ガチャの景品でTSしてもドスケベの親友に堕とされたくない   作:ハーメルンに性嗜好を歪められた被害者

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 この先とっくに手遅れなフミちゃんの長い悪あがきをお楽しみください。




その7 覆水盆に返らず♡

 

 

 結局あの大学生二人組は、リナ先生及び怖いトレーナーさん達にたっぷりと叱られ、出禁処分の上、今回の顛末を大学に報告されたという。

 未遂なので退学とまではいかないかもしれないが、停学処分にはなるだろう。大学の停学は一週間や二週間では利かない。

 奨学金を受けていた場合は勿論停止されるし、修得票みたいな証明書に、停学日数が書かれる場合もある。

 

 そうなったら、ほとんどの大学生は自主退学を選ぶそうだ。又聞きだけど。

 

『二人とも、本当にごめんなさい。ウチの会員が、あなた達に嫌な思いをさせて……』

『そんな! リナ先生が悪いんじゃありません!』

 

 悪いのは強引な方法で女を(というか僕を)手篭めにしようとしたあの二人だ。リナ先生やトレーナーの皆さんは、むしろ僕達を守ってくれたのだから。

 

 ただ、大事をとって、僕の写真や動画の投稿は一旦あれだけに留め、ほとぼりが冷めるまでは中止にするという。

 これについては、是非ともそうしてほしいところだったので、異論はない。やっぱり柄ではなかった。

 

「はぁー。疲れた……」

 

 夕食も風呂も歯みがきも済ませ、あとは寝るだけ、となった僕は、布団の上で照明のリモコンを持ち上げたり置いたりしながら、昼間のことを思い出していた。

 

「怖かった……」

 

 今回のことで思い知った。僕はどこからどう見ても女で、今はああいう輩に狙われる側にいるということを。

 男の頃なら、こんなトラブルに巻き込まれることもなかった。

 

 

 でも、同時に嬉しかった……。

 

 嬉しかった?

 

 

「ふぅっ…………♡」

 

 何だか、息が熱い……。

 

「アキ……が……」

 

 アキが助けてくれたから、嬉しかった?

 

 なぜか、アキの硬い胸板に押し付けられた時の感覚が、忘れられない。

 いや、忘れようとしていない。むしろ、忘れないでいるために、何度も思い出して、その時の感触を反復している……。

 

「暑い、な…………」

 

 ダメだ……寝れない……。

 

 大学生に胸や尻を触られた時のことを思い出すと、嫌悪感や恐怖で背筋がぎょっと冷たくなる。

 男に触られて、嬉しい訳がない。当然だ。僕は異性愛者だし、今もそれは変わらない。

 

 

 でも、アキ、なら…………。

 

 

「はっ、ん…………♡」

 

 なぜ……なぜ僕は、アキの手の感触を必死に模倣して、思い出そうとしているの……。

 

 アキ…………。

 

「はぁっ……あっ、ん、はぁっ……♡」

 

 はあっ……んんっ……♡

 

 

 あっ♡ イっ……♡ あぁんっ♡

 

 

 

 朝、鏡に映る美少女(僕)の表情には、寝不足の感が露骨なクマが浮かんでいた。

 

「最悪だ…………」

 

 一睡もできなかった。体がだるくて仕方ない。

 

「すごかった……」

 

 男の時とは全然違う。()()()が訪れても、体の熱が冷めない。二度目、三度目をさらに欲しがって……。

 

「いやいやいやいやッ!!」

 

 や、やっぱりまだ本調子じゃない! 調子がおかしいせいで、考えまでおかしくなっている……!

 

 昨日のクラブ中に起きた出来事。それから()()()()()もあって、僕は何が何だか分からなくなっていた。

 

「これ、手洗いしないとダメかな……」

 

 脱いだ下着を見ていると、僕は誰に見られている訳でもないのに、激しい羞恥心と自己嫌悪に襲われた。

 

 どうして僕は、あんなこと…………。

 

 

 ブーーッ!!

 

 

「あっ、や、やば……!」

 

 長押しブザーの威嚇音が鳴る。古いアパートだから、インターホンの仕様も古い。

 

「フミー、起きてるかー?」

「お、起きてる! ちょっと待って!」

 

 起きたばかりで、今の僕は下着のままだ。ブラと肌着しか着ていない。

 

「おー。焦んなくていいぞー」

 

 ノックの音のあとに、アキの声が聞こえてくる。聞き慣れた声なのに、なぜか照れくさくて仕方がない。

 

 

 この扉を一枚隔てて、向こうにアキが……。

 

 僕、今、こんな格好なのに……。

 

 アキに見られたら、これ……♡

 

 うわ…………♡

 

 

 違う違うおかしいおかしいおかしいっ!!

