伝説のニート、平成のアイドルと共に佐賀を救う 作:スピリタス3世
愛視点
最近本当に私と奈々子がペアの仕事が増えてきた。私のソロ活動は終わったはずなのに、今度はニートとコンビ活動。しかも芸人チックな。ニートの世話どころか、お笑いコンビまで組まされるのは本当にやめてほしい。
そんな事を思っていたある日の仕事帰り、私はいつものように奈々子を後ろに乗せてバイクを走らせていた。
「アンタさ、免許取る気はないの?」
「え〜、そしたら好きな時にお酒飲めなくなっちゃうじゃ〜ん!」
「アホか‼︎さっさと取れ‼︎」
その理由はコイツが無免許だから。どうやら運転する時に酒が飲めないのが嫌らしく、今まで取る気も起きなかったらしい。普通は成人したマネージャーが運転して未成年のアイドルを連れて行くはずなのに、私らだと逆。本当に意味不明だ。
「そ〜だ、今日はあそこ寄って〜。」
「あそこ………?」
「ボートレースからつ‼︎」
「小遣いの範囲内でやってもらうからね。」
「え〜、そこをなんとか〜。」
「余計な事言ったらここに置いてくから。」
「そんな〜!」
しかもこの後はギャンブルやる気満々。相変わらずのろくでなしっぷりだ。なんでコイツの世話してるんだか。10個も歳下の私が。これってもう介護だよね?時々そう思ってしまう。
そんな事を思いながら、私はボートレースからつまでやって来た。
「せっかくだからさ〜、愛も見ようよ〜!お金は賭けなくても大丈夫だからさ〜。楽しいよ〜。」
「分かった。アンタの金が溶ける様をこの目に焼き付けておくわ。」
「なんでそんな酷い事言うの〜!」
どうせなら、ポートレースとやらを見てみよう。賭けはしないけど、見るだけなら出来る。普通にレースも面白そうだし。そんな事を思いながら、中に入ると…………
「「「3号さんとアル中さん⁉︎」」」
「ゔぁぁぁぁ‼︎」
「たえにロメロに万梨阿たち⁉︎」
「やっほ〜♪」
「お、アル中の姉ちゃんじゃねえか〜!また俺と飲むか〜?」
「お〜、警察の人〜!おひさです〜!いいですね〜!」グビグヒ
「もう飲んでるじゃない⁉︎」
なんと意外なメンバーに遭遇した。ロメロ散歩中のたえに、何故か一緒にいるマイルドヤンキー3人。そして例の警官。サキと万梨阿たちならともかく、なんでたえと?本当によく分からないメンツだった。
「37コンビさん、何してたとです?」
あと万梨阿、変なコンビ名つけないで。
「コイツと何故か一緒に街ブラ番組の収録をしてたの。その帰り。」
「ボクは3号をギャンブラーにしに来たのさ〜。」
「ならないから⁉︎」
「本当に漫才してるっちゃね〜!」
「しかもお酒まで飲んで………やばたにえん!」
「漫才じゃないっつーの‼︎」
「3号が漫才したがりでね〜。」
「アンタのせいでしょ‼︎」
それにしても、黒髪メガネの子は似てるな、灯里に。もしかして親戚だったりして?聞いてみよう。
「それと、関係ない話なんだけど……あなたさ、」
「え、私⁉︎どうしたんです⁉︎マジびっくリンカーン!」
「あなたの知り合いに、棚橋灯里って人、いる?」
「たなはし………?知らん人です!」
「そう、ありがとう。」
やっぱり知らないか。流石にあの子が佐賀になんて、いるはずないよね。それに、私からアプローチかけるのもやめた方がいいか。私死んでるんだし。ここになって、リリィの気持ちが分かってしまう私だった。
「万梨阿ちゃん、あれ………
「やばたにえん!」
そんな事を思っていると、万梨阿たちが別の暴走族を発見した。あの子たちは格好昔のままなんだ。時々ライブに来てくれてたよね。
「お〜、もしかして喧嘩〜?」
「しませんよ、こんなところで。」
「それはよかった〜!」
「で、テメェら何しに来たと⁉︎」
