神域の料理人が往く食戟のソーマ   作:あさやん&あさやん

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【宿泊研修編】スタート、今章は毎日18:00の投稿になりますので、よろしくお願いします♪

ようやくカムイのグルメシーンの再登場です。やっぱり十傑との連続グルメシーンは相当にキツかったみたいですwww




【宿泊研修編】
第八皿


 

 

 

 カムイと幸平が遠月学園に編入し、今日は幸平の初の調理実習。作る料理は『ブッフ・ブルギニョン(牛肉の赤ワイン煮込み)』。

 

 フランスはブルゴーニュ地方の郷土料理で、その名の通り牛肉を赤ワインで煮込んだビーフシチューの一種である。

 

 

 

 しかし実習に参加しているのは幸平だけ、カムイは学園を彷徨っていた。

 

 仙佐衛門からは『学園には在籍するだけで良い。授業や行事などについては参加自由』と言われている。

 

 そのためカムイは編入した後も授業などには参加せず、『食運』と『食欲』のコンパスに導かれるまま世界中を旅していた。

 

 そんなカムイが珍しく学園に来ているのは、『食運の導き』とも呼べる気まぐれによるものだった。

 そして『食運』に導かれるまま彷徨い、着いたのは偶然にも幸平が受けている調理実習室であった。

 

 

「お? カムイじゃん♪ 珍しいな、お前が学園に来るなんて。入学式以来じゃねえの?」

 

 コミュ力が天元突破している幸平を除き、他の生徒はいきなり現れたカムイに恐縮してしまう。

 

 『神域の料理人』という肩書に加え、遠月十傑全員に圧勝し異例の『第零席』の称号を得たカムイは、一般生徒にとって畏怖の対象とも呼べるものだ。

 

 ましてや一年生ともなれば目の前にいるだけで緊張してしまうのも無理はない。現に幸平のパートナーである『田所恵』などは緊張し過ぎて今にも気を失いそうになっている。

 

 

 幸平がいるとは思わなかったカムイだが、それよりも目の前にある皿が気になったのでおもむろに実習室へ入っていく。

 そして教師の前にある皿に盛られている料理が僅かに輝いていることから、作ったのが幸平だと予想した。

 

 

「……………………ハチミツか」

 

「おおっ! スゲーな、分かるのか。ああ、ちょっとしたアクシデントがあってよ~~~。時間内に肉を柔らかくさせるために使ったんだ」

 

 食材の声を聞いて料理にハチミツが使われていることを言い当てると、幸平が笑いながら答えた。

 

 食材に好かれている幸平がどんな料理を作ったのか気になり、カムイは『金のスプーン』を取り出して煮汁ごと牛肉を一口食べる。

 

 

(……………………薄い)

 

 

 結果は………………………やはり味がしなかった。いや、これまで多くの料理人が作った料理の中では、マシな部類には入っているだろう。

 食材に好かれていない料理人がこの世界の食材を普通に使えば、カムイにとって出来上がるのは料理の形をした『粘土』だ。

 

 ただ、いくら食材に好かれているとはいえ、幸平の調理技術そのものは未熟。

 活性化した旨味をさらに増幅させる副食材や調理技術が無ければ、カムイの味蕾は反応しない。

 

 お世辞にも『美味い』とは言えない料理を前に、カムイは一口食べただけでスプーンを懐にしまう。

 

 

「ん? どうした、カムイ。俺と田所が作った料理、美味くなかったか?」

 

「………………薄すぎる」

 

「え、『薄い』? そうか? なぁ、田所。俺ってば、何か味付けミスったか?」

 

「えっ? ん-ん、とっても美味しかったよ?」

 

 美味い不味いではなく『薄い』という予想外な感想に首を傾げる幸平と田所。

 

 一方のカムイは、『もう用は無い』と言わんばかりに部屋から出ていこうとする………………………しかしこの調理実習担当であるシャペル教諭がカムイのことを呼び止めた。

 

 

