神域の料理人が往く食戟のソーマ   作:あさやん&あさやん

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叡山がグルメ食材を盗んだことについては、後の話の展開上『序章』として必要でしたので強行しました。

もちろん全くの『お咎め無し』とはいきませんので、選抜戦が終わったら、『盗む』に至った経緯も含めて話に上げる予定です。

けど叡山にはまだまだやってもらうことがあるので、ペナルティはありますが第九席から外すようなことはありません。

ただ気になる読者の皆様のため、少しだけ予告しておくと…………弾劾裁判では司がヤバいです。




第三十三皿

 

 

 

 選抜本選二回戦の対戦カードが決まり、美作と対決することになった幸平は極星寮の厨房で、『ビーフシチュー』が入った大量の鍋を前に考え込んでいた。

 

 二回戦のテーマは第一・第二試合どちらも『洋食のメイン』なのだが、なんと幸平は自ら【ビーフシチュー】を作ると対戦相手である美作へ宣言してしまったのだ!

 

 

 

 

 事の発端は、美作がタクミ同様に幸平にも愛用の包丁を賭けた【食戟】を挑んだことにある。

 

 美作は自分が負けたらタクミから奪った『メッザルーナ』を渡すと勝負を持ちかけたのだが、幸平は【食戟】を受ける代わりに美作が奪ってきた百本の包丁を賭けるよう提案した。

 

 そして自分が負ければ『料理人』であることを辞めると宣言したばかりか、自分が作る料理まで教えてしまう始末。

 いくら包丁百本に釣り合う対価を出すためとは言え、これには極星寮の仲間たちも猛反対。

 

 しかし幸平は『美作をこのままにさせない』と言って頑として譲らず、かくして美作が持つ百本の包丁と幸平の料理人人生を賭けた『ビーフシチュー』での【食戟】が行われることとなったのだ。

 

 だが幸平が作ると言って美作に食べさせたのは、自分の持つレパートリーの中でも自信作と言える『ビーフシチュー』。

 その完成度の高さを前に、どう改良すればいいか全く糸口が掴めないでいた。

 

 

(どうしたもんか。今までなら対戦相手の得意なジャンルからヒントを得てきたんだが、今回はそうはいかない。まるで自分の影とひたすらに追いかけっこしてるみたいだ)

 

 

 水戸との【食戟】でもアリスとの試合でも、幸平は相手の得意ジャンルの一部から着想を得てきた。

 

 更にそれを定食屋での経験と柔軟な発想から機転を利かせて、自分の料理に落とし込むことで勝利してきた。

 だが今回の対戦相手である美作には、得意ジャンルというものが無い。

 

 もっと言えば、美作は幸平の思考をトレースすることで料理の構想を練る時間を省略することが出来る。

 つまり幸平が考えれば考えるほど、美作の料理のクオリティも上がっていくというイタチごっこになってしまっている状況なのだ。

 

 いや、試行錯誤の時間を省略してアレンジに時間を掛けられる分、美作の方が有利と言えるだろう。

 

 

 

「あ、創真くん。まだ試作してたの?」

 

 『美作への対策』と『料理の改良』という難題。そして『負ければ料理人を止める』というプレッシャーから、なかなか考えがまとまらないでいると厨房の扉が開く。

 

 入ってきたのは田所だった。

 

 

「っ、田所か…………」

 

「…………やっぱり、上手くいかないの?」

 

「ああ、なかなか取っ掛かりが掴めなくてな~~。自分の料理、特に自信作とも言える料理を改良することが、こんなに難しいだなんて思わなかったぜ」

 

 

 『アレンジ』と一言で言っても、そう簡単な話ではない。特に工夫の余地が見つからないほどの完成度を持つ料理の前では、下手なアレンジは逆効果となってしまう。

 

 一般的な例で挙げれば、プロの料理人が作った『レシピ』だろう。本などに載っている料理のレシピは、いずれもその道何十年というプロが研鑽に研鑽を重ねてきた代物である。

 

 そのため素人では生半に手を加えられない完成度となっており、無理に手を加えようとすると味がメチャクチャになってしまう。

 

 言い換えるならば、『プロのレシピ』とは後に続く者にとって目指すべき『お手本』であり、いずれ立ちはだかる『強大な壁』と呼べる存在なのだ。

 

 そして幸平もまた、自ら作った壁を乗り越えられずに苦悩していた。

 

 

「そっか…………でも、あんまり根を詰めすぎちゃダメだよ。試合は一週間後なんだし、少しは休まないと」

 

「ああ、分かってる。ありがとな、田所」

 

 田所の心配は幸平も頭では分かっている、しかしこのまま何も掴めないまま一日を終えるのだけは耐えられなかった。何も進まない無為な時間ほど虚しいものは無いのだ。

 

