伝説のニート、平成のアイドルと共に佐賀を救う   作:スピリタス3世

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超早いですが、温泉回と兼ねてやります。奈々子の出番がない話なので、だいぶカットしますが。


第五話 佐賀事変 〜伝聞にて〜

  愛視点

 

 部屋に戻ってきた私たちは、営業のためにその会社の製品を知ることになった。今回は久中製薬のサガンシップZ。貼ることによって肩こりなどを取る湿布だ。

 

「こんなもん貼るだけで、肩こり腰痛が取れると?」

「それが売りですから。」

「マジか、凄えな!」

「人に貼ったらダメって書いてある………医療行為になるって。」

「じゃあいいじゃねえか。アタシら人じゃなくて、ゾンビやし。」

「えっ?それはどうっちゃろ?」

 

 ぶっちゃけどこにでもあるような普通の湿布。わざわざ貼って効果なんか確かめなくても大丈夫だろう。

 

「てぇい‼︎」バシン‼︎

「ふぁぁぁぁはっは〜♪」

 

 サキがさくらの背中に思いっきりサガンシップZを貼り付ける。そしてその瞬間、さくらがめちゃくちゃ気持ちよさそうな顔をした。そんなすぐ効くの?大袈裟じゃない?

 

「すご〜い、あっという間に筋肉の疲労が無くなった〜♪」

「ゾンビやけん吸収が早えんだ!」

「みてみて〜!こんなに動いても、剥がれないよ〜☆」

「ふぁっ♡」

「あぁ〜ん♡」

 

 ゾンビってそんなに吸収が早いんだっけ?聞いたことないけど。あと純子にゆうぎり、変な声出さないでくれる?これそんないかがわしいモノじゃないし。

 

「愛もやってみたら〜?」

「私はいいって。別にどこも疲れてないし。」

 

 まあ私は何も疲れてないし、ちょっと恥ずかしいからいいや………

 

「え〜い!」バシン‼︎

 

 って奈々子に勝手に貼られたんだけど‼︎なんかこう………すっごい変な感じ………///

 

「ん………っ!///」

「うわ〜、なんかエッチですなぁ〜。」

「変なこと言わないで‼︎///」

 

 くそっ、コイツめ‼︎人に恥ずかしい思いさせやがって‼︎ムカついたから貼り返してやる‼︎

 

「アンタにも貼ってや………えっ?」

 

 そう思って服をめくったら、なんと既に奈々子は貼っていた。

 

「アンタなんでもう貼ってんのよ⁉︎」

「ふっふっふ〜!ボクは既にサガンシップZの愛用者なのさ〜。」

「そんな腰とか肩とか痛くなることある⁉︎」

 

 私より全然歳上とはいえ、コイツはまだ26歳。そんな身体の節々が痛くなるような歳でもないと思うけど………。日頃運動不足だから、身体が弱いのか?

 

「パチンコは1回10時間とか打つからさ〜。肩とか腰とか痛くなるんだよね〜。」

「バカなの⁉︎」

 

 朝から晩までパチンコ⁉︎そんな筋肉痛になるまでやるなし‼︎お金も無くなるでしょうが‼︎

 

「じゃあやらなければいいじゃない‼︎」

「それは無理だよ〜。だって楽しいんだも〜ん♪」

「アホか‼︎」

「ホント心も腐っとるカスゾンビやな。」

「リリィ、大人にならなくてよかった〜☆」

「お姉さんが教えてあげようか〜?」

「変なこと教えるんじゃないわよ‼︎」

 

 辛いことは嫌だ嫌だで働かないのに、好きなことは筋肉痛を無視してでもやり続ける。しかもそれがギャンブル。酒とかタバコもやってたし、よくそんなんで26歳まで生きてこれたわね。ほんと不思議だ。

 

 

 

 その後ライブでは、さくらのアイディアにより、見ていた久中製薬の社員さんにサガンシップZを貼って疲れを癒すというパフォーマンスを披露。そのおかげもあってだいぶ盛り上がった。