「まっ、待ってくれカムイくん! せっかく来てくれたのだ、是非ワタシにキミの料理を食べさせてくれないだろうか!?」

 

 ほとんど表情を変えることなく、その厳しさから生徒たちに恐れられているシャペルだが、生徒たちが見たことの無いくらいに動揺と興奮をしていた。

 

 シャペルとてカムイ、もとい【神域の料理人】の噂は耳にしており強い興味を抱いていた。それはもう、常日頃から『一度でいいから彼の料理を食べてみたい』と切望しているほどである。

 

 本来であれば、先日行われた十傑との食戟で審査員として参加していたハズなのだが、その日は運悪くシャペルは出張に出ていた。

 そのため帰ってきて同僚がカムイの料理を食べたと知った時は、未だかつてないほどの絶望を感じてしまったという。

 

 しかしカムイが遠月学園に在籍していると知った時は人知れず大喜びし、機会があれば是非とも料理を食べたいと願っていた。

 

 そんなカムイが自分の担当する授業に来てくれたのだから、この好機を逃してはならないと鼻息を荒くするのも無理はないだろう。

 

 

「頼む! キミの噂や偉業を聞いて、私はこの日が来るのをずっと待っていたんだ!

 ここにあるものは自由に使ってくれて構わない、足りないものがあればすぐに用意しよう! だから、どうか……………………お願いだカムイくん!!!」

 

 まるで『生』に飢える亡者のようにカムイに懇願するシャペル。

 

 カムイとしてはわざわざ料理を作ってやる理由は無いのでこのまま去ろうと考えていたのだが…………………………微かに聞こえる食材の『泣き声』に反応した。

 

 

「っ、これは…………………………!」

 

 カムイが流し台を見ると………………………お湯を張った鍋の中で塩まみれにされている牛肉を見つけた!

 

 無残に扱われた食材…………………………牛肉が泣いている声を聞いてカムイが心を痛めていると、さっきとは打って変わって不機嫌になった幸平が教えてくれる。

 

「あぁ、それなんだけどよぉ。実は俺と田所が目を離している間に誰かがイタズラしやがったんだよ。まったく、ヒデーことしやがるよなぁ………………………!」

 

 仮にも料理人の端くれでありながら、食材をぞんざいに扱う周りの生徒を幸平が睨みつけると、バツの悪そうな顔をした二人が目をそらす。

 

 証拠は無いが、カムイは食材の声と二人の態度から誰がこんなことをしたのかすぐに分かった。

 

 

「………………………待っていろ」

 

「おお、やってくれるか! とうとう味わえるのだな、『その一皿、国すら動かす』と言われた【神域の料理人】の料理を!!!」

 

 恋焦がれるほど待ち望んでいたカムイの料理を食べられると分かって大喜びするシャペルだが、カムイが『待っていろ』と言ったのはシャペルのためではない。

 

 

 『千代婆』から『食義』と『食没』を教えられたカムイにとって、食材を踏みにじる行為は断じて見過ごせるものではない。

 ましてや自分と妹は死にそうなほど飢えに苦しんだ経験があり、妹にいたっては極限の飢餓の中で死んでいった。

 

 そんな『食材』の大切さを魂の芯まで理解しているカムイが、泣いている食材を放っておくことなど出来るはずもない。

 

 弄ばれた食材への怒り、果てなき食材への感謝、飢えに苦しみながら死んでいった妹……………………それらへの想いが一つとなり、カムイの料理人魂に火を点けたのだ!!!

 

 

(待っていろ、今すぐ『最高の料理』に仕上げてみせるからな!)

