神域の料理人が往く食戟のソーマ   作:あさやん&あさやん

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【食戟のソーマ】と【トリコ】の合わせ作品です。しかし【トリコ】の世界が出てくるのは第二話までです。

第三話からは【食戟のソーマ】の世界がメインとなり、【トリコ】世界は出てこないと思います(たぶん)




プロローグ
第一皿


 

 

 

 男は求めていた…………………………まだ見ぬ『味』を、まだ見ぬ『技術』を、まだ見ぬ『料理』を。

 

 男は旅をしていた………………………全ては【人生のフルコース】を完成させるために!!!

 

 

 

 

 

 

 男は【グルメ界】のエリア6、深海にある都市『ブルーグリル』にて生まれた。

 そこでは『首領スライム』というグルメ細胞の悪魔が『アカシアのフルコース』のコピーを調理させるため、国民たちを働かせていた。

 

 肉体的に問題のある者は『フルコースの養分』にされ、精神的に問題のある者は『優れた料理人の魂』と交換され奴隷のように調理を手伝わされる。

 

 男もその一人で、その魂は数えきれないほどの肉体を渡り歩き、今では『自分がどんな容姿をしていたのか』『どんな家族と過ごしてきたのか』『どんな友人がいたのか』すら思い出すことは出来ない。

 

 

『十重二十重に積み重ねた調理経験がある』

『人生のフルコースを完成させる』

 

 

 分かっているのは、この二つだけ…………………だが男にとってはそれで十分だった。もはや過去すら思い出せない自分にとって、それ以上のモノは求めようも無かったのだ。

 

 

 

 ある日、男がいつも通り『アカシアのフルコース』のコピーを調理していると、1人の人間がやってきた。

 その者の名は『一龍』と言って、首領スライムの宿主であり人間界からやってきたとのこと。

 

 また、人間界の『食』の流通を取り仕切る組織【IGO】の会長でもあるらしい………………………男は『一龍』に非常に興味を持った。

 

 自分が知っている世界は『ブルーグリル』の中だけ、外の世界にはまだ見ぬ『食材』や『調理法』があるに違いないと思ったのだ。

 

 

(もしかしたらフルコースを完成させられるかもしれない!!!)

 

 

 そう考えた男は一龍に頼み込んだ、『どうか外の世界へ連れていってほしい』と…………。

 

 

 

(見た目だけ)幼い子供からいきなり懇願された一龍も、最初は非常に戸惑っていた。

 

 だが、その子どもの目があまりにも純粋であり、必死に頼み込んでくる姿に感化された一龍は、男を『人間界』へ連れていくことを決めた。

 

 一龍から『ブルーグリル』の住人を連れていくことを聞かされた首領スライムも、初めは難色を示していたが『自分が復活するためにも一龍に不信感を抱かれるのはマズイ』。

 そう考えて『1人ぐらいなら問題ないか』と言って自分の分身をこっそり取り出し、男が出ていくことを許可した。

 

 こうして晴れて『ブルーグリル』の外に出ることが出来た男は、一龍と共に『グルメ界』を旅しながら『人間界』へと向かった。

 

 

 

 旅すがら男には名前が無いことを不憫に思った一龍は、男に【カムイ】という名前を付けた。

 

 男にとっては自身の名前などとうに忘れてしまっていたため、一龍が呼びやすいならそれで構わないと受け入れた。

 

 また、カムイも一龍の【反発するもの同士を引き合わせる】という因果逆転のような能力【マイノリティーワールド】に興味を持ち、模倣できるよう訓練する。

 

 そして旅の中で【マイノリティーワールド】を会得したカムイを見て、一龍は弟分に引けを取らないぐらいの『ミラーニューロン』をカムイが持っていることに気づいた。

 

 そのため一龍は、決別した弟分と再び仲良くなれたような気がして、カムイに自分の知りうる限りの知識と技術を教えることにした。

 

 そうして一龍からの修行を受けながら『人間界』に着いたカムイは、一龍から戦闘技術以外のことも教えられた。

 

 

 『人間界』には『美食屋』と呼ばれる食材を調達する専門家がいること。

 その『美食家』の中でもカリスマ的存在である『美食四天王』という四人の男たちがいること。

 失われた食材や自然を復活させる『再生屋』という専門家がいること。

 一龍の弟分が『再生屋』として伝説的存在であり、『節乃』という凄腕の料理人がパートナーであること。

 

 

 外の世界はカムイにとって興味が尽きないものばかりだった。ある時カムイは、一龍に弟分である『二郎』とパートナーである『節乃』を紹介して欲しいとお願いする。

 

 

(『再生屋』としての技術があれば、まだ見ぬ食材に出会えるかもしれない。『節乃』という人の下で修行すれば、より優れた技術を会得することが出来るかもしれない)

 

 

 そう思ったカムイは再び一龍が根負けするまで頼み込んだ………………全ては【人生のフルコース】を完成させるため。

 