 いくら考えても良い方法が思いつかない幸平は、藁にもすがる思いで田所に相談する。

 

 

「なぁ、田所。田所なら自分の料理を改良する時ってどうする? このままじゃ鍋じゃなくて、俺の頭が煮詰まっちまいそうだ」

 

「え、わ、わたし? でも私なんかじゃ、何の力にもなれないと思うよ…………?」

 

「そんなことねえさ。田所だって本選まで勝ち上がった1人なんだし、あの黒木場ともタメ張ったんだからさ。もっと自信持てよ♪」

 

「そ、そうかなぁ? ありがとう、エヘヘ♪」

 

 幸平からアドバイスを求められることなど初めてだった田所はワタワタと謙遜するも、さらに褒められて嬉しそうに笑う。

 

 

「そうそう♪ それに田所のカレーは、あのカムイが『また食べさせてくれ』って頼むほどの料理…………っ!!!!」

 

「? 創真くん?」

 

 幸平はダメ押しとばかりに田所のカレーについても褒めるが、カムイの名を出したことでいきなり話を中断した。

 不意に会話を止めた幸平を見て、田所もつい首を傾げてしまう。

 

 

(田所のカレー。そうだ、あの時カムイは何て言った? 確か…………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッッッッッッッッッッッッッッ!!!!」

 

 

 

 

 選抜予選の際にカムイから言われたことを思い出した幸平は、我に返ると今度は食いつくように田所へと詰め寄る。

 

 

「なぁ田所! 『食材の声』って分かるか!?」

 

「え、『食材の声』? それってカムイくんがよく言ってるアレのこと?」

 

「ああ、予選の時に俺のカレーを食ったカムイから言われたんだ。『田所はちゃんと「食材の声」に耳を傾けていたぞ』って。

 そしてこうも言われたんだ、『分からなければ、お前はそこまでだ』って!!」

 

「っ、そうなんだ。カムイくん、そんなこと言ってたんだ」

 

「予選の時、俺と田所の点数にはほとんど差が無かった。でもカムイは田所のカレーは認めて、俺のカレーは認めなかった。

 俺たちのカレーにはカムイにしか分からない決定的な差があったに違いない!」

 

「それが、『食材の声』?」

 

「たぶんな。だから田所がカレーを作った時、何を考えていたのか教えてくれ。

 どうしてあの料理を選んだのか、何を考えて何を思って調理していたのかを全部!」

 

「う、うん。えっと………………」

 

 

 鬼気迫る幸平の顔に田所は僅かにビクつくも、予選での出来事を一生懸命思い出そうとする。

 

 最初は緊張してバタバタとしていたが、カムイが来てから不思議と心が落ち着くのを感じた。

 

 そして、いざ調理を始めるべくアンコウを捌こうとしたところで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ~~~~~~~~~~~//////////////」

 

 

「? どうした田所。急に顔が真っ赤になったぞ?」

 

「う、うううん! 気にしないで! こっちの話だから////////////」

 

 予選の時のことを思い出すだけなのに何故いきなり顔が赤くなるのか分からない幸平。

 しかし田所にとっては言えるはずもなかった。調理に集中するために………………『幸平のことを考えていた』などと。

 

 

「そ、それでなんだけど! 私がカレーに『どぶ汁』を選んだのは、『どぶ汁』が一番あの子たち………アンコウや地元の野菜たちを活かせる方法だと思ったからなんだ///////」

 

 未だ幸平の顔をまともに見られない田所であったが、それでも何とか自分が『どぶ汁』を選んだ理由を説明し始める。

 

 手をバタバタさせて何を焦っているのかと幸平も思うが、そんな疑問は後回しにして、今は田所の話を真剣に聞くことにした。

 

 

「『どぶ汁』が一番食材を活かせる? つまりお題である『カレー』から『どぶ汁』に行き着いたんじゃなく、食材を活かす方法から『どぶ汁』を思いついたってことか?」

 

「うん。あとは『どぶ汁』と『カレー』が合うように食材と相談………えっと、食材と向き合って味付けを決めていった感じ、かな?」

 

 

(『カレー』というお題から料理の形を考えるんじゃなく、あくまで『食材』を『カレー』という料理法に合う方法を考えたってわけか…………俺とは真逆のやり方だ)

 

 

 田所の話を聞いて幸平は目まぐるしく考えを巡らせる。

 

 田所は『地元の食材』を『カレー』という舞台で輝けることを第一に考えていた、そしてそのための演目が『どぶ汁』だったと言うのだ。

 

 一方の幸平は課題である『カレー』に合わせるべく食材や調味料を吟味していた。

 どちらが上なのかということは一概に言えないが、どちらが『食材』のことを重視しているかは明白であった。

 

 『料理』の主役は『食材』であり、『調理法』は『食材』が最高の輝きを放つための手段でしかない。

 そして食材が最高の輝きを放てるよう尽力することこそが料理人の務めであり、それこそが『食材の声』を聞くということなのだ。

 

 

(っ、そうか……………俺はあの時、自分の失敗をそのままにしておくのが嫌で『オムレツ』と『リゾット』を選んだ。

 でも、それじゃあダメなんだ。料理ってのはどこまでも『食材』と向き合わないといけなかったんだ!!!)

