Life以外のTCGが無いのですが   作:野菜大好き丸

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原作の「俺の切り札は光らない」が第1回GAウェブ小説コンテスト受賞し、書籍化決定して心の中の烈海王が範馬刃鬼復活コールばりに荒ぶっちまうよ…。
"雨 唐衣”氏おめでとナス!


あと小説の資料として、Lifeの元になっているMtGのFFスタートデッキを購入しました。
クラウドとセフィロスの各デッキ、お互い土地カード25枚、クリーチャーや魔法、アーティファクトで構成された35枚の合計60枚構成だから、ハウスルールとしてLifeみたいに遊ぶことが出来そうだと思った(小並感)
(メインに5枚足りないし、土地は5枚抜いたりとそこらへんの調整はいるけど)


9.孝州布家の何気ない休日

 

 エキシビションマッチで何とか勝利し、報酬として3か月分のラーメン無料券を無事GET。やったぜ。

 

 その後は俺以外4人の挑戦者とのマッチもあったが、勝てたの俺だけという結果だった。

 

 他4人もデッキの回りとしては悪くないように見えたが、おっさんのヨコーヤによるワンキルや、ソイソスの妨害連打に対処できず敗北した感じだ。

 

 

 

 この中で勝ったの俺だが、自惚れてはいけない。

 

 ヨコーヤのワンキルを凌げなかったら他と同じ末路になってただろうし、もしあの時点で代わりにソイソスが出されたとしても対処可能な手札でもあったのは、単に運が良かっただけだ。

 

 結果がどうあれ勝って兜の緒を締めよってことだな。慢心ダメ絶対。

 

 

 ともかく無料券を手に入れて再び出店のラーメンを数杯食った後、その日はホクホク気分で家へと帰った。

 

 

 

 

 

 そして翌日の日曜日。

 

 自室のベットで心地よく微睡む意識の中、お腹辺りに重い何かが圧し掛かってくる。

 

 

 妙にふわっとする感触を伴ったその重圧に意識を目覚めさせ、瞑っていた目を開ける。

 柳色のオオヤマネコが布団の上で香箱座りのまま仰向けに寝ていた俺の上にのしかかり、じっと俺の顔を見つめていた。

 

 

「……あ~、おはよう()()()()。今日もお前さんは早起きだな」

 

≪……ゴロゴロゴロ≫

 

 

 俺の目覚めのあいさつにオオヤマネコ──ういろうは小さく喉を鳴らしながら頭を顔に擦り付けてくる。

 うーむ、モフモフの毛の感触にスーッとした若葉の匂いが鼻に漂う。

 

 

 こいつは<霊樹獣(セイクウッド・ビースト)ウィロウ・ボブキャット>。

 

 カーバンクルみたいに伝説上の生き物……ではなく、俺のデッキに宿っているカードの精霊の一体だ。

 主に某聖杯戦争の英霊みたいに姿を消しながら俺の警護を行ってくれて、この前の闇ファイターもこいつが気づいてくれた。

 普段は霊体化してるが家みたいな安全な場所や物理干渉する際のいざという時はこうして実体化したりしている。

 

 

 ただ、人語を喋ることが出来ないため何となくで意思疎通する必要があるのだが、それはもう何年も付き合いからして慣れた。

 といっても霊樹獣(セイクウッド・ビースト)で喋れるのはオウルとイーグルみたいな最上級クラスの奴らだけなので、喋れないのがデフォなのだ。

 

 

 ちなみに名前の由来は柳を意味するwillow(ウィロウ)からもじって和菓子のういろうとなった。

 どうしてペットの名前って食べ物系がメジャーになるのだろうか? それでいてしっくりくるのが謎である。

 

 

 ういろうが行う朝のルーティンのおかげで目が少し冴えた俺はベットから出て、顔を洗うなどして身支度を整え始める。

 その後、キッチンに向かい朝食の準備をする。

 

 実家で暮らしてるため、普通はこういうのは親がやってくれるものだが、この先の一人暮らしに困らないように休日とかは俺が飯の当番をして自炊の練習をしている。

 ぶっちゃけ前世も男飯な自炊をしてたから、何の苦も無くできる。

 

 ま、これらの習慣の本当の狙いは普段の平日に朝食や弁当を作ってる母親、時折作ってる父親へのちょっとした親孝行みたいなもんだ。

 

 

 慣れた手つきで俺が食パンをトースターに入れたり生野菜を切ったりして朝食を準備し、ういろうが椅子の背凭れに寄りかかりながら眠そうにこっちを眺めていると、リビングのドアが開いた。

 

 

「──おはようございます兄さん、遅れてすみません。ういろうちゃんもおはよう」

 

≪……カァァァ~≫

 

