また、お冷にほんの少し酢を入れて酢水として飲むとさっぱりしていける。
ただし、某マンボウ母みたいに無理矢理相手のラーメンに酢を入れるのはNGだぞ!
「私は土地カードを1枚セットする」
先攻の1ターン目からやってくれるなと私、蓮華 幕流は目の前の相手である少年に関心を抱く。
本来3コストでないと出せないクリーチャーが1ターン目から呼び出され、更にそのクリーチャーで生成したコストを無駄なく使用するプレイング。
ルール上、使われず浮かせたコストはフェイズが移ると自分へのライフロスになる。
<衝撃>を唱えたことで一見余計なダメージを負った素人なプレイングと見えるが、次の彼のターンで土地をセットすれば4コスト、あのクリーチャーの効果で2ターン目にして最大5コストも使える状態だ。
正直あのクリーチャーはファイターで有名な<受粉ゴブリン>と同じく放置せずに破壊したいところだが、あの"
今破壊したところで彼の場がガラ空きになる。
そして
それに彼の操るあれは、世にも珍しい緑色のカード。元々Lifeは赤、青、白、黒、そして無色と基本の属性の色はそれだけであり、たまに2色以上混じったカード、いわゆる多色が存在していたくらいだった。
しかしいつからか、新たに緑の属性のカードが加わり、一般のカードパックでも緑のカードは出てくるようになった。
だが今までの属性と比べ、広まって流通してるかというと程遠い部類に入る。
もしデッキとして組まれる程にカードが充実しているのであれば、余程カードに惹かれているのだろうと。
……なるほど。人刹師匠から話を聞いていたが、その特異性はあながち間違いじゃない。
今日のフェスの前に、私が八十八星座時代でお世話になった古巣の道場へと挨拶に向かった。
その際に師匠がそういえば、と話してくれた。
"そういや幕流。おぬしが主催するラーメンフェスって奴だが、ウチの秘蔵っ子とその友人も向かうって話だ。もしファイトする機会があれば遠慮なく相手してやってくれ”
"師匠がそんな風に言うなんて珍しい。それほどの子たちなのですか? ”
"ああ。秘蔵っ子も中々にぶっ飛んでるが、それ以上にそいつの友人がやべぇ程にな。ま、どちらも素行や人格面はしっかりしてるから問題はないんじゃがのぉ、ファイトで舐めてかかればお主といえどもやられるぞ? ”
"それはなんとまぁ……わかりました、非才の身ですがその若人たちに良い刺激を与えられるよう、阻む壁となりましょう”
だが結果はどうだ。
1ターン目からこれほどのアドバンテージを稼ぐ。現役時代でもそういった強い相手はいたが、目の前の彼はその彼らと負けていないレベルと見てとれる。
事実、プレイングは問題はない。そしてうっすらとだが彼の背後には複数の、それも私も見たことのない精霊ばかりが待機している。
何故かドヤッと後方で腕組みしながら頭を頷いてたりラーメンを食べていたりと、まるでお祭り気分で私と彼のファイトを観戦しているのは疑問だが。
しかし精霊の格は尋常でなく、お祭りで悪事を企んでいた精霊を一掃する実力を持っていると私の精霊からの報告を聞いた時は、驚愕と共に油断できないと感じた。
ファイターにしろ精霊にしろ、少なくてもこんな相手は始めて……いや、毛色は違うが十二聖座のトップ層にどこか似ている感じはする。
こうして戦うと出方が読みづらい厄介な相手だ。
だが私はこれでもプロの一端には座した身。この状況下で私が取るべき選択は──
「私は1コスト支払い、<
自らの強みを押し出していくことだ!