 

 

 田所の話を聞いて、自分が作ったカレーが自身のプライドを満たすためだけの料理だったことに気づいた幸平。

 確かに結果だけ見れば、幸平の料理は審査員から賞賛を受けていた。

 

 しかし、それは『たまたま』でしかなかった。

 

 『たまたま』審査員たちの受けが良かったから得点が高かっただけのマグレ当たり、真に自分が食材と向き合って生まれた品ではない。

 

 

(カムイの言った通りだった…………料理の主役である『食材』と向き合わないで、美味い料理が作れるはずがない!

 現に俺は今もこうして、自分の作った料理ですら何の改良案も思いつけずにいた。

 もし田所のアドバイスが無かったなら、俺は『ここまで』だった)

 

 

 田所の話から、自分が『食材』と向き合わず『自分のことしか』見ていなかったことに気づき、幸平は考えを改めた。

 そうして先ほどの沈んだ表情とは、打って変わった強い眼差しとなる。

 

 

ガシッ!!!!!

 

「っ、そ、創真くん!?」

 

「ありがとな、田所! おかげで最高の『ビーフシチュー』が出来そうだ!!!」

 

「う、うん。が、頑張ってね//////////////」

 

 いきなり真剣な表情の幸平に両肩を掴まれて再び顔を真っ赤にしてしまう田所。

 事情を知らない者が見たら『愛の告白』か、このまま『キス』をしようとしていると思うだろう。

 

 

 何はともあれ、幸平は【ビーフシチュー】のクオリティを上げて美味しくするのではなく、『食材』たちを【ビーフシチュー】という形で活躍させるにはどうすればいいかという方針に考えをシフトする。

 

 

 幸平はその日から対決の日まで、ひたすらに『食材』と向き合い試作を重ねるのであった。

 

 

 

 

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 幸平が試作に追われている一方で、カムイもまたフルコースの『肉料理』の試作を繰り返していた。

 

 

(これも違う。『カレー』だけじゃなく、思いつく限りのスパイスでの調理は試してみたが、どれも違った。ならどうして『食運』は、俺にカレーを作らせた?)

 

 

 『小松』と違い、カムイは調理によって初めて『食材の声』を聞き取ることが出来る。

 だが自分が知っているスパイスがメインの調理法で『宝石肉』を調理するも、いずれもフルコースに入るほどのモノではなかった。

 

 『食運』が働いているのに調理法が噛み合わない。こんなことはカムイにとっても初めての状況のため、どうすればいいか頭を悩ませていた。

 

 

(そういえば、『選抜戦』とやらはどうなったんだ? 田所や幸平は勝ち進んでいるんだろうか)

 

 

 フルコースの『肉料理』に相応しい調理法が見つからず途方に暮れていると、何故か頭に遠月学園のことがよぎる。

 

 料理を作っている最中は料理のことしか考えていないはずなのに、このタイミングで遠月学園や幸平たちのことを考えたことで、カムイは『食運の導き』を感じ取った。

 

 

(俺の試合はまだ先だけど、少し様子を見に行ってみるか)

 

 

 カムイの行動指針において『食運』は絶対である。

 

 このタイミングで遠月学園のことを考えたということは、『学園に何かあるに違いない』とカムイは推察し、『アイランドシェル』を出て遠月学園へと向かった。

 

 

 

 

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『それではこれより秋の選抜戦第二回戦、幸平創真選手と美作昴選手の第一試合を始めたいと思います!』

 

 

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!