 

 その一方で、奈々子は相変わらず客席に紛れ込んで、社員さんと一緒に酒を飲み私たちの写真を撮るという自由っぷり。とてもこの仕事の原因になった人とは思えない。少しくらいは悪びれてほしい。そう思わざるを得なかった。

 

 

 

 

 部屋に戻ってしばらくすると、窓を開けて奈々子とゆうぎりがタバコを吸っていた。

 

「なんか珍しい組み合わせね。」

煙管(キセル)仲間でありんす。」

「窓の外に向けて吸ってるから許して〜。」

「まあいいわよ、別に。ゾンビだから副流煙とか関係ないし。」

「ありがと〜!愛ったら、優し〜!」

「別に普通でしょ。」

「素直じゃないな〜!」

 

 確かにこの2人はタバコ吸ってるわよね。喫煙者同士よく話をする機会もあるのだろう。最近では吸える場所が限られてるって奈々子言ってたし。私が知らなかっただけで、よく2人で吸ってたのかな?

 

「それに、わっちの時代に奈々子はんに似たような人がおりんして。」

「そのことをさっき話してたんだよ〜。」

 

 そんなことを思ってたら、ゆうぎりが意外な話をし始めた。ゆうぎりの時代、いわゆる明治時代に似たような人がいたってこと⁉︎こんなクソニート、何人もいてたまるか!

 

「えっ⁉︎奈々子アンタだいぶ長生きなの⁉︎」

「違うにきまってるでしょ〜。別人別人〜!愛ったら、おバカさ〜ん!」

「うるっさいわね!アンタに言われたくないわよ!」

「わっちの時代にいたでありんす。佐賀にいた伝説の博打打ち。」

「それがボクに似た人だったってこと〜!」

「それは確かに似てるわね………」

 

 びっくりした。コイツがゾンビになってから150年以上経ってるのかと思った。流石に違うわよね。めちゃめちゃ現代っぽい服装してるし。もしかしてコイツの先祖とか?面白そうだからちょっと話聞いてみよう。

 

「ちょっと私も聞いていい?伝説の博打打ちの話。」

「はい。もちろんでありんす!」

 

 ということで、私はゆうぎりの話を聞くことにした。

 

 

 

  ゆうぎり視点

 

 あれはわっちが佐賀に来てすぐ。旦那はんを早々に亡くし、一人ぼっちになった頃のこと。ある日わっちが街を歩いていたら………

 

「あ〜、手本引き*1して全部お金無くなったと〜!どやんすどやんす〜⁉︎もうお酒飲むしかなかと〜!」

 

 道で絶望しながら、座り込んで酒を飲んでる人がいたでありんす。黒色の短めの髪で、背こそ小さいけれど下は大人びたような変わった人でありんした。博打でお金を全部取られたようなだらしない人でありんしたから、見てみぬふりをしようとしたでありんす。しかし………

 

「お〜、噂の伝説の花魁や〜ん!かわい〜!あのさ〜、ボクを養ってほしいけん、連れてってくれると?」

「無理でありんす。」

「ボクは伝説の博打打ちやと〜!伝説同士、似合うと思うけん!」

「思わなんし。」

 

 なんと絡まれたでありんす。これは本当に困りんした。

 

「あれが伝説の花魁と博打打ちか………」

「この世の頂点と底辺………」

「つーかあの女、まだ俺の借金返しとらんと!」

「俺のもや!」

「あちきのも!」

 

 しかも判明した多額の借金。本当に呆れたでありんす。人から金を借りてまで、遊ぼうとするその生き様。迷惑をかけておきながら、悪いとも思わぬその無様。見かねたわっちは………

 

「おい姉ちゃん、悪いけどその女寄越しちゃれ!」

「俺にも!」

「あちきにも!」

「はい!」

「ちょっと〜!なんでそがんことすると〜⁉︎ボクを助けてくれんの〜⁉︎」

 

 伝説の博打打ちを借金取りに返したでありんす。その後のことは知りんせん。真っ当に生きてくれることを祈りんす。

 

 

 

 

  愛視点

 

 えっ、これだけ………?ギャンブルで負けて泣きついただけ………?しかも借金まみれ。ただのクズじゃない‼︎ゆうぎりが切り捨てて当然ね!

