※今回は原作で出ていたカードが登場しますが、二次創作により原作とは違うカード効果やルールの裁定となっている可能性があるためご注意ください。
※想記が場に出た時、影刃の効果でトークン生成されていたのが抜けていたので修正しました。
━祇浄ユウキ視点━
「うそ……」
私は目の前の盤面を見て愕然とした。
あれだけの展開をして手札を消耗させたと思ったのに店員さんの切り札が出た瞬間、一気に手札を補充されてしまった。
薄々感じてはいたけど、ようやく理解した。
店員さんの言ってたデッキパワー、それが店員さんと私のデッキでは差が違いすぎる。
今回の為に敢えて弱くしたと言ってたけど、それは本当なのか疑ってしまう。
以前に店長さんから聞いた一般論として、いくらデッキが強くてもそれに共鳴し、適応出来なければ意味が無いということを聞いたことあり、それが都市伝説ながらもファイターとしての常識となっている。
けどここまでのプレイングの中で、店員さんがあのデッキに適応できていないなんていう希望的観測は無いと思う。
まるで目の前で阻む巨大な壁のように、今まで戦ってきた相手の中でファイトにおけるカードとプレイングが純粋に一番強い相手。
相手の不気味な風貌も相まって、隔絶した力の差をより一層に強く見せつけられる。
(勝てない……!)
そんな諦めの気持ちが過ぎり、無意識に足が後ずさり思わず膝をつきそうになったその時──、
(I)「……おやおや、諦めるのですか?」
こちらの心を見透かしたかのような問いかけに、私は店員さんの方に顔を向ける。
(I)「どうも気負いすぎているように見えるので老婆心としてアドバイスを。もう少し気楽に、そして大胆に思い切って遊べばいいのですよ。私としてはあなたにはこのファイトを諦めて欲しくはありません」
遊べばいいって、そうは言ってもこの状況じゃどうしようにも……。
(I)「……確かに今のあなたは劣勢に立たされています。そんなあなたに私は敢えて「頑張れ」や「デッキを信じろ」となんて言いません」
「えっ……?」
意外だ。
普通はそういう言葉で励ますものだけど。
(I)「諦めずに戦っても、ファイトでは負ける時は負けます。そういう時に大抵の人はデッキに裏切られたとなんて言いますが、私としてはカードのプレイングが悪かったか、ただ単に時の勝負運に巡まれなかっただけに過ぎませんから」
「ですが……」っと店員さんが一息置いて、再び語りだす。
(I)「負けそうだからと諦めることは、はなから
そう言う店員さんの口調から、何か強い意志が込められていることを感じ取れた。
淡々と語る店員さんの言葉に私だけじゃなく店長、店内のお客さん全員がそれに耳を傾けていた。
(I)「ちょっとした願掛けですが、私にはある言葉を胸に秘めてファイトするように心がけています」
(I)「──
逆転こそが、カードゲーム……。
「──頑張れ、ユウキちゃん!」
フィールド周りで観戦している観客の中から、私を応援する声が聞こえた。
「頑張ってー! お姉様ー!」
「そうだ! 我と戦った時はそんな腑抜けた面してなかっただろう!」
「ここらで鼻を明かしてやってください!」
ここに来てから仲良くなってファイトするようになった小学生グループのメンバーが声を張り上げて応援している。
「頑張れー! お嬢ちゃん!!」
「そんな陰湿不気味仮面野郎なんかに負けんなー!」
そして彼らだけでなく、フィールド周りにいる観戦してた人たちが私を応援し始めていた。
……そうだ、今までのやってきたファイトも楽に勝てたなんてことはなかった。
劣勢だったファイトも今まであった。
戦ってきた全員、初心者な私よりも強い相手だった。
──それでも勝つことが出来たのは、私が諦めてこなかったからだ。
だから私は……。
「……店員さん、時間をとってしまってすみませんでした。ターン貰います! レディ・アップキープ、そしてメイン・ライフからドロー!!」
ドローして引いたカードは……。
「色彩をセットして、私は2コスト<ブレイバー・想記>を召喚!」
(I)「ふむ……対応はありませんよ」
今引いたカードが通った。だけど問題はここからだ。
「想記が出たことで影刃の効果でトークン1体生成するよ! そして想記はブレイバーに「2コスト支払いと自身を生贄にすることでメインデッキから1枚ドローする」効果を共有させる! 私は4コストと、場の躍動と装甲を生贄にして2枚ドロー!」
これは通る……!?
(I)「……対応はありません、ドローをどうぞ」
「2枚ドロー! ……私はこれでターンエンド!」
今できることはやった、あとは相手の出方次第……!