「今日は美沙さんが走る日なんだよ‼︎」
「えっ、美沙………っ⁉︎」
どうやら、あのレディースの子たちのリーダーがボートレーサーになったらしい。だから来てるのね。にしても意外ね、ボートレーサーなんて。
「そうか。レディース辞めたアンタらは知らんかも知れんね。美沙さんはあのチキンレースの後、2号さんが辿り着いたスピードの向こう側を求めて、ボートレースの世界に飛び込んだとさ。」
いや、何してんの⁉︎スピードの向こう側って何⁉︎
「アイツも、突っ張るとこ見つけたとな。」
いや、なに
「だけど、美沙さんはこれまで1勝も出来とらん。あの堕天使のミサがだよ⁉︎毎回肝心なとこでアクセルミスって飛んでっちまう!最初は、爆走さを持ち上げとった連中も、今や美沙さんに賭けたら破産するなんてバカにしやがる‼︎猪の美沙なんてあだ名までつけやがって。」
でも、あまり上手くいってないのね。やはりこの世界も大変なのか。実力が物を言い、上手くいかない人は淘汰される。彼女もそうならないといいけど。
「情けねえ………」
「あぁ⁉︎」
「殺すぞ貴様ぁ⁉︎」
「アタシにそやん惨めか姿見せやがったら、ぶっ殺してやっけん。」
「「お前………」」
そして、確か万梨阿は美沙のライバルだったのよね?そんなライバルの腑抜けた姿見たら、頭にも来るわね。私も分かる気がする。これも彼女なりのエールよね。
そんな事を思っていると………
「よしっ、決めた‼︎ボクは美沙の単勝*1にオールインするよ〜!」
なんと奈々子がいきなりすごい事を言い始めた。
「そんな全部突っ込まなくても………」
「だってぇ〜、これだけの子たちが美沙を信じてるわけでしょ〜?それなのに〜、世間の評判は最悪‼︎ならばさ〜、ここに賭ければ、確実に大金持ちになれるでしょ〜‼︎」
確かに無茶苦茶な奴だけど、憎めないところもあるよね。友情や絆を大切にする。そしてそれを信じる。私のことも信じてずっとついてきてるわけだし。こういうところがあるから、捨てるに捨てられないのよね。
「「「「アル中さん………っ!」」」」
いや、どんな呼ばれ方よ⁉︎そりゃ手にお酒持ってたら、そう思われるだろうけど‼︎アル中で関心される奴なんかいてたまるか‼︎
「がぁぁぁぁぁ‼︎」
「ちなみに0号も〜、1着に美沙予想で〜す*2!」
しかもたえまで同じことしてんの⁉︎もしかしてたえに舟券の買い方教えてたのかな?これでもしギャンブル中毒が増えたら嫌だけど………流石にたえはならないよね?
そんな事を思っていると………
「そろそろ、美沙が走る。」
いよいよ美沙の出番になった。
さてと、美沙の船は………6番ね。うん、出だしはいい感じ。最初のカーブは、曲がり切ったわね!よく曲がれてるし、調子いいんじゃない⁉︎
「美沙さん‼︎」
「頑張れ〜‼︎」
しかもどんどん伸びる‼︎伸びる‼︎すごいぃぃぃぃぃぃ‼︎まるでサキがバイクで走ってるみたい‼︎おぉぉぉぉぉ‼︎行けぇぇぇぇぇぇ‼︎
こうして、美沙はなんと下馬評を覆し1位に。しかも………
「ちょっと待って〜⁉︎たえ3連単まで当ててるじゃ〜ん‼︎ヤバいってこれ〜‼︎3万円を700倍だから………はぁ⁉︎ヤバくないこれ⁉︎2,100万円⁉︎すごいよたえ〜!ギャンブラーの才能あるって〜!」
「がぁぁぁぁぁぁ‼︎」
奈々子以上に、たえが大当たり。おかげで借金が全部無くなった。
「みんなありがと〜!おかげで美沙の凄さを知れたよ〜!」
「こちらこそありがとうございます!」
「本当に信じて良かったです!」
それにしても、奈々子はあの日負けたリベンジを果たしたんだよね?それなのに、たえや美沙のこと褒めるばかりで、自分のことは全然気にしてない。そんなところが、どこか憎めない。そう思えた日だった。