 

 違うだろッ!! 変態かッ!!?

 

 というか、この暑い日に外で待たせているんだぞ!! 早く着替えろよ!!

 

 

 

「お、お待たせ! もういいよ!」

 

 なぜか判然としない気持ちを無視して、無心で着替えた僕は、内側から扉を開けた。

 

「はよ。フミ」

 

 アキは普通だった。至って普通。

 

 昨日あんなに思いっきり、だ、抱きしめ……!

 

「どーかしたか?」

 

 ダメだ……! 彼の顔を見ていると、抱きしめられた時のことと、()()()()が頭に浮かんできて……!

 

 ぼ、僕、アキのことを思い出して、あんなことっ……!

 

「おっ、おはよっ!?」

「なんで疑問系……つか、マジでどーした? 寝不足っぽいけど」

 

 う、うわっ、うわっ! あ、アキの顔がすぐ近くに……! なんでこんなに顔が熱いんだ! アキの顔なんて見慣れているはずなのに……!

 

 

 あ、こいつ、よく見たら喉仏、すご……♡

 

 

「いやいやいやいやっ!!」

「おぉっ……!? な、なんだ!? どうしたフミ!?」

 

 違う! 違う! 違うッ!! ぼ、僕は何をしているんだ!!

 さ、昨夜のことといい、僕は一体どうしてしまったんだ……!

 

「なぁ、ホントに大丈夫か? やっぱり昨日のこともあるし、休んでたほうがいいんじゃないか」

 

 

 僕のこと、心配してくれるの……♡

 

 

 うわああッやめろやめろやめろッ!! そんなの友達同士なら当たり前だろッ!!

 

「だ、大丈夫だからっ!」

「そうか? じゃあいいけどさ」

 

 はぁーっ……はぁーっ……!

 

 違うんだ。僕は男、僕は男、僕は男……!

 

「ところで今日もスカートなんだな」

「えっ!? あ、あぁ。うん……」

 

 心の平静を整えている時にそう聞かれて、思いっきり声が上擦った。

 

 今日の服は、袖なしの白いブラウスと、深緑の長いフレアスカートだ。

 あの日、アキが選んだ服はホットパンツを除いて全てスカートだった。二股になっているとはいえ、あんなに短いものを着て外を歩く勇気はないので、妥協でこれにした。

 

「リボンも。結ぶの慣れてきたか?」

「せ、折角アキが買ってくれたから……」

 

 それに、髪をまとめると、首元が髪で隠れないので、夏場でも涼しくていいから……そっ、それだけ! それだけだっ!

 

「ふーん……」

 

 な、何だ、その目は……アキはまじまじと僕の服装を確認するように眺め、それから満足そうに頷いた。

 

 

「かわいいぞ」

 

 

 えっ…………♡

 

 か、かわいい、って…………♡

 

 

「ほ、ホントに……?」

「おお!! ホントだよ」

 

 頭の中で「かわいいぞ」という言葉が何度も繰り返される。威圧感を感じない、適度に低いアキの声が、何度も……。

 

「超かわいい。壁に追い詰めて無理やりベロチューしたいくらい」

「べ、べろ……!」

 

 そ、そんなの、どうなるんだ、僕……!?

 

「そ、そんな、の……!」

 

 アキの大きな手で両腕を押さえ付けられて、見下ろされながら追い込まれて……。

 僕よりずっと大きくて硬いアキの体に密着されて、にっ、逃げられなくて…………♡

 

「はっ、はっ……はぁっ……♡」

「ふ、フミ? あ、あの……? いつものツッコミとかは……?」

 

 僕が抵抗できないのをいいことに、無理やり唇を奪われて、口の中まで舌で蹂躙され、僕ばっかり一方的に、上から唾液を飲まされて……♡

 

 それからはもう、ずっと……僕が何を言おうとしても、チューで黙らせられちゃうんだ……♡ 

 どんなに抵抗しても、チューされるだけで大人しくさせられちゃうんだ……♡

 

 ついに身じろぎもしなくなった頃に、歯の裏まで舌で確かめられながら、おっぱいを揉まれたりして……無理やりエッチな気分にされて……!

