バカと首席とFクラス   作:ちはやふる

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12/15 最後の部分に雄二の抜けていた会話を追加


第2話 自己紹介

「では、私はここで」

 

鉄人と別れたあと、俺達はそれぞれ自分達のクラスに向かっている。瑞希はAクラスなのでここでお別れだ。でも、本当にAクラスの設備は凄いな。生徒一人一人に個人用の冷蔵庫・エアコン・ノートパソコンに、椅子はリクライニングシートかよ。しかも教室がばかでかいうえに、天井にはシャンデリアが吊るしてあるし。あのババア、金の使いどころ絶対間違ってんだろ……。って、もうHR5分前か。明久と瑞希が何か話しているが遅刻しそうだな。

 

「さて、俺たちも行くか。明久、美波」

「そうね。アキ、早くしないと置いて行くわよ」

「ちょっと待ってよ美波!じゃあ、また後でね瑞希」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室前に着いたが、俺は一つ疑問に感じたことを明久に問いかける。

 

「なあ、明久」

「なに、龍也?」

「俺たちはいつから異世界に来てしまったんだ?」

 

本当にここはどこだ?教室は見るからに狭いわ、ここからでも何かの異臭はするし、どこのゴミ捨て場だよ……。

 

「……龍也、現実から目を背けないでよ。ここはFクラスの教室だからね」

 

くそ……っ!分かっていた、分かってはいたんだ。だけど普通はもう少しましな設備だと思うだろ。やばい、入りたくないわ……。

 

「入らないんだったら僕から入るね!」

 

俺の感情を察したのか、明久が初めに行き勢いよく扉を開ける。

 

「すいませ~ん。少し遅れちゃい……

「早く座れ、このウジ虫野郎!」

「新学期最初の言葉がそれか赤ゴリラ!」

 

教壇の上には教師ではなく、俺たちの悪友、雄二が立っていた。でも、どうやったらあの状況から罵倒合戦になるんだよ。

 

「おい二人とも、収集がつかなくなる前にやめておけよ。」

「なんだ、龍也と島田もいたのか。」

「気づいてなかったのかよ。てか、お前そんなとこで何やってんだ?」

 

こう思うのは当たり前だろう。一生徒が教壇に立って、そこからクラス全体を見渡しているの

だから。

 

「ああ、俺はクラス代表だからな。自分の仲間達(コマ)の顔を覚えるのは当然だろ?」

 

うわぁ、こいつ最低だ……。仲間って書いてコマって読みやがった。ん?ということは……

 

「試召戦争の前準備か」

「よく分かったな龍也。そういうわけで戦力になりそうなやつを探していたんだが、お前ら以外いそうにねぇ」

「え!?坂本が代表なの?」

「なんだ島田。俺じゃ不安なのか?」

「いや、そういう訳じゃないけど……」

 

美波の言いたいことは分かった。つまりこういうことだろ。

 

「美波、お前が言いたいのは『あの』坂本がクラス代表になるだけの学力があるのかってことだろ?」

 

「そうそう、それそれ!」

「おい島田。お前は俺をどういう目で見てたんだ……」

 

しょうがないだろ。一年の時にバカ騒ぎし過ぎたせいで、勉強の方までバカだと思われているからな。だが、勉強の方は問題ない。

 

「美波、そこら辺は大丈夫だ。雄二は実際にはAクラス並みの点数があるからな」

「え、そうなの!?」

「ああ。こいつはある目的を達成する為に点数を調整してFクラス代表になったんだ」

「まあそんなところだ。と言うわけでこれから……」

「すいません。道が塞がっていて通れないのですが……」

 

後ろから声がかかったので、そちらの方を向くと福原先生が立っていた。もうHRの時間か、そう思っているとぞろぞろと席に着いていくので、俺たちも空いている席に座る。何でも、Fクラスには席が決まっていないらしい。どれだけ適当なんだよこのクラスは。そうこうしているうちにHRも進み、クラスがえの時には欠かせない自己紹介の時間になった。

 

「では皆さん。順番に自己紹介をしてください。」

 

出席番号順なので、俺は割りと早めに順番が回ってくる。

 

「━━━━━です。よろしくお願いします。」

 

俺の前のやつが挨拶を終える。もう俺の出番か、面倒だからさっさと終わらせるか。

 

「俺は天崎龍也だ。一年間よろしく頼む。あと、そこにいる島田美波は俺の彼女だ」

 

これは一応いっとかないと美波に近づくやつが出るしな。

 

『なにぃぃぃ~!』

 

Fクラスのほとんどが声を上げる。そりゃそうか、Fクラス唯一の女子が彼氏持ちだもんな。

 

「くそ……、俺島田さん狙ってたのに」

「Fクラスの数少ない女子が彼氏もちかよ」

「島田さんハアハア……」

 

二番目のやつも相当おかしいが問題は三番目のやつだ。あとで屋上でたっぷりと話合おうじゃないか。

 

「あと……美波に手出したらどうなるかわかんねぇからな」

『sir!Yes,sir!』

 

睨みをきかせながら言うとこいつら本当におとなしくなるな。まぁ扱いやすいからいいか。

 

「俺からは以上だ」

 

そう言い終わると、俺は席に着いて他の人の自己紹介を聞いている。

 

「わしは木下秀吉じゃ。一年間よろしく頼むのじゃ。それと皆に行っておくがわしは男じゃぞ」

『なん…だと…』

 

いやいや、秀吉は男だからな!?女なわけないだろ。そう思っていると、ある男が声を上げる。

 

「おい皆、聞いてくれ!俺凄いことに気がついたぞ!」

「なんだ横溝。我々はこの事がショックで立ち直れないんだが」

 

こいつらの失望感はどうでもいいが、横溝ってやつが気づいたことってなんだ?

 

「いいから聞けって。秀吉は男だとは言ったが女ではないとは言ってない。つまり第三の性別『秀吉』だったんだ!」

『お前天才だな!』

 

いや、馬鹿だろ……。俺の想像の斜め上を行きやがった。秀吉、ドンマイ。

 

「だからわしは男だと言うておるのに」

 

ここまで言っても変わらないんだから男なら潔く諦めろよ。おっ、次は美波の番か。

 

「島田美波です。趣味は料理と裁縫です。一年間よろしくお願いします。」

 

美波にしては無難に行ってるな。まあクラスに女子が一人だから慎重になってるのか?

 

「……土屋康太。趣味は盗さ……写真撮影。特技は盗ちょ……情報収集。」

 

おいムッツリーニ。いろいろとアウトな言葉を並べるなよ。お前から犯罪臭がしてならないんだが。……おっ、次は明久の番か。何かやらかしそうで怖いな。

 

「吉井明久です。気軽に『ダーリン』って呼んで下さい♪」

『ダァァ~リィィ~ン!』

「失礼。忘れて下さい。」

 

野太い声が教室中に響き渡る。耳元で叫ばれて耳がかなり痛い。明久、あとで覚えとけよ?

 

「では、最後に代表の坂本くん挨拶をよろしくお願いします。」

 

そう言えば雄二はまだだったな。代表は最後っていう決まりだからか。まああいつのことだろうからこの場であの事について話すだろ。

 

「俺は坂本雄二だ。代表でも坂本でも好きなように呼んでくれ。それと、皆に聞きたいことがある。カビ臭い教室、ボロボロの机や椅子、Aクラスは最新型の机に椅子はリクライニングシートらしいが……お前ら不満はないか?」

「大有りじゃあぁぁぁぁぁ!」

「だろ?だから俺はAクラスに試召戦争を仕掛けようと思う!」

 

俺の予想通り、雄二は戦争の引き金を引いた。

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