陰の実力者の親友   作:はちりんご

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5話

シドとアルファの訓練を終え、私はぐっすり寝た。二人とは別で剣を振ったわけではないが、少し疲れていた。カゲノー家ではお姫様を演じなければいけない。それが思ったより大変。アレクシアはいつもこんな感じなのかとちょっと尊敬した。後、いつも実験して寝ないので何もすることがないのだから思い切り寝てやった。

 

起きると、11時近くになっていた。いやー、忘れていた。私は基本何もないとずっと眠りこけることがあることを。それで毎回アレクシアにいつも叩き起こされてたんだよね。最近はなくなってきたけど。

 

そんな私が起きた理由は、カゲノー夫人。つまりシドの母親が全く起きる気配のない私にしびれを切らして起こしたからだ。私はここに来てから夫人と行動を共にしている。流石に王族の子供を野放しにするわけにはいけないという考えだろう。まぁ当たり前だな。

 

そんなことで私は用意された部屋で遅めの朝食をとっていた。そんな時夫人は聞いてきた。

 

「一つ質問させてもらってもよろしいでしょうか?」

 

「ええ、構いませんよ。後、そんなにかしこまらなくてもいいですよ」

 

「そ、そうですか。では、何故ここに来たのでしょうか?ここは特に何かあるわけでもありません。社会学習だとしてもここである必要はありません」

 

夫人は目を細めた。元々細めではあるから違いはあんまり分かんないけど。

二回目だなこの質問。確かに王族が来るのはおかしいけど子供の気まぐれという考えはなかったのかな。

 

「別に何か悪いことをしに来たわけじゃありませんよ。まぁ色々理由はありますが、…一つ挙げるとすればクレアさんとお話がしたくて来ました」

 

これは今考えた嘘だ。そもそも私はカゲノー家を知った時にクレアの名前も知ったが顔すら分かっていなかった。

 

「クレアとですか?でもどうして、クレアが王都で話題にでもなってるんですか?」

 

「いえ、私の知り合いが偶然知っていたようで話題に上がったくらいですよ」

 

私にそんな知り合いいないけどね。社交界に出ないから全くと言っていいほど知り合いがいないんだよな。本当に困ったものだよ。

 

「そうなんですか。あの子は誰に似たのか分からないですけど気が強いところがあるので何か悪い噂が立っているんじゃないかと思いまして。常に堂々としていますし。だからアレナ様との挨拶であの子が緊張していて実はびっくりしたんですよ」

 

「へぇ、そうなんですか。確かにシドと話している時とはずいぶんと活き活きしていましたもんね」

 

今考えると、シドがクレアを面倒くさがっている理由はその活き活きしているところが嫌なのかもしれない。私とシドの共通点は姉弟に面倒なのがいることなのかもしれない。

 

「そうね。あの子は弟大好きだから。……シドとは仲いいの?」

 

「うーん。良いと言えばいいですかね。シドは昔の知り合いに似ていましてあまり他人な感じがしなくて」

 

似ているどころか本人だからねー。あいつの身体と精神がそのままこっちの世界に来たみたい。そもそも転生の原理が分からない。私はシドと違って身体は変わっているわけだし……まぁいいか。これはいつか考えるだろう。今の私の研究対象じゃない。

 

「そんな偶然もあるのねぇ。二人とも友人が少ないから仲良くしてくれると嬉しいわ」

 

今の夫人はカゲノー男爵家夫人としてではなく二人の姉弟の母親という顔をしていた。

私はその時思った。夫人がどんなに二人を気にかけたとしても二人は絶対に気づかないだろうなと、これは家族という関係がそうしているのだと家族をあまり理解していない私でも理解が出来た。

 

まぁ超能力者でもない限り人が何を考えているかなんて分からないから当たり前なんだけどね。だから会話をするべきなんだけど意識していないと難しい。そして絶対意識してもしないのがシド。これは勘でしかないがシドはいつか会話をちゃんとしないことで公開することになる。気がする。勘だから分からないけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことを考えているうちに食べ終わり私はクレアさんを部屋に呼び話すことにした。

