陰の実力者の親友   作:はちりんご

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6話

クレアが去った後、私は夫人のもとへ戻り夜まで過ごした。

 

「お休みなさいませアレナ様」

 

「ありがとうございます。君ももう休みな」

 

カゲノー家の使用人が寝る直前まで世話をしてくれた。夫人は夕食を食べるまではいた。夕食は私もクレアやシドと一緒に食べるものだと思っていたのだけど違かった。そのおかげで一人寂しく食事することになった。まぁ自由という意味ではよかったのかもしれないが。

 

まぁそんなことは一旦おいておこう。私には今二つの選択肢がある。一つ目は寝る。シドがアルファのいる場所に行くまで少し時間ある。その時間暇なので仮眠をとる。正直この選択肢を取りたいのも事実。だが、問題は二つ目の選択肢だ。二つ目は先にアルファのもとに行き二人で話す。これはしてもしなくても今後に支障はでない。ただただ私が話してみたい。なので、どちらでもいい。

 

でもやっぱり話に行こう。色々聞いてみたいこともあるし、昨夜はずっと訓練をしていたせいで話す機会がなかった。まさか本当に帰るまで戦っているとは思わなかった。シドがいるんだしその可能性も全然あった。なのに気づかなかったのは目の前に魔力憑きから回復したサンプルがいたからだろう。

 

「さて、悩んでないで行きますかなー」

 

私はドアを確認しゆっくり窓を開けた。冷たい風が部屋中に流れた。

 

「ちょっと寒い。毛布でも持っていくか」

 

部屋にあった小さな毛布を手にして外へ降りた。私の部屋は館の中でも高い位置にあるので気負つけないと服が汚れてしまう