 一龍の紹介で『節乃』と『次郎』に弟子入りすることが出来たカムイは、二人から様々な調理技術と再生技術を吸収していった。

 

 優れたミラーニューロンのおかげか、そのスピードはまさに砂が水を吸うかの如き早さだった。

 長年の付き合いである一龍の紹介であったため、渋々受け入れた二人も思わず目を見張るほどの成長速度であった。

 

 住み込みで節乃からの修行を受け、たまに次郎の旅にくっついて再生技術を覚える。次第に修行や旅の中で、カムイは『食材の声』も何となく感じ取れるようになっていった。

 

 

 

 そうして節乃の修行で学んだことを二郎との旅で試していくと、月日が経つのも早いもので…………………カムイは肉体の年齢が中学生ぐらいへと成長した(実年齢については不明だが)。

 

 カムイがこの10年で学んだことは非常に多い。節乃の修行を受ける傍ら、彼女の紹介で『調理王ザウス』『膳王ユダ』『一振り一億円の千代』『毒料理のタイラン』『カレーの達人 ダマラスカイ13世』と錚々たる料理人からも修行を受けることが出来た。

 

 特に千代からはとても目を掛けられていて、彼女の繊細な包丁技術だけではなく、本来なら『食林寺』でなければ学べない『食義』と『食没』まで教えてもらえた。

 何でも幼いカムイが亡くなった息子に似ていることが理由で、それはもう大層可愛がられた。

 

 そのおかげで、かねてより訓練していた【マイノリティーワールド】もある程度使えるようになり、地球の比重の関係から本来混ざることのない水と油を一つにすることも可能となった。

 

 さらには次郎の紹介で、再生屋として屈指の実力を誇る『与作』と『モーヤンシャイシャイ』から再生技術を教わった。

 そして次郎の旅に付き添っていくうちに、『グルメ界』の厳しい自然環境までも克服することに成功する。

 

 しかも再生屋としても仕事をしていく中で、暗技と呼ばれる技術の『蘇生切り』。そして『蘇生切り』の応用で、包丁で切るごとに旨味が増す『活性切り』という技術も身につけた。

 

 その甲斐あって、節乃と次郎からは『もう教えることはない』と言われ1人で旅をする許可が出た。ただ節乃からは『食材に好かれる才能がある』と褒められていたが、この時のカムイにはよく分かっていなかった。

 

 一龍にも修行の成果を報告し、『美食屋』および『再生屋』としてのライセンスも発行されたことで、カムイは『美食屋』であり『料理人』であり『再生屋』でもあるという世界屈指の実力者となる。

 

 それからは1人で『人間界』と『グルメ界』を旅し、捕獲・再生させた食材を『食材の声』に従って調理。作った料理を自分で食べては、また旅をする。

 そんなことを繰り返していき、『ブルーグリル』に居たままでは味わえないほどの充実感を堪能していたカムイだった。

 

 

 

 しかし…………………未だフルコースは一皿も埋まってはいない。

 

 

 

 

 旅を続けていくうちに風の噂で一龍が死んだことを知った。自分を外の世界へ連れ出してくれた『恩人の死』に、カムイは涙こそ流さなかったが……………………その日は何も食べずに自分なりの喪に服した。

 

 そして一龍を殺した『三虎』という男により、『人間界』には食材が無くなってしまい大規模な食糧難が発生したことも知った。

 

 しかしカムイには関係無かった、『人間界』に食材が無ければ『グルメ界』へ行けばいいと考えたからだ。

 ただ一龍が亡くなる前に『自分を呼ぶ声』が『人間界』から何度か聞こえたことだけは、少し気になっていた。

 

 

 

 声については気になるも、そのまま旅を続けるカムイは『グルメ界』に拠点を構えた。

 

 いつも通り、食材を捕獲・再生させて調理。完成した料理を自分で食べていたのだが…………………ある日、1人の男と出会った。

 

 その男は『トリコ』と言って、【美食會】に攫われたパートナーの『小松』を助け出すべく『グルメ界』にやってきたとのこと。

 

 しかし空腹で体力が尽きかけてしまったらしい。そうして休める場所を探していたところ、美味しそうな匂いに惹かれてカムイがいる拠点まで辿り着いたのだそうだ。

 

 亡き一龍から美食四天王のことは聞いていたし、息子同然に育てていたこともカムイは知っていた。

 特に会おうとしたことは無かったが、こうして会えたのも何かの縁…………………いや、『食運』の導きなのかもしれない。

 

 そう思ったカムイは空腹で死にそうになっているトリコに自ら料理を振る舞った。カムイが自ら料理を提供することは、師匠である節乃や恩人である一龍を除けば初めてのことだ。

 

 しかしカムイは何故か自ら腕を振るおうとした。理由は分からない、ただ【空腹で死にそうになっている】トリコを見て放っておくわけにはいかないと強く思ったのだ。

 