「おはようハルナ。まだ6時だし、今日は休日なんだからもうちょい惰眠を貪ってもいいんだぞ? 起こしに行くぐらいはするし」

 

 

 リビングに入ってきたのは可愛らしくもシンプルなデザインのパジャマ姿をし、肩辺りまで伸ばした黒髪セミロングの少女。

 

 少女の挨拶に俺は返事し、ういろうも返事代わりとして彼女に向けて大きく欠伸する。

 

 彼女の名は孝州布 遥奈(ハルナ)。少し年の離れた俺の妹で中学1年生のピチピチJCだ。

 

 

「それも魅力的ですが、兄さんの妹としてそんなはしたない真似は出来ないです。

それに、寝過ごしたら兄さんとの時間が減るじゃありませんか……

 

 

 うん? なんか呟いてた気がするが、朝食の準備で忙しいからよく聞こえん。

 それに俺の妹だからっていうけど、俺はそんな大層な人間じゃないんだけどな。

 

 

「それで兄さん、ハルナは何を手伝えばいいですか?」

 

「あー……んじゃまぁ、この盛り付けたサラダボウル持ってって。ついでにテーブルの配膳を頼むわ」

 

「はい、ハルナに任せてください!」

 

 

 君はどこぞの金剛型三番艦かね? 

 ぶっちゃけ見た目や声が似てるんだよな。名前も漢字は違うけど読み方は同じだし。

 まぁ前世で艦こ〇のゲームはやったことはないんだけど。

 

 妹の手伝いが加わりながら俺は順当に朝食の準備を進め、作ったメニューを出し終えると誰かがリビングへと入ってきた。

 

 

「おはよう礼也、遥奈。おいしそうな匂いがするなぁ」

 

「おはよう二人共、朝食作ってくれてありがとね」

 

「「おはよう(ございます)、父さん、母さん」」

 

 

 彼らは俺と妹の両親。

 二人はおしどり夫婦と言えるほどにとても夫婦仲が良く、俺ら子供達にも分け隔てなく愛情注いで育ててくれた。

 

 

 前世は独身とはいえ、大人の時に生活の苦労から親のありがたみは理解している。

 

 今世で彼らは子育てに仕事に、家事とこうも上手く回しているのだから凄いという言葉しか出ない。

 それほどまでに二人には心から尊敬に値する。

 

 

≪ナァ~ゴ……≫

 

「あらあら、ういろうちゃんもおはよう♪ あとでちゃーるあげましょうね~」

 

「どうしたういろう? ここを撫でてほしいのか? ほれほれ」

 

≪ゴロゴロゴロ……♪≫

 

 

 母さんにおやつの催促をし、父さんに喉元を撫でられご機嫌に喉を鳴らすういろう。

 こいつはもう俺の家族ではマスコット的な地位を確立している。

 

 二人は本来精霊の姿が見えないのだが、ういろうの方で二人にも姿を見えるようわざと実体化している。

 まぁわざわざ姿を見せるということだから、それだけういろうは俺の家族のことを信頼していることだ。

 

 ちなみに俺と妹はカードの精霊が見える方だ。なんなら妹のカードにも憑いている精霊がいる。

 

 

 精霊がいることに何気ない日常を感じ取れる光景だが、()()()()()で俺は家族にカードの精霊のことを打ち明けた時はどうなることかと思ったが、案外両親二人共図太いのかあっさり受け入れてくれたのは意外だった。

 

 なんなら両親は護衛代わりとして家に配置させた他の精霊とも交流していて、今日みたいな休日とかだと父さんは彼らをボドゲに誘い対局してたり、母さんは井戸端会議のようにおしゃべりを楽しんでいる。

 

 

 ともかく未知なる存在とそう簡単に受け入れられる両親の器量の広さには、驚く他無い。

 普通なら動揺やぎくしゃくしてもおかしくないんだがな。俺も初めて精霊の存在を知った時はびっくりしたもんだし。

 

 

 頭の片隅でそう思いながらも朝食の準備を済ませ、俺達家族は朝食を取り始めた。

 

 今日の作ったメニューはトーストにベーコンエッグ、サラダにスープ。

 地上最強のせがれが認めそうな、実にご機嫌な朝食だな。うん、おいしい。

 

 

 

「そういえば今日、遥奈の週1の道場通いだったかしら? 時間は大丈夫?」

 

 

 朝食を取ってる最中、ういろうにちゃーる(猫用液体おやつ)を与えながら母さんから今日のことについて尋ねられた。

 

 

 この日は妹が週1で通う護身術やってる道場の日。

 俺は今日MeeKingのバイトがあるが、先にハルナを道場まで送っていくことになった。

 

 

「時間はまだ大丈夫です。けど、そのために兄さんの時間を取ってしまって申し訳ないです」

 