 そっ、そのまま、自分からアキの部屋に連れ込まれちゃうんだっ♡

 

 

 そんなことになったら……僕は……♡

 

 僕はっ♡

 

 

「おっ、おいフミッ!? 大丈夫か!?」

「はッ!?」

 

 なっ、ななななっ、何、考えてっ……!?

 

「さっきから様子がおかしいぞ。なぁ、やっぱり昨日のことでまだ……」

「ちちち違うからッ! ぜ、全然平気!」

 

 へっ、平気だから、それ以上近寄るな……!

 

 そんなに、ち、近くで……見ないで♡ 真面目な顔、かっこよくて……変になる……♡

 

「何かあったらすぐ言えよ。無理するな」

 

 落ち着け、深呼吸だ……相手はアキ、相手はアキだぞ……!

 

「ホントに大丈夫だから……! 心配してくれてありがと……」

「当然だろ」

 

 突然友達がおかしくなって、困惑しているのはアキのほうであるはずなのに、僕を心配するのは当然なんだ……。

 アキは優しいな……アキだって、友達がいきなり女になって、どうしていいか分からないはずなのに。

 ちょっとエッチだけど、優しくて、いつも側にいてくれる。僕は何も返せていないのに。

 

 そうだ。僕だけが助けられて、アキに何もないんじゃ、不公平だよね。だったら……。

 

 

 アキが、したいというなら……

 

 いくらでも、チュー、くらい…………♡

 

 

「じゃーそろそろ行くか。準備いいよな」

「あっ」

 

 アキの顔が離れて、一気に心が現実に引き戻される。

 

 あ、あああ。

 

 ああああああっ。

 

 ああああぁぁッ!! もおおォォーー!

 

 アホ! アホアホアホアホ!!! 何考えてるんだ僕は一体!?

 

 何が「チュー、くらい……♡」だ!!

 何喜んでるんだ!! 嫌がれよ!! 

 セクハラ! されてる! だろうがッ!!

 

 アホ!! クソアホ!! アホか僕は!

 

 はぁっ……! はぁっ……はぁっ……。

 

 

「何してんだー? 早く行こうぜー!」

「あ、ごっ、ごめん!」

 

 このままじゃダメだ……このままじゃ。一刻も早く男に戻らなければッ……!!

 

「じゃないと、や、やばい……♡」

 

 ああああッ!! また語尾が、なんか女の子みたいになってる!!

 

 あぁもう鬱陶しい! 夢の中にも、ぼーっとしてる時にも、アキのムカつく表情ばっかり浮かんでくる!

 違う、僕は男だ!! そんな、一度や二度と助けられたくらいで……! ちょ、チョロすぎるだろ!

 

 僕は、男なんだッ…………!!

 

 

 

 僕達はミッションの消化を兼ね、駅前のほうに遊びに来ていた。

 この辺なら暇を潰せる場所も多いし、人通りも多いので、困っている人も探しやすい。

 

「そーいやフミ、日焼け止め塗ったか?」

「塗った。てか、なんで君が心配するの」

「だってお前、去年の夏とか、日焼けが痛すぎて半べそだったじゃねーか」

「泣いてない!」

 

 日焼けをしても黒くならず、真っ赤になってしまう。その日お風呂に入るのが恐ろしくなるくらい真っ赤に。

 

「日傘使えって」

「嫌だよ。女の子の持ち物じゃん」

「バーカ。郊外のこの駅にすら男で日傘差してる人いるだろ。つか、スカート履いてるヤツが気にすることか?」

 

 それでも、やっぱり日傘は女の子が使うものじゃないか……。

 

「そんなことはいいの。それより、早く行こうよ」

「おー。張り切ってんな」

 

 ガチャを回さなければ、僕は二度と男に戻ることができないんだ。気合いも入るというもの。

 

 とりあえず、という感じで、僕達はゆったりと駅周辺を散策した。

 あのイヤリングにもそれっぽい声は聞こえてこず、とりあえずゲーセンにでも行くかと思い立った矢先のことだ。

 

 駅前広場のベンチの前で、俯いて目を擦り続けている男の子がいた。

 

「アキ、あれ……」

「あぁ。放っておけないな」

 

 見た目は小学1年生か2年生。近くに保護者らしき影はない。

 しかもこんな、どんな人が通るかも分からない場所に、子供を放置しておくのは気に悪い。

 

「ど、どうしたの? 何かあった?」

 

 僕は努めて高い声で、怖がらせないようにしゃがんで声をかけた。

 

「誰……?」

「だ、大丈夫! お兄ちゃんは、変な人じゃないから!」

「お兄ちゃん……?」

「え、あっ」

 

 そ、そうだ。動転して忘れていた。今の僕は女の体だったんだ……!