 

 醜く変えられた牛肉が『最高の輝き』を放てる料理にするため、カムイは『シェルダーバッグ』から『金の調理器具一式』と必要な食材&調味料を取り出していく。

 

 明らかに見た目からでは想像もつかない量をバッグから取り出していることと、目も眩むほど煌びやかな調理器具に驚愕する生徒たちを他所に、カムイの調理が始まった。

 

 

 

(まずは傷んだ食材を『治す』)

 

 カムイは『金の鍋』を二つ用意し片方に『エアアクア』の水を、もう片方には超硬水の『ドナウォーター』に『モルス油』と『うま塩』を入れて湯を沸かしていく。

 

 水に少量の油と塩を入れることで水の沸点が高くなり、短時間での下茹でが可能となる。

 主に中国などの水の悪い地域で用いられている技法で、こうすることにより食材に水の味や匂いが染み込みにくくなるのだ。

 

 

 湯が激しく沸騰したらコンロの火を止める。『ドナウォーター』のお湯の泡立ちが無くなったら、塩まみれの牛肉を菜箸で優しく掴みゆっくりとお湯の中に入れていく。

 

 カムイの調理を見て、担当講師であるツェペルはその意図を理解した。

 

 

「アレは…………………『超硬水』か。なるほど、沸騰させた高温の『超硬水』を使い短時間で下茹でをして、『アク抜き』と『塩抜き』をするわけか。火を止めたのは、肉の表面をこれ以上荒くさせないためだな」

 

 

 水には軟水と硬水の2種類があって、その違いはカルシウムイオンとマグネシウムイオンの量によって決まる。

 日本の水は沖縄を除き全て軟水で、ヨーロッパやアメリカなどの外国はほとんどが硬水である。

 

 そのため日本料理は軟水を使うことを想定した料理であり、ヨーロッパやアメリカなどは硬水を使うことが前提だ。

 

 

 たとえば軟水は日本料理のダシだけではなく、お茶やコーヒーなどの飲み物に適している。特に出汁を取る料理や煮物においては、食材の旨味を引き出すのに役立つ。

 

 一方の硬水は料理や飲み物において特定の風味を引き出すために使用されるため、スープやソースづくりのためのアク抜きの他に、肉料理やパスタの調理で使うのに適している。

 

 余談ではあるが、もし硬水で和風出汁を作ろうとすればエグみや臭みが出てしまう。その逆に軟水でパスタを作ろうとすれば固くなりすぎてしまう。

 

 このことから、『水が無ければ人は生きていけない』ように『水』とはその国の料理体系の根幹を成していると言える。

 

 

「もしかして、あの塩だらけでダメになった肉で料理するつもり!?」

「バカな!? あんな肉で料理なんか作ったら塩っ辛くて食えたもんじゃねえぞ!!!」

「で、でも、あの【神域の料理人】ならもしかして……………………」

「いや、だとしても無理がありすぎるだろ………………………」

 

 

 カムイが本来であれば使い物にならず、捨てるだけの肉で料理しようとしていることに気づいた生徒たちが慌てふためく。

 

 しかしカムイにはそんな雑音は耳に入っておらず、聞こえてくるのは傷んでいた肉が治っていくことに喜んでいる『食材の声』だけだった。

 

 沸点を上げた超硬水により短時間で『アク抜き』と『塩抜き』が完了し、次にカムイは肉に『活性切り』で切れ目を入れてビニール袋に入れる。

 

 さらに『シェルダーバッグ』から取り出したビンに入っている液体を少しずつ『金のスプーン』で掬い、ビニール袋へ入れていく。

 

 

「何だ、あの液体? 赤・紫・緑・黄色と色んな液体をビンからビニール袋の中に注いでんな」

 

「うん、それに入れ終わったらビニール袋の外側から優しく肉に揉みこんでる……………………まるで赤ちゃんの手足をマッサージしているみたい」

 

 田所が言うように、カムイはまるで赤ん坊のようにデリケートなものを労わるかのように肉を揉みこんで、カラフルな液体を染み込ませていった。

 

 その姿は見紛うこと無き『優しさ』に溢れており、傍から見ている生徒ですら一個の食材に対する『愛情』と『敬意』を感じさせていた。

 

 

(揉みこみが終わったら、肉を休ませて味を馴染ませる)

 

 