━フッツー視点━
「あのおっさんのデッキは"
主催者ゲストのおっさんが出したカップ麺の頭部をした人型のクリーチャーを見てそう呟く。
というかあの人、八十八星座というプロファイターだったのか。凄いな。
それはさておき。
ヌードルという種族で構成されたビートダウン軸のテーマで、その最たる特徴は"
普通は召喚したクリーチャーと装備用の秘宝で手札とコストを費やす必要があるのだが、麺騎兵のクリーチャーには手札とかの加薬武装カードをコスト無しで装備するのが特徴だ。
出て来たばっかの当時は装備テーマでもかなり革新的なもので、後の装備系テーマに大きな影響を与えた。
前世でも触ったことがあり、コンボとして
突き詰めていく内に終いには汚物や害虫と言った食品衛生責任者がブチ切れかねない
話を戻して麺騎兵が属するヌードルだが、実は他に二つのテーマが存在する。
ヌードルクリーチャーが場にいれば効果を二回分発動したり、追加効果が発動する"
瞬間魔法のようにいきなり場に出現したり、ヌードルクリーチャーと入れ替わって出てくる【替え玉】能力で相手を攪乱して攻め立てる"
ヌードルという種族間でのシナジーからお互いが相性良く混ぜることが出来、3つのうち2つのテーマが混ざったヌードルデッキは前世でもメジャーだった。
中には3つのテーマをバランス良く、それでいて豪勢な混ぜ合わせをした"ドカ食い気絶部(麺ver)”、または"フードコート(麺only)”などと呼ばれたデッキも生み出し、前世ではそのデッキが大会のダークホースとして一矢報いて入賞したのは、当時は驚く他無かった。
転生した現在でもたまにパックから関連したカードは出てきたこともあるし、少数ながら大会で使い手は見たことがある。
だがそれらのデッキは大体ヌードルのどれかで純構築されたデッキばかりで、混ぜ物は見たことなかった。
<羅漢後援隊インスタット>なら少なくても麺騎兵か麺流浪のどちらかに絞られる。麺祭司ならより使いやすい別の低コストクリーチャーがいるから純構築ならまず入れない。
今レーヤが戦っているおっさんのデッキタイプは果たしてどれなのかわからないが、麺騎兵の使い手で元とはいえプロなら並々ならぬ相手だろう。
そう考えながらステージで繰り広げられるターンの応酬をじっと見つめていく。
『俺のターン! ……よし、俺は場の<
『タクティオウルは場に出た時に俺の山札の上から5枚捲り、その中で
ファイト中、レーヤは切腹加速後のコストを使い小型の霊樹獣と植物戦鬼の展開で進め、更にターンを重ねて中型の霊樹獣を召喚する。
道中の激しい手札消費に対しレーヤは増やした植物戦鬼を
レーヤのデッキは純構築の"
植物種族のサポートカードは優秀なのが多い。だが植物種族は"植物戦鬼”といった今一つ決め手が欠けるテーマがそれなりにある為、あまり猛威を振るわなかった。
だが”霊樹獣”の場合は純構築でも十分に強い植物種族テーマで、そこに優秀なサポートカードが入ればまさに鬼に金棒とも言える。
実際に前世で霊樹獣が出た後に一部の植物種族サポートカードに規制が掛けられた実績もある。
にしてもやっぱあのフクロウ、場に出た時にその手札補充は強すぎるんだが? 特にマッドネスされた時はきついんだよおい。
そして何気に【飛行】と【警戒】まで持ってんじゃねーよバーカ!
……一方、おっさんの方はコスト軽減やヌードル専用のマナを生み出す小型のシステムクリーチャーから麵騎兵の主力クリーチャーを展開し、加薬武装で強化された麺騎兵で攻め立てていく。
加薬武装は単純な強化で戦闘を優位にするだけでなく、相手のクリーチャーを効果バーンで焼き払ったりと上手く搦め手をこなしていく。
典型的な純構築の麵騎兵の動き、だがその動きはとてもシンプルにして強い動きとも言える。
『では私のターン、私は手札から1コスト魔法<具材搬入>を発動し、山札の上から5枚捲り加薬武装カードを全て手札に加える。カードを捲って……出たのは5枚中4枚だな。私はこの4枚を手札に加える』
装備カードを含めたビートダウンな為、普通のビートダウンよりも手札の消耗が激しいが、麵騎兵にはそれを補う専用サポートがある為に手札補充が容易だ。
……お互いに大きなダメージを受けていないが、ターンは重なり互いの土地は十分に溜まっている。
「だけどレーヤ、油断するなよ……!」
前世で亡くなった頃のヌードルはテコ入れがあったとはいえ流石に環境に入る程ではない。
だが、舐めると痛い目見るカジュアルデッキとして扱われていた。
あの手札補充札もカジュアル寄り性能のデッキの専用サポートだからこそ、許された性能ではある。
そして麺騎兵の場合、気を付けないといけないカードが二つ存在する。
『さらに私は場の秘宝<麺兵の精麺所>をステイして発動する! この効果で私の山札の上から3枚捲り、その中のヌードルクリーチャーを手札に加える。それ以外のカードは山札の下に戻す』
一つは
そしてもう一つは──
『──私はコスト4のクリーチャー、<羅漢特選隊ヨコーヤ>を召喚する!!』
「出て来たか……!」
ロマン寄りだが後のカードで割と現実的なワンマンリーサルを叩き出し、テーマ含めた一部のパーツが規制された原因となったカード。
前世では"ヨコーヤワンキル”と特化構築で呼ばれたデッキの主役のクリーチャーだ。
『おおっとぉぉぉ~!! ここで幕流選手の切り札の一体、<羅漢特選隊ヨコーヤ>が降臨したぁぁああ!!!』
魚介醤油豚骨スープの匂いを漂わせ、ラーメンが入ったどんぶり頭の屈強な戦士が私の場に降臨する。
私の切り札にしてエースである<羅漢部隊長ソイソス>が守りの鬼であれば、第二の切り札であるこの<羅漢特選隊ヨコーヤ>は攻めの鬼ともいえるクリーチャーだ。
「……うん、こちらからの対応はありません。続けてください」
相手からの対応はないと。
このターン相手が使える
もしくは何か私が見落としている罠かもしれないが、このまま相手のターンになればあの潤沢な手札とマナで逆転される可能性も捨てきれない。
……なら、このままこのターンで決めさせてもらおう!
