陰の実力者の親友   作:はちりんご

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9話

私は学園の研究室で考え事をしていた。

 

まさかシドとアレクシアが付き合うなんて。まぁ可能性の一つとして考えてはいたけどまさか本当になるとは全く思わなかった。流れとしてはシドがモブっぽいとかそんな理由であのよくわからん二人と告白の罰ゲームをした。それをアレクシアにうまく使われてしまった。ってところかな。アレクシアから聞いた話から想像しただけだから分からないけど。

 

にしても面白いことになったなー。流石だね。シドが関わった瞬間大抵のことは面白くなるんだから凄いエンターテイナーだよ。

 

「アレナさん。どうしたんですか?随分と考え込んでいる様子ですが」

 

私があまりにも話さないので不思議に思ったシェリー先輩が心配して話しかけてくれた。

 

「ん?いや、ごめんなさいね。せっかく来てもらったのに」

 

前回は私がシェリー先輩の部屋にお邪魔させてもらったので今日は私の部屋に招いた。本来ならお互い研究でとても忙しいのだがテスト明けというのもあり暇があった。

 

「いえ、誰かの研究室に行けることなんて中々出来ることじゃないのでうれしいです。それで、何のことを考えていたんですか?」

 

「私では体験できない恋をことですよ。シェリー先輩は恋ってしたことありますか?」

 

「こっ、恋ですか!?わ、私は今まで研究ばっかしていたのでろくに男のことも話したことなくて」

 

そんな気はしていた。そもそもこの学園皆研究狂いしかいないから恋愛出来ないんだよね。って女子寮にいた生徒が言ってたっけ。

 

「ふふ、いつかシェリー先輩に良い人が現れることを祈ってます」

 

 

 

 

 

「やぁ、元気してるー?」

 

私はシェリー先輩と研究の雑談を数時間した後、アルファに会うためにミツゴシ商会に来ていた。ミツゴシ商会はシャドウガーデンの頭脳担当であるガンマが会長を務めている今流行りのお店だ。商品はシドが適当に言ってたことを実現化したり私が単純に欲しいものを言っていった結果前の世界の物が置かれていたりしているので私も時々訪れている。

 

しかし、裏ではシャドウガーデンの王都拠点となりつつある。私はアルファをからかうためだけにここに来ることがある。また、シドと話すには便利なのでその為に来ることもある。

 

「元気よ。気分は最悪だけど」

 

アルファは幹部異常しか基本来ない会議室にいた。

 

「そっかー、そりゃそうだよね。大切な彼g」

 

「黙りなさい」

 

アルファは私が言葉を最後まで言う前に持っていたペンを矢の様に飛ばしてきた。もし訓練場かどこかにいたら剣を投げられていたことだろう。

 

でもしょうがないよね。いじる材料があったらいじらないという選択肢なんて選べないのだから。うん、しょうがない。

 

「ごめんなしゃい。それで、どうするのー?このまま放っておくの?」

 

「一応監視はしているわ。今のところは特に何かをするつもりはないわ。…あなたはどうするの?」

 

アルファは私を真剣なまなざしで見つめてきた。

 

「どうしてほしいの?」

 

私はアルファと作戦の話をするときに毎度聞く。しかし何かを命じられたことは無い。それは私が指示に従うことがないことを理解しているからだ。

 

私はシャドウガーデンのナンバーズという幹部に一応なっている。そのためアルファの部下という形になっている。ただ私はシドと元々知り合いということもありアルファも指示をすることに少し躊躇いがあったが、一度だけ教団への襲撃を手伝ってと言われ手伝ったときに私が教団の人間で実験し始め収集が着かなくなりそれ以来アルファが私に指示することは無くなった。

 

「…何もしないで。と言ってもあなたは聞きそうにないわね。…それで、教えてほしいのだけどアレクシア王女は彼のことをどう思ってるの?」

 

アルファはほんの少しではあるが顔を赤らめながらそう言ったと思ったが、少しだけ怖い顔になっていた。その顔で近づいてくるのはやめていただきたい。

 

「うーん。そうだなー。良いおもちゃって感じかなー。今のところはね」

 

私は絶対嫌だが、あいつは癖になる顔と性格をしているので付き合いたいという人が出てきてもおかしくないと思う。世の中には色んな価値観を持った人がいるし。

 

「そう、…良かった」

 

乙女だねー。やっぱり恋をすしている人は見ていて面白いねー。色々な表情をするから飽きない。学生が恋バナに花咲かせる理由がよくわかる。

 

「ところで、今七影は何人来てるの?」

 

七影とはアルファをはじめとする七人の最高幹部でシドが唯一自ら治療した人たちだ。いや、もう一人いたな。あの子もシドに治療されたんだっけ?私あの子苦手なんだよな。ちょっと怖くて、まぁあの子のことは良いや。

 

「5人よ。ゼータはいつも通り調査を、イータも変わらず実験ばかりしているわ」

 

ゼータのことを教えてくれた時だけは声が少し小さかったことを考えるにゼータの報告が中々こなくて寂しいのだろう。イータは逆に一か所にいすぎて心配になってくるレベルだろう。私としては会いやすくて助かるのだけど。

 

「そっかー。5人か、結構ちゃんとそろっているんだね」

 

