伝説のニート、平成のアイドルと共に佐賀を救う 作:スピリタス3世
愛視点
借金返済完了。私たちはウキウキな気分で、いつものミーティング室に集まっていた。のだが…………
「というわけで、新メンバーを紹介します………」
なんと目の前にミイラみたいなものが置いてあった。
「「「「は?」」」」
「フランシュシュ7号です。はい拍手…………拍手‼︎」
「あの、よく分かんないんですけど……」
「分かるでしょ⁉︎分かるじゃん‼︎」
「お風呂壊れて銭湯行ったんですよね?」
「そのミイラみたいの、人ですか?」
「メンバーなんだから、当たり前じゃろがい‼︎」
しかもあまりにも巽の声が弱々しい。コイツもしや間違えて人を殺した?嘘でしょ、そんなヤバいことがあるわけ………。しかも新メンバー?ってことは………
「死んでるってこと?」
「あ〜?皆そこ気にしちゃう?気にしちゃうタイプ?」
「当たり前やろ‼︎」
「心配いりませんから‼︎どーんとゾンビィになるように段取り組んでますから‼︎」
「死んどるやないか‼︎」
やっぱり死んでる。取れたてほやほやの死体ってことね。でも、コイツがそんな焦るなんて………
「どこから運んできたとですか?」
「えっ、なになに?違うじゃん、運んだとかじゃないじゃん。導かれてきた的なことじゃん?」
「誰によ?」
「そんなもん知らんわ‼︎佐賀神社とか琴平神社とか、その辺にうじゃうじゃおる神様じゃぁぁぁぁい‼︎」
「グラサンお前………」
「やってません‼︎僕やってませんって‼︎」
「情緒不安定すぎだろ☆」
この動揺の仕方。明らかにクロだ。それに、さっきからずっと黙っている人がいる。口数が少ないゆうぎりや上手く喋れないたえはともかく………
「ねえ奈々子、アンタ何か知ってるんでしょ?」
奈々子が黙りっぱなしなんてあり得ないはずだ。まさかこのダブル巽、協力して殺人を………?
「ん〜、ねむねむ〜。んぁ、愛〜?どしたの〜?」
いや、寝てたんかい‼︎
「この状況で悠長に寝てんじゃないわよ‼︎目の前に死体があるのよ⁉︎」
「ん〜、酔い潰れた人でも拾ったの〜?」
「んなわけあるか‼︎」
コイツ、完全に寝ぼけてやがる‼︎なんでこんなに不気味な状況なのに寝れるのよ⁉︎メンタル強すぎでしょ‼︎頭おかしいんじゃないの………
ギロッ
あれ、今ミイラと目が合ったような…………
ドドドドド!!
うぎゃあぁぁぁぁぁ⁉︎ミイラが動いた⁉︎しかもこっち向かってくる‼︎
「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」」」
「がぁぁぁぁぁぁぁ!」
「おはよ〜!」
咄嗟に奈々子が私の前に出て助けてくれたけど………何これ、マジで怖いんだけど⁉︎
「お〜、動いた〜。」
「バカ、死体が動くわけないでしょ‼︎」
「でも動いてるじゃ〜ん!」
「人は死んだら動かないから‼︎」
「鏡見たら〜?」
奈々子の陰から出られない‼︎私怖いの苦手なのに‼︎ああ、もう、なんなの⁉︎なんでゾンビなのにこんな怖い目に遭わなきゃいけないの⁉︎
「包帯で苦しいよね〜。ほ〜ら、取ってあげる〜。愛は怖かったら目をつぶってていいよ〜。」
「あ、ありがとう…………」
私が怖い思いをしてるのなんてお構いなく、奈々子が包帯をめくる。コイツ本当に強い…………。そして、本当に助かる。とりあえず、目の前のミイラをなんとかして下さい………
「おはよ〜!」
「えっと…………アル中さん?」
「「「「えっ?」」」」
は?奈々子の知り合い………?嘘でしょ?恐る恐る目を開けると………
「あれ〜、ファンの子じゃ〜ん!生きてるよね〜?」
「は、はい。そうですけど…………」
「「「「ええええ‼︎」」」」
なんと目の前には女子高生のファンの女の子が立っていた。嘘でしょ⁉︎巽がファンの子を連れてきたってこと⁉︎居ても立っても居られない‼︎アイツを問い詰めないと‼︎
「なんでちゃんと確かめなかったのよ⁉︎」
「生きてる女子高生連れてきたって、ただの犯罪者じゃないですか。」
「ゾンビ、バレちゃったよね………?」
「だろうな。」
「フランシュシュ1号さんですよね⁉︎」
「あっ、はい………」
「あーあ、バレちゃった☆」
しかも普通にゾンビバレ。これ相当マズイんじゃない⁉︎佐賀中がひっくり返るって‼︎せっかくバレないように気を遣ってたのに!
「やっぱり〜!私1号さんのファンなんです!まさかフランシュシュがゾンビだったなんて!あっ、大丈夫ですよ〜!いつも全然ゾンビだって分からないです!めちゃめちゃ可愛いですよ!」
いや、軽いな‼︎私たちゾンビだよ⁉︎アンタそれでいいの⁉︎ホント凄い子ね!