 肉へのマッサージを終えたらしばらく休ませ、その間に煮込むためのソースづくりに入る。

 

 グルメ食材の『ゴールド人参』『ポークポテト』『梅玉ねぎ』『スマッシュマッシュルーム』『バニラニンニク』など各種野菜を『金の包丁』で次々に捌いていく。

 

 

「へぇ~~~、変わった調理法だな。手じゃなくて菜箸や長箸で食材を掴んだり抑えたりしてら」

 

「う、うん。アレは『庖丁式』って言って、食材には一切手で触れないようにする調理法なんだって。食材に感謝と敬意を現す方法らしいよ」

 

「なるほどな~~~。確かに、今のアイツからは食材を大事にしてるって感じがスゲー伝わってくるよ。それに、あのやり方なら食材に手の熱が伝わって、味が落ちることも無いもんな」

 

 巧みに箸を使い、食材を『抑え』『掴み』『取り分ける』カムイの調理法を見て幸平は興味津々になっている。

 

 周りの生徒も初めて見るやり方で調理を進めていく『神域の料理人』の姿に目を奪われていた。

 

 

 『エアアクア』のお湯が沸いたので『活性切り』で切った野菜を入れたら火を弱めて、『シチューワイン』の一種である『デミグラスワイン』を注ぎ『ワープダイニング』を発動、時間を加速させてジックリと中火で煮込んでいく。

 

 充分に野菜の旨味が溶けだしたら『ワープダイニング』を解除、ビニール袋から休ませていた牛肉を取り出し鍋へ入れる。

 

 そして先ほど使用したカラフルな液体を再び少量ずつ『金のスプーン』で入れていく。分量は色ごとに異なっており、一杯分しか入れないものもあれば三杯ほど入れるものもある。

 

 液体を入れ終わったら蓋をして火を消し、『ワープダイニング』で急激に時間を進めて鍋を冷やす。完全に冷たくなったら蓋を開けて各種香辛料を投入。

 今度は弱火にして煮込むこと約10分………………………カムイの料理が完成した。

 

『あれだけ塩まみれになった牛肉が美味くなるはずがない』、そう思って生徒たちが息を呑む中………………………カムイが鍋の蓋を開けた。

 

 

パアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア………………………………!!!!!

 

 

 興味と恐怖が混在する生徒たちは一瞬、旨味が可視化されたように輝いて見えてしまう。気のせいかと思ったが、目の前にある料理は視覚以上に嗅覚を猛烈に刺激した!

 

 

「ふわぁ~~~~~~、素敵な香り♪ こんな濃厚なのにしつこくない香り、わたし初めて♪」

 

「っ……………………あぁ、見た瞬間に理屈じゃなくて脳が反応しちまった。『食いてえ!』ってな」

 

「っ~~~~~! 素晴らしい、食材が喜んでいるのが目に見えるようだ!!」

 

 幸平たちが言うように、半信半疑だった生徒たちも条件反射のように理性よりも食欲が反応した。

 目の前にある料理が理屈抜きに極上の美味であることを脳ではなく生物としての本能が理解したのだ。

 

 涎を垂らしたり生唾を何度も呑み込んでいる生徒たちがいる中で、カムイは『金の鍋』から料理を皿に取り分けていく。

 もちろんここにいる全員分は無いので、自分・幸平&田所・シャペルの分。そして……………………食材をダメにした二人の分。

 

 

「食え。そして自分たちの罪を、数えろ」

 

「え…………………………?」

「つ、罪って何だよ!? 別に俺たちは……………………!」

 

 皿を手渡すと二人の見苦しい言い訳などには耳も貸さず、続けて残りの三人にも皿を渡していく。

 

「おっ、いいのか? サンキュー、カムイ♪」

 

「え? 私も食べていいの? あ、ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えて………………………」

 

「おぉ、ついに、ついにこの時が…………………………!」

 

 全員に料理を渡したカムイは佇まいを正し合掌、かつて共に旅をした仲間から教えられた作法を思い出しながら口を開いた。

 

