ぶい、ぶい、ぶい、びくとりー。勝ち申した。
このデッキでの2ターンキルなんて決まるの、確か前に俺ん家でフッツー相手のフリプでやったくらいだぞ。
あん時決まった瞬間はすまんと思ったら、次の瞬間フッツーが凄いニチャァ……としたイイ笑顔でテンションハイになってたし、あいつの真のメインデッキである"エニグマ”にわけわからん殺しを何どもされたわ。
あん時フッツーが浮かべたイイ笑顔は忘れられん。
何だあれ、人間の素晴らしさを目の当たりにしたアー〇ードかよ。
そうして何度もしばき合った結果、俺が速攻で先に轢き殺すかフッツーが先に復号完了させるかの極端な勝負になったんだよな。
おもろかったけど。
フッツーの"エニグマ”も、あれって俺からすれば十分におかしい類なんだが。
何だよ勝利パターン複数積みって、普通は殴り勝つか特殊勝利含めての2パターン位だぞ。
説明聞いてもまだ完全に理解しきれていないし。あれ初めて作った人、お前精神状態おかしいよ……(一応褒め言葉)
まぁそれはそれとして。
おい"
まぁあいつらも手札が良ければ出来るんだけどさ。
ぶっちゃけ今回は手札が上振れ過ぎてたわ。
初手にしっかり初動があってさらに後攻1ターン目のドローで"キャバルリー”来たから今回は運がいいかなと思ったんだよ。
だけどその矢先に、2ターン目のドローで2枚目のキャバが来るとは思わねぇんだわ。
思わず「あ、ワンショット行けるわ」と想像しながら少し硬直しちったよ。
更に"クラウン”の効果で3枚目ドローした時は「おいシャッフル仕事しろ」と思うのは悪くねぇだろうよ。
ジェットストリームアタックかよこのやろー、オーバーキルだよこれ!
改めて思うが俺が持つ前世のカード達のカードパワーがおかしい。
やっぱこれ一般の場に出しちゃいけねぇ奴だわ。
むしろ前世以上のパワーを発揮してるという事実だしな。
宿っている精霊が言うには、前世での凶行でポックリ逝った俺に何も出来なかったことを宿ってたカードの付喪神達が悔やみ、今世ではカードゲームに介して現実に干渉出来るので頑張って鍛えて守れる力になれるよう
……うん、加減しろ馬鹿!!
だからこんなの公の場に出せねぇっつてんだろ!! 俺を思って強くなってくれたのは嬉しいけどさぁ!!
だが、デッキパワーに慢心はしない。
今回こう綺麗な流れで勝てたのも初手が良くて相手からの妨害も無かったのもある。
そのまま通ったからいいけどハンデスに火力でのクリーチャー除去や打消しによる妨害、もしくは初手が初動無しだったら3連キャバが
一応構成はウィニーデッキよりで大半がドロー効果持ち、そしてマナカー……じゃなくてコストカーブの観点からして事故は起こりにくい方だけどな。
とはいえ強いことはありがたいし、普段使いはともかく今回みたいな闇のファイトなら、変な気を使うことなく使えるのが利点だな。
相手を容赦なく、前世のデッキによってはまともにファイトさせずに叩き潰すものもあるのだ。
何なら"
ま、こういった前世のデッキはデッキは闇ファイト以外だと俺の家みたいな公共の目が届かないフリプ出来る場所で、フッツーみたいな口の堅いファイトジャンキーに使うくらいか。
フリプでもいいからたくさん使いたい使ってやりたい気持ちはあるが、下手な相手じゃこのデッキは劇毒すぎる。
またフッツーに頼んで相手してもらおうかな。ファイトの対価をどうしようか考えなきゃいけないけど。
「うがぁぁぁあああああああ!!???」
──よし、現実逃避終了!
せっかくファイトに勝ったのに、闇の領域が解除されないで不審者が膝から崩れ落ち呻いているだけな状態になっている。
どうなってんだこりゃ?
「おい、俺が勝ったのにこの闇は何故消えない?」
「……何故だ! 何故貴様が勝つのだ!?」
質問を質問で返すんじゃねーよ。そのだだっ広いデコに人差し指ぐりぐりしたろか?