 

 ま、まずいぞ。トンチンカンなことを言ってしまったせいで、男の子に変な人を見る目で見られている……!

 こ、これでは弁明しても、聞き入れてもらえるかどうか……。

 

「ほら、オレのことだよ。お兄ちゃん」

「あ、アキ……!」

 

 返事に窮していたところに、すかさず後ろからアキのフォローが入った。

 

「あ、そっか……」

 

 よかった。男の子は今ので一応の納得をしてくれたようだ。とりあえず、不審者だと思われて会話を打ち切られるという失敗は、回避できたらしい。

 

(ありがと)

 

 男の子に聞こえないように、目配せでアキにお礼を言う。彼は得意げな顔をしていた。

 

「なぁ、よかったら何で泣いてるのか教えてくれないか? お兄ちゃんと()()()()()にさ」

 

 ()()()()()と言いながら、アキはいやらしい笑顔で僕に傍目で合図を送ってきた。声を出してもいないのに顔だけでうるさい。

 

「おね……そう、うん。()()()()()に教えてくれないかな?」

 

 僕は男の子に話しかけながら、幼い頃の記憶を思い出していた。

 家族で遊園地に行った時。ふとした拍子に迷子になって、ワンワン大泣きしていたところに、スタッフのお姉さんが駆け付けて、助けてくれたんだった。

 

 もしかしたらあの時のお姉さんも、僕みたいな男から女に……いやいや、そんな訳ないか。

 

「うぅ、あのね……お父さんがね、迷子になっちゃったの」

 

 お父さんが迷子ときたか……事実は逆であろうが、本人の主観で言えばそういうことなのだろう。

 

「そりゃあ困った父ちゃんだな。なぁ、どこではぐれたか覚えてるか?」

「あのね、あの、今日ね、ハンバーガー食べに来たの。それでね、ハンバーガー食べたから、もう帰ろうってなって、その前に買い物しようってなって……」

 

 ど、どういうこと?

 

 む、難しい。要領を得ない言葉の節々に情報が見え隠れするのだが、文脈の混乱にこちらの理解も巻き込まれ、結局論旨が見えてこない。

 

「そっかそっか。教えてくれてありがとな」

「うん……」

 

 アキは男の子の肩に手を置いて、朗らかな笑顔を浮かべた。年下との会話がうまいな、こいつ。

 

「ねぇ、どうする?」

「交番まで届けるか。もしかしたらそこでお父さんが待ってるかもだしな」

「そうだね」

 

 一人にはしておけない。それに、交番までの道中に、父親が見つかるかもしれないし。

 

「すぐ見つかるからね。大丈夫だよ」

 

 僕は立ち上がって、頑張って不自然にならないように自然な笑顔で男の子に呼びかけた。

 

「うん…………」

 

 やはり不安そうだ。無理もない。広くて人の多い場所に一人では、生きた心地がしなかっただろう。

 早く見つけてあげよう。迷子になった時の心細さは、僕にもよく分かるから。

 

「そうだ。お名前教えてくれな――――」

 

 

 ぎゅ。

 

「えっ!?」

 

 身長120センチもないであろう男の子の手は、抱き締めると丁度、僕のお尻の位置にきた。

 

「ちょっ……そこ……!」

「うううう…………」

 

 しかも、不安からなのか、男の子はその小さな手で苦しいほどにしがみついてくる。無理に引き剥がしたら泣き出してしまいそうだ。

 

「ずずっ……うう」

 

 と、というか、手もそうだけど、か、顔を埋めている位置が……!

 

「ひっ……!?」

 

 ま、待って! これ、あっ、当たってる! 生暖かい息が、すすす、スカート越しに……!

 丁度、あっ、あの……つまり、ええと、丁度のところに……あ、当たってるから……!

 

「そ、そこでい、息しないでっ……!」

 

 ふわって感覚が、あっ……ど、どうしよ、へ、変な匂いとかしたら……!

