バカと首席とFクラス   作:ちはやふる

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第3話 Fクラスの戦力

「Aクラスに試召戦争を仕掛けないか?」

雄二のこの一言で教室がざわつき始める。

「Aクラスなんかに勝てるわけない」

「やるだけ無駄だろ」

「秀吉さえいれば問題ない」

「島田さんハァハァ」

皆が思い思いの言葉を口にする。あと、最後のやつ話し合い延長な?

「勝機ならある!俺たちには十分な戦力が揃っている。まずはそいつらから紹介しようじゃないか。最初は……ムッツリーニ、前に出てきてくれ。」

雄二に呼ばれ、ムッツリーニは前に出て皆の方を向く。

「こいつは土屋康太。お前らにだったら『寡黙なる性識者(ムッツリーニ)』と言った方が分かりやすいか?」

「なっ……!こいつがあの『寡黙なる性識者(ムッツリーニ)』だというのかっ」

「……そのような事実はない」

土屋康太。この名前なら知らないやつも多いが、『寡黙なる性識者(ムッツリーニ)』と言う名前なら別だ。いつもスカートの中を覗いては、バレバレなのに一向に肯定しないことから、男子からは畏怖と畏敬を、女子には軽蔑の意味を込めてそう呼ばれている。

「こいつの保健体育の点数はダントツで学年トップだ。Aクラスどころか、教師にすらも余裕で勝っている」

『うおぉぉぉぉぉぉ!』

そう、ムッツリーニの保健体育は4桁に届くかどうかという点数だ。ほんと、保健体育になると人がガラリと変わるな……

「そして木下秀吉に島田美波!」

「え、ウチら?」

「秀吉と島田は単科目だけだが、秀吉は古典で、島田は数学でAクラス上位の点数をとっている」

秀吉は演劇部の影響で、古典に興味を持ち出して点数が上がったし、美波に関しては、日本語が読めなかったから点数が悪かった訳で、1年間日本語を頑張って勉強すると、元々得意だった数学が飛躍的に上昇するのは当たり前だ。

「流石だぜ島田さん!」

「おい、秀吉ってAクラスに姉が居なかったか?」

「ああ、木下優子だろ?流石木下優子の『妹』だ!」

「だからワシは男じゃと言うておるのに……」

「そして、俺も本気を出す!」

まあ、自分から言い出したんだし、目的達成のためには本気を出さないと勝てない相手だしな。

「おいおい、坂本って昔『神童』って呼ばれてたよな?」

「ということは、このクラスにはAクラス並みの実力を持っているやつが4人もいるってことか!」

「それに、吉井明久と天崎龍也もいる!」

………………あれ?俺らの名前が出た瞬間から一気に静かになったぞ?

「誰だ?吉井と天崎って」

「そんなやつらこのクラスにいたか?」

おい、お前ら。ついさっき自己紹介したばかりだろうが。

「思い出したぞ!天崎は島田さんの彼氏、つまり異端者!」

『チッ』

皆の思いが一つになったな。どんだけお前らタイミングいいんだよ……。

「おい雄二!僕らの名前を落ちに使うな!」

「そうだぞ雄二。俺らの名前が出た瞬間に静まり返ったじゃねーか」

俺たちの横からの言葉を完全に無視し、雄二は話を続ける。

「お前らが知らないのも無理はない。こいつらは『観察処分者』だ」

『観察処分者』

学年一のバカ、素行不良など悪評ばかりが広がっている。まあ、実際本当のことだし否定することもできないんだが。

「たしか観察処分者って召喚獣にフィードバックがついてなかったか?」

「ああ、その通りだ」

「じゃあ戦闘では全く使えないんじゃないか?」

フィードバックのせいで戦闘に参加し辛いかもしれないが、俺たちにはハンデがある。

「いや、そうでもない。お前ら、召喚獣をどれくらいの回数動かした?」

「僕は三桁くらいかな?」

「たぶん俺もそんなくらいだと思うぜ」

普通2年になりたての頃は、召喚獣の操作は全体練習の時の2、3回くらいしか動かすことが出来ない。だが、俺達は教師の雑用やらをやらされているうちに、自然と操作回数が他の人の何倍にもなってしまった。

「聞いたかお前ら。こいつらは俺たちと比べ物にならないくらい召喚獣を操作してきている。少しくらい点数が離れていても十分に対応できる力を持っているんだ。さらに明久の方は暗記科目、特に社会科全般においてAクラス並みの点数をとっている」