 

「そんなに堅いくならず楽にしていいですよ。あまり慣れていないでしょう?かくいう私もあまり堅苦しいのは好きじゃないので」

 

すると、クレアは肩の力を抜いて少し足を崩した。朝食は窓際の足が着かない椅子に座り食べていたのだが足が着かないのにイラついてきたのでソファのある部屋に移動した。

 

「そう?では楽にさせてもらうわ」

 

やっぱアレクシアに似てる。話してる時笑わないように気をつけないと。

 

「ええ、そうしてください」

 

「あなたシドに何かしてないでしょうね!」

 

クレアは机に乗り出し顔を近づけ威圧してきた。初対面でここまでの迫力は初めてかもしれない。子供限定だけど。それにしても最初の質問がこれか。シドの言ってた通り面倒くさそう。

 

「してませんよ。どうしてそう思ったんですか?」

 

「王族の人間がこんな所に来るなんて何か企んでるに違いないわ。それにここに来てから私とじゃなくてシドとばっか話していたじゃない!」

 

…確かに。気が付いなかったが暇つぶしの材料としてシドは使いやすい。流石にここの使用人で遊ぶのは申し訳ないし。自然とシドと話していたのかもしれない。

 

「確かにシドと話していましたが何か意図があったわけじゃないですよ。ほらここには同年代が彼しかいないじゃないですか。だからです」

 

「同年代だったら私だって良かったんじゃないの?」

 

……これは、拗ねてる?そういえばクレアと話したいと思っていることを言ったときに夫人が言っていたことを思い出した。「クレアは気が強く気性が荒い部分もあるわ。だけど、年頃の女の子らしく同性の子と楽しくお話がしたいと思っている部分もあります。それを覚えていただけるとありがたいです」

 

つまりせっかく同年代の同性が来たのに自分ではなく弟であるシドとばっか話しているから拗ねちゃったわけだ。

 

「ふふっ、クレアさんって結構可愛らしい部分もあったんですね」

 

「ひゃっ、急に何!?褒めても何もないわよ!」

 

クレアは顔を赤らめ恥ずかしさを打ち消すように叫んだ。

やっぱり可愛い。こんな人がシドの姉なんて勿体ない。シドと立場変更できないかな。……いや、駄目だ。それだと実験費用が足りなくなるかもしれない。実験は楽しいし新たな発見が出来るが金を生み出すことは難しい。実験内容を発表すればどうにかできるが、……そういえばしたことなかったな。帰ったらしよう。

 

「何もいりませんよ。そうだクレアさん。訓練場に行きませんか?」

 

「いいけど、どうして?」

 

クレアは急な提案に動揺しながら提案を了承した。

私はそれを適当に濁して訓練場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に大丈夫なの?」

 

「大丈夫ですよ。私はミドガル家の人間ですよ。剣が使えなくてどうするんですか?」

 

私とクレアは剣を向けあっていた。クレアは剣を立てているが、戦意は出していない。私は剣の感触を確かめている。

 

「それはそうだけど…流石にまずいんじゃないの?」

 

意外だった。クレアのことだからノリノリで戦ってくれると思っていた。流石に身分のことを考えたのだろうか?さっきは全く気にしていなかった気がするけど。

 

「そうですよ。流石にまずいですよ。ばれたら王に怒られますよ。何よりアレクシア様にこのことが知られたら面倒になるんじゃないですか」

 

付き添いの兵士ごときがなんか言ってる。だが、確かにアレクシアにばれたら絶対戦わされる。それは回避したい。でも、今戦おうとしてる時点でもう遅い。だから気にしなくていい。王は……大丈夫だろう。

 