 

「お、おお……将来有望だな」

「み、見てないで、助けて……!」

 

 こ、こんな辱めがあるか! 自分よりも一回りも小さな男の子を相手に、こ、こんな……!

 し、しかしだ。おそらく男の子には何の下心もない……そのはずだ。だからこそ激しい罪悪感を感じる。

 

 ま、まるで、こんな小さな子相手に、自分の今の性別を意識させられている変態みたいで……!

 

 

Extra!

・(r)クリア済みミッションをもう一度クリアする(1/3)※獲得経験値は半減

 

(異性に服越しに臀部を触らせる)

 

 

 バカ!! 今その通知するな! よっ、余計に意識しちゃうだろ!!

 

 

「うぅ……ぐすっ……」

「仕方ねーな。ほら、そろそろ離しなさい。このお姉ちゃんのお尻はオレのものなんだぞッ!」

「バッ……! 子供に変なこと吹き込むな!」

 

 不幸中の幸いというべきか、男の子は泣き出す寸前で、アキの言葉は耳に届いていない様子だった。

 

「だったらオレはこっちだ!」

 

 ぎゅむ。

 

「お、おいっ!! アキ、何してっ……!」

 

 アキの両手が後ろから伸びてきて、僕の胸を掴んだ。

 

「ちょ、こ、こんなところでっ……!」

 

 こんな駅前の、往来がある場所でっ!!

 

 正面には男の子がいて、僕の腕を巻き込んでぎっちり抱き付かれているので、アキを引き剥がそうにも身動きが取れない。

 というか、こんな夏場に、前からも後ろからも密着されて、暑苦しい……!

 

「こんなところじゃなければいいのか?」

「ちがっ、はっ……! あっ……!」

 

 

Extra!

・(r)クリア済みミッションをもう一度クリアする(2/3)※獲得経験値は半減

 

(異性に服越しに胸を触らせる)

 

 

 だからうるさいって!! ホントに融通の利かない通知音だな……! こっちは男の子とアキの相手で大変だっていうのに……!

 

「は、離せよ……!」

「嫌だ。その子ばっかズリぃぞ! てかガキに女体はまだ早いね!!」

「こん、こんな時に、何を……!」

 

 僕は男だと何度言わせれば分かるのか。というより、子供の前で教育に悪いだろ!!

 

「こんなエロいもんぶら下げやがって」

 

 ゆ、指が、アキの指が上下して、揉まれながら撫でられている。その度に4本の指が、い、一番真ん中のところを、擦って……!

 

「これからじっくり、自分がスケベな体してること自覚させてやる」

 

 やめろ! ねっとり喋るな気持ち悪い!

 

「お前が悪いんだぞ……こんなデカい乳、触らずにいるほうが嘘だろ」

「み、耳元で、喋る、なぁっ……!」

 

 ど、どうすればいいんだ。子供を無理に剥がそうとして怪我をさせたら危ないし……!

 

 何より、む、胸が……昨日の晩のことを思い出し始めて……!

 

 じ、自分で触るよりも、ずっと……!

 

 

 いいい、いい加減、限界っ…………♡

 

 

「こっ、今度! 今度、いくら、でもっ! 触らせてあげるからぁっ!」

 

 だ、だから、これ以上、はぁっ……♡

 

「ホントか!? 嘘じゃないよな!?」

「本当に、嘘っじゃ、嘘じゃない……! 嘘じゃないからっ! も、離し、てぇ……♡」

 

 僕がそこまで言って初めて、責め手の収まらないアキの動きが止まった。

 

 止まりはしたが離れない。掴んだまま離そうとしない。力の差は歴然で、僕がどれだけ必死にもがいても、アキは微動だにしなかった。

 

「離せ、ってば……!!」

 

 それから5秒くらい、名残惜しそうに僕の胸を丹念に撫で回してから、ようやく離れてくれた。

 

「はぁっ、はぁっ…………♡ 保護者の人、見つけたら……覚え、てろよ……♡」

 

 

 はーっ、はーっ……♡ はぁーっ……♡

 

 

 大学生の一件で、アキのことを一度は見直したというのに……全部戻った。

 

 やっぱりこいつはダメだ。このまま野放しにしていたら、いつかとんでもない事件とか起こしやしないだろうな。

 狙っていないとはいえ、結果として子供を盾にして。こいつ、あの二人よりずっと悪質なのではないか。

 