 『グルメ界』の美味なる食材をふんだんに使い、超一流の料理人たちから叩き込まれた技術を惜しみなく使ったご馳走。

 それは間違いなく『人間界』では決して食することが出来ないほどの美味なる料理であった。

 

 そんな料理が次々と提供されていくのだが、片っ端からトリコが食べまくっていったため作っても作っても足りないぐらいだった。

 『食没』によって食した料理を全てエネルギーへと貯蔵したトリコは瞬く間に復活。ちなみに『食没』については千代の下で修行した際にカムイも会得している。

 

 

「っ、くっはーーーーーーー! 生き返ったぜ♪ ごちそうさまでした♪」

 

「食材、全部無くなった」

 

「ありがとうよ、お前のおかげで助かったぜ! 俺の名は『トリコ』、お前は?」

 

「…………カムイ」

 

「『カムイ』か、よろしくな♪ 本当にありがとうよ。ところで……………カムイはいったい何者なんだ?

 お前みたいな【子ども】が『グルメ界』でフツーに生きていけてることに驚きなんだが?」

 

 空腹が満たされて復活したトリコは改めてカムイへお礼を言うと、いくつか質問をした。

 

 カムイの見た目は中学生程度、そんな子どもが『グルメ界』で普通に生活しているばかりか強大な猛獣すら捕獲できることが信じられなかったのだ。

 

 特に隠すことも無いカムイは、自身の身の上話を端的に説明した。自分でも何故話そうと思ったのかは分からない、ただトリコの持つ優しくて穏やかな雰囲気により自然と話していたのだ。

 

 

・自分は元々『グルメ界』の出身であること。

・ある日一龍と出会い、『人間界』に連れてきてもらったこと。

・一龍の紹介で、節乃や次郎など超一流の職人や料理人たちに調理・再生・戦闘技術を教えてもらったこと。

・トリコたち美食四天王のことは一龍から聞いていたこと。

・人生のフルコースを完成させるために旅を続けていること。

・自分にとって一龍は恩人であり、彼への恩をトリコに返したこと。

 

 

「そうか………カムイも色々と苦労してたんだな。それにしても、オヤジの秘蔵っ子がいたなんて初耳だぜ。

 オヤジのヤツめ、そんなのがいるならあらかじめ言っておけよな!」

 

 口下手ながらも一生懸命説明するカムイの話に、トリコも思わず聞き入ってしまった。節乃や二郎の凄まじい実力や技術については、トリコ自身もよく知っている。

 

 しかしまさか、その彼らから認められ、技術を受け継いだ人物がいたとは思わなかったのだ。

 にわかには信じられない話だが、先ほど食べた料理の味と完成度から信じざるを得なかった。

 

 

「……………なぁ、カムイ。こうして会ったのも何かの縁だ。頼む! 小松を救うまででいい、カムイの力を貸してくれ! このとおりだ!!!」

 

 『グルメ界』の厳しさを知っているトリコはカムイに『自分の旅に付いて来てほしい』と頼んだ。

 

 『グルメ界』を攻略するには単純な戦闘力だけではなく、『優れた調理技術』。そして何より『類稀なる食運』が必要だからだ。

 

 

「…………わかった」

 

 カムイも料理を作っただけで一龍への恩を返したとは思っておらず、またトリコのパートナーである『小松』という人物にも興味があったためトリコの提案に応じることにした。

 

 これも『食運』の導きによるものなのか、九死に一生を得たトリコはカムイと臨時コンビを結成するのであった。

 

 カムイはトリコと旅に出た、道中の強大な猛獣たちを捕獲・調理しトリコと共に食べる。『小松』の追跡についてはトリコの常人離れした嗅覚をコンパスに進んでいく。

 

 

 

 

 そうして旅を続けることしばらくして……………二人は【美食會】へと辿り着いた。

 

 

 【美食會】のことは一龍たちから聞いていたカムイだったが、悪の総本山というにはあまりにもボロボロに崩れているため、『アジト』というよりも『廃墟』という印象を受けた。

 

 カムイはトリコと共に建物を進んでいき、【美食會】のボスである『三虎』と対峙した。

 

 自分の恩人を殺した怨敵を前にしてカムイが抱いた感情は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『哀れみ』だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それはカムイ自身にとっても不思議なことだった。もし自分が三虎に『怒り』や『憎しみ』を抱くようなら、一龍の敵討ちをするつもりだったからだ。そしてそのことはトリコにも話していた。

 

 だが、出来なかった。恩人である一龍を殺し、『人間界』の食材をメチャクチャにした張本人。しかし何故か、三虎のことを憎むことが出来なかったのだ。

 

 

 三虎を見てカムイが感じた第一印象は『空腹に苦しむ子ども』だった。どれだけ食べても決して満たされない苦しみ………………それは数多の食材を調理し、食してきた自分が常に感じていることでもあった。

