俺は先日の戦いから自身の力不足に対して痛感していた。実際俺が冷静であれば勝てた戦いだった、だけど怒りで我を忘れてオロチの力を使うことになるとは…
「はぁ」
俺がため息をついているとアンナが話しかけてくる。
「フォックス…大丈夫?先日この街で起こった出来事は聞いてるけど…」
アンナは心配そうな顔で俺を見つめてくる。
「大丈夫、街の人々は眠っていただけだから、それにセイラ・クロード、アイツは中々の強敵だった。ただ単に俺の力不足だっただけだから。」
仲間といる事で俺は弱くなってしまったのだろうか、いや強くなっているはず、そう思っている俺なのであった。
時を同じく、炎竜はセクメトの出自について調査を行っていた。
「う〜〜ん、やっぱりセクメトの出自に関するものはないか…だとしたら一体誰があの子を…」
炎竜が考え事をしていると膨大な魔力を検知する。
「おいおい、次は何がこの街に来たって言うんだ?」
炎竜は驚きながらも街の正門辺りへと向かうのであった。
炎竜が正門へとたどり着くとそこには和風ドレスの見目麗しい金髪の美少女がいた、しかし髪の先端部分は白色となっている。
「うぐっ、離してくれ〜、ちょっと話しかけただけだろ!?」
その和風金髪美少女に首を絞められている1人の男性がいた、彼は冒険者でありながら様々な女性にちょっかいを出しているというこの街では少し有名なやつだった。しかし炎竜はなぜこんな自体になっているのか分からない状態だった。
「あのぉ〜、何がどうなっているんでしょうか?」
炎竜は恐る恐る金髪美少女に話しかけると…
「あら、この方が私の肩に手を置いてきたもので痴漢かと思いまして、ふふ」
瞳を閉じてはいるがはっきりこっちが見えているといった状態だろうか?炎竜はそう思考しつつ、金髪美少女にこう言う。
「これは騎士団の仕事なので手を離してあげてください。それとつかぬ事を聞きますが、日ノ国出身の方で?」
「えぇ、そうですね、遠路はるばる旅行に来たのです。」
見るからに人外そうなこの美少女に炎竜は…
「そうですか〜、では観光を楽しんでください〜」
炎竜がそう言った瞬間その金髪美少女はまるで最初っからここにはいなかったかのように姿をくらましたのであった。
「なんだったんだろう、あの美少女…まぁ可愛かったからいいか、あはは」
炎竜はそう思いつつも痴漢野郎を縄で縛りルンルンとスキップで騎士団の留置所に送るのであった。
一方、フォックスは家の庭で1人訓練に勤しんでいた。
「はぁぁぁぁぁぁ」
フォックスは格闘術による訓練と力の制御を同時進行で行っていたのだが…
「くっ、やっぱり最大限の力を出そうとすると、オロチの力が溢れ出ようとする。」
セイラ・クロードとの戦いでおもわず破壊の力を使った影響なのだろうか、フォックスは全力を出そうとするとオロチの力が溢れ出るようになってしまったらしい。
「フォックスさん?訓練の途中ですまないのだけど…庭にクレーターを空けるのは勘弁してくれないかな?」
俺は近くまで寄っていたシリウスのその言葉で自身の下を見てみると少しのクレーターが出来上がっていた。
「すまない…力を制御しようとしたのだけど、暴発してしまって…」
俺は申し訳なさでクレーターを空けた地面を魔力でかき集めた土で修復していく。
「へぇ〜、魔力には色々と使い方があるんだねぇ〜」
シリウスは物珍しさで観察していた。
「まぁな、昔から魔力のコントロールは得意だったから…」
そう話して数分でクレーターだった穴は元通りになった。そして俺はシリウスと話しながら家に入ると微かに甘い香りがするのを感じる。
「この匂い…そこか!」
俺はこの匂いの持ち主にナイフを投げ飛ばす。しかしナイフは弾き飛ばされてしまう。
「あらあら、気配は消していたのだけど…やっぱりフォッ君には気づかれちゃったわね」
そこに居たのは正真正銘俺の姉貴だった。
俺は皆を呼び、姉貴には椅子に座ってもらうようにお願いする。
「ほへぇ〜、フォックスのお姉さんか〜、めちゃくちゃ美人じゃねぇ〜か?」
