタルハウス『GEILS』でライブをすることになった。どうやら私の意識がない時に、フランシュシュの最初のライブ会場としてやったらしい。

 

「みんな〜、雰囲気は結構違うけど、押されずにね〜!」

「そうね。箱は小さいけど油断せずに。目の前の人を楽しませていきましょう。リーダー。」

「おう!気合い入れていくぞ〜‼︎」

「「「「「オー‼︎」」」」」

 

 楽屋でエンジンを組んだ後、私たちはステージに出ていった。奈々子はいつもなら客席にいるが、最近はプロデューサーとして裏にいる必要があり、全然客席では見なくなった。それがいつからか、少し寂しくなってしまった。まあ、これが普通なんだけどね。

 

 それはともかく、こっちの事情なんて着ているお客さんには関係ない!メタルのライブハウスという完全アウェーな環境でもやってみせる!

 

 そういう気持ちで始まったライブは、それはもう地獄だった。いつも応援してくれるデスメタルおじさん2人以外は、アイドルのライブなんか全く興味無い様子。そりゃそうよね。ジャンルが違いすぎるもの。でも1人でも多く、ファンにするんだ………っ!

 

 

 

 

 

 

「行けぇぇぇぇぇぇぇ‼︎フランシュシュ、行けぇぇぇぇぇぇ‼︎」

 

 そんな事を思っていたら、なんと幸太郎の方の巽が後ろのドアを開けてやってきた。やっとだ………やっと来てくれたんだ‼︎全く、遅いのよ………

 

「なんかテメェは⁉︎黙っとけ‼︎」

「がはっ!」

「幸太郎さん⁉︎」

「はい効かない‼︎行けぇぇぇぇぇ‼︎」

 

 えっ、ちょっ⁉︎なんか喧嘩が始まったんだけど⁉︎大丈夫なの⁉︎

 

「「「行けぇぇぇぇぇ‼︎」」」

「あぁ⁉︎うるせえんだよ‼︎」

「こやんか事久々ばい‼︎」

 

 デスおじも混ざり始めた‼︎何これ⁉︎

 

「よしっ、ちょっくら片付けてくるか。」

「サキ、アンタは行くな!」

 

 サキも混ざろうとしてる。アンタはダメでしょ‼︎

 

「ほ〜ら〜、歌って〜!」

「はいミュージック、カモォォォォォン‼︎」

 

 そして、奈々子と巽が後押ししてくれる。これはもう、歌うしかないわね………っ‼︎

 

 

 

 その日のライブは本当にめちゃくちゃだった。観客席中が入り乱れて、なんのことだか分かんない状態。でも、何人かは手を止めて見てくれた。デスおじもそれに協力してくれた。ぐちゃぐちゃな中で、何人かの心を惹きつけることができた。そんな日だった。

 

 

 

 ちなみにその翌日、

 

「おっはようござぁいまぁぁぁぁぁぁぁす‼︎」

 

 完全に元気になった巽を見た奈々子が…………

 

「遅いよ幸太郎‼︎ボクよりクソニートだったじゃん‼︎自分で始めたプロジェクトのくせに‼︎ボクはしばらく休職するから、死ぬ気で働いて‼︎じゃあね‼︎」

 

 ブチギレて巽に休職届を押し付けて、部屋を出ていったのだった。

*1
裏方に奈々子がいる影響で、幸太郎抜きでも普通に活動しています。頻度は減ってますが。

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