「え〜っと、今回のゾンビィの件なんですが………」
「お口チャックでお願いしま〜す!」
とりあえず、大人組と一緒に頭を下げる。この人にはバレて良くても、他の人が許してくれる可能性は低い。さくらなんか銃で撃たれたらしいし。頼むから、言うことを聞いてくれるといいな………
「カッキーン‼︎あのあの、でしたら私を、フランシュシュに入れてもらえないでしょうか⁉︎」
「豪胆でありんすなぁ。」
「私も皆さんと一緒に秘密を守ります!お願いします!」
え?嘘でしょ⁉︎この子がフランシュシュに加入⁉︎
「オッケーでぇぇぇぇす!」
「だってさ〜。」
いや、そんなすぐにオッケー出さないでよ⁉︎バカなの⁉︎奈々子も何も考えずに巽に賛成するな‼︎
「アンタら、何も考えてないでしょ⁉︎」
「諦めてんじゃねえよ‼︎」
「大丈夫大丈夫〜♪」
「やった〜!ありがとうございます!私、楪舞々です!本名です!マイマイって呼んで下さい!」
「舞々ちゃん、よろ〜♪」
「わ〜、可愛い名前〜☆カタツムリみたい☆」
本当に大丈夫かな?不安なんだけど………
「じゃ、私門限あるので!明日来ま〜す!さようなら〜!」
「待って〜、送るよ〜。JK1人は危ないし〜。」
「ありがとうございます!」
しかも通いという。まあ家もあるから仕方ないけど。でも、本当にいいのかな?この先のことが不安になった1日だった。
翌日、舞々は普通に屋敷に来た。とりあえず、私が経験者として見定めないと。やるからにはちゃんとやってもらうし。
「おっはようございま〜す!舞々入りま〜す!」
「あなた、本当にアイドルやる気あるの?」
「あります‼︎」
「弱み握ってるからって、贔屓されると思ってない?」
「思ってません‼︎」
とりあえず、目は真剣だ。やる気は本物だな。とりあえず練習に参加させるとして………舞々の現状を把握しないと。
「分かった。いいよ。」
「ありがとうございます!」
「とりあえず聞きたいんだけど、ダンスの経験とかあったりする?」
「全く無いです!ゼロベースです!でも、ライブとかCDとかで、歌も振りも全部覚えてます!」
「本当に⁉︎舞々ちゃん凄か〜!」
「これは頼もしいね〜!」
経験は無し。それは心配だけど、私たちの旋律や振り付けは覚えてる様子。あとはちゃんと動けるかどうか。これが一番大切だ。さあ、見せてみなさい、舞々‼︎
こうして、私たちは彼女の踊りを見た結果…………
「なんでそうなった?」
「頭では分かってるんですか、肉体が追いつきません!」
いや、ダメじゃん‼︎頭の動きに肉体が追いつかないのは、完全に運動音痴のタイプだって‼︎しかも途中転びそうになったし‼︎
「お〜、ボクより動けてる〜!ボク息切れして倒れちゃうも〜ん!」
「そうなんですか⁉︎」
「アンタ基準で考えないでよ!」
逆に、奈々子がメンバーだったらこれより酷かったってことか。本人が希望しなくて本当に助かったかも………って、心配なことに変わりないし‼︎
その後も舞々は練習を続けたが…………転びまくりで倒れまくり。散々だった。流石に未経験の初日ならこんなもんよね。今日のところはこんなものでいいでしょう。
「今日はこのへんにしておこうか。」
「やらせて下さい‼︎私、早くフランシュシュのメンバーになりたいんです‼︎」
そんな事を思っていたら、彼女から真剣な眼差しでそう言われた。あれは本気の人が見せる目、そして言葉。いいじゃん!アンタ根性あるわね‼︎
「よかやんか!愛、このままどんどん続けるぞ‼︎」
「リーダーの言う通りね。続けるわ。」
「ありがとうございます‼︎」
ということで、私たちは練習を続けたのだった。
練習後、舞々は帰ろうとしていた………
「お、おまそれ………っ!色ついてんぞ。お前ら見ろ。これ色ついてんぞ‼︎」
ら、虹色のたまごっちを目にしたサキに呼び止められた。たまごっち、懐かしいな。私も小さい頃*1やってたっけ。おやじっちが可愛い*2のよね。
「すごかね〜!」
「おやじっちはおるとか⁉︎」
「いますよ!20周年記念モデルなので!」
「わ〜、可愛い〜!私おやじっちが一番好なのよね〜!」
「「「「「えっ?」」」」」
はい?なんか皆に首を傾げられたんだけど?私変な事言った?
「愛………お前マジで言っとるとか?」
「そうだけど。なんか変?」
「お前むちゃくちゃぶっ殺すぞ‼︎」
「はぁ⁉︎なんでアンタにそんな事言われなきゃいけないのよ⁉︎」
なんでサキにそんなに怒られるのよ⁉︎ホント意味分かんないんだけど⁉︎
「愛はキモかわ系が大好きなんだよ〜!」
「キモくないでしょ‼︎可愛いじゃん!」
「どこが可愛いとや⁉︎育てるのに失敗した証やんか‼︎」
「それは運営が悪い‼︎なんであんな可愛い子を失敗ポジションにするのよ⁉︎」
「………それ言われちゃ何も言えんな。」
「でしょ?」
良かった。サキが納得してくれた!やっぱりおやじっちは可愛いいよね?そうよね?私の感性はおかしくない。これからは奈々子にバカにされてもちゃんと仕返しができる。そう思えた日だった。
後日、私たちは舞々からすごい事を言われた。
「「「「学園祭でライブ?」」」」
高校でのライブ。あんまり思い出はない。けれどそんな中で、灯里が私と同じところに通って、私が休んだ分の勉強を教えてくれた事だけが胸に刻まれている。場所は違えど、感慨深いライブになりそうだ。