 

「仲良い感じだと思ったんだけど、全然じゃん‼︎ただの乞食じゃん‼︎逆によく普通に喋れるわね⁉︎」

「それはボクが借金無しだからだよ〜!」

「そうじゃないでしょ‼︎」

「似てるとこと違うとこがありんして………なんだかんだ、奈々子はんは皆のために動いてくれんすよ。」

「そうなんだよ〜、ボク頑張ってるんだよ〜!」

「なわけないでしょ⁉︎」

 

 さっきのギャンブル先祖と何が違うのよ⁉︎借金が無くて既に死んでるくらいじゃない⁉︎活動資金は溶かすし、仕事中には酒しか飲んでないし‼︎いや、まあ、ちょっとは頑張ってるかもだけどさ………

 

「みてみて〜、これ〜!」

「えすえぬえす、でありんしたか?」

「そうだよ〜!」

 

 そんなことを言ってたら、奈々子がスマートフォンを見せてくれた。これって確か、私が死ぬ直前くらいに発売された携帯の亜種だっけ?まあいいや。それはともかく、SNS………って何?私こんなの知らないんだけど。

 

「えっと………SNS?」

「あっ、そうか〜!愛は知らないもんね〜。ジェネレーションギャップだ〜!」

「この私が⁉︎たった10年で⁉︎」

「そうそう〜!」

「愛はんでもそうなりんすか。」

 

 ゆうぎりや純子はともかく、私がジェネレーションギャップ感じることあるの⁉︎たった10年でしょ⁉︎確かに小学生の頃に比べたら、アイアンフリルの頃は違ってたけども‼︎それ以上じゃない‼︎それだけSNSって凄いものなの⁉︎

 

「ネットの誰でも見れる掲示板だよ〜。しかも写真も動画も投稿可能〜!昔のやつ*2の進化系で〜、これで世界に拡散されれば、一気に有名人になる可能性もあるのさ〜!」

「あれそんな凄いことなってんの⁉︎」

 

 私が生きてた頃にもあったけど、それ以上の掲示板⁉︎それだけで有名人になるなんて、想像もつかないんだけど⁉︎もしかして全世界に拡散されてるとか⁉︎

 

「ボクの主な仕事は、そこに写真と文章を投稿すること〜!」

「それで、わっちらを世に知らしめてるでありんす。」

「もしこれでバズる〜、いわゆる多くの人の間で流行ったら〜、もう有名人よ〜!」

「いわゆる広報ってことね。」

 

 それをするために、ライブ中に写真撮ってたのね。流石に動画だとフランシュシュの現状の低いクオリティがバレるからしてないのか。アンタ意外と考えてるわね。パッと見る感じ、綺麗に映ってる写真しかない。

 

「アンタちゃんと仕事してたのね。」

「でしょ〜!」ドヤァ

「なんかそのドヤ顔ムカつく。」

「え〜、酷い〜!」

「こらこら〜、仲良くしてくんなまし〜!」

 

 それに、今はだいぶ時代が変わってるんだなぁ。携帯の亜種なのに一切ボタンが無いし、画面を指で動かせるし。なんなら一部の人しか持ってなかったスマートフォンをただのニートが持ってるなんて。もしかしてこれも流行ってるのかな?そんなところで自分のジェネレーションギャップを感じてしまった、そんな日だった。

*1
昔流行ったギャンブルの一種

*2
mixiとか




佐賀事変の出番量を他のメンバーのそっくりさんと合わせたため、こうなりました。

あと愛が死んだのは2008年8月です。その直前にギリギリiPhone3Gが発売されたくらいなので、なんか新しいのが出た、くらいの認識です。
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