 

 

『なお、この試合も双方の合意により【食戟】形式となります。それでは調理、開始ーーーーーーー!!!!』

 

 

 司会者の宣言と共に銅鑼がけたたましく鳴り響く! それと同時に幸平と美作は調理を始めた。

 

 負ければ幸平の料理人生命が終わるということで、観客………特に一般生徒たちは興味津々な様子で両者の試合を見物している。

 

 

「大丈夫なんでしょうか、幸平くん。負けたら『料理人を辞める』だなんて無茶な賭けをして……………」

 

「合宿で四宮に自身の退学を賭けて食戟を挑んだと思ったら、今度は『料理人生命』を賭ける。向こう見ずなところは相変わらずみたいだね」

 

「東スポでは、二人が作る料理は『ビーフシチュー』だったな。はてさて、幸平はどんな答えを出したのか」

 

 一方で審査員の堂島・水原・乾は幸平とは見知った間柄なので、堂島は興味、水原と乾は心配の視線を向けている。

 

 

「あのドレッド頭のヤロウか。包丁にガム吐き捨てたばかりか、人様の食材を盗んだってヤツは…………私だったら即リンチだね、二度と料理なんかしたいと思わないぐらい徹底的に」

 

「ダ、ダメですよタキ先輩、体罰なんて! 確かに許されないことですし、昔の厨房では横行してましたけど、今はそんな時代じゃあないんですから…………」

 

「あ〜〜わかったわかった。ったく、相変わらず園果は気が小せえよな、そんな『立派なモン』をぶら下げてるのによぉ。

 んで、そのクソ野郎の相手は定食屋出身の編入生ねぇ…………こりゃあダメだな。園果はどう思うよ、『洋食のプロ』として」

 

「ええ、ちょっとキビシイかなって思います。今回の課題である『洋食のメイン』に相応しい料理と、定食屋で求められている『味』では全く方向性が違いますから…………」

 

 しかし同じく審査員である角崎タキ・木久知園果の二人は幸平とは初対面のため、公平な視点から幸平が不利だと判断した。

 

 ちなみに角崎は88期、木久知は89期の十傑第二席であり、卒業後1年にも満たないスピードで店を開き、オーナーシェフを勤めるほどの一流のプロである。

 

 

 二人の言う通り、定食屋に求められているのは『飽きずに毎日食べられる味』。

 俗に言う『おふくろの味』と呼ばれる、三口目で美味しさが染み渡るような味わいである。

 

 しかし今回の課題は『洋食のメイン』、即ちコース料理でメインディッシュを張れる『一口目から美味しさを感じる強い味わい』が要求されている。

 

 つまり幸平が得意とする大衆の味とは、対極を成す課題なのだ。

 そのため観客や審査員、運営委員である十傑ですら幸平が勝つのは無理だと思い始めていた。

 

 ところが、幸平が『ある食材』を取り出したことで空気が変わり始める。

 

 

「っ、幸平が調理している肉、アレは『テール肉』か…………っ!!!」

 

 

 幸平が牛のテール肉を調理しているのを見て、『幸平不利』と見ていた者たちは見解を改める。遅れて一般生徒や極星寮のメンバーも幸平の狙いを理解した。

 

 

「なるほど、『牛テール』は牛肉の中で最も『ゼラチン質』が多い部分だ」

 

「そして『ゼラチン質』は料理にコクを与えてくれます」

 

「ん。牛テールの両面をしっかりと焼き、鍋で煮込めば課題に合った『強い味わい』を出すことが出来る」

 

 『牛テール』。牛の尻尾の部分で豊富なコラーゲンと濃厚な味わいが特徴であり、スープや煮込み料理に使われることが多い。

 

 田所のアドバイスを受けた幸平は自信作である『ゆきひら裏メニュー ビーフシチュー』を一から見直した。

 使う食材も再度吟味していき、メイン食材である牛肉も通常のバラ肉以外を試していった。

 

 そしてその中で一際存在感を放っていたのが、『牛テール』であった。

 

 『牛テール』を試し、何故にこうまで意識してしまうのか考えた幸平は、今回の課題で求められている味に気づいたのだ。

 

「フッ、どうやら、幸平は自分なりの『答え』を見出したようだな」

 

 幸平が課題の第一関門を越えたことにホッと胸を撫で下ろす仲間たち。

 

 だが次の瞬間、安心の表情は驚愕へと変わる!

 

 

「なっ!? 美作が調理しているのも、『牛テール』!?」

 

 

 なんと幸平が牛テールを調理しているように、美作も同じく牛テールを焼いていたのだ!

 

 しかもそれだけではなく、幸平が風味づけのために用意したニンジン・セロリ・タマネギの薄切りをバターで炒め、マデラ酒で煮た『マティニオン』まで作っている!

 

 タクミの時と同じく幸平の考えをトレースした美作は、なぞるように幸平の調理工程を真似ていく。そして美作が不気味な笑みを浮かべた!