ガレスはそうそうに姉貴を見て顔を赤くしている、それもそうだ、姉貴は里でも1番の美人だ、なので里内では結婚相手に名乗り出る男もいたんだが、姉貴より弱い者たちばかりで正直結婚相手になるには厳しい現状だ。
「ふふ、褒め言葉として受け取っておきますね?」
姉貴はガレスの言葉を褒め言葉として受け取るらしい。
「それで、師匠のお姉さんはどうしてラナフィ王国に?」
サージャが姉貴に質問すると姉貴は答える。
「そうですね、1つは観光目的、もう1つはフォッ君が力を制御できなくなっているから様子見といったところでしょうか?」
「力の制御ができていない?」
アンナがそう言うと皆一斉に俺の方を見てくる。
「…まぁ、力の制御ができていないのは本当の事だけど別にこんなのどうってこと…」
俺がその先の言葉を言おうとした瞬間姉貴に言葉を遮られてしまう。
「このままじゃ、フォッ君は力を制御できないまま、自滅しかねない、そう思ったらこそこの国に来たのよ?」
ギクッ、確かに今は制御できてないけど、いづれは…
「いづれ制御できるようになると思ってるでしょうけど、それは難しいわね、フォッ君が覚醒をきちんと使えるようになれば変わるけど?」
覚醒か…1年前のオロチの件以来覚醒を使うことが出来なかったからな…
「だとすると、お姉さんはフォックスさんに覚醒の仕方を教えにここへ?」
シリウスがそう質問すると姉貴は…
「レアでいいですよ?それとシリウスさんの言う通り、覚醒の仕方についてですね」
姉貴はちらりとサージャ達の方を見るなりこう言う。
「それと、そこの3人の子達にも覚醒を教えるつもりで来たので」
サージャとエスとクルスは姉貴と目線を合わせるなり目を逸らしてしまう。
「ふふ、可愛い子達ね」
メイビスはと言うとしばらく外で用事を済ませてくるんだとか、まぁ十中八九姉貴がいるからだろう。
「それと亜人ではない皆様にはしばらくの間トレーニングをしてもらいます、強いて言えば毎日100Kmのランニングと腕立て1000回、上体起こし1000回等ですかね」
こうして翌日の朝から俺たち亜人グループは姉貴の指導で覚醒の仕方を、ガレス達はハードなトレーニングをする事に…
ちなみに炎竜が帰ってきた後諸々説明したのだが、どうやら姉貴とは既に知り合っていたらしい、まぁその辺は置いといて、炎竜は炎竜でガレス達のトレーニング後のバトルトレーニングを行うつもりらしい、かくゆう俺達は現在、姉貴との実践訓練を行おうとしていた。
「それじゃあ、いつでもかかってきなさい。」
姉貴はそう言うが、隙が無さすぎる。
「ふふふ、ならばまずはエスからいかせてもらうのだ!」
エスは姉貴に殴りで勝負を挑もうとするが…
「動きが大雑把、それと相手に予想されやすい動きだわ?」
姉貴はエスの攻撃に対して指摘をしつつ手の甲で攻撃をいなしてしまう。
「師匠、レアさんの戦闘能力って…」
「俺より断然強い、それに加えて無駄のない魔力と闘気の使い方だ」
姉貴は魔力操作と闘気の操作に長けており、魔力と闘気の同時使用によって身体能力を強化している。それに加えて闘気による技を…
「戦闘中に考え事は良くないわよ?」
気付いた時には既に姉貴は俺の懐に潜り込んでいた。
「まずっ!」
俺は防御の体勢を取ろうとするが…
「
それよりも速く姉貴は闘気を手のひらに溜め込み放つ、それを俺はもろに食らってしまい吹き飛ばされてしまう。
「ガハッ、もろに入った、ゲホッゲホッ」
「フォッ君?昔言ったはずだけど、戦闘中に考え事はやめなさいって」
確かに昔言われたけど…
「それにしても姉貴はまた強くなった?」
俺は攻撃を受けた箇所を手で抑えつつ質問する。
「えぇ、やっぱり毎日の鍛錬は飽きないわね」
姉貴は呑気に俺と談笑しているが、まったく気配感知をやめようとしていない。
「
サージャは姉貴の背後を取り魔法を放つが…
「あらヤダ、蚊がいるのかしら?」
姉貴はもろに魔法を受けるが蚊にでも刺されちゃったみたいな反応をしている、ダメージはなく平然としている。化け物か?
