伝説のニート、平成のアイドルと共に佐賀を救う   作:スピリタス3世

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第二十九話 マイマイレボリューションSAGA 前編

  愛視点

 

 借金返済完了。私たちはウキウキな気分で、いつものミーティング室に集まっていた。のだが…………

 

「というわけで、新メンバーを紹介します………」

 

 なんと目の前にミイラみたいなものが置いてあった。

 

「「「「は?」」」」

「フランシュシュ7号です。はい拍手…………拍手‼︎」

「あの、よく分かんないんですけど……」

「分かるでしょ⁉︎分かるじゃん‼︎」

「お風呂壊れて銭湯行ったんですよね?」

「そのミイラみたいの、人ですか?」

「メンバーなんだから、当たり前じゃろがい‼︎」

 

 しかもあまりにも巽の声が弱々しい。コイツもしや間違えて人を殺した?嘘でしょ、そんなヤバいことがあるわけ………。しかも新メンバー?ってことは………

 

「死んでるってこと?」

「あ〜?皆そこ気にしちゃう?気にしちゃうタイプ?」

「当たり前やろ‼︎」

「心配いりませんから‼︎どーんとゾンビィになるように段取り組んでますから‼︎」

「死んどるやないか‼︎」

 

 やっぱり死んでる。取れたてほやほやの死体ってことね。でも、コイツがそんな焦るなんて………

 

「どこから運んできたとですか?」

「えっ、なになに?違うじゃん、運んだとかじゃないじゃん。導かれてきた的なことじゃん?」

「誰によ?」

「そんなもん知らんわ‼︎佐賀神社とか琴平神社とか、その辺にうじゃうじゃおる神様じゃぁぁぁぁい‼︎」

「グラサンお前………」

「やってません‼︎僕やってませんって‼︎」

「情緒不安定すぎだろ☆」

 

 この動揺の仕方。明らかにクロだ。それに、さっきからずっと黙っている人がいる。口数が少ないゆうぎりや上手く喋れないたえはともかく………

 

「ねえ奈々子、アンタ何か知ってるんでしょ?」

 

 奈々子が黙りっぱなしなんてあり得ないはずだ。まさかこのダブル巽、協力して殺人を………?

 

「ん〜、ねむねむ〜。んぁ、愛〜?どしたの〜?」

 

 いや、寝てたんかい‼︎

 

「この状況で悠長に寝てんじゃないわよ‼︎目の前に死体があるのよ⁉︎」

「ん〜、酔い潰れた人でも拾ったの〜?」

「んなわけあるか‼︎」

 

 コイツ、完全に寝ぼけてやがる‼︎なんでこんなに不気味な状況なのに寝れるのよ⁉︎メンタル強すぎでしょ‼︎頭おかしいんじゃないの………

 

 

ギロッ

 

 

 

 あれ、今ミイラと目が合ったような…………

 

 

 

ドドドドド!!

 

 

 

 うぎゃあぁぁぁぁぁ⁉︎ミイラが動いた⁉︎しかもこっち向かってくる‼︎

 

「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」」」

「がぁぁぁぁぁぁぁ!」

「おはよ〜!」

 

 咄嗟に奈々子が私の前に出て助けてくれたけど………何これ、マジで怖いんだけど⁉︎

 

「お〜、動いた〜。」

「バカ、死体が動くわけないでしょ‼︎」

「でも動いてるじゃ〜ん!」

「人は死んだら動かないから‼︎」

「鏡見たら〜?」

 

 奈々子の陰から出られない‼︎私怖いの苦手なのに‼︎ああ、もう、なんなの⁉︎なんでゾンビなのにこんな怖い目に遭わなきゃいけないの⁉︎

 

「包帯で苦しいよね〜。ほ〜ら、取ってあげる〜。愛は怖かったら目をつぶってていいよ〜。」

「あ、ありがとう…………」

 

