世界観が酷すぎてペンペン草も生えませんわ〜。
━地柩セト視点━
「まさか1勝1敗1引き分けになるなんてな……」
「それは俺もびっくりしたわ。まさか3戦目で<死な刃諸共!>をかましてくるとは思わなかったぞ。ピン差しだっけ?」
「普段は刺さないな。ただ、今回お前相手なら発動の機会があるだろうと思って3戦目にサイドボードからピン刺ししておいた」
「手札交換してたとはいえよく引けたな。……う~ん、やっぱ<
「こっちのトップは……魔法の打消しだな。ちなみにターンが回ったら除去握ってたんでそっちの切り札除去してたぞ」
「おいおいどのみちあのターンに攻撃するしかなかったんじゃねーか。あの時点でもうこっちは引き分け以下が確定してたのか」
「まぁ<死な刃諸共!>がもし通らなかったらこっちが負けてたんだ。相変わらずレーヤのここぞという決断は相手にしていて厄介だ」
「俺からすれば運に頼り切りなんだよなぁ。俺自身、フッツーみたいにプレイングがまだまだ上手くないし、パワカでゴリ押してるのを自覚してるさ」
バトルフィールドでの対戦が終わり、ファイトしてた二人がテーブルで熱心に先程のファイトに対し感想を交わしあっている。
二人はボクの店で最近短期バイトとして雇った男子高校生達。二人の名前は茂札 普夫くんと孝州布 礼也くんだ。
きっかけはボクの店で茂札くんが欲しいカードがあったけどお金が足りないことから始まった。そして働くのでキープしておいてくださいとボクに頼んできたこと。
使われない、手に取られないカードだったし、ボクはカードの譲渡を提案したけど、茂札くんは「自分の金で買うから気にせず使い倒せる」という理由で断る変わった子だった。
そしてもう片方の子である孝州布くんも「もしバイトの枠余ってたら、俺もここで働かせてくれませんかね?」と頼み込んできた。
彼は元々高校生になってからバイトをしようと思い、どうせやるなら興味のあるカドショで働いてみたかったらしく、今回のことでこれも何かの縁だと思い便乗して申し込んでみたとのこと。
あとカドショで働くとして、むさいおっさんよりも美人な女性の店長の方がやる気のモチベが維持できるときっぱり言ってた。
正直すぎる不純な動機だけどボクが美人なのは見る目があるし、言われて悪い気はしない。
二人共そんな理由だったけど、どこか悪そうな感じには見えなかったので短期として彼らを雇うことにした。
結果としては予想を大きく良い方に裏切られた結果となったから、この時のボクは英断を下せたと思っている。
二人共、最近の高校生にしてはコスパやらタイパとかで文句言わずに雑務や力仕事でもなんでもおろそかにせず、真面目にそつなくこなしていた。
また、二人はそれぞれの持ち味を活かしてお店の貢献をしてくれている。
茂札くんはボクでもびっくりするくらいにカードに詳しく、その知識を元にストレージにあるカードのリストをまとめてくれている。
それにPC作業もこの中では一番手馴れていてリストのデータ化やお店の投稿の編集や投稿への返信も担ってくれている。
孝州布くんは細かい所の掃除や備品や在庫の確認、目当てのカードを探して見つからず困っている人の相談を乗ったりと視野が広くて気配りが上手い。
ただ孝州布くんには変わった所もある。
それはコスプレが趣味で、大会とかのお店のイベントでは変わった仮装をしてくるのだ。
事前にボクに許可を尋ねたから許可は出したし、今日の大会も近くの和菓子屋で買って来たたい焼き袋を被っただけの姿で大会運営をしていた。
ちなみに今日のやつは「これはとある学園都市に名を轟かせる犯罪王、ファウストのコスプレです」とのこと。
いや、どこから突っ込めばいいんだろう? それをコスプレと言っていいのか、はたまたしょっぱい見た目に反し犯罪王という肩書にびっくりした方がいいのやら。
今日のはまだいい方で、以前の仮装の中では黄色い半そでシャツと白長ズボンにムキムキの腕と拳を模したグローブつけながら「ハッピーハッピー、ハッピー♪」と両腕上下に振り回してたり、中心に赤い宝石がある紫色のヒトデが二重に重なったなんかのクリーチャーみたい恰好をしてきたりと、明らかにイロモノな仮装に絶句するしかなかったよ。
茂札くんも彼の仮装にツッコミはしてて、けど凄い関心した感じで仮装の出来を評価してたのは驚いた。
何気にボクの店は未成年の子が多いのもあって、子供たちからは彼の仮装は案外好評らしい。
「コスプレのお兄ちゃんは今日来てる~?」と尋ねられることもあったし、彼も家族に妹がいるのもあってか子供相手の面倒見が良い。
この短い間に色々とあったけど、二人のおかげで店は問題ないどころか、動きやすく回っている。短期で雇ったけど、出来れば長く働いてほしいなーと思う。
「まぁそれはそれとして……なぁレーヤ、3戦目に使ってた<知命なる意志>なんだが……」
「フッ、流石フッツー。あのカードに目をつけるとは。みなまで言うな……ホレ」
そういって茂札くんに一枚のカードを見せる孝州布くん。あれは確か3戦目の時──
"メインフェイズ開始時に瞬間魔法<蔑み*1>を発動したいです。通りますか? "
”出たなにっくき
"な、<知命なる意志>ぃ!? あ、対応はないです"
"その反応、なんか効果を知ってそうだけど一応説明するぞ。効果は【自分の手札のメインまたはライフカードを好きな枚数捨てることが出来る。そして次の自分のターンのドローフェイズ時に通常ドローに加え、メインとライフのデッキから捨てた枚数分ドローする】”
"じゃ、
"おいこれ
"フハハハ!