「魔法が通用しない?」
サージャは動揺していたが、その隙を姉貴は見逃さない。
「ダメよ?最後まで油断しない?いいわね?それとサージャちゃんは近接戦に弱いからそこも叩き込まないとね?」
そうサージャに言った姉貴はサージャの腹に一撃を食らわせる。
「ぶへぇ、ゲホッゲホッゲホッゲホッ」
姉貴の一撃は重く、サージャはしばらく立てないようであった。
それから2時間が経過して…
「ハァハァハァハァ」
俺たち4人は息が上がっており立ち上がれないぐらいくたびれていた。
「あらあら、2時間も戦い続けてもうバテるなんて、先が思いやられるわね〜」
依然として姉貴はスタミナが切れていない
「ハァハァ、な…んで、姉貴は…ハァハァ体力が切れてないんだ?」
「ペース配分よ、フォッ君や3人だって意識すればできるものよ?」
Aランク試験では体力はあまり消費していなかった事を考えると姉貴との実践訓練はとてつもなく体力を消耗するものだろうと俺は思ったのである。
場面は変わり、ローゼンベルク帝国では…
「依然として変わりない?」
金髪の少女はカフェで珈琲を嗜みつつニコロ・ライゼンスと会話をしていた。
「あぁ、変わりはねぇ〜がセイラから聞いた話だと、現状フォックスでは俺達には勝てないかもだと。それと混血は奴の所らしいぜ」
ニコロは現状報告を金髪の少女ことシャドーに行っていた。
「そうかそうか、あの子は元気なのか〜良かった良かった。」
シャドーの言う良かったはどこか他人行儀である。
「それとよ!いちいち姿を変えてくんなよ!わかんねぇ〜だろ?」
ニコロは度々姿が変わるシャドーに対して文句を言う。
「仕方ないだろ〜?こっちにはこっちの仕事もあるし、それにこの身体は…」
シャドーが次の言葉を言おうとした瞬間、ルージュに止められてしまう。
「あまり無駄話をするな、それとゼロが感知していた魔力の持ち主…時空神が何処かに消えたらしい。」
ルージュがそう言うとシャドーはニコロに向かって珈琲を吹きつつ驚く。
「うわぁ、汚ぇ〜な!」
「あの時空神が?何処に消えたって言うんだよ!」
ルージュは肩を竦めつつこう答える。
「さぁな、ゼロが言うには忽然と魔力が途絶えたらしい、まぁ簡単な予想だが、何者かに封印されたかだ。」
ルージュの封印という言葉にニコロとシャドーは驚きを隠せない。
「へぇ〜封印ね、わかった警戒しておくよ、ニコロもそう言うのには警戒しててね?」
「わぁってるよ、それと混血についてはしばらく様子見だぜ、おいそれとフォックス達には近づけねぇ〜からな」
ニコロがそう言うとシャドーはそそくさと会計を済ませ店を後にする。
「ニコロ・ライゼンス、気をつけておけ、お前の後を追っている者がいるからな。」
ルージュはそう言うと蜃気楼のように消えていく。
「俺を尾行している奴だと?そんな気配しねぇ〜けどな?」
ニコロはそう思うが、ニコロから約400m離れている時点にフードを深く被った謎の男がニコロを観察していたのであった。
姉貴との今日で3日目の姉貴との修行…未だに俺たちは姉貴に一撃も入れることはできていない。
「
俺は姉貴に自前の技を繰り出すがそれもことごとく弾かれてしまう。
「幽体突撃なのだ!」
エスは自身の肉体から魂だけを取り出し、幽体状態で姉貴に突撃する。エスの幽体は打撃もできるのだとか。
「あらあら、可愛らしい技ね〜」
そんなエスの拳すらも姉貴に受け止められてしまう。
「うわぁぁぁ」
エスは上空に投げ飛ばされてしまう。
「なら僕が!」
クルスは近接戦を仕掛けるつもりらしい、だが…
「リーチが足りてないわね、それと動きもまるで初心者だわ?」
そもそもクルスは戦闘自体あまりしたことはない、俺の記憶を共有はしているがあくまでその記憶での戦闘は俺の経験であるためクルスの経験ではない。だからクルスは根本的には戦い方をあまり知らないのである。
「はい、おしまい」
姉貴はクルスにデコピンをして弾き飛ばす。
「ガハッ」
思いっきり吹っ飛んでくるクルスを俺は受け止める。
「クルス、大丈夫か?」
俺はクルスの心配をするがクルスは平気だという。
「大丈夫だよ、
確かに現状を鑑みれば俺たちは姉貴の足元にも及ばない、だからこそ、この実践訓練で覚醒をものにしてみせる。
「そこです!