 

 

「ニヤァ、こっからが、『アレンジ』だ!!!」

 

 両者がビーフシチューを煮込み始めると、美作が『小タマネギのグラッセ』『クルトン』『マッシュルームのソテー』を用意。そして重厚な『ベーコン』を焼き始めた。

 

 

「ふむ。美作が用意しているのは、『ガルニチュール(付け合わせ)』か」

 

「ビーフシチューの元となったフランス料理『牛肉の赤ワイン煮込み』でも、アレらの付け合わせは定番ですからね」

 

「対して幸平の方は何も用意していないみたい」

 

「単に添え物程度にしか考えなかったんでしょうね。定食屋の料理や家庭料理程度の味なら、付け合わせなんか要りませんから」

 

「ですが『洋食のメイン』ならば、ガルニチュールは必須。それに幸平くんのビーフシチューは濾して仕上げるタイプのようですから、ガルニチュール無しだと肉とソースだけの地味な皿となってしまいます」

 

 『ビーフシチュー』に限らず、コース料理のメインディッシュには必ず付け合わせが用意されている。

 

 それは決して添え物などではなく、料理の見た目を華やかにしたりメイン料理の味を引き立てたりする役割がある。

 何より、メイン料理に含まれない栄養素までも加わることで、料理としての完成度がより一層高まるからだ。

 

 そのため、このまま幸平がガルニチュール無しで料理を仕上げたのならば敗北は必至。

 

 

 ところが幸平は突然、持ち込んだクーラーボックスから大量の肉や内臓を取り出した!

 

 用意したのは『ハチノス』『頬肉』『ヒレ肉』『牛タン』『ハラミ(横隔膜)』など、通常のビーフシチューどころか高級料理店で出されるビーフシチューであっても使われない食材ばかりだ。

 

 

「ゴホン、え~~~、これから皆さんを『牛肉の遊園地』へとご招待いたしやす♪」

 

 観客や審査員たちが不思議に思っていると、幸平が悪だくみでもしてそうな顔で笑みを浮かべる。

 

 だが次の瞬間、凄まじいスピードで取り出した食材を調理し始めた!!!

 

 『牛タン』は下茹でしたら即座に皮を剥き、『頬肉』は赤ワインと香辛料でマリネしたらムニエルに。

 『ヒレ肉』は鍋ごとオーブンで加熱、『ハチノス』はバターでソテーにし、『ハラミ』は七輪で焼いていく。

 

 もはや本当に『ビーフシチュー』ではなく、別の料理を即興で作るのではないかと思える幸平の行動に会場中が困惑していた。

 

 そうして会場の人間を置き去りにしたまま二人の調理は進んでいき、やがて調理時間が終了する。

 

 

 

 まずは美作の料理からの審査となる。見た目はメインである『ビーフシチュー』に『クルトン』・『小タマネギのグラッセ』・『マッシュルームのソテー』・『ベーコン』を添えた、極めて王道的なスタイルの料理である。

 

 

「ハァ~~~~♪ なんて美味しさなんでしょう。トロけるようなまろやかさに舌が無くなっちゃいそうですぅ~~~」

 

「シチューの美味さもそうですが、このガルニチュールも中々ですね。特にベーコンの強い旨味がシチューの旨味とコクを引き立てていますぅ♪」

 

「使った燻煙材は『メスキート』ね。刺激的な香りがビシビシと伝わってきて食欲を誘う」

 

 『メスキート』。乾燥地帯に自生するマメ科の樹木で、主に北アメリカの乾燥地帯に自生し、特にメキシコやアメリカ南西部で見られる。

 

 根が深く伸びることで乾燥した環境でも水分を吸収し、毎年大量の実をつける。

 メスキートの甘みのある豆は先住民にとって重要な食料源であり、乾燥させて粉にすることでシナモンやバニラのような風味を持つようになる。

 

 そのためメスキートの木材は、BBQや燻製用の燃料として広く利用されていて、特にテキサス州ではカウボーイ文化において愛用されている。

 

 また燻製だけではなく、木材は道具や建材としても使用されているため、食料源・燃料・文化的に重要性を持つ植物なのだ。

 

 

「この『特製ベーコン』こそが俺の秘密兵器! 塩漬けの段階でソミュール液に『黒糖』を混ぜ、五日間漬け込んだ。さらに乾燥に一日費やし、五時間も燻し続けたのさ!!」

 

「なるほど。それだけの手間を掛けたからこそ、これほどの美味さとなるわけか」

 

「ふん、ゴツイ見た目のわりには細やかで丁寧な仕事をするじゃねえか」

 

「当然さ、『微に入り細を穿つ』のが俺のモットーだからなぁ」

 

 

「うむ! 濃厚な牛とジックリ育てられた豚の旨味が溶け合うことで、個々で味わうよりも格段の美味さとコクを実現している。

 この身体に響く味の重厚さたるや、まさしく【牛と豚のクロスインパクト】!!!」

 

 

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!

 

 

 一流シェフたちの高評価に美作のことを嫌っていた観客たちも、思わず歓声を上げる。

 どれだけ料理人のことが気に入らなくても、出された品が美味であることには変わりない。

 

 

「分かったか幸平! 『料理』ってのは微に入り細を穿ち、準備し抜いてナンボなんだよ!