 

 超一流と呼べる調理技術を有し、『グルメ界』の猛獣すらも捕獲する強さを持つカムイ。

 失われたとされる古代食材すらも復活させ、その功績は表に出ることはなかったものの目ざましいものがあった。

 

 その腕を遺憾なく発揮し、美味なる料理を生み出してきた。その料理たるや、もし美食の祭典『グルメフェスタ』に出場すれば十分に優勝を狙えるレベル。

 

 美食都市として名高い『グルメタウン』、その一等地である『グルメタワー』に店を構えても年中行列が並ぶぐらい繁盛させられるだろう。

 

 それほどの料理を作り、食していても………………自身の『フルコース』は何一つとして埋まっていない。その『どれだけ食べても満たされない苦しみ』をカムイは嫌と言うほど理解していたのだ。

 

 初めて出会えた『同じ苦しみを持つ人物』。そして、どこか自分と似たモノを感じた三虎に共感を覚えたカムイは何も言わず、『小松』を連れたトリコと一緒に【美食會】を後にした。

 

 

 

 それから二人と共に『人間界』へと戻ったカムイ。当初の約束は果たしたので、別にこれ以上行動を共にする必要は無いのだが、カムイは『小松』に興味を惹かれた。

 

 自分よりも遥かに弱い人間、調理技術だって自分よりは劣るはず。彼では『グルメ界』の猛獣はおろか、『人間界』の猛獣ですら捕獲することは出来ないだろう。

 

 しかし彼が食材や調理器具を手にした瞬間、食材が色めき立ち、嬉しそうに輝き始めたのだ!!!

 

 

(バ、バカな…………自分が触れても、決してこんなことにはならない! 触れただけで旨味が増す? そんなことがあるのか!?)

 

 

 そう思ったカムイは小松のことをもっと知るため、もうしばらく一緒にいることにしたのだ。

 

 『人間界』に戻った三人は人々を救うために一龍のフルコースを集め、『ビリオンバード』の原種を復活させた。

 またカムイは一龍のフルコースを見て、かつて自分を呼ぶ『声』の正体を知った。

 

 そして原種から生まれた大量の『ビリオンバード』を世界中に配ることで、『人間界』の食事情は見事に蘇ったのだった。

 

 

 

 人々が『食べる喜び』を思い出している中、カムイは1人『ビリオンバード』の原種と向かい合っていた。

 

 

『一龍が未来へと残した希望』

『誰からの見向きもされずに滅んでいった鳥』

 

 

 失われた過去など自分にとって何の価値も無いと思っていた。そんなものは『人生のフルコース』を作るのには関係ないことだと割り切っていたつもりだった。

 

 しかし『誰も自分のことを知らない』という事実と『このまま自分は人知れず静かに消えていくのか』という未来が、カムイの心を締め付けた。

 

 

(誰も俺のことを知らなくてもいい…………………でもせめて、『人生のフルコース』は完成させたい!!!!)

 

 

 カムイは『一龍からの贈り物』である『ビリオンバード』を見ながら、改めて『人生のフルコース』を完成させる決意を固めた…………………『それ』が自分の生きた証なのだ、と。決意を新たにしたカムイに『ビリオンバード』がすり寄ってくる。

 

 もしかしたら『誰にも知られないで消えていく』ということに共感したのかもしれない。ただスリスリと頬ずりしてくる『ビリオンバード』を見て、カムイはフッと笑い一言溢した。

 

 

 

 

≪ありがとう≫

 

 

 

 

 気づくとカムイは、自然と『ビリオンバード』に感謝をしていた。

 

 『滅んだ過去』を持つ『ビリオンバード』から、やがて自分も同じ結末を辿るかもしれないという警告を発せられている気がした。

 そんな先達が、この時代に復活し『空白の過去』を持つ自分と出会ってくれた。そのような奇跡の巡り合いに心から感謝したのだ。

 

 

 そしてその瞬間、『ビリオンバード』の翼が巨大化し空を飛ぶ!

 

 

 飛べないはずの『ビリオンバード』が空を飛び、自分に向かって涙を流しながら『黄金』に輝く卵を産み落としてくれた!!

 優しくキャッチしたカムイは予感を超えた『確信』を得る!!!

 

 

 (これは………………………俺の『フルコース』に入る!!!)