サージャが放った魔法は超級魔法、雷獣の雄叫びによって極大の雷を特定の場所に落とす魔法だ、姉貴でもダメージぐらいは…
「えい!」
姉貴は拳を魔法に対して放つ、すると
「サージャちゃんもよく出来ました、でも魔法が通用しない相手もいることを忘れずに?」
言っちゃ悪いが姉貴の実力は魔法をも打ち消せる程らしい、やはり俺達はまだ姉貴の本気を知らない…
「さてと、フォッ君はいつまで本気を出さないつもりかしら?」
ギクリ、姉貴には俺が本気を出していないと見抜かれている、それもそうか姉貴はここ3日間で俺たちの実力を測っていたのだから。
その日の夜…
「はぁ〜、俺弱くなったのかな〜」
俺は1人外の空気を吸いにベランダへと出ていた。
「魔力を全開にするか…でもそうしたら俺は…」
俺はこの1年間日ノ国での事件以来、本気を出していない、正確には本気を出さなくても勝てる相手ばっかりだったからだ。その所為で俺はいつしか本気を出したらオロチの力が溢れてくる予感がしていたのだろう。案の定、セイラ・クロードとの戦いで破壊の力を使った影響は俺自身に悪影響を与えていた。逆転のスキルさえも未だに使いこなせず、困難に見舞われているのだ。
「明日の実践訓練で本気を出してみるか…」
俺はもう誰1人失いたくない、そう思い本気を出すと決心するのであった。
翌朝、いつも通りの実践訓練、今日は俺と姉貴の1体1の構図である。サージャ達となぜにガレス達は観戦気分で見てくる。
「昨日とは違って今日は本気で相手をしてくれるみたいね?」
「まぁね、俺も本気を出すのは1年ぶりだ。」
俺はそう言うと、腕を伸ばし準備運動をする。
「いくぞ、姉貴!」
「えぇ、思いっきりかかってきなさい!」
俺は一直線に姉貴の元へ拳をいれる、しかしその拳は既に姉貴に避けられてしまう。
「はぁぁぁ」
「甘いわね、フォッ君?」
その位置は!
「予想済みだ!
初級魔法だが、俺の魔力量は膨大、だからファイヤー・ボールも極大だ
「ふん!」
ファイヤー・ボールは姉貴の闘気でかき消されてしまう。
「それは分かっていた!」
ファイヤー・ボールが消えたと同時に俺は姉貴の背後に回り込む。
「私の背後を取るなんて、やるわね、フォッ君?」
しかし、姉貴も俺の行動は予測済みであり簡単に避けられてしまう。
「闘気法
姉貴は闘気によって炎の生み出し 拳に纒わりつかせる。その威力は1発1発に風圧が生み出されるぐらいだ。
「なら!白撚!」
俺はスキルを使用し、姉貴に高速で近づき格闘戦に持ち込む。
「ハッ、フン!」
俺の拳や蹴りをすべていなされてしまう。そしてそのような戦いが続いて数分、俺はオロチの力に飲み込まれそうになってしまう。
「ハァハァハァハァ」
俺は必死に抑え込み、息を整えようとする。
「そのままよ、その力を受け入れなさい、そうすればフォッ君はまだまだ強くなれるはずよ」
姉貴はそう言うが、俺はこの時、100年前の事を思い出していた。
〜100年前〜
「もうこの里にはうんざりだ!俺は里を出る!」
この時の俺は里のしがらみによって結婚の申し出が相次いでいた。しかも男の方が多かった。
「そうは言うが、リアンよ、行く宛てはあるのか?」
師匠はそう言ったが俺は…
「行く宛てならないけど、色々と外国を見て回るつもり、それとリアンって名前使わないでくれないか、師匠」
「まぁ、お主が本名を嫌っておるのはわかっておるが、姉上と義兄上が付けた名前じゃぞ?名前は大事にするのじゃ」
その時の俺は少し反抗期であり、いつしか自身の名前も嫌いになっていっていた。
「フォッ君?本当に里を出るの?」