あ、相手の効果で手札から墓地に送られた<
"きたない、流石フクロウきたない”
──なんか孝州布くんの後攻1ターン目だったのに、とんでもない展開になってたなぁ。
茂札くんの戦術である
あれでプレイングがまだまだなんて嫌味にしか聞こえないと思う。
「レーヤ……もしそれが一枚でも余ってたらでいいんだが……?」
「おいおい……
「っ!? に、二枚目だとっ……!!」
「フフフ、さらに三枚目……と言いたいところなんだが、これだけしかないんだ。
これじゃ
「
「フッツー……
「格安じゃないか……! 乗った!!!」
「
ピシガシグッグッ!!
──最近の高校生の青春ってああいうのを言うのかなぁ?
にしても二人共、カードショップの店長からの、そして元
閉店後に二人で行われるフリープレイを何度も見てきたけど、お互いのプレイングのセンスがかなり高いと思える。
だからこそ、二人の精霊の共鳴の形が歪に見えた。
まず茂札くん。
彼から精霊の気配が驚く程にない。
ファイト中のデッキや手札に、共鳴のきらめきがなく、本来ならファイターなんて出来ない状態と言ってもいい。
その理由も少しは聞いている。
けれど彼はボクの知らないデッキ、ファイトを見る目や想定できない
視覚を失った人が聴覚や触覚などの他の感覚が鋭敏化するかのように、カードの共鳴が無い彼は共鳴を必要としないファイトを作り上げた。
いや、作り上げざるを得なかったんだ。それは尋常でない努力で練り上げたに違いない。
だがそれが彼の裏打ちされた強さとして成り立っているのだろう。
そして孝州布くん。
彼は茂札くんとは真逆で共鳴の力を強く宿していて、しかも精霊が憑いている。
よく彼の傍らには柳色の毛並みをしたオオヤマネコの精霊が他の人には見えないレベルの半実体化をして寄り添っていた。
おそらくあれは彼が扱う"
実際にファイトでも同じクリーチャーが召喚されていたから間違いない。
バイト中や先程みたいにファイト中でも孝州布くんに寄り添いつつも、時おり構えと言わんばかりに頭突きする。
彼に頭を撫でられ構ってもらえると、とろんと目を細めながら喉をゴロゴロと機嫌よく鳴らしていた。
その様子から彼は精霊と信頼関係が良好に築けているのだろう。
……にしてもあの毛並み、ふわふわモフモフで見ていて触ってみたいと何度も思った。
頼めば触らせてくれないかな?