「ヨコーヤの召喚時効果発動! 手札、デッキから2枚まで加薬武装カードをこのカードに装備することが出来る! 私はデッキから2枚の加薬武装を装備させる!」
ヨコーヤに装備されるのは<加薬武装リークランス>と、<加薬武装チャーシールド>。
2つの加薬武装でパワー+2の修正かつ【貫通】、そして破壊耐性の効果をヨコーヤに付与された。
そして場にはヨコーヤ以外のクリーチャーが一体、加薬武装を1枚装備している。
これで
「私はさらに魔法カード<
「……huh!!? 」
ラーメンもファイトも、迷ったら全部乗せだ!
<
そして次の自分のターンのアップキープフェイズまで、そのクリーチャーは装備されたカードの数だけパワーとタフネスが1/1修正される効果を得る。
手札にある4枚、そして場にある3枚の加薬武装がヨコーヤに集結し、その身に纏っていく。
<
<
<
<
<
<
<
7種の加薬武装を装備したヨコーヤのステータスは以下のようになる。
・ヨコーヤの基礎ステータス:4/4
・装備カードの効果でパワーは合計+4の修正
・<
さらにヨコーヤは自身に装備された加薬武装カードの数だけパワーとタフネスを1/1修正し、その枚数分だけ追加の攻撃が行える効果を持つ。
よってヨコーヤは22/18のステータスでかつ、8回攻撃を行うことが出来るようになった!
さぁ少年、果たしてこの攻撃をしのぎ切れるか!? バトルフェ──
「待ってください。そちらのメインフェイズ終了時に、俺は瞬間魔法<衝撃>を自身に向けて発動させます。対応ありますか?」
なに? <衝撃>? しかもまた自分を対象に?
一体何故そんなプレイを……?
「……こちらからの対応はない」
「分かりました。では<衝撃>に
<定めの命運>? 確かあのカードは……。
「その効果はたしか、コスト1の瞬間魔法でライフデッキの中から1枚カードを選び、デッキをシャッフルした後に選んだカードを山札の一番上に置くカードだったかな?」
「そうです。それで対応しますか?」
なるほど。彼の狙いは<定めの命運>でライフデッキを操作し
問題は、なぜ
破壊系の
破壊以外の除去効果だとしても同じだ。それに破壊以外の除去だと対象を取ることが多い。
少なくとも<
……そうなると相手のデッキには除去の
他に思い当たる
守りだと<間一髪>もあるが、あれもわざわざこの時発動させる意味がない。
バトルフェイズのダメージで発動しても、そのターンで追撃を食らえばライフが0になってしまう。
そもそも対応するにも私の土地は使い切っている。<反応解呪>などのコストを使う妨害カードは使用出来ない。
だが手札には<防災>があるので、
ここは<定めの命運>を止めるべきか否か……。
問題は相手のコストは1残っている。クリーチャーもいるから<献身の証明>といった打ち消しカードが握られているかどうかだ。
もし相手がこちらの<防災>を打ち消してくるのならば、貴重な妨害を消耗させられ仕込んだ
ここは……
「……対応する! 土地3枚を墓地に送り瞬間魔法<防災>を発動させる!」
「では1コストと場の<胞子ゴブリン>を墓地に送って瞬間魔法<献身の証明>を発動させます」
打ち消されたか……!
これで相手の
「では効果処理を解決して、<定めの命運>でライフデッキから1枚選んで山札の上に置き、そのまま<衝撃>が発動します。ぬぅん!」
<衝撃>でライフデッキの上から2枚捲られる。
捲られた2枚は、彼が仕込んだ
「捲られたカードを確認し……
「なっ……」
発動した彼の
<戦闘中止!>
それはバトルフェイズを封じる効果を持つ
だがバトルフェイズ中に捲られるとその効果が無意味になる
しかしこのタイミングでは、ヨコーヤの攻撃を凌ぐ最適解なカードでもあった。
ハイカロリーな連撃を受けてみよ!!
──<羅漢特選隊ヨコーヤ>
・簡単デッキ紹介
"
加薬武装というヌードル専用の装備秘宝カードを扱うビートダウンデッキ。
ヌードルには"
デッキの戦術コンセプトの元ネタとしてはデュ〇マのサムライ・ナイト・シノビをモチーフにしてる。
・今話で出てきたカード効果用語
【速攻】_召喚酔いしなくなり、召喚時に攻撃やステイによる起動効果を発動できるようになる。
【遠撃】_【飛行】を持つクリーチャーに攻撃とブロックが出来、【飛行】クリーチャーに対する【機先】効果を持つ。
【貫通】_パワーが相手のタフネスを超えていると、その超えた分だけのダメージを相手に与える。
【飛行】_【飛行】持ち以外のクリーチャーから攻撃されず、ブロックされない。
【警戒】_エンドフェイズ時にステイ状態だった時、レディ状態になる。