「そうね。これが教団関係なくそろっていたならうれしかったのだけど。…これが終わったらパーティーでも開きたいわ。そんな時間は無いでしょうけど」

 

アルファは七影の誰よりもシャドウガーデンを家族だと思い、大切にしている。そのため皆が顔を合わせる機会をいまかいまかと待ち望んでいる。しかし、それぞれ忙しく集まってる暇などないので、中々会えない。

 

「ないなら作ればいいでしょ。シドが来るっていえば皆どうせ来るんだから」

 

「それだと、彼に迷惑がかからないかしら」

 

「気にしなくていい。アルファがシドに迷惑をかけるかなんて気にしなくていい。逆にどんどん迷惑をかけちゃっていい。それぐらいじゃなきゃシドと対等に離れないよ。私とシドはお互いの迷惑なんて微塵も考えていないよ。逆に迷惑が掛かったほうが面白いなんて思っている」

 

「対等。そ、それで彼に嫌われたりされたらどうするの?」

 

アルファは思っていたより自己肯定感が低い。悪魔憑きふだった頃の自分を今でも思い出すのだろう。シャドウガーデンの新人が夜思い出して寝れなかったり酷くうなされているとイータから聞いたことがある。いくら時間が経ったとはいえそう簡単に忘れられるものではないだろう。それにより、最近は無いが捨てられないかなど気にしていることもあった。本当に会った初期のことだが。

 

「それは無い。シドは基本人を嫌わない。シドは感情が一部欠落していたり薄れている。その証拠に私は今までシドが人の悪口を言っているのを見たことがない。そんなシドがアルファを嫌うことは可能性がとても低い。それに、シドは結構アルファのこと好きだと思うよ」

 

すると、アルファは顔が一気に赤くなった。ここまで赤くなっているのは珍しい。アルファはちょくちょく照れるが照れを前面に出したことはあまりない。というか記憶にはない。そんな時だからこそ色々聞いてくれかもしれないと思ったので、私はアルファの前にとある瓶を置いた。

 

「…な、何?それ」

 

置いた後アルファの顔を見るとまで少し赤いがいつもアルファに戻っていた。流石だ。

 

「シドと仲良くなりたかったら使うといい。あいつに薬品の類は効かないんだけど、これは効くと思う」

 

実際に前世では聞いたわけだし、とはいえこの世界とあっちの世界では色々違うから分からないけど、効くでしょう。死体にも効いたし。

 

「本当に大丈夫なの?」

 

アルファは手に取り観察した後、疑いながら聞いてきた。

 

「大丈夫だって。安心しておきなよ。それじゃあねー。作戦の日はじっとしておくよー」

 

そう言って私は部屋から去っていった。渡したいものは渡せたしこれでオッケー。後でアルファに何か言われるもしれないけど関係なーい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてアレクシアは誘拐された。学園は大混乱。その容疑者としてシドは捕まった。とまぁ最近の流れを説明してみたわけだが、身内が大変そうでなによりといった感じだ。アレクシアはどうせぴんぴんしてるだろうし、シドも拷問を楽しんでいるだろうし、特に心配することは無い。

 

「アレナ、あなたは今回の事件どう思いますか?」

 

私は城にあるアイリス姉さんの部屋に来ていた。学園にある部屋で話すこともできるのだが学園では誰が聞いてるか分からないので城の部屋にしたというわけだ。私としても気を抜いた状態で話せるのでありがたい。

 

「そうですね、まぁ何かしらの権力者が関わった組織の犯行だと思いますよ。こうしてアイリス姉さんが動けていないことを見るに」

 

アイリス姉さんは国最強ということもあり動かれると止めるのが難しい。となると、行動を制限されるのは必然だろう。まぁ、どんまい。

 

「そうですね。ですが、いったい何の組織が?そして誰が私を邪魔しているのですか」

 

アイリス姉さんは動けないことなどの自分へのふがいなさにイラついていた。

 

「何よりどうして、どうしてアレクシアを」

 

怒ってらっしゃる。彼女は手を握りしめ語気が強くなっていた。アイリス・ミドガルという人間はとても正義感が強く小さい頃から国を大事にし王たる教育をされてきた。その影響かは分からないが若干私とアレクシアに過保護な一面がある。そんな彼女が大切な妹を誘拐されて怒らないわけがないだろう。

まぁ怒ったところで何か変わるわけではないけれど。

 

「まぁどうしてに関してはあまり考えなくていいですよ。アレクシアは王族ですし何をするにしてもちょうどいいでしょう。実験するにしても身代金を要求するにしても」

 

「だったら、私でもよかったんじゃないですか⁉」

 

「まぁ落ち着いてください。アイリス姉さんは強いでしょう?それに知名度も高いです。なのでリスクが高く誘拐するには色々と大変なんですよ。そして私はあまりにも表舞台に出てこないので誘拐するのがある意味アイリス姉さんよりも難しいかもしれません。とまぁアレクシアが一番楽なんですよ」

 

アイリス姉さんは私の話を聞いている間に落ち着きを取り戻していた。しかし、悔しさがにじみ出ている感情を表に出すのは姉さんの良いところだが、少し抑えてほしい。段々こちらもイラついてきた。

 

「まぁ今は待つターンです。姉さんが動くターンが来るはずなのでその時まで待ちましょう」

 

「…ええ、その時が来たら絶対に助けますからアレクシア、待っていてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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