 

 

 感謝して産む『ビリオンバードの卵』をすぐさま調理場へ持っていくカムイ。その途中でトリコたちと鉢合わせし、事情を聞かれる。

 特段隠す必要もないことだったので、カムイは正直に『ビリオンバード』について話をした。

 

 『ビリオンバードの卵』が『特殊調理食材』であったことに驚く面々を他所にカムイは調理場へと向かう。今はとにかくこの『黄金に輝くビリオンバードの卵』を調理したかったのだ。

 

 カムイと別れたトリコたちは、同じ方法で『黄金に輝くビリオンバードの卵』を入手。『一緒に食べないか?』と誘われもしたが断った。

 カムイの頭はようやくフルコースの一皿が決まるという高揚感で一杯だった。

 

 『ビリオンバードの卵』を割ると卵黄が卵白に攪拌した中身が出てきた。軽く味を見てカムイは自分の直感と『食材の声』に耳を傾けながら調理を始める。

 

 

 

 まず、『ビリオンバードの卵』に『ミルクジラ』の潮を混ぜて卵液を作る。『ミルクジラ』の潮は上質な甘さと深いコクを持つミルクとなっている高級食材だ。

 その『ミルクジラ』のミルクと一緒に、同じミルクから作った生クリームも混ぜる。

 

 泡立て器で丁寧に卵液をかき混ぜながら、そこに『ビリオンバードの卵』を足し、透き通るような結晶で出来た砂糖の『クリスタルシュガー』を入れて軽く温めながら混ぜる。

 

 本来なら『アイスクリームのタネ』は白いのだが、カムイの場合は卵を多く混ぜているため黄色くなっていた。

 

 そうして出来たタネに温めた『ミルクジラの潮』を足して濾し器で濾し、再度焦がさないよう注意しながら粘り気が出るまで温めれば『アイスクリームのタネ』が完成。

 

 この『タネ』を冷凍庫に入れ、30分経ったら取り出して箸でかき混ぜ、また冷凍庫に入れる。これを何度も繰り返し、タネに空気をふんだんに混入させる。

 

 タネがモッタリしてきたら、今度はマイナス28℃で急速冷凍。そうして『タネ』を冷やしている間にトッピングや付け合わせなどの調理も進める。

 

 

(余計な味はいらない、欲しいのは『食感』と『香ばしさ』と『香り』)

 

 

 カムイは【グルメ界】で取れた『BBコーン』の実を箸でこそげ落とし、小麦粉を緩く溶いたものを少量入れる。

 

 同じ『BBコーン』から取れたヒゲをフライパンの上で熱を加えながら絡めつつ、『エアアクア』の水も加えて固めていき、『BBコーンのおやき』を作る。

 

 『おやき』が出来たタイミングで冷やしていたタネも固まり、『カスタードアイスクリーム』も完成。

 しかし出来上がったばかりのアイスクリームは柔らかすぎるため、容器に移してから更に3時間ほど冷凍庫に置いて表面を固める。

 

 十分に固まったところでアイスを取り出し、『ビリオンバードの卵』で作った『デザートオムレツ』で包み、『BBコーンのおやき』を薄く切ったものと細かく砕いたものに分けていく。

 

 そして『デザートオムレツ』の上に細かく砕いてクランチ状にした『BBコーン』をまぶし、ウエハースのように層となった『BBコーンのおやき』の薄切りを添える。

 

 仕上げに『BBコーン』から作った蒸留酒であるウイスキーを掛けて火を点けて『フランベ』。

 『デザートオムレツ』に包まれているため、『フランベ』の火でアイスが溶けることもない。

 

 それどころか『フランベ』により『BBコーン』の甘さと香ばしさが香りとなって部屋全体に広がり食欲をかき立てていた。

 

 

 

≪ビリオンバードのカスタードアイスクリーム、オムレツ包み(BBコーンの風味添え)≫。

 

 己の全てを注ぎ込んで作った、フルコースの有終の美を飾る一品である。

 

 

 

 いつものように出来上がった料理を自分が真っ先に食べるカムイ、しかしその手は興奮で震えていた。

 まずはオムレツと一緒にカスタードアイスクリームだけをスプーンで掬って一口……………………

 

 

 

「!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 鼻腔をくすぐる『BBコーン』の香りを楽しみながら、口に含んだ『ビリオンバードの卵』。

 

 その分厚い地層のように重ねられた旨味がアイスクリームにしたことで凍りつき、自身の舌の上でゆっくりと…………………静かに溶けていく。

 

 また何億年分の旨味成分が濃縮されたフワフワのオムレツが、時間差でジワジワと自分の身体に染み渡っていく。

 そうして異なる形で『ビリオンオンバードの卵』を楽しんだ後は、トッピングや付け合わせの『BBコーン』と一緒に食べてみる。

 

 香ばしく焼き上げられた『BBコーンのおやき』。クランチ状に砕かれたものと薄切りされたものでは、全く別の味わいを演出していた。

 クランチの香ばしさが『ビリオンバードの卵』の旨味に僅かながら、それでいて消えることの無いアクセントを与えてアイスクリームの味を引き立てる。

 

 オムレツで包まれたアイスクリームを薄切りしたおやきに乗せて一緒に頬張れば、溶けて楽しむオムレツとアイスクリームにサクサクとした食感で『噛む楽しさ』を加わえてくれる。

 