「そんなの気にすんな。最近物騒だし、今の状況で女子供一人を放置する方が危なっかしい」

 

 

 闇ファイターに襲われた俺が言うんだ。間違いない。

 

 

「危険な役を任せてしまってすまないな礼也。本当なら父さん達がファイトで対抗できればよかったんだが……」

 

「そこは適材適所だって父さん。それにLifeは付け焼刃で勝てるほど甘くないしさ」

 

 

 世の中にはファイターでないデッキを持たない民間人をあえて狙う輩がいる。

 

 そいつらはデッキを持っていなかったら強制的に相手が不戦敗扱いになるファイト結果を無理矢理に成立させ、金品の恐喝など何かしらの要求を通すのが目的だ。

 つか、ファイターでない(デッキを持たない)相手に強制的にファイトを同意させ相手を不戦敗にさせるとか、便所ワンキルすらも裸足で逃げるレベルの所業だよ。

 

 

 一応法律でファイターでない相手にファイトを仕掛けるのは基本違法で無効試合となり、罰則にはなってはいる。

 だが、それで無くなればそんな世紀末ヒャッハーファイトや闇ファイトなんてものは既に存在しなくなっているはずだ。

 

 つかこんだけの治安の悪さ、ここはデッキ持ってないと住民登録も出来ない童実野町か? 

 

 物騒な世の中で頼りたい警察にもファイト関係の対策課はあるが、正直頼りないし頼れないと思うのが事実。

 なんせ過去に俺達家族が巻き込まれた事件は()()()()()()()()()()()のだから。

 

 

 警察の中にも信用出来る奴がいるのは理解してるし、警察全員が悪いとは言わない。

 だが背中を預けられる程に信用できないし、それなら俺とうちの精霊で闇ファイターや精霊に対して全力で守り、撃退した方が手っ取り早い。

 

 

「ごちそうさん。そういや母さん、バイト帰りで何か買っておくものある?」

 

「それじゃあ帰りに洗剤やトイレットペーパーとか頼んでいいかしら? もし追加のものが出てきたら、後でケータイにリストをするわね」

 

「りょーかいっと。そんじゃハルナ、先に準備してっから食べ終わったら支度しな~」

 

「分かりました、兄さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ着いた。相変わらず長いなこの階段」

 

「そうですね……。最初は登るだけで肩で息してましたから」

 

 

 家を出てちょいと自転車を漕ぎ、そしてクッソ長い階段を登り終える。

 というわけでやってきました<気門道場>。

 

 周辺の認知では健康体操や護身術を教えている道場であり、評判は名実ともに良い。

 

 道場の人たちも武闘派で強面なのが多いが、皆いい人たちである。

 

 

 ……ああでも、師範代であるあのハゲジジイはちょい許さん。

 初めて道場に来た際、妹の付き添いだった俺も何故か急に強制体験させられた。なんでさ。

 しかも明らかに健康体操でないであろう結構厳しい鍛錬を初っ端やることになった。いやほんと、なんでさ。

 

 

 なおそうした理由は「今まで見たことない生命力の燃え盛り方をしていたからちょいと手を出してみたかった」らしい。

 そんな理由であんな拷問紛いな鍛錬受けさせるとか、ざけんなあのハゲ。

 

 

 ……まぁ、後ほどやることになった俺の精霊(クリーチャー)達によるブートキャンプの方がカムチャッカインフェルノ級にしんどかったけど。

 生命力強化の為でかつ、きちんと効果があったとはいえあんなリアル死にゲー体験とかもう気が狂う! 狂いそう……! (静かな怒り)

 

 

 

 

「すいやせーん、孝州布ですけど~?」

 

 

 それはさておき、道場の古めかしい大きな門に備えついてあるインターホンを押してビーと鳴らし、応対を願う。

 

 インターホン越しから音声が聞こえてから用件を伝え、しばらくすると切れ目の無い門の脇に隠されていた扉が開いた。

 

 

 

 

「──おはよぅ。待ってたよぅ二人共ー」

 

「おはようさん、マリカちゃん。出迎えありがとな」

 

「おはようございます、マリカちゃん」

 

 

 出迎えに来たのは長身で、出すとこ出してたわわに実ったモデル体型な女性。

 鮮やかな青緑色の髪をサイドテールでまとめ垂らし、チャイナドレスに近い服装を着こなしてる。

 

 彼女の名前は人刹マリカ。

 この<気門道場>の師範代であるハゲジジイこと人刹郎斗の娘であり、今年で中学3年生である。

 

 

 

 ……ええ、このスタイル抜群なグラマラスぼでーなのに中3ですよ。

 こんなん目にしたら思春期な同級生どもの性癖こわれちゃ~う。

 

 

 

 

 

 

 

 にしてもほんとにうお、デッカ…………んぎゃっ!? 