「おお!点数も高いのか!」

あいつ、戦国や三國志のゲームとかも好きだったからな。人物名とか覚えるのが楽だったんだろう。

「ということは、天崎の方も凄いのか?」

「ああ、俺はFクラス最大の切り札(ジョーカー)だと思っている。」

そう言ってくれるとは嬉しいじゃねーか、雄二。

「こいつは今回の振り分け試験の学年首席だ」

『うおおぉぉぉぉ!スゲーじゃねー………あれ?』

「ん?なんだ横溝」

「おい坂本!嘘つくならもう少しましな嘘をつけよ。学年首席ならここじゃなくてAクラスにいるだろが!」

「確かに……!俺たちを騙すつもりだな!」

皆言いたい放題だが、雄二が話していることは全て事実だ。続けて、雄二が確認をとるようにクラスメイトに問う。

「一応確認だが、お前ら終了式に配られた『振り分け試験について』のプリントに目を通してないなんてことはないよな?」

『ギクッ』

おいおい、マジかよ……。日時は担任が前で言ってくれたが、その他のことはプリントにしか書いてないだろ。

「まあいい。今年から振り分け試験のルールが少し変わったんだ。横溝、プリント渡すから追記のところを読んでくれ」

そう言うと、雄二は自分の鞄からプリントを取り出し、横溝に渡した。

「えーと、なになに、『今年度より、単科目の点数が10点未満だった者は、一つにつき本来なるはずだったクラスから一つ下のクラスに所属するものとする。ただし、四科目以上10点未満だった場合は例外なくFクラスとする。また、この規則によって下のクラスに所属した者は、原則クラス代表になることは出来ない。』って……まさか!?」

「ああ、お前が思っている通りだ。龍也、振り分け試験の結果表を貸してくれ」

「りょーかい」

そう言うと俺は鞄から結果表を取り出し、雄二に渡す。

「これがこいつの試験結果だ」

このままでは皆に見えないので、黒板に俺の成績を書いていく。

 

現国……6

古典……115

数学……8

日本史……1241

世界史……984

地理……989

生物……784

化学……148

物理……3

英語……9

保健体育……511

 

綜合点数……4798

『なんなんだよその偏った点数は!』

「だから言っただろ?龍也は『今回の』首席だって」

俺は昔から暗記することだけは得意中の得意だった。だから中学の時でも社会に関しては一問も間違えたことはない。ただ、社会以外の科目は別だ。理科は、生物は暗記がほとんどなので問題ない、化学も生物よりは少ないが暗記ですむところが多々ある。問題は物理だ。暗記は得意だから公式は覚えられる。ただ、どの公式を使うかが分からない。どんどん公式を当てはめてあったら次の問題、という感じで解いていくのでかなり時間がかかるため点数が取れない。数学も同じ原理で点数が低い。なら、国語はどうか。長年独りで過ごしていた俺に人の心情なんて理解できると思うか?答えはNOだろ。あっ、美波は別な?ということで国語も取れない。残ったのは英語だけだが、英語も文法を覚えることは出来るが、どれなのかが分からないのでこれも取れない。ということでこのような有り様になってしまったのさ。

「これだけの戦力が揃っているんだ。お前ら、これでも勝てないって言うのか?」

「行ける、行けるぞ!」

「俺たちなら出来る!」

「そう思うだろ?なら、お前ら武器(ペン)を取れ!まずは俺たちの力を見せつける為にDクラスに攻め込むぞ!」

『おおおぉぉぉぉぉぉ!』

「ぉ、ぉぉ~」

Fクラスほぼ全員の叫び声の後に、美波が小さい声で恥ずかしそうに続く。うん、やっぱり美波は可愛いわ。




前回頂いた質問ですが、一応振り分け試験の成績トップは龍也ということになっています。本来はAクラスなのですが、追加ルールによりFクラスとなりました。なので、本来はAクラスの代表、つまり翔子より上ということになります。ここからは私の解釈になるのですが、成績トップ=首席で、Aクラス代表≠首席と考えております。よって、学年首席=龍也となります。多少解釈がおかしいかもしれませんが、また何か疑問に思うことがあれば、指摘をよろしくお願いします。
・設定に龍也の点数一覧追加
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