 目で楽しみ、鼻で楽しみ、歯で楽しみ、最後に舌で楽しむ。そうして作った料理を思う存分堪能し、生まれて初めて『心』が満たされたカムイは一言呟く。

 

 

「………………美味い」

 

 

 空白であった『人生のフルコース』、その『デザート』が決まった瞬間の喜びにカムイは打ち震えた。

 

 

 

 その後、デザートの匂いを嗅ぎつけてきたトリコたちにしつこくせがまれたため、カムイは仕方なく同じものを作る。

 カムイの技術が結集したデザートを食べてトリコたちは大喜び、サニーに至っては美しさのあまり涙目になるほどだった。

 

 そしてトリコもまた『ビリオンバードの卵』を自身のフルコースの『ドリンク』に採用したらしく、皆でカムイとトリコのフルコースの一品が決まったことを夜が更けるまで盛大に祝った。

 

 なおトリコからは『ビリオンバードの卵』を自分のフルコースに入れたことについて『何も思わないのか?』と聞かれたが、カムイにとってはどうでも良かった。

 この食材が恩人と自分を今も繋いでくれているという事実があれば、それで十分だった。

 

 翌日、『ビリオンバードの卵』が保管されていた場所に行き眠っていた一龍の旧友であるニトロの『チチ』から話を聞き、カムイは再びトリコたちと共に『グルメ界』へと向かう。

 

 

 

 様々な猛獣や天災などに見舞われながらも、『エア』と『ペア』の入手に成功。

 

 そして『ジジ』というニトロと話し合った結果、残りのアカシアのフルコース食材は『人間界』から増援にやってきた者たちと手分けして集めることになった。

 

 カムイはアカシアの魚料理である『アナザ』を入手するべく、小松たちと共に故郷である『ブルーグリル』へと向かう。

 

 『アナザ』はアカシアのフルコースの中でも随一の旨味を誇り、その味わいから食した者の『遠い日の味の記憶』すらも呼び起こすという。

 

 自分の過去になど興味が無くなったカムイだったが、それを聞いて『失われた何かを思い出せるかもしれない』という淡い思いが心の片隅に宿っていた。

 

 

 小松たちと一緒に久々の故郷に足を踏み入れたカムイ。しかし自分がどこから来たのかも分かっていないカムイにとっては、『一番古い記憶の場所』以外に思うことは無く、『故郷に帰ってきた』という実感は沸かなかった。

 

 小松たちからは『家族に会いに行かないのか?』とも聞かれたが、自身の記憶にそんなものは存在せず適当に返答して別行動を取る。

 

 目的も無く彷徨い歩き、夜になると『食霊』たちが漂い出す。『人間界』から来たメンバーは驚くが、カムイにとっては見慣れた光景だ。

 『食霊』たちを追い払っていると、またもや『食運』の導きなのか…………………大量の『食霊』たちに付きまとわれている小松と子どもを発見した。

 

 どうやら子どもと一緒に『食霊』に追いかけられている内に、皆とはぐれてしまったらしい。

 『何をやっているのか』と呆れつつ、夜も遅いので一緒にいる『チャコ』という子どもの家に泊めてもらうことになったカムイと小松。

 

 泊めてもらうお礼に小松が夕食を作ることとなったのだが、何故かチャコは小松の料理を『美味しくない』と答えた。念のためカムイも味をみるが、特に問題は無い。

 

 つまりチャコは味覚に異常があるのだ。このままでは遠くないうちにフルコースの『養分』にされてしまうだろう…………………しかしカムイにとってはどうでも良かった。

 ここでは別におかしくないこと。自分もそうやってここまで生きてきたのだから。

 

 ただ、泊めてもらった以上は何かしらの礼はしないといけない。『世話になった人には礼をするように』と節乃に教えられたからだ。

 カムイは『明日の朝食を自分が作る』と伝えて、チャコでも味を感じられる料理を作るべく食材を調達しに出かけた。

 

 小松とチャコには心配されたが、ここで生まれた自分からすれば特に脅威にならないため、そのままチャコの家から出ていった。

 

 

 

 しかし翌朝、事件が起きた。食材を取ってきたカムイが戻ってきたら、チャコがいなくなっていたのだ。

 急にいなくなったチャコを心配して慌てている小松に、カムイはこのブルーグリルの『闇』を語った。

 

 身も毛もよだつような調理を止め、チャコを助けるべく小松はカムイに案内を頼む。

 

 この都市で長きに渡って続けられてきた『調理』をどうやって終わらせるのか…………………非常に気になったカムイは小松を案内することにした。

 

 電車に揺られながら数時間、カムイは小松と一緒にフルコースの厨房へとやってきた。一龍に連れられる前と何も変わらない光景、『調理』は全く進んでいないということが一目で分かった。

 

 

 まず最初に小松は、アカシアの『サラダ』である『エア』の調理から取り掛かった。本物の『エア』を調理したこともある小松に聞いてみると、『食材の声』を聞きながら調理を行えばいいとのこと。

