「では、私はここで」
鉄人と別れたあと、俺達はそれぞれ自分達のクラスに向かっている。瑞希はAクラスなのでここでお別れだ。でも、本当にAクラスの設備は凄いな。生徒一人一人に個人用の冷蔵庫・エアコン・ノートパソコンに、椅子はリクライニングシートかよ。しかも教室がばかでかいうえに、天井にはシャンデリアが吊るしてあるし。あのババア、金の使いどころ絶対間違ってんだろ……。って、もうHR5分前か。明久と瑞希が何か話しているが遅刻しそうだな。
「さて、俺たちも行くか。明久、美波」
「そうね。アキ、早くしないと置いて行くわよ」
「ちょっと待ってよ美波!じゃあ、また後でね瑞希」
教室前に着いたが、俺は一つ疑問に感じたことを明久に問いかける。
「なあ、明久」
「なに、龍也?」
「俺たちはいつから異世界に来てしまったんだ?」
本当にここはどこだ?教室は見るからに狭いわ、ここからでも何かの異臭はするし、どこのゴミ捨て場だよ……。
「……龍也、現実から目を背けないでよ。ここはFクラスの教室だからね」
くそ……っ!分かっていた、分かってはいたんだ。だけど普通はもう少しましな設備だと思うだろ。やばい、入りたくないわ……。
「入らないんだったら僕から入るね!」
俺の感情を察したのか、明久が初めに行き勢いよく扉を開ける。
「すいませ~ん。少し遅れちゃい……
「早く座れ、このウジ虫野郎!」
「新学期最初の言葉がそれか赤ゴリラ!」
教壇の上には教師ではなく、俺たちの悪友、雄二が立っていた。でも、どうやったらあの状況から罵倒合戦になるんだよ。
「おい二人とも、収集がつかなくなる前にやめておけよ。」
「なんだ、龍也と島田もいたのか。」
「気づいてなかったのかよ。てか、お前そんなとこで何やってんだ?」
こう思うのは当たり前だろう。一生徒が教壇に立って、そこからクラス全体を見渡しているの
だから。
「ああ、俺はクラス代表だからな。自分の
うわぁ、こいつ最低だ……。仲間って書いてコマって読みやがった。ん?ということは……
「試召戦争の前準備か」
「よく分かったな龍也。そういうわけで戦力になりそうなやつを探していたんだが、お前ら以外いそうにねぇ」
「え!?坂本が代表なの?」
「なんだ島田。俺じゃ不安なのか?」
「いや、そういう訳じゃないけど……」
美波の言いたいことは分かった。つまりこういうことだろ。
「美波、お前が言いたいのは『あの』坂本がクラス代表になるだけの学力があるのかってことだろ?」
「そうそう、それそれ!」
「おい島田。お前は俺をどういう目で見てたんだ……」
しょうがないだろ。一年の時にバカ騒ぎし過ぎたせいで、勉強の方までバカだと思われているからな。だが、勉強の方は問題ない。
「美波、そこら辺は大丈夫だ。雄二は実際にはAクラス並みの点数があるからな」
「え、そうなの!?」
「ああ。こいつはある目的を達成する為に点数を調整してFクラス代表になったんだ」
「まあそんなところだ。と言うわけでこれから……」
「すいません。道が塞がっていて通れないのですが……」
後ろから声がかかったので、そちらの方を向くと福原先生が立っていた。もうHRの時間か、そう思っているとぞろぞろと席に着いていくので、俺たちも空いている席に座る。何でも、Fクラスには席が決まっていないらしい。どれだけ適当なんだよこのクラスは。そうこうしているうちにHRも進み、クラスがえの時には欠かせない自己紹介の時間になった。
「では皆さん。順番に自己紹介をしてください。」
出席番号順なので、俺は割りと早めに順番が回ってくる。
「━━━━━です。よろしくお願いします。」
俺の前のやつが挨拶を終える。もう俺の出番か、面倒だからさっさと終わらせるか。
「俺は天崎龍也だ。一年間よろしく頼む。あと、そこにいる島田美波は俺の彼女だ」
これは一応いっとかないと美波に近づくやつが出るしな。
『なにぃぃぃ~!』
Fクラスのほとんどが声を上げる。そりゃそうか、Fクラス唯一の女子が彼氏持ちだもんな。
「くそ……、俺島田さん狙ってたのに」
「Fクラスの数少ない女子が彼氏もちかよ」
「島田さんハアハア……」
二番目のやつも相当おかしいが問題は三番目のやつだ。あとで屋上でたっぷりと話合おうじゃないか。
「あと……美波に手出したらどうなるかわかんねぇからな」
『sir!Yes,sir!』
睨みをきかせながら言うとこいつら本当におとなしくなるな。まぁ扱いやすいからいいか。
「俺からは以上だ」
そう言い終わると、俺は席に着いて他の人の自己紹介を聞いている。
「わしは木下秀吉じゃ。一年間よろしく頼むのじゃ。それと皆に行っておくがわしは男じゃぞ」
『なん…だと…』
いやいや、秀吉は男だからな!?女なわけないだろ。そう思っていると、ある男が声を上げる。
「おい皆、聞いてくれ!俺凄いことに気がついたぞ!」
「なんだ横溝。我々はこの事がショックで立ち直れないんだが」
こいつらの失望感はどうでもいいが、横溝ってやつが気づいたことってなんだ?
「いいから聞けって。秀吉は男だとは言ったが女ではないとは言ってない。つまり第三の性別『秀吉』だったんだ!」
『お前天才だな!』
いや、馬鹿だろ……。俺の想像の斜め上を行きやがった。秀吉、ドンマイ。
「だからわしは男だと言うておるのに」
ここまで言っても変わらないんだから男なら潔く諦めろよ。おっ、次は美波の番か。
「島田美波です。趣味は料理と裁縫です。一年間よろしくお願いします。」
美波にしては無難に行ってるな。まあクラスに女子が一人だから慎重になってるのか?
「……土屋康太。趣味は盗さ……写真撮影。特技は盗ちょ……情報収集。」
おいムッツリーニ。いろいろとアウトな言葉を並べるなよ。お前から犯罪臭がしてならないんだが。……おっ、次は明久の番か。何かやらかしそうで怖いな。
「吉井明久です。気軽に『ダーリン』って呼んで下さい♪」
『ダァァ~リィィ~ン!』
「失礼。忘れて下さい。」
野太い声が教室中に響き渡る。耳元で叫ばれて耳がかなり痛い。明久、あとで覚えとけよ?
「では、最後に代表の坂本くん挨拶をよろしくお願いします。」
そう言えば雄二はまだだったな。代表は最後っていう決まりだからか。まああいつのことだろうからこの場であの事について話すだろ。
「俺は坂本雄二だ。代表でも坂本でも好きなように呼んでくれ。それと、皆に聞きたいことがある。カビ臭い教室、ボロボロの机や椅子、Aクラスは最新型の机に椅子はリクライニングシートらしいが……お前ら不満はないか?」
「大有りじゃあぁぁぁぁぁ!」
「だろ?だから俺はAクラスに試召戦争を仕掛けようと思う!」
俺の予想通り、雄二は戦争の引き金を引いた。