 その場の機転任せな料理、それは『熟慮の放棄』に他ならねえ!

 そんな料理で俺様の『パーフェクトトレース』を超えられるもんかよ!! ヒャーハッハッハッハッハッ!!!」

 

 美作の料理の完成度を前に幸平の退学が濃厚となり、極星寮のメンバーは不安そうな目で幸平を見ている。

 

 

 そうして次は幸平の料理の審査。

 

 

 幸平は最後の仕上げとして『とあるパウダー』を振りかけてから持っていくのだが………その【ビーフシチュー】の見た目は、高級料理店とも家庭料理とも違っていた。

 

 

「これは………内臓をそれぞれ調理して、ビーフシチューに添えた?」

 

「はい、それら全部が『ガルニチュール』ッス♪」

 

 皿の中央に牛テール肉が置かれ、デミグラスソースがたっぷり掛けられているところまでは美作と同じ。

 だが幸平の品は、牛テールの周りを調理された内臓や他の部位の肉で囲んでいたのだ。

 

 全く未知の見た目から味の想像が出来ない審査員たち。それでも【食戟】の審査員を務めるからには幸平の料理も食べなければならない。

 

 果たしてどんな味なのか、審査員が不安交じりにビーフシチューを頬張る。

 

 

 瞬間、牛テールのトロッとした『ゼラチン質由来のコクに『トマトの旨味』『紅茶の風味』が絡み合った強烈で深い味わいが爆発する!!

 

 そのビーフシチューに様々な内臓肉の旨味が加わることによって、まるでジェットコースターに乗っているような興奮を覚えた!!!

 

 

「ウ、ウッ、ウマーーーーーーーーーーー!!!! この【ビーフシチュー】の『デミグラスソース』、水を一切使わず『トマトの水分』に『紅茶』と『赤ワイン』を加えて作った『無水デミグラスソース』だ!

 水を使ってない分、メインの牛肉の旨味がダイレクトに伝わってくる!!

 その上『トマトの旨味』と『紅茶の風味』が、牛肉の旨味を爆発的に高めてやがる!!」

 

「スゴイ! ホロホロになった頬肉、分厚くカットされたハラミと牛タン、プリプリ感タップリのハチノス!

 どれも牛テールの味わいを引き立てつつ、シチューの味と絡み合うことで自身の味も高めてる!」

 

「ン~~~~♪ 七輪の香ばしさとビーフシチューのまろやかなコクが絶妙ですぅ! このまろやかさ、『白みそ』によるものですね♪

 『白みそ』のまろやかさと牛テールのゼラチン質が混然一体となって、メインを張れる味わいになっています♪」

 

「あぁ♪ こんなに濃厚な旨味とコクがある【ビーフシチュー】なんて、わたし初めてぇ♪

 それに仕上げに振りかけたパウダー、アレは『ドライトマト』ですね。トマトのギュッと詰まった甘酸っぱさが、絶妙なアクセントになっています♪」

 

「それに何より、食材の旨味が濃い…………いや、『強い』! この味わいは明らかに美作以上だ!!

 しかもこれほど濃厚な味わいでありながら、実際はジェットコースターの土台のように、緻密な計算によって組み上げられている!!!」

 

「決め手となる味は全て『牛の旨味』! そこに『トマトの旨味』と『紅茶の風味』が加わることで、これほどの爆発力と一体感が出てるのか!

 それにしても、これほど主張の強い食材たちを調和させるなんて…………!」

 

 

 審査員の反応は、明らかに美作の料理を食べた時よりも好感触だった!

 

 それもそのはず。今回幸平が使った食材たちは全て、幸平のために旨味を活性化させたのだから!!

 旨味が活性化した食材……即ち『牛の旨味』や『トマトの旨味』!!!

 

 それらの2大要素を『食材の声』に耳を傾け、内臓を使ったガルニチュールにそれぞれ適切かつ丁寧に調理して内臓の食感を活かした。

 

 そんな味が複雑に絡み合い、溶け合い、一体となった旨味がもたらす満足度たるや、美作の作ったベーコンの比ではない!