「この闇の領域で貴様の共鳴率は全て! このわたぁしの還元されるのだ!」
おう知ってるさ。闇のファイト自体これが初めてじゃねーからな。
「貴様があの
だが貴様のデッキは光を失っていた! ならばレガシー使いではなく、闇の領域の影響を受け「……生憎だが」て?」
「俺は
「な……に……?」
共鳴率に頼らないファイト。この世界に生きる者なら狂言に聞こえるだろう。「共鳴率なくしてどう戦うんだ」と。
だが俺は前世で、そんな
前世でもたまに、まさかというタイミングで逆転が起こる奇跡という
だからカードの共鳴なんか無くても戦えること自体に驚かないし、身近にそれを実践し証明した
「……カードゲームってのは、カードを集めデッキを考え、足りない分は別のカードで試行錯誤して構築し、何度も一人回しして動きを確認しデッキの調整を行う」
そして大会とかの実践で今の自分が勝つために練り上げた成果を堂々と披露する。
己の力で積み上げ研鑽したそこに、共鳴率とかいう無粋な横槍は不要だ。むしろそんな得体のしれないもんにゲームを預ける方が正気を疑いたくなる。
まぁ手札事故が起きれば嫌なもんだが、あれもまたカードゲームを楽しむためスパイスだ。
起きたらこんな時もあるさ、あるいは今事故ってもいいからせめて大事な局面では起きるなよと願いながら思うだけだ。
それに事故が起きるのなら単に運が悪かった、あるいはデッキ構築に歪みがあったかのどちらかだ。
前者は基本どうにもならんし気休めにお祓い行くくらいしかないが、後者なら案外と枚数1枚を変えるだけのちょっとした調整でデッキ回りが良くなったりするもんだ。
「あと、どうも俺にはカードの精霊が好む
俺のカードに宿る精霊曰くの話だが、それはまるで太陽の恵みのように暖かく、心地よいものらしい。
だからやろうとすれば俺は共鳴率をぶん回して完璧な手札(ガチ)を揃えることが出来る。
実際に一人回しで何度も試したからな。
確かにデッキと共鳴出来れば安定するのは事実だし、実際に
そう、
逆に言えば
そういう時こそ、共鳴率が無い時の手札の方が対処しやすかったりする。
一例として、
共鳴率があるとそういった保険は引き込んでくれない。
デッキやカードに住み着く精霊の自分勝手に付き合わされるものだ。
結局何が言いたいのかっていうと、6の目が余所の意思で確定された六面ダイスと、不安定だが自分の力で10の目も出せる可能性がある10面ダイスなら、俺は後者の方が性に合うって話なわけだ。
デッキの構築とプレイング次第では10の目が100の目へと高めることが出来るしな。
俺のデッキにいる
前世のカード組はさも当然と思い受け入れてるし、"
もちろんこれに理解できず、納得がいかないと思う奴はいたし、そういう奴は去る者は追わず精神で俺の元からご自由に去らせた。
ただ金払って手に入れたカード本体が消えるのは困るので、家追い出しの大家の如くお祓いして宿っていた精霊だけを去らせたがな。
「……ま、相手の共鳴率頼りで他人のふんどしで相撲を取るようなプレイングしてるお前らにゃ理解できんだろうし、理解しなくていいけどさ」
「……ふ、ふざけるな……!」
おん? なんだよ、急にキレだしやがって? 更年期障害か?
「それほどのスピリットを持ちながら、わたぁし……いや、
なんだこのおっさん!?
目ん玉や口から触手がブワッと溢れ出たんだけどぉ!?
き、きっしょー!!!??? (某美食家並感)
てかそういうことか! この人間、既に身体を完全に乗っ取られていて、闇のカードに宿っていた精霊の憑り代になってたに過ぎなかったってわけだ!
さんざん言ってた供物ってのは、所謂こいつのエサっていうわけだ。
人間の生命もといスピリットが無いと精霊は存在を維持出来ないって話を聞いたことがあるしな!
「アんなファイトなぞミトメぬし、モはやファイトなぞドウでもよいワァァ!! コウなれば、チカラヅくでキサマのイノチを喰ラい、ソノにくタイをウバってヤるぅぅう!!!!!」
ちょ、ファイトの勝敗無視してリアルファイトだと!? インチキ行為もいい加減にしろ!!
けどまぁ……、
「一つ言い忘れてた。確かに俺は共鳴率に頼ったファイトはしてない。
──だけど、
ソレは悪手だったな、ド外道が。
ガシィッッ!!
「グゥワァァ!? ナ、ナんだコレヴァああ!!?」
襲い掛かってきた不審者の背後から突然出現し、そのまま奴を鷲掴みにして捕らえた黒く禍々しい巨大な手。
その巨大な手を、俺は知っている。
「そいつはとある世界で、数多の
──そして、多くの
「お前みたいに上手くいかなければファイトの勝敗やルールを無視してリアルファイトに持ち込んだり、盤外戦術をしてくるからな。その対策に
闇のカードは相手を強制的に命かけたファイトをけしかけ、アンティルールを押し付けることが出来る。
それを聞いて俺はふと思った。
幸いそれを成立させる共鳴率は馬鹿みたいにある俺の生命力で引き出せるし、精霊からも出来るとお墨付きを貰った。
そうして精霊と一緒に力の使い方を考えたりとどうにか試行錯誤した結果、なんかできた。(小並感)
これで俺はファイト中では「ルールを守ってファイト!」ってくらいの縛りをお互いに課すだけのことが出来る。
もし縛りの中でルール破れば、違反者に相応の罰が下る。
リアルファイトに
もちろん俺自身も上記のような悪質行為をすれば、目の前の奴みたいにデモハンの刑に処される。
自分だけ都合が良いルールを入れてしまえばルールの干渉する力が弱くなってしまう。
公平であるからこそ、力が強く発揮されるのだ。
また、ルールへの干渉力の強化のためにさらなる代償として、俺は
これでファイト中にカードの共鳴は出来ないが、元々共鳴する気はないのでデメリットでも何でもない。
せっかくの共鳴率を捨てるとか舐めプだって?