 

 

「この世のすべての食材に、感謝を込めて……………………『いただきます』」

 

 

 

 

「「「「「…………………………………………」」」」」

 

 

 

 

 丁寧でありながら無駄のない所作で食材を切り、口に運んでいく………………………その姿はまさに食材に対する『感謝』に溢れていた。

 

 カムイが丁寧に食事する姿を見て、幸平・田所・ツェペルだけではなく、食材をダメにした二人までも『この料理、疎かには食べられない!』と思い姿勢を正す。

 

 

「「「「「いただきます」」」」」

 

 

 カムイの料理をナイフとフォークで切り分けて口に入れると………………………豊潤かつ濃厚な旨味が脳天を直撃した!!!

 

 

(す、素晴らしい! 超硬水による短時間の下茹でで余分なアクと塩分が全て取り除かれている!! しかも牛肉の旨味は全く損なっていない!!!)

 

(この肉、牛の赤身肉なのに筋が全然残っていねえ、噛まずに飲めるぐらいだ!

 俺の料理は柔らかくはあったけど筋は残っていた。どうやったら赤身肉で筋を残さず、こんな柔らかい料理が作れんだ!?)

 

(凄い! この美味しさ、牛肉から来るだけのものじゃない!! まろやかなコクのあるソース! その色んな甘味と酸味が、牛肉の味を物凄く引き立ててる!!!)

 

 幸平が疑問に思うのも無理はない。ステーキや牛カツ用にカットした肉ならば、包丁や筋切り器で筋を切ることは可能。けれど煮込み料理の場合、牛肉は塊で使用する。

 

 そのため、幸平がやったようにハチミツで揉みこんで柔らかくすることは出来ても、肉の内部には必ず筋が残ってしまう。

 

 しかしカムイは、『活性切り』によって肉内部の筋を全て切った後、筋の部分を避けて箸で押すことで切断面を接着しなおした。

 これにより見た目はそのままで、かつ筋が残っていない赤身肉の塊が出来上がったのである。

 

 カムイの調理を通して、不器用ながらも確かな愛情と感謝を感じ取った牛肉は喜びに震え、自身の旨味を限界以上に発揮した。

 

 虐げられた自分を癒し、自分の魅力をこれ以上ないほど優しく引き出してくれたことに感謝した牛肉は、グルメ食材の『白毛シンデレラ牛』以上の味わいとなったのである。

 

 

(肉の調理も完璧だが、最も素晴らしいのはこの『ソース』だ! 系統の違う様々な甘味と酸味が牛肉の旨味を持ち上げ、より深いものにしている。

 この甘さは…………………そう、幸平創真が作った料理に通じている。ということは……………………………!)

 

 一心不乱に掻き込みたい衝動を必死に抑えながら、シャペルはどうにか料理を分析する。

 そしてカムイの料理と幸平の料理に共通点を見出したシャペルは、カラフルな液体が入っていた容器に着目した。

 

 

「っ、こ、これは……………………果物を漬け込んだハチミツか! しかもこの味わいと香り、恐らくハチミツ自体も果物の花のエキスをハチに与えて作ったものだ!!」

 

「「「「!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」

 

 容器の中身を見て、カムイが使った液体の正体に気づいたシャペル。周りの生徒だけではなく、食べることに夢中になっていた幸平と田所も驚いて食べるのを中断してしまった。

 

 

「ドイツにはドライフルーツをハチミツに漬け込んで、クリスマスに食べるという風習がある。

 ドライフルーツのエキスがハチミツに溶け込んで、ハチミツ自体も果物の色や味が付くそうだ」

 

「っ、それでカラフルなハチミツがこんなにたくさん……………………!」

 

「その上このハチミツは、果物の花のエキスを蜂に与えて作り、その蜂の受粉によって出来た果物をハチミツに漬け込んだのだ!」

 

「はぁ~~~、それでこんなに味に一体感が出てんのか。そういえば『みかんの花』で作ったハチミツとかデパートで売ってるもんな」

 