 

 審査員もこれほどの旨味を持った食材たちの魅力を損なうことなく、完璧に調和させた幸平の技量に舌を巻いていた。

 

 

「へへっ♪ あざっす! 実はコレ、『ある料理』がモデルになってるんですよ」

 

「っ、『ある料理』? いったいどんな料理だよ?」

 

「ニィ、それは、【筑前煮】っす♪」

 

 【筑前煮】。福岡県の郷土料理で、鶏肉と野菜を油で炒めてから甘辛く煮た煮物である。

 文禄元年(1592年)に豊臣秀吉が起こした『文禄の役』で出兵した兵士が食べたのが始まりと言われている。

 

 当初は「どぶがめ」と呼ばれていたスッポンにごぼう・にんじん・椎茸・里イモなどありあわせの材料を煮込んで作っており、別名『がめ煮』とも呼ばれていた。

 

 今ではスッポンではなく鶏肉を使うのが一般的で、福岡県北部を「筑前の国」と呼んでいたことから、「筑前煮」と呼ばれるようになったと言う。

 

 

「ち、『筑前煮』なら食材はまとめて煮込むモンだろ!? でもお前はバラバラに調理してたじゃねえか!」

 

「チッチッチ♪ プロが作る『筑前煮』はちょ~~っと違うんですよ。ねえ、日向子先輩?」

 

「はい♪ プロは食材をそれぞれ別々に煮込んで、最後に一皿に構成していくんです。

 全ての食材たちのバランスに神経を尖らせながら、それぞれの食材たちの味わいが引き立つように♪」

 

「なるほど、『大衆の味』と侮ることなかれ! 牛肉のめくるめく旨さが彩る楽園の官能は、いつまでも浸っていたくなるぐらいだ!!」

 

 

 

みんな大好き!!!

 

《ゆきひーランド》♪♪♪

 

 

 

 審査員たちが思わず童心に返ってしまうほどの美味さに浸る様子を見て、観客たちから歓声が巻き起こる!

 

 

 確かに幸平が食材のバランスを取れたのは『筑前煮』の応用だった…………だがそれだけではこれほどまでに調和はしない。

 

 ましてや、旨味が活性化した食材たちの味をまとめあげるなど不可能である。

 

 幸平がここまでの料理を完成させることが出来たのは、今までとは違い『自分』よりも『食材』を重んじ、『食材』たちとひたむきに向き合った結果。

 

 即ち『食材の声』を聞いたからに他ならない。

 

 それが『筑前煮』という『定食屋としての経験』と噛み合ったことで、ここまでの料理となったのだ。

 

 

 また牛肉の旨味を爆発させるため、『白みそ』で抑えていた『トマト』を最大限活用したことも大きい。

 

 ハンバーグにデミグラスソースが定番であるように、牛肉の旨味成分『イノシン酸』はトマトの旨味成分『グルタミン酸』と合わさると相乗効果を発揮し、旨味が何倍にも跳ね上がるのだ。

 

 さらに『紅茶』に含まれる『タンニン』は肉を柔らかくし、トマトの酸味や青臭さを抑えつつ、トマトの旨味と牛肉の旨味を結びつけてくれる。

 

 そして紅茶とトマトは、「青葉アルコール(シス-3-ヘキセノール)」や「青葉アルデヒド(トランス-2-ヘキセナール)」といった共通の香り成分を持っている。

 

 これらの成分が持つ青々とした爽やかな香りが結びつくことで、内臓を含めた牛肉特有の獣臭さを消してくれているのだ。

 

 

 無論、美作も幸平をトレースし『無水デミグラスソース』や『ドライトマトのパウダー』を使おうとした。

 だが『食材の声』を聞くことが出来ない美作では、牛・トマト・紅茶の旨味や香りを調和させることが出来なかった。

 

 本来『トマトの酸味』をマイルドにするための『白味噌』が、トマトをふんだんに使うことで逆に釣り合いが取れなくなってしまい、『燻製ベーコン』のような別の鋭い味をガルニチュールに据えざるを得なかったのだ。

 

 一方の幸平は『食材の声』を聞くことで『トマト』のパートナーに『紅茶』と『白味噌』を。

 『牛肉』のパートナーに『トマト』を据えることで食材すべてを味方につけ、メインである牛の旨味を最大限輝かせていた!

 

 

(ふぅ~~~、危なかったぜ。田所やカムイのアドバイスを聞いてなかったら、たぶん『より牛の旨味を活かすためトマトを活かす』ことも、『筑前煮を応用して味をまとめる』っていう考えにも至らなかった……………これが、『食材の声を聞く』ってことなのか)

 

 

 今までの幸平の料理とは明らかに一線を画す料理、それはこの場の誰よりも幸平自身が強く実感していた。

 

 一方の美作は、幸平の料理が自分の『パーフェクトトレース』では及ばない領域に至っていることに納得ができず、幸平に食って掛かる。

 

「っ~~~~! ウソだ! 俺のトレースは完璧だった! これまで誰も破ることが出来なかった俺の『パーフェクトトレース』が、お前なんかに「なら」っ!!!」

 

「お前も食ってみろよ、俺の料理を」

 

 『料理人としてのプライド』は無くても、自分が磨き上げてきたトレース能力にはプライドを持つ美作。

 そのトレースが及ばないことに不満の声を上げる美作へ、幸平が自信満々な顔で料理を差し出す。

 

 

「さぁ、おあがりよ!」

 

「っ〜〜〜〜〜! パク、ッッッッッッッッッッッッッッ!!!!」

 

(な、何だ、このとてつもない美味さは!? 俺は間違いなく幸平をトレースし、食材も同じものを揃えた! それなのにこの美味さはいったい!?)