「気にするな。そんなこと一々気にしていたら物事が進むことは無い。それにクレアさん、

大丈夫です。問題になったら私の全権力を使ってどうにかします」

 

権力というのはこういう時に使うのだ。今使わないと一生使わない気がするし。アレクシアは常に使ってるけど、あれはあれで権力者らしくていいと思う。まぁ革命でも起きたら死ぬかもしれないけど。……起こそうかな。昔から革命の現場に立ち会ってみたかったんだよね。

 

「だったらー、よしっ。やりましょう。やるからには本気でやるわよ。手加減なんてしてあげないわよ!」

 

クレアは思い切りが着き剣を構えた。訓練の時とは違い少し力んでいるように見えるが誤差の範囲だろう。

 

「では、やりましょうか。そこの人!合図お願い。君が悩んでいても何も変わらないよ」

 

私はさっき私を止めようとした兵士に合図を頼んだ。そしてうだうだ悩んでいた様子だったので一言付け加えた。

 

「…それもそうですね。あまり私には関係のないことでした。では、…はじめっ!」

 

「やあぁぁぁ」

 

キンッ、クレアは始まった瞬間に思いっきり合間を詰めてきた。

なるほど、確かに脳筋だ。合間を見極めるなどは特にしないで力をひたすらぶつけてきている感じだ。

 

「セイッ」

 

ただ、完全に力任せというわけでもない。所々に技術の高さを感じる。この年齢にしては確かにすごい。アイリス姉さまとどっちが強いだろうか?と思ったけど流石にアイリス姉さまだ。差でいえばアレクシアに近いのかな?ちょっとそこのパワーバランスは分からないけど。

 

「クレアさんはいつも戦っているとき何を考えているんですか?」

 

攻撃をいなしながら聞いてみる。クレアは剣は動かしながら考えた。

 

「特に考えていないわ。しいて言うなら相手にどう強く剣をぶつけるか、とかかしらね」

 

なるほど。あんまり考えてないってことね。勿体無いなー。あのシドでさえ少しは考えているのに、これでは戦いの中で成長しない。いや、何かコツを掴んだら分からないけど。

 

「クレアさん。どうせなら何か考えたらどうです?さっき言った強く剣をぶつける。これをずっと意識するんです。一回一回の剣の振りや威力を見て、というか感じて?自分の癖などを知った方がいいと思いますよ」

 

「確かにそうね。考えたこともなかったわ。ありがとう」

 

すると、クレアはその場で立ち止まり考え込んでしまった。この人はどっちのタイプだろう?シドのようにそこそこすぐ考えるのを放棄するタイプか私みたいに考え始めると延々と考える人か。でも、嫌なことだったら誰だって思考を放棄するし、好きなことだったらいつだって考えられる。となるとあんまり人は関係ないかもしれない。

 

そんなことを考えているとクレアがこちらを向いた。考えをまとめたのだろうか?

 

「私ちょっとシドのところに行ってくるわ。それじゃ」

 

そう言いどっかへ行ってしまった。何か思いついたのだろう。

 

「さて、これからどうしよっかなー」

 

私は暇になってしまったのでどうするかを考えていると、忘れていたことを思い出した。思い出したというか当たり前のことだったので考えていなかった。今日はここに来てから4日目、つまり少しで帰ることになる。となると、ここで出来ることをやっておいた方が良いかもしれない。まぁ昼にやることはあまりないけどね。

 

 

 

 

 

 

 




ご覧くださりありがとうございます。
インフルにかかり少し遅れました。久しぶりにかかりましたけど結構つらいですね。皆さんも気負つけてください。
余談は置いといて、クレア回でした。クレアは割と好きです。でも、どう扱えばいいのか分からないです。アレクシアだったら所かまわず突っ込ませられるんですけど。
そろそろ学園に行きます。正直こっちの方が書きたかった。
ここが、良かった。ここを直した方が良いなどの、アドバイスをくださるとありがたいです。
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