 

 『食材の声』は調理が難しければ難しいほど、聞き取ることが難しくなる。実際、カムイとて全ての『食材の声』が聞けるわけではない。

 しかしアカシアのフルコースの食材は、『食材の声』を聞き取らなければ調理が不可能らしい。

 

 初めて見る食材にすら直ぐに好かれてしまう小松とは違い、カムイは集中力を極限まで研ぎ澄まして『食材の声』を聞き取ろうとする。

 そして小松から遅れること数分経ち、ようやく『エア』の声を聞き取ることに成功。二人で『エア』の調理を進めていく。

 

 しばらくして調理が完了すると、本物の『エア』を捕獲した時と同じように『エア』の実から大量の空気が天へと昇っていく! 無事に120%の旨味を持つ『エア』の調理の完了だった。

 

 そうしてユダたち他のメンバーとも合流し、カムイは小松と共に残るアカシアのフルコースの調理を次々に完了させていく……………………残すは『魚料理』である『魚宝 アナザ』のみとなった。

 

 

 

 

 

 

 『アナザ』は食霊たちの住む世界にいる上、調理には途方もない年月が掛かる。そのため普通の調理器具を持ち込んでもダメになってしまう。

 

 そこで永久不滅の旨味成分である『グルメマター』で作られた『金の調理器具』が必要となるそうだ。

 

 『グルメ騎士』のおかげで必要な材料を揃え、『人間界』から一緒に来た一流の職人たちの手で完成した最高の『金の調理器具』。

 それらを持参し、カムイは小松たちと共に食霊たちのいる世界へと足を踏み入れる。

 

 

 やってきた世界は闇一色に染まった『魂の世界』、いわゆる『幽世』と呼ばれる死後の世界である。

 

 死者は現世の味を認識することは出来ず、現世の味も『魂の世界』までは届かない。

 

 しかし、『アナザ』によって死者の味覚を覚醒させることが出来れば、『鯨王 ムーン』が呑み込んだ食材たちも死者は味わうことが出来る。

 

 故に全員でまずは『アナザ』を捕獲し、調理することを決める。小松の類稀なる『食材に好かれる才能』により、『アナザ』は自らその身を委ねたことで捕獲は簡単に成功した。

 

 しかし続く『アナザ』の調理が熾烈を極めた。数多くの調理工程、しかもそのほとんどが『年単位で待つ』ことを強いられるものだったからだ。

 そのため小松がいくら調理工程を簡略化し、数多くの一流の料理人がいても調理はなかなか進まなかったのだ。

 

 調理の最中に何年も待たなければならないという過酷な状況。カムイはただ待つのではなく、『ある人物』を探すために厨房から抜け出した。

 

 『アナザ』の調理工程で待つ間に何度も抜け出して探す、そして死後の世界を管理する『閻魔大王イカ』にその人物の居場所を聞き出して向かうと………………………自分の恩人である『一龍』がいた。

 

 

 探していた人物、一度死んだ人間に会うことが出来たカムイだったが、何を話せばいいか分からなかった。生来の口下手が災いして、上手く自分の想いを言葉に出来ないのだ。

 

 そんな慌てふためくカムイを見て、一龍は嬉しそうに微笑みカムイの頭に優しく手を乗せた。

 

 

「よく来たな、また会えて嬉しいぞ♪」

 

「…………………おれも、嬉しいと、思う」

 

 一龍の言葉を借りる形でカムイは何とか自分の想いを口にする。たどたどしく素っ気ない返事ではあったが、一龍はそれでも嬉しかった。

 

「死ぬ間際、脳裏にお前さんのことがよぎってなぁ。全く音沙汰も無かったし、どうしてるか気になっていたんじゃよ」

 

「………………あまり、連絡しなくて、ごめんなさい」

 

「ハッハッハッ! 気にするでない、『便りが無いのが元気な証拠』とも言うからなぁ♪ それよりも………………聞かせてくれないか、ここまでの旅を」

 

「……………上手く、説明、できない」

 

「構わん構わん♪ 時間はタップリとある。少しずつ、ゆっくりで良い。お前さんの言葉で聞かせてくれ」

 

 無口で周りの人間に対しては不干渉なカムイだが、素直になってしまうものが二つある。

 

 

 『食材』と『世話になった人物』。この二つだけは流石のカムイでも無視することは出来ず、しかも恩人である一龍の前だと借りてきた猫のようになってしまうのだ。

 

 カムイが普段からあまり喋らない気質を知っていた一龍も、無理に急かすようなことはせず、久しぶりに会う『家族』との時間を楽しもうとする。

 

 自分のことを話したことの無いカムイは当然悪戦苦闘するが、自分が『誰と出会い』『何をして』『どう思ったのか』を伝えると一龍が嬉しそうに微笑むのを見て、『これが正解か』と理解した。

 