うん、傍から見ても彼と精霊は良好な信頼関係が築けている。
そのはずなんだ。
──けどファイト中、
──フッツーとのファイトを終え、そのままバイトから家に帰るためいつもの帰り道を通る時、それは起こった。
(……あ、この気配は)
そう思った瞬間、光すら通さない闇が一瞬の間も無く俺に覆いかぶさり、そのまま呑み込んでいった。
闇に呑み込まれ、周りの景色がより一層に暗く染まり、不快感が漂う空気が自分の顔を顰めさせる。
やはりこれは……あれだな。
そう考えていると、目の前の暗がりから誰かが出てきた。
「匂うぜぇ……。これは上質な供物だぁ……! まさか、こんなところにスピリットが溢れる当たりを引けるなんてついてるなぁ……!!」
現れたのは魔法使いのようなローブを纏いながらもフードは被らず、普通の人よりも飛び出た目ん玉をギョロリギョロリと回しながら舌なめずりする痩せぎすの男だった。
あ、どこか見たことあると思ったら、聖杯戦争やる運命のゲームに出てくる術青髭さんみたいな見た目だよあれ。
どう考えても不審者です本当にry。不審者ならせめてあの隼使いみたいな不審者の方がマシ……いやマシじゃないなあれも。
「おいおっさん、お前みたいな不審者には近づきたくないんで帰っていいか? あと見た目からしてあんた怪しすぎるから自首したらどうだ? どうせなんかやってんだろ?」
「そぉれはできない相談だなぁ……! わたしの願いを叶えるためにも、貴様という贄がひつようなのだぁぁ!!」
「──もし逃げるにしても、それはわたしに勝つことぉ……。もっとも、それは不可能なのだがなぁぁ!!」
やっぱ逃げられないか。くっそ、めんどくせぇことになった。
俺が今陥っているのは闇のファイトと呼ばれる裏のゲーム。要は遊○王で6歳児や盗賊王がお得意に仕掛けてくる闇の
角待ちトラップの如く強制的に相手を闇のファイトに迫らせられる上に、相手側は生きて出る為にはもう戦うしか他ならないクソゲーである。
しかもバトルボードとデッキを持っていなければ、強制的に敗北扱いされるという。huh? (猫ミーム)
そしてこのファイトに負ければ意識不明になったり、奴隷として弄ばれたり、相手の気分で無惨に殺されたりと碌なことが起きないのは確実だ。
逃げられずこうなった以上、戦うしかないか…。
「……ところで一ついいか? お前はいったいどれだけの人にこのファイトをけしかけて来たんだ?」
「そんなこと聞いて何になるぅ? 教えるにも両手の指以上からは数えるのはやめたけどなぁ……!!」
「……そうかい」
この答えから少なくてもこいつは手遅れだと確信した。言動からして既に多くの犠牲者がヤツの手にかかったのだろう。
とりあえずとっととこいつをしばいて警察は……最近少し信用できない部分もあるしなぁ……。しゃあない、俺の伝手に頼るとして──
「……あぁそうか。安心しろよぉ? お前を贄にしたら次はお前の家族も贄にしてやろう!
──これなら死んでも家族一緒で寂しくないよなぁぁぁ!!! 」
──予定変更、こいつは消す。確実にだ。
別に正義感とかそういうものじゃない。
こいつはもう俺の両親や妹、親友に対して脅かす害虫で、勝手にこちらのラインを越えたんだ。もはや容赦なんてものは必要ない。
……いや、フッツーの場合たとえ襲われてもファイトなら(手札事故が起きない限りは)逆に返り討ちにしてそう。うん、絶対するわあいつ。
なんならリアルファイトに持ち込ませても確か近くにある道場で鍛えてるって言ってたし、タイマンなら物理でも勝てそう(小並感)
(というわけで、まー悪いな"
そう思いながら"
ケースをデッキから取り出し、軽く通常のシャッフルを行う。
そして左腕に装着しているバトルボードを展開し、デッキをボードにセットする。
デッキが自動シャッフルされ、ファイトスタンバイ状態に移行させる。
「悪いがさっさと終わらせるぞ。お前みたいな不審者に掛ける時間は持ち合わせていないんだ」
「なぁに時間は掛けないとも。お前の最期は一瞬なのだからなぁぁぁ!!」
そうだな、一瞬で片を付けてやる。
「──さぁ行こうか、"
今から俺が使うのは、
※おま○け
礼也と普夫の3回戦は普夫の10以上あるライフを一気に削って
<死な刃諸共!>の効果は以下になる。
コスト2 瞬間魔法
【一度に自身に10ダメージ以上の戦闘・効果ダメージが発生する時にのみ発動可能。そのダメージ分を相手のライフにも与える】
ちなみに礼也と普夫の1、2回戦の結果はこうなってた。
ー1戦目ー
"(ハンデス連発されて)オデノ
ハンデス対処できずに終始ジリ貧となってそのままストレートに礼也が負けた。
ー2戦目ー
"
ハンデス来ないうちにハンデスメタのクリーチャーを出し、その後相手が展開したクリーチャーを
卑怯?卑劣?汚い?
戦術家にとってそれらは全て、誉め言葉だホーゥ。
──<
・簡単デッキ紹介
"
ビースト・植物種族クリーチャー主体のビートダウン型のデッキ。
特徴としてテーマ内のクリーチャーは召喚に必要な最低コストが3から始まる。
しかし全クリーチャーにはコスト軽減の能力が備わっている。
例として、3コスト獣であれば自身の場にクリーチャーが存在しない場合にコスト1で召喚することが出来る。
5コスト獣であれば"
遊戯王の妥協召喚とアドバンス召喚が主体のビートダウンデッキがこのデッキのデザインイメージに近い。
クリーチャー単体のパワーと戦闘は優秀だが、展開性能と秘宝や魔石破壊など搦め手は苦手。そこで(この本作内での裁定では)植物種族を持っている"
(霊樹獣:展開性能と搦め手の補助、植物戦鬼:"亜人の忌み王”以外のフィニッシャー確保)
主人公の礼也が使うLife産テーマのメインデッキ。普夫の前世でも少し未来のデッキだった為、パックに出た当初はおろか、高校生になった今でも出ないはずのテーマなので出てきた時は驚いてた。