 

 自分が用意したモノとは比べ物にもならない旨味を放っている食材を前に、美作はまるで幸平が魔法を使ったのではないかと疑ってしまう。

 

 それはさながら、タクミに対して美作が『グルメ食材』を不意討ちで使った時のようであった。

 

 

(これが『ゆきひーランド』、なんて心地いいんだ…………溶けていく。

 俺が料理人に対して抱いていた不満やわだかまりが全て、この旨味によって…………)

 

 幸平の料理を食べた美作の心は、旨味の活性化した食材が美味しく調理された味わいによって童心へと返っていく。

 

 そうして、自分が料理人を憎むようになった発端を思い返していった。

 

 

 

 

 美作昴はとある一流料理店の生まれで、父はその店のオーナーシェフを務めている。

 

 幼い頃から自分もいずれ一流の料理人になることを夢見た美作は、父親の料理を真似ることで修行を積んでいた。

 

 元々、他者の料理を真似る才能があった美作はすぐに父親のレパートリーを覚えていった。

 『技術の継承』とはまず『模倣』から始まる、美作が父の料理を真似ることは何ら咎められることではない。

 

 しかし父親は『猿真似』と称して美作の料理を認めることはしなかった。

 

 『真の一流とは唯一無二のオリジナリティが無くてはならない!』

 『こんなことで調子に乗るな!!!』

 

 そんな心無い言葉を浴びせ続け、美作がどれだけ上手に父親の料理を真似ることが出来ても一度として褒めたりしなかった。

 

 幼い美作は父親に認められたい一心で『もっと上手く真似られるようにならないと!』と奮起し、父親は自分の料理が真似られるたびに美作に対して不快感を積もらせていく。

 

 

 そんな悪循環な日々が続いたある日、美作の父が経営する店でVIP客を招いたパーティーが開かれた。

 

 美作の父はプロとして最高の料理を客に提供したのだが………コースの華を飾る『メインディッシュ』。

 美作父の『看板料理 スペシャリテ』において出されたのは父の料理ではなく、美作が父の料理をアレンジしたものだったのだ!

 

 当然、美作に悪気があったわけではない。ただこれまで多くの父の料理を真似てきたことから、より美味しくなるアレンジを思いつき試しただけでなのある。

 

 そしてVIP客から認められれば、父からも認めてもらえるだろうという子ども特有の承認欲求があったのだろう。

 

 ところが美作のアレンジ料理を食べた客たちは大絶賛、パーティーは見事成功に終わった…………かのように思えた。

 

 

 アレンジ1つで自分の料理よりも美味しい料理を作られたことに料理人としてのプライドを傷つけられた父親は、美作を腫れ物のように扱いこの遠月学園へと入学させた。

 

 自分の父親に捨てられたと感じた美作は、それから父親だけでなく全ての料理人を憎むようになり、【食戟】で負かして彼らのプライドをズタボロにすることで鬱憤を晴らすようになっていった。

 

 そんな美作はやがて叡山に才能を見出され、以降は叡山の尖兵として叡山の勢力拡大の一翼を担うこととなったのである。

 

 

 

 二人の料理の審査が終了し、評決に入る。結果はもちろん幸平の完勝!

 

 美作は『幸平』しか見ていなかったのに対し、幸平は料理人生命が懸かったこの状況でも、『美作』ではなく『食材』を見ていた差が出たと言える。

 

 

 いくら美作の『パーフェクトトレース』が凄まじくても、『食材の声』を聞き、相性の良い物と合わせることで旨味を爆発。

 さらに繊細な調理で味をまとめ上げた幸平の敵ではなかった。

 

 






前話で多数の感想をいただいておりましたため、返信は控えさせていただきました。
まさかここまで反響があるとは思いませんでしたので、お許しください。

買ったジャンプで『ゆきひーランド』のくだりを見た瞬間、クッソ吹いたことは今でも覚えています。

なお作者は『ゆき×えり』ではなく、『ゆき×めぐ』だと思っています。そのため、ちょっとソレっぽいシーンを書きました。

また今回の幸平のビーフシチューですが、『トマト』と『紅茶』を活かして掛け算。『白味噌』を活かして引き算というアレンジを入れてみました。

それでは皆さん、次回で♪
感想・高評価もいただけると作者が喜び、励みになります!

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