まぁ否定は出来んが、俺としては悪質なルール違反を取り締まる方に価値があると思ったからそうしてるだけだ。
むしろファイトでの共鳴縛りだと見なされたのか、任意でお互いの共鳴率をゼロにすることが出来る強化を貰った。
え、そんなこと出来ていいんすか!?
まぁお互い共鳴ゼロは相手を選んで使うけど。
むしろ相手の共鳴をゼロにしない方が
仮にもし、それを使うとしたら、共鳴率前提な理不尽デッキを使う相手に立ち向かう為だろうな。
そういう奴は既にチートクソゲーを相手に押し付けてるようなもんだから、対抗するにはクソゲー返しする他あるまい。
まともに張り合おうとする方が馬鹿を見る。
とまぁ長々と言ったが、目の前で起きてることは分かりやすく言えば「(ルール違反したので)おしおきだべぇ~!」ってことだ。
……今どきこのネタ通じる奴っているのかね?
「グゥゥゥ!! は、ハなセぇッ!?」
「おいおい暴れんなよ。ほぅら、後ろからお迎えが来てるぞぉ…!」
「な、ナニぃッ……!?」
俺が怪物の後ろ側に向けて指差すと同時に、怪物が後ろへと振り向く。
そこには刺々しい装飾がされ、禍々しい暗黒色をした巨大な門が鎮座していた。
扉は少しだけ開いており、その隙間から怪しげな瘴気が漏れ出し、今怪物を掴んでいる腕が伸びて飛び出していた。
「地獄へのご案内だ。お前がこの先どうなるかわからんが、碌な目に遭わんのは確実だなぁ…!」
「ヒぃッ……! た、タノム! タスけテくレっ!! ナンでもスルカラっ!!」
あの門から出てるヤバげな雰囲気、そしてこのままだとその門の中に引きずり込まれると感じ取ったのか、怪物は無様にも命乞いをしてきた。
「…ふーん? 今何でもするって言ったよね?」
「アッ……アア!! ソウでス! ナンでモずルっ!!」
そっかそっかぁ、それなら……。
「じゃあ
「っ!? き、キさマアァァァァァァ!! コのウソつキがぁぁぁぁぁっ!!」
お前にだけは言われたくないよ。
つかその反応、俺の言ったことをしていた事実と、服従する振りして寝首掻く気満々だと白状してるもんだぞ。
ですますの口調にし切れてなかったしな、まだこっちを侮っている傲慢さを隠しきれてなかった。
──まぁそれでも最初に決めた通り、何しようと
理由なんて、放置すれば俺の家族や友人を脅かす危険がある。
ただそれだけで、十分だ。
「や、ヤメろッ!! ウぐゥアァァァァアアアアアアア!!! 」
──そして、平等に相手を葬り去る悪魔の手により怪物は、往生際悪く絶叫を上げながら地獄の門に引きずり込まれていった。
手ごと怪物を引きずり込んだ門は役目を果たしたと言わんばかりに鈍い音を立てながら閉じていき、その巨大な姿を朧げにして消えていった。
怪物がいなくなったことで奴が展開していたであろう闇の領域はそのまま霧散し、重苦しい淀んだ空気が消えるのを感じた。
……にしてもまぁ、馬鹿正直に
出会いがしらに初対面ぶったことを言ってたが、奴は俺をつけ狙っていたのだ。
帰る途中になんか怪しい奴が跡を付けていると周囲を見張ってくれたカードの精霊が教えてくれて、そこで釣り出すために少し人気のない場所に寄り道した。
もしこのまま帰って家を特定され、家族をファイトでの人質にされたらと考えたくない。
ルール干渉で何とかなるかもしれんが、起こさないことに越したことはない。
それに家族でLifeやってるのは俺と妹だけで、両親はLifeをやっていない。
正確には昔やってはいたがそこまで強くなく熱心でもなかった為、自然と離れたらしい。
そうなると闇ファイトなんか仕掛けられれば両親は即敗北からの最良でカード化での人質、最悪殺されかねないことが起きてしまうのでそれだけは何としても避けるべきだ。
現に万が一の不届き者対策の為、家にも見張りの精霊を配置している。
そして妹はLifeやっているから対抗は出来るが、こんな危険な事を妹に合わせるわけにはいかんだろ
俺? 俺はいいんだよ長男だから。
「長男だから家族の為に危険なことに立ち向かえた! 次男だったら立ち向かえなかった!」ってやつだ。
何はともあれ、こうして解決したんだ。
闇ファイターの出所も気にはなるけど、今は無事であることでいいじゃないか。
「……もしもしマイシスター? ちょいと
今から速足で戻るからさ、父さん母さんへの釈明を手伝ってくれね?」
──さてと、家に帰るとしますか。
霊樹の上でまどろむ獣。それは樹上にて哀れで間抜けな獲物を品定めしている最中だ。
──<