「約束、忘れるなよ。絶対だからな」

「うるさいこのバカ! 子供の前でセクハラしやがって……! そんなことより、この子の保護者探すんだろ! いい思いさせてやったんだから働けっ!!」

「お、おう……わ、悪かったよ」

 

 怨念を込めて睨み付けると、アキはようやく観念したみたいに両手を上げ、これ以上セクハラしませんよみたいなアピールをしてきた。

 絶対信用しないからな、常に警戒していることを忘れるな。

 

「さて……ほら、父ちゃん探しに行くんだろ?」

「うう……」

「よし、じゃあ特別に、元気が出るおまじないかけてやる。兄ちゃんのマネしてみ?」

 

 アキは両手を顔の位置まで上げると、片手を開いて男の子に向かって突き出した。

 

「こ、こう……?」

「そーそー」

 

 男の子も同じように手を出すと、アキの手と合わさって、タッチしているような状態になる。

 そんな風に、本当に意味があるのかないのか分からない動きを5、6通り繰り返させると、男の子の目から涙は失せ、不安そうな表情も落ち着いていく。

 

「よし! 終わり! 上手かったぞ!」

「終わり……?」

「そう。終わり。これで兄ちゃん考案のすんごいバリアができたから。超すごいバリア」

 

 動きを真似させることで、自然に、かつ見事な手際で少年を僕から引き離すと、彼は男の子の頭を乱暴に撫で付け、一瞬のうちに笑顔を引き出してしまった。

 

「お、泣き止んだか! 偉いぞ!」

「うん、へへ……」

 

 子供の扱いが上手いのは大変結構だが、それができるなら最初からやってくれよ。

 

「いいお父さんになりそうだな……」

 

 …………。

 

 はっ!

 

 い、いや。別に、合っているはずだ、普通の感想だし、そういう意味で意識したのではなく、ただ単に感想を抱いただけであって……!

 

 違うんだッ……♡ 違うのに、もうっ……!

 

 

 

「15レベ……」

 

 アキは額の汗を拭いながら、落ちてきた一枚のコインを眺めていた。

 

「あれだけして、上がったのは4つか……」

 

 迷子の男の子のご両親を無事発見し(お父様の視線が汗染みのひどい僕の胸に注がれ、なぜか僕がお母様に睨まれたが)、僕達は一応の人助けを完了した。

 他にも落とし物を拾ったり、足を捻った人をベンチまで介助したりするうちに、時刻は正午に差しかかる頃合いだった。

 

「効率わりー」

 

 僕も彼と同じ感想だ。ただ、そこに含まれる意味が異なる。

 

 アキのは「あれだけ人助けのために駆けずりまわって4レベルしか増加していないのか」だが、

 僕のは「公共の場であんなに恥ずかしい思いをさせられたのに、4レベルしか増加していないのか」だ。

 

 一枚コインを得るためにミッションをこなすだけでこの心労……しかし、あの〝ミラクル・トランスチェンジャー〟は最高レアの貴重品。嫌でもなんでも試行回数を稼ぐ必要がある。

 

「ま、とりあえずコインは手に入ったし、今日は一旦帰ろうぜ」

「んー……」

 

 今日はクラブにも行かないし、もう少し頑張りたい気もするが、アキの「頑張る」と僕の「頑張る」は違うんだよなぁ……。

 しかし、彼の言う通りにすべきか。ミッションをこなせばこなすほど、アキに僕のミッションの内容がバレる確率が上がる。

 

 アキにあのミッション欄を悟られたら、どうなってしまうか分かったもんじゃない。いや分かりきってるけど、だからこそバレたらまずい。

 

「ついでに昼飯買ってこーぜ。お前何がいい?」

「じゃあ……牛丼」

「あー、今日は揃わなかったか。オレ焼き鳥がいい。ジャンケンしよーぜ」

「あいあい」

 

 じゃんけんは僕の負け。ちょっと前までは僕のほうが勝率高めだったのに、ここ数週間は負け越し気味だ。

 

 

 

 アキの部屋に帰宅後、僕らは駅前で買ってきたレバー串をかじりながら、ガチャボックスに視線をやっていた。

 

「今度こそ……!」

 

 今度こそあれを引かないと。そうじゃないと非常にまずいことになる。

 さっさと男にさえ戻れば、変な連中からのセクハラも、なぜかアキが(本当になぜか)カッコよく見えるこの錯覚も全て、元通り、なくなるはずなんだ。

 