この時の姉貴は俺を引き止める訳ではなく里を出るのか出ないのかの問いをしていた。
「出るよ、こんな里、それに俺もっと強くなりたいんだ、大切な者が出来た時に守れるように、それにこの先俺はどんどん強くなれる気がする、そしていつか、俺が好きになった人や大切な人達が出来たら、その、姉貴にも紹介するよ!」
俺はこの時そう言っていたのだ。その時の言葉を今の今まで忘れていたなんて。俺は破壊の力を制御するのではなく受け入れる。俺の力としてそうして俺はこの夢から目を覚ます。
俺達は見た、1年前と同じ光をフォックスが1年前、覚醒を使用した時と同じ光、これは…
「おい!これって…」
「あぁ、ガレス、間違いないよ、フォックスさんは覚醒を…」
光が収まりフォックスの姿を確認すると…
「これが、覚醒?」
フォックスの姿は1年前見た覚醒とは違っていた。背は普段と変わらないのだが髪は地面スレスレまで伸び、狐の耳と尻尾はモフモフ感とは違いスラッとした感じになっていた。そして頬には狐の紋様と思わしきものが浮かび上がっていたのだ。
「そう、それが覚醒よ、フォッ君、この高みへ来れたわね」
姉貴は喜びが隠せず、嬉し涙を流していた。
「ひとまず、覚醒はできた、あとはこの力が姉貴にどれだけ通用するかだ!」
俺は姉貴に再度接近するのだった。
一方、各国では…
〜エクレシオン帝国〜
「皇帝陛下!ラナフィ王国より膨大な魔力を検知!亜人の覚醒と思われます!」
「わかった、直ちに厳戒態勢を!」
現皇帝、エメラダ・エクレシオン、後の最強と言われる皇帝、エクシア・エクレシオンのひいおばあちゃんである。
〜ローゼンベルク帝国〜
「なんじゃ、なんじゃ、この魔力量はバケモンでも生まれてしまったのか?」
現皇帝にて、現代の知識の王と言われるハルメアス・ローゼンベルクはこの圧倒的な魔力量に怯えていた。現在16歳の若き女帝陛下でもある。
〜ルイス神聖王国〜
坐禅を組んでいたアレス・グンヒルドは眉をピクっと動かす。
「ほぅ、この私にも引けを取らないほどの魔力量の持ち主…亜人か、やはり4年半も待ちきれぬ、だがこの国に迷惑はかけられぬからな、4年半が待ち遠しいぞ!」
現代最強と名高いアレス・グンヒルドは来る日の戦いまで待ち遠しくなっているのだった。
場面は変わり、フォックスとレアは激突していた。
「白撚+逆転+
俺はあえてファイヤー・ボールに爆発性の魔力を付与する白撚を付与し、その上で逆転のスキルを付与した。
「はぁぁぁ」
姉貴は俺の魔法を消し飛ばしたが、それと同時に爆縮が発生する。要は簡易ブラックホールみたいなものだ。
「面白い発想ね」
勢いよく吸い込まれそうになっている姉貴だが、平然と地面に立っている。おそらくだけど、姉貴は闘気で足場を固定しているのかも。
「だったら今だ!」
俺は姉貴に拳をいれるようとするが逆に反撃されてしまう。
「甘いわね?」
だけど…
「そっくりそのままその言葉をお返しするぜ」
俺は逆転のスキルを使用し、俺が反撃によって食らったダメージを姉貴に逆転させる。
「久しぶりね、ダメージを負うなんて、それにしてもそのスキル、叔父様のでしょう?まさかここまで使いこなせるなんて…」
「まだまだいくぞ!」
俺は姉貴に攻撃を仕掛けようとするが…
「だったら私は2割の力でいかせてもらおうかしら?」
俺はその言葉に絶句した。
「2割だと?まさか今までの戦い、姉貴は…」
俺のその言葉に姉貴は…
「えぇ、そうね、今までは手加減よ、それに今の今までフォッ君との戦いで使っていた力は1割にも満たないわ」
だとしたら覚醒を使用してもまだ姉貴には…だが
「やるからには最後までやってやる!」