(I)「(実質
店員さんのメイン手札はこれで7枚。
そして使える色彩が7枚になった。
(I)「……メイン1をこのまま終わらせバトルフェイズに入ります。対応が無ければバトルフェイズに入り、場のラクルで攻撃。そして攻撃するときに【革変】を宣言。手札の<クロノ2 ポンテ>に入れ替えます」
≪わたしが来たからには、もう大丈夫だ! アモーレ!!≫
再びの【革変】でラクルは手札に戻り、今度は赤い光の剣と黄色の盾を持った星形の騎士風のクリーチャーが現れ、私の方へと突撃してきた。
「スタッツは4/3……念のため確認いいですか? それに【飛行】は持ってますか?」
(I)「いいえ、【飛行】は持ってませんよ。ポンテの能力はエンドフェイズ時にレディ状態になる【警戒】だけです」
「なら、私は火閃とトークンでブロック!」
(I)「ではそれでブロック確定でダメージステップ。4/3に対し2/1と1/1での戦闘ですので、こちらはダメージの割り振りで2体に2ダメージずつ入れてポンテとそちらのクリーチャー2体が相打ちになりますね」
火閃とトークンの剣が星形の騎士の盾を破壊しそのまま直接切りつけるも、騎士の剣によって2体とも薙ぎ払われ、お互いのクリーチャーが破壊される。
流石にこの後を考えると、防げる4点は受けるわけにもいかない。
(I)「では次にサザンクロスで攻撃します。このクリーチャーは【飛行】を持っていますのでそちらのクリーチャーではブロックできませんよ」
金色の龍人が天高く舞い上がり、手に持ったハルバードの刃に光のエネルギーを溜め、それを斬撃としてこちらに飛ばしてきた。
「くぅ……!!」
強い向かい風に押されるような衝撃と共に、私のライフに5点のダメージが入る。
──だけど、この逆境をひっくり返すチャンスでもある。
(来て……お願い……!)
ライフデッキの上から5枚が捲られる。
色彩、魔石、色彩……。
(4枚目は呪言。発動はするけど狙ってるのはこれじゃない……!)
そして5枚目が捲られる……。
「(……来たっ!)私は捲られた2枚の呪言<奮起の狼煙>と<
あとはこれが通るか……!!
(I)「……対応はありません、どうぞ」
通った!
「<奮起の狼煙>の効果で受けたダメージの半分でかつ整数の数だけドローできる! 5ダメージだから2.5、よって2枚ドロー! その後に2枚以上ドローしたら一枚墓地に捨てないといけないので1枚捨てるよ」
メインから2枚ドローして、1枚手札に捨てる。
「そしてこれが逆転の為の一枚! <
呼ぶのは切り札の<
そもそも
「──5ダメージ受けた私が呼ぶのは、4コストの<ブレイバー・葬射>!」
現れるのは防具の上に弾帯を身体に巻き付け、両手にガトリングを装備した人間の傭兵のクリーチャー。
スタッツは3/2だけど、このカードが逆境を撥ね退ける為のカード!
(I)「っ!? そのカードは……!」
ファイト中で初めて店員さんが驚いた声を漏らす。
けどこのカード、大会のジャッジをしていた店員さんならわかるカードだ。
私が決勝戦で
「葬射は全てのブレイバーに【飛行】持ちに攻撃とブロックができる【到達】を付与するよ。そしてもう一つ、場に出た時に墓地のブレイバーが2枚以上あれば相手のクリーチャー全てに3点のダメージを与える!」
墓地には2体以上のブレイバーがいるので条件は満たす!
あとは通るか……!
(I)「……通しましょう!」
「それなら店員さんのクリーチャー全てに3点のダメージを与えるよ!」
葬射が両手のガトリングを構え、店員さんの場にいるクリーチャーに向けてダダダッと一斉掃射していく。
放たれた弾幕は彼のクリーチャーに襲い掛かり
「そして葬射が場に出たことで影刃の効果で1/1のブレイバー・トークンを生成!」
これでこっちの場には葬射と影刃に想記、そしてトークンが3体。
対する店員さんは
一先ず形成は逆転できた。
(I)「素晴らしい、素晴らしい……! やはりカードゲームとはかくも面白いものですね……! メイン1で展開しなくて正解でした……!」
やっぱりあんだけの手札と色彩を使わなかったってことは、あっちはこうなることを予想していた!
(I)「バトルフェイズを終了し、メイン2にて私は2枚目の<ヘヴン・コール>を発動します。対応はありますか?」
「通ります!」
(I)「では<ヘヴン・コール>で2コストの<制御の翼士オリティス>、そして<クロノ1 メロディ>を召喚します。メロディが場に出た時の効果で、私はメインから1枚ドローします」
1/3と2/2のスタッツを持ったクリーチャーを展開し、隙無く手札を補充する。
相手の手札は残り5枚。
(I)「さらに私はコスト1の秘宝<迎撃の聖鐘>を発動します。対応が無ければ続けて1コスト支払うことでサザンクロスを
しかも相手の切り札が再び立ち上がった。
こうも早く盤面を立て直し、迎撃の態勢を整えていく鮮やかなプレイングに思わず息を呑んでしまう。
(I)「そして私は<外魔ア・ウクラ>を召喚します。対応は「対応します!」……おや」
あれは流石に放置できない! 邪魔してたリムズがいないここが切り時だ!
「ア・ウクラに1コスト瞬間魔法<
(I)「……なるほど、今までリムズで使えなかったのがここで来ましたか。通りますのでア・ウクラはダメージにより破壊されます」
よし! 厄介なア・ウクラを破壊できた!