 シャペルの言う通り、果物をハチミツ漬けにして果物を熟成させ、ハチミツにも果物のエキスを染み込ませるというのは、カムイがドイツを訪れた際に学んだことだ。

 

 両者を合わせることで、果物もハチミツも単独で食べるよりもずっと深い味わいになることを知ったカムイは、『アイランドシェル』で早速試すことにした。

 

 

 鼻をとろけさせるような微香を漂わせるグルメ食材『アロマハチミツ』を作る『アロマミツバチ』に、果物の栽培を手伝わせたのだ。

 

 『アロマミツバチ』は外敵に襲われる心配なく『アイランドシェル』の果物の花から栄養満点の花粉を得ることができ、カムイはそのお礼に『アロマハチミツ』を分けてもらうという共生関係が成立。

 

 そうしてハチたちの協力で実った果物に、同じ果物のエキスで作った『アロマハチミツ』に漬け込めば完成。

 

 果物には『黄金洋ナシ』『グランドベリー』『ミラーライチ』『ハチゴ』から、超特殊調理食材である『ニトロチェリー』にグルメ界の食材である『オアシスメロン』まで、様々な果物を使った。

 

 結果はカムイの想像通り、ハチミツも果物も単独で食べるよりも遥かに美味くなったのである。

 

 

(素晴らしい! あれほど塩まみれとなった牛肉が、色とりどりのハチミツをベースにしたソースによって、ここまで変貌するとは!)

 

(しかも牛肉に染み込んだハチミツが、僅かに残った塩味を土台にして牛肉の味をより引き立てていやがる!!!)

 

(カムイくんの魔法のような調理によって、牛肉が元々持っていた味を取り戻したばかりか、更に魅力的になってる!)

 

(俺たちがダメにした牛肉から邪魔な塩分を取り除き、深いコクと美味さを持つソースという服を着せてドレスアップ。

 様々な甘さと酸っぱさがジュエリーのように彩られて、味にアクセントを付けている!!!)

 

(この美味さはそう、虐げられた女性が魔法使いの手助けによって美しさを取り戻し、夢のような幸せを掴む…………………あの有名なおとぎ話のようだ!!!)

 

 

 

(((((牛肉のシンデレラストーリー!!!!!)))))

 

 

 

 カムイの料理によって幸平たちは、童話の世界に入ったかのような夢心地となった…………………………そして幸平たちが意識を取り戻した時にはカムイの姿は無く、金色に輝く調理器具も全て無くなっていた。

 

 

 幸平たちの妨害をした二人はカムイの料理を食べて、自分たちがやったことを恥じた。

 

 幸平と田所に謝罪し、シャペルや学校側にも『料理人たる者、食材を弄んではいけない』と言って、二人は自ら進んで退学することを選ぶ。

 

 しかし退学後は遠月が経営する牧場で働き、牛などの家畜に深い愛情を持って接している。

 

 数年後、二人が世話をした牛のミルクから作るバターやチーズは絶品と話題になり、全国の有名店から購入希望の問い合わせが殺到するほどまでになったそうだ。

 

 

 

 さらには二人の作った乳製品を求めて、【神域の料理人】がやってきたという噂が上がったのだが……………………………その真実のほどは定かではない。

 

 

 

 






グルメ食材
『うま塩』『ゴールド人参』『ポークポテト』『梅玉ねぎ』『スマッシュルーム』『バニラニンニク』
『黄金洋ナシ』『グランドベリー』『ミラーライチ』『ハチゴ』『ニトロチェリー』『オアシスメロン』

オリジナル食材
『デミグラスワイン』『アロマハチミツ』

現実にある食材
『ドナウォーター』

一度使ったグルメ食材などは省略しています。ですが、もしかしたらダブることがあるかもしれません。

出来る限り【食戟のソーマ】の料理を食べた感想を表現してみました♪

それでは皆さん、次回で♪
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