 口下手ながらも一生懸命に自分が体験したことを話すカムイ、それを優しい笑顔で黙って聞く一龍。時間の概念が無いこの世界だが、二人の間には静かな優しい時間が流れていた。

 

 

 やがて『アナザ』の調理の最終工程に戻らなければならない時間となり、カムイは名残惜しそうに話を終えた………………すると今まで黙って話を聞いていた一龍が優しい笑みを浮かべながら、一言尋ねる。

 

 

「のう、カムイよ………………楽しかったか? ここまでの旅は」

 

 

 『楽しい』、それはカムイにとっては未知の感情だった。そのため、これまでの1人旅をした時のことから思い返してみても、『楽しかった』かどうかなんてわからない。

 

 しかし、話すことには困らなかった………………ならばそれは間違いなく『楽しい』ということなのだろう。カムイはそう結論付けると、コクンと頷いた。

 

「フフ、そうか…………………なら、ワシが思い残すことはもう無い。お前の成長を見られて、本当に良かった♪ 元気でやりなさい」

 

 一龍に言われてその場を後にしようとすると、『アナザの子ども』がすり寄ってきた。『自分を選んでくれたのか?』と首を傾げていると、後ろから一龍に呼び止められる。

 

 

「ああ、そうそうそう、カムイよ。一つ言い忘れておった。トリコに会ったら伝えておいてくれ」

 

「?」

 

 

「ワシの『ビリオンバード』………………『フルコース』に入れてくれてありがとう、とな♪」

 

 一龍に言われたカムイは珍しく目を大きく開く。しかしすぐにフッと笑って頷き、『アナザの子ども』を連れて今度こそ去ることにした。

 

 

 

 一龍と別れたカムイは厨房へと戻り、『アナザ』の調理の仕上げを行う。だが調理が完了すると、『アナザ』の旨味がこの世界全体へと広がり食霊たちが次々に成仏していった。

 

 そして『アナザ』の旨味に触れた瞬間、カムイの脳裏に見たことも無い映像がよぎる!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お兄ちゃん、お腹すいたぁ~~~~』

 

『さっきお昼ごはん食べたばっかだろう? ホントーに○○◯は食いしん坊だな~~~』

 

『だってぇ~~~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 幼い女の子が自分に抱きついてきてご飯をねだる光景、しかし自分の記憶の中にこんな経験は無い。困惑するカムイの脳裏に今度は別の情景が浮かび上がる。

 

 

『ごめんな、○◯○。こんなものしか用意できなくって』

 

『ん~~ん、お兄ちゃんと一緒に食べられるならいいの。○◯○にとっては「ご馳走」だよ♪』

 

『そっか………………今に見てろよ、いつの日か世界一美味しい料理を食べさせてやるからな!!!』

 

『っ、ホント!?』

 

『ああ、もちろんだ! ○○◯が世界一美味しいって思えるような料理をお腹いっぱいに食べさせてやる!! 兄ちゃんの「フルコース」をな!!』

 

『やったーーーーー! 約束だよ、お兄ちゃん♪』

 

 

 みすぼらしい服装にみすぼらしい料理。少女の姿が先ほど見た映像よりも痩せこけていることから、二人が貧困に苦しんでいることが分かる………………………しかし目の前の少女は幸せそうに自分の作る料理を食べていた。

 

 数えきれないくらいの魂の交換を行い、数えきれないほどの調理経験を積んできた。今では自分が何者であったのかも思い出せない。

 

『何故自分は料理を作るのか』

『何故フルコースを完成させようとしているのか』

 

 その理由が徐々に思い出せてきた………………そして記憶の場面が切り替わる。

 

 

『お、にい、ちゃん…………おなか、すいた……………』

 

『頑張れ、○○◯! ほら、お兄ちゃんが作ったスープだぞ!!!』

 

 

 最初に見た活発だった少女は、もはや見る影もないほどに瘦せ細っていた。

 

 そんな少女へ必死にスープを飲ませようとする自分であろう人物………………しかしそのスープは『白湯』みたいに色が無く、ただ水を温めただけにしか見えない。とてもスープとは呼べないものだった。

 

 けれど少女はそんなものですら飲むと『美味しい』と笑っていた。『どんな料理でも家族と食べればご馳走になる』と言った少女の言葉に嘘は無かったのだ。

 

 そうして『人生最後のご馳走』を堪能した少女は自分へ笑いかける………………………。

 

 

 

『おにいちゃんの、フルコース………………たべたかった、なぁ…………………』

 

 

 

 少女が息を引き取ると同時に場面の切り替えが終わり、カムイは我に返る。

 

 

 

 

 失われた記憶を取り戻したカムイの目からは…………………涙が溢れていた。

 

 

 

 






分かっていましたけど、料理の調理工程を入れると文字数が跳ね上がりますねwww

でも【グルメもの】なので、そこは頑張って書いていきます!


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