俺は逆転の力とは別に破壊の力を纏わせ姉貴に喰らわせようとする、その瞬間。
「スキル…鬼神」
姉貴はスキルを使用した、その瞬間、破壊の力は維持できず、消失し、俺がかけていた自動防御の魔法、覚醒までも強制的に解除させられてしまう。
「これが私の固有スキルの1つ鬼神…鬼神には2つの能力があるの、1つが先程の無効化能力、平たく言えば魔法、スキルの無効化、それに加えてスキルの成長で覚醒までも無効化できる。そして2つ目が身体能力の急上昇、そして簡易的な未来予測も可能になるわ。覚醒を解除したのは許してね、そうでもしないとフォッ君の身体は持たなかったから」
えっ?持たなかったって…
「イタタタタ、なにこれ覚醒の反動?」
俺は全身に倦怠感や痛みが発生していた。
「体の痛みに関しては普段使わない筋肉も覚醒で強化されていたから、まぁ簡単に言えば筋肉痛ね」
なるほど、だからか…イタタタタ
「フォックス?大丈夫?」
アンナが最初にそう聞いてくる。
「大丈夫、大丈夫…」
俺はそう言って皆を安心させるのだった。
それから3週間経過して、俺は完全に覚醒をものにできた。
「普通なら、まる2ヶ月かかるのだけど、さすがはフォッ君ね、これなら大丈夫なはずよ」
姉貴にも合格を言い渡されて、嬉しかった。今では破壊の力は暴走せずに済むし、本気を出せないなんて事はない、だからこそ次こそは…
「ありがとう、姉貴、助かったよ。」
俺は姉貴に礼を言うのだった。
「なら良かったわ、2ヶ月後に開催される武闘大会が楽しみだわ」
んっ?武闘大会?ってえぇぇぇぇ
「待って?あと2ヶ月しかないの?武闘大会開催まで!」
俺が驚いていると皆は何故か知っているみたいなことで頷く、ただしエスや冒険者ではないセクメトを除く
「皆知ってたの?なんで教えてくれなかったんだ!」
「それはですね、フォックス様の特訓を皆様密かに応援していたのですよ、そして今年の武闘大会でも優勝間違いしかと私は思っています!」
「んっ?ていうか今気づいたんだけどさ、武闘大会って予選って3ヶ月前に締切って聞いてたんだけど、俺自分で予選エントリーするって書いてないんだけど…」
俺は困惑しているとシリウスが…
「フォックスさん、俺たちのパーティ代表はガレスとフォックスさんだよ」
俺は勝手にエントリーされていたらしい。
「まじか」
「おう、フォックス!オレ達の分まで頑張れな!ガレスは期待してないぜ!」
ポーラや皆にそう言われると…
「仕方ない、今年の優勝は俺がもらおう、ガレスには渡さない!」
「フォックスが覚醒の訓練中に俺も強くなってんだ!本戦で当たったら負けねぇ〜ぜ?」
俺とガレスは拳を突き合わせるのだった。
〜132年後〜
「今年の武闘大会、優勝者は〇〇だ〜」
歓声は瞬く間に会場に広まってしまう。
「フォックス!何とか勝てたよ、中々キツかったけど」
「まぁまぁ、だな、俺の頃なんかこれより大変だったからな」
俺は昔あった過去の話をするのであった。
これはまだ少し先の未来の出来事である。
第16話 END
次回 第17話 開催武闘大会! 次回をお楽しみに!
今回は頑張って書きました!今回の流れではフォックスさんは破壊の力に悩まされ、その制御を課題としていました。しかし実際には制御ではなく受け入れるという形でしたね、さてこの先どうなっていくのか?未来から来たリンネちゃんの目的とは?それに伴って現れる7つの大罪とは違う組織の登場、またまたフォックスさん達は巻き込まれてしまいますね〜、ガレス達の戦闘シーンも増やすつもりなのでどうぞよろしくお願いします!では次回17話でまた!