 

 

「に・い・さ・ん? あまり女性の身体をジロジロとみるものじゃありませんよ?」

 

 

 痛みのする方に顔を向けると、そこには()()()()と凄みのある笑顔をした妹が俺の脇腹をつねっていた。

 やだこの娘、いつの間にそんな顔出来るようになったの? お兄ちゃんびっくり。

 

 

 でもちょっとマイシスター、兄ちゃんが悪かったから脇腹つねんといて。

 地味に力入れてるのか割と痛いんやけど? アーイタイイタイイタイッ! 

 

 

「全くもう……(そんなに見たかったらハルナのを見てほしいです、兄さんのバカ……)」

 

「あはー、ふたりとも仲がいいねぇ」

 

 

 こちらの兄妹漫才を見てマリカちゃんは愉快にからからと笑う。

 まぁ兄妹仲悪いより良い方がいいしな。仲良さそうに見られているなら兄としてはヨシ! 

 

 

 

 

「──おう、誰かと思ったらお前さんらか。やっと来たか」

 

 

 マリカちゃんの後ろから渋い男性の声が聞こえる。

 

 開いてる扉の奥を覗くように見ると、サングラス掛けた禿げ頭の小柄な老人がこちらに向かって来ていた。

 長く真っ白の髭が風でゆらりと揺れながら、作務衣姿でピンとした背筋でいることが高齢ながらも身体は健康そのものといえる証を示している。

 

 彼がこの<気門道場>の師範代の人刹郎斗である。

 正妻一人に愛人7人という一夫一妻制から真っ向に喧嘩売っている現代版カエサル*1並の所業を行っている。

 それでいて子供は20人以上、孫の数はその倍以上はいるというエロジジイだが、意外にも家族関係は崩壊しておらず合意で関係が続いているとかなんとか。

 

 

「おはようございます人刹師範。今日もよろしくお願いします」

 

「おっすジジイ、相変わらず元気そうd──あだっ!?」

 

 

 あ痛ってぇこのジジイ!? 隠し持ってた服のボタンを手で飛ばしてこっちの額に当てて来やがったな! 

 

 

「全くお主は……ちっとは年長者を敬わんかい。それに比べて遥奈ちゃんはいつも礼儀正しくて、感心感心!」

 

「…生憎と俺は、初対面でいきなり拷問かましてきた相手を敬わない主義なんだよ!」

 

「でもぉ、根を上げずにその体験修行をやり切ったれい兄もれい兄だけどねぇ」

 

「兄さんってば……師範すみません。最近物騒なので、今日は兄さんが付き添いで来てくれました」

 

「うむうむ、遥奈ちゃんに免じて許そうじゃないか。にしてもマリカほどじゃないがすくすくと育って……将来が楽しみじゃな!」

 

 

 おうエロジジイ、妹が美人なのは同意だが色目使うならしばいたろか。

 あとでこのことをあんたの奥さんにチクってやる。

 

 

「おいお主それは禁止じゃろ!?」

 

 

 あ、何言ってんだおめぇ? 気門道場ではルール無用だろ? 

 

 まぁおふざけはこれくらいにして、バイト前に少々闇ファイトのこととかで話したいのもあるからさっそく道場へと、お邪魔するわよ~。

 

 

*1
ローマ歴史の偉人であるカエサルのこぼれ話として「ハゲの女たらし」というものがある。





紅き裂傷。それは異界の走り屋達の象徴であり、誇りでもある。


──<疼く紅スカー>


おま〇け:礼也の家族について
・孝州布 遥奈
孝州布家の長女で礼也の妹。
Lifeの強さは同年代ではかなり強く、マリカとも普通にやり合えるレベル。兄とフッツー(によるLifeレクチャー)の賜物だな。

礼儀正しく良い娘。最近兄に向ける親愛が強いと傍からはそう見られている。
なお、向けられてる当人は「甘えん坊だなー」と呑気に考えてる模様。

キャラの見た目イメージは艦これの金剛型三番艦の榛名。巫女服や電探カチューシャの服装はしてない。
まだ中1な為、見た目は元のキャラよりも少し幼めだがLife主人公であるユウキちゃんよりかはナイスバディ。高校に入ってくらいで元に近い見た目になる。

使うデッキは"華唄翼歌姫(ハミング・ハルピュイア)”。
ハルピュイア・歌姫の種族に【飛行】とその他の能力を持つウィニー寄りのクリーチャーと、使用後に秘宝カード扱いで場に残る"華唄(ハミング)”魔法で構成されたコントロールタイプのデッキ。
それらを駆使して盤面を支配(コントロール)し、弱った所を一気呵成に攻め立てるのが特徴。


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