 私が怖い思いをしてるのなんてお構いなく、奈々子が包帯をめくる。コイツ本当に強い…………。そして、本当に助かる。とりあえず、目の前のミイラをなんとかして下さい………

 

 

 

 

「おはよ〜!」

「えっと…………アル中さん?」

「「「「えっ?」」」」

 

 は?奈々子の知り合い………?嘘でしょ?恐る恐る目を開けると………

 

「あれ〜、ファンの子じゃ〜ん!生きてるよね〜?」

「は、はい。そうですけど…………」

「「「「ええええ‼︎」」」」

 

 なんと目の前には女子高生のファンの女の子が立っていた。嘘でしょ⁉︎巽がファンの子を連れてきたってこと⁉︎居ても立っても居られない‼︎アイツを問い詰めないと‼︎

 

「なんでちゃんと確かめなかったのよ⁉︎」

「生きてる女子高生連れてきたって、ただの犯罪者じゃないですか。」

「ゾンビ、バレちゃったよね………?」

「だろうな。」

「フランシュシュ1号さんですよね⁉︎」

「あっ、はい………」

「あーあ、バレちゃった☆」

 

 しかも普通にゾンビバレ。これ相当マズイんじゃない⁉︎佐賀中がひっくり返るって‼︎せっかくバレないように気を遣ってたのに!

 

「やっぱり〜!私1号さんのファンなんです!まさかフランシュシュがゾンビだったなんて!あっ、大丈夫ですよ〜!いつも全然ゾンビだって分からないです!めちゃめちゃ可愛いですよ!」

 

 いや、軽いな‼︎私たちゾンビだよ⁉︎アンタそれでいいの⁉︎ホント凄い子ね!

 

「え〜っと、今回のゾンビィの件なんですが………」

「お口チャックでお願いしま〜す!」

 

 とりあえず、大人組と一緒に頭を下げる。この人にはバレて良くても、他の人が許してくれる可能性は低い。さくらなんか銃で撃たれたらしいし。頼むから、言うことを聞いてくれるといいな………

 

「カッキーン‼︎あのあの、でしたら私を、フランシュシュに入れてもらえないでしょうか⁉︎」

「豪胆でありんすなぁ。」

「私も皆さんと一緒に秘密を守ります!お願いします!」

 

 え?嘘でしょ⁉︎この子がフランシュシュに加入⁉︎

 

「オッケーでぇぇぇぇす!」

「だってさ〜。」

 

 いや、そんなすぐにオッケー出さないでよ⁉︎バカなの⁉︎奈々子も何も考えずに巽に賛成するな‼︎

 

「アンタら、何も考えてないでしょ⁉︎」

「諦めてんじゃねえよ‼︎」

「大丈夫大丈夫〜♪」

「やった〜!ありがとうございます!私、楪舞々です!本名です!マイマイって呼んで下さい!」

「舞々ちゃん、よろ〜♪」

「わ〜、可愛い名前〜☆カタツムリみたい☆」

 

 本当に大丈夫かな?不安なんだけど………

 

「じゃ、私門限あるので!明日来ま〜す!さようなら〜!」

「待って〜、送るよ〜。JK1人は危ないし〜。」

「ありがとうございます!」

 

 しかも通いという。まあ家もあるから仕方ないけど。でも、本当にいいのかな?この先のことが不安になった1日だった。

 

 

 

 翌日、舞々は普通に屋敷に来た。とりあえず、私が経験者として見定めないと。やるからにはちゃんとやってもらうし。

 

「おっはようございま〜す!舞々入りま〜す!」

「あなた、本当にアイドルやる気あるの?」

「あります‼︎」

「弱み握ってるからって、贔屓されると思ってない?」

「思ってません‼︎」

 

 とりあえず、目は真剣だ。やる気は本物だな。とりあえず練習に参加させるとして………舞々の現状を把握しないと。

 