「どっちから引く?」

「ちょっと僕、気合い入れてるから、先にアキ引いて」

 

 出ろ! とコインに念じて、握りしめる。こうすると、いいものが出ないとは言い切れないような気がしないでもない。

 

「なんだ気合いって。いいけどな」

 

 緊張感で額に汗を浮かべる僕を傍目に、アキはすんなりとコインを投入口に転がしてしまった。

 

 

《☆2 小吉ちりとり》

・家の中でこれを使って掃除をすると、やたらと小銭が見つかる。ただしほとんどは5円から10円。100円はほとんど見つからず、50円が出たら非常にラッキーくらい。

 

 アキのコインから出たのは、図工室の大きな長机にひっかけられているような、手のひらサイズの赤いちりとりだった。

 

「お、おおおぉーん…………」

 

 決して、悪いものではない。

 悪いものではないが……出張から帰ってきた親のプレゼントが、そんなにすごく嬉しいものでなかった時のような、嬉しいは嬉しいけど……みたいな。

 

「ほら、アキ。ホントに出てきたよ。10円」

「これで毎日掃除して、たまに下の自販機までジュースでも買い行くか……」

 

 本当にそれくらいのもの。とはいえ、部屋の掃除をするだけで、週に一度程度のちょっとしたお菓子購入に使えるならいい。

 今までの引きを考えたら嬉しいほうかな。

 

「お前も引いてみろよ」

「今から引く」

 

 気合いはバッチリだ。あとはお目当てのものを引くだけ。

 

 よし、今度こそ、来いっ……!

 

 

《☆1 SM検査パッチ》

・肌に当てた際の色合いが青ければS、赤ければMということが分かるパッチ。度合いは両方面に5段階。それ以外のことは何も分からない。

 

「もおおおぉッ!!」

 

 なんだよこれ!! なんでこんなもんばっかり出てくるんだよ!!

 

「念の効果あったな」

「どこがっ!!」

 

 レアリティも最低値だ。誰かが僕の引く番の時だけ嫌がらせをしているとしか思えない。

 

「お前のむっつりスケベが念に混入したんだろ」

「だから違うって! 僕はそんなんじゃゃ……!」

 

 うっ……い、いや、アキの言うことも、あながち間違いでもないかも……。

 

 昨日の夜だって、あんなに……。

 

「黙るなよ。ほぼ認めてるじゃねーかそれ」

「うっ、うるさいな!」

 

 やっぱりガチャのほうが何かおかしいんだ。僕はこんなもの欲しいと思っちゃいない。

 いや、ガチャなどは往々にして望んだものほど出てこないものだが、それにしたって酷い中身ばかりだ。中野のジョークグッズしか出てこないガチャみたいじゃないか。

 

「ま、出てきちまったもんは仕方ねーし、使ってみるべ!」

「えぇ!?」

 

 つ、使うのか……? これを……?

 

 だってこれ使ったら、アキに僕が……!

 

「嫌だよっ! なんでこんなもの……!」

「おぉーん? 自分がドMだってバレるのが怖いんだろ」

「ちがっ……! 違うし!! ドSだし!」

「じゃあいいじゃん。ほら、腕出せよ」

 

 やらなくても分かる。アキは絶対Sだ。人の醜態を見て嬉しがる悪いヤツだ。

 

「逃げんなって。やってみよーぜ!」

「いー、やー、だーっ!!」

 

 そ、そんなもの、貼られてたまるか! 絶対使わせられない!!

 

「嫌がんなよー。なー。いいじゃんかー。フミちゃんはドSなんだろー?」

「ちゃんって言うなっ!」

 

 僕は全力で逃げた。僕達は部屋の外まで出て、ドカドカと足音を鳴らして追いかけっこをした。

 そのうち、何で自分達が逃げたり追いかけているのかも忘れて、はしゃぎ回っているうちに、下の住人が怒って出てきて、僕らは大目玉を食らった。

 

 





おまけ フミちゃんの日課

・料理本を眺める
・漫画アプリの広告を見てコインを貯める
・課題を進める(実は進んでない)
・近所の野良猫に構う(全然相手にされない)

TS後に新たに増えた日課

・鏡の前で「僕は男だ」と唱え続ける
・布団の中で息を切らしてモゾモゾしながらアキくんに想いを馳せる(本人は体が勝手にとか言ってる)
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