(I)「ではせめてのお返しとして1コスト瞬間魔法<衝撃>を発動。2ダメージの対象はそちらの影刃です。そろそろトークンを生み出す厄介な相手はご退場を願いましょう」
ここで影刃がやられた!
……けど、
(I)「これ以上は何も出来ませんね、私はこれでターンエンドです」
・礼也
ライフ:12
手札:メイン2枚、ライフ1枚
場:クリーチャー3体、秘宝1枚、色彩7枚(起動済み)
墓地:10枚(クリーチャー:6、魔法:4)
・ユウキ
ライフ:7
手札:メイン2枚、ライフ1枚
場:クリーチャー5体(内トークン3体)、色彩9枚(起動済み)
墓地:5+α枚(クリーチャー:? 、魔法:2、魔石:1、呪言:2)
「私のターン! レディ・アップキープ・ドロー!」
これでメイン手札は4枚、ここが勝負の分かれ目だ!
私が引いたのは……。
「魔石<ザ・エントリー>をセット! そして──想記の効果で2コストと想記自身を生贄にして1ドロー!」
更にカードを引く。
けど、狙いはそれじゃない……!
(I)「ここで想記の効果……っ! まさか……!!」
どうやら店員さんは私の狙いに気づいたみたい。
「私は7コストの<
天から飛来し、着地の衝撃でフィールドを揺らしながら降臨する巨大なロボット。
これが私の切り札!
(I)「やはり<奮起の狼煙>で捨てたのは何らかのブレイバークリーチャーでしたか。であれば、今まで墓地に送った鋼士、火閃、装甲、躍動、影刃、想記の6体を加えればちょうど7体になりますね」
(I)「(しかも今までのダメージで色彩が9枚だから、色彩よりコスト高いクリーチャーをデッキボトムバウンスするオリティスの効果は発動しない。これはちょっと……不味いか?)」
「
けどこれだけじゃ足りない!
「そしてコスト2の通常魔法<束ねる勇気>を発動! 発動時に墓地のブレイバーが2体以上であれば場にいるブレイバーのパワーを+1修正する!」
「そしてメイン効果の対象となるブレイバーを選択、私は
「これにより
最初のパワーアップ効果で3体のトークンのパワーは2、葬射は4、
そこから更に2+2+2+4=10のパワーが
「バトル! 私は<
(I)「……仕方ありません。サザンクロス、オリティス、メロディの3体でその攻撃をブロックします!」
相手のスタッツの合計は8/12。
今の
「ダメ押しするよ! 魔石<ザ・エントリー>を起動して墓地に送り、
これでパワーは22! 【貫通】の効果でブロック側のタフネスの超過分となる10点のダメージを店員さんに与える!
礼也:ライフ12→2
(I)「……っ! これは中々……! しかし、タダでは転びません。呪言<焼畑>と<未熟な魔再生>、そして<藁の手>を発動させます。対応はありますか?」
あれだけのダメージだから呪言は出ると思ったけど、3枚の呪言が発動された。
こちらにあれらを妨害する手段は無いので通すしかない。けど……、
「こっちも破壊された<
(I)「……なるほど、ではこちらの効果処理に入りますね。まず<焼畑>から。自身の場にある効果の無い色彩を3枚まで選んでライフデッキに戻します」
礼也:ライフ2→5
(I)「そして<未熟な魔再生>は墓地のコスト3以下の魔法カード1枚を選択し、それが発動可能であればプレイしてもよい。ただし、発動した魔法カードはゲームから追放される。さらにこの呪言をコストを支払わずに発動した場合は、自身の場にある色彩から2枚を墓地に送らないといけない」
(I)「私は墓地の3コスト魔法<商人アクアのおつかいメモ>を発動させます。では山札から3枚捲りましょう」
魔法の効果で店員さんの山札から3枚捲られ、公開される。
(I)「3枚全て白のカードでしたので手札に加えます。そしておつかいメモはゲームから取り除かれ、私は場にある色彩から2枚を墓地に送ります」
(I)「最後に<藁の手>の効果処理を。メインから1枚ドローします」
最後の呪言を発動して、続けてドローする店員さん。
ライフを回復され、ドローされたけど関係ない!
「4コスト支払い、私は先程手札に加えた瞬間魔法<手を取り合う勇気>を発動!」
これは通る!?
(I)「……対応はありません」
「通った! <手を取り合う勇気>はこのターン破壊されたクリーチャーを墓地から私の場に
「──私が呼ぶのは<
戦闘で破壊された勇者王の残骸が輝き出し、まるで時を巻き戻したかのように再び構成され始め、私の場に再度立ち上がった。
(I)「……勇者王の【速攻】は0コストで召喚された時に付与される。そして、<手を取り合う勇気>の効果は
「そう! コスト0で召喚された<
先程の<束ねる勇気>の効果は無くなったけど
店員さんのライフを削り切るには十分!
「これでとどめ! <
私は勝利への攻撃宣言を断言した。