「分かった。いいよ。」

「ありがとうございます!」

「とりあえず聞きたいんだけど、ダンスの経験とかあったりする?」

「全く無いです!ゼロベースです!でも、ライブとかCDとかで、歌も振りも全部覚えてます!」

「本当に⁉︎舞々ちゃん凄か〜!」

「これは頼もしいね〜!」

 

 経験は無し。それは心配だけど、私たちの旋律や振り付けは覚えてる様子。あとはちゃんと動けるかどうか。これが一番大切だ。さあ、見せてみなさい、舞々‼︎

 

 こうして、私たちは彼女の踊りを見た結果…………

 

「なんでそうなった?」

「頭では分かってるんですか、肉体が追いつきません!」

 

 いや、ダメじゃん‼︎頭の動きに肉体が追いつかないのは、完全に運動音痴のタイプだって‼︎しかも途中転びそうになったし‼︎

 

「お〜、ボクより動けてる〜!ボク息切れして倒れちゃうも〜ん!」

「そうなんですか⁉︎」

「アンタ基準で考えないでよ!」

 

 逆に、奈々子がメンバーだったらこれより酷かったってことか。本人が希望しなくて本当に助かったかも………って、心配なことに変わりないし‼︎

 

 

 その後も舞々は練習を続けたが…………転びまくりで倒れまくり。散々だった。流石に未経験の初日ならこんなもんよね。今日のところはこんなものでいいでしょう。

 

「今日はこのへんにしておこうか。」

「やらせて下さい‼︎私、早くフランシュシュのメンバーになりたいんです‼︎」

 

 そんな事を思っていたら、彼女から真剣な眼差しでそう言われた。あれは本気の人が見せる目、そして言葉。いいじゃん!アンタ根性あるわね‼︎

 

「よかやんか!愛、このままどんどん続けるぞ‼︎」

「リーダーの言う通りね。続けるわ。」

「ありがとうございます‼︎」

 

 ということで、私たちは練習を続けたのだった。

 

 

 

 練習後、舞々は帰ろうとしていた………

 

「お、おまそれ………っ!色ついてんぞ。お前ら見ろ。これ色ついてんぞ‼︎」

 

 ら、虹色のたまごっちを目にしたサキに呼び止められた。たまごっち、懐かしいな。私も小さい頃*1やってたっけ。おやじっちが可愛い*2のよね。

 

「すごかね〜!」

「おやじっちはおるとか⁉︎」

「いますよ!20周年記念モデルなので!」

「わ〜、可愛い〜!私おやじっちが一番好なのよね〜!」

「「「「「えっ?」」」」」

 

 はい?なんか皆に首を傾げられたんだけど?私変な事言った?

 

「愛………お前マジで言っとるとか?」

「そうだけど。なんか変?」

「お前むちゃくちゃぶっ殺すぞ‼︎」

「はぁ⁉︎なんでアンタにそんな事言われなきゃいけないのよ⁉︎」

 

 なんでサキにそんなに怒られるのよ⁉︎ホント意味分かんないんだけど⁉︎

 

「愛はキモかわ系が大好きなんだよ〜!」

「キモくないでしょ‼︎可愛いじゃん!」

「どこが可愛いとや⁉︎育てるのに失敗した証やんか‼︎」

「それは運営が悪い‼︎なんであんな可愛い子を失敗ポジションにするのよ⁉︎」

「………それ言われちゃ何も言えんな。」

「でしょ?」

 

 良かった。サキが納得してくれた!やっぱりおやじっちは可愛いいよね?そうよね?私の感性はおかしくない。これからは奈々子にバカにされてもちゃんと仕返しができる。そう思えた日だった。

 

 

 後日、私たちは舞々からすごい事を言われた。

 

「「「「学園祭でライブ?」」」」

 

 高校でのライブ。あんまり思い出はない。けれどそんな中で、灯里が私と同じところに通って、私が休んだ分の勉強を教えてくれた事だけが胸に刻まれている。場所は違えど、感慨深いライブになりそうだ。

*1
愛は1992年3月生まれなので、被ってそう。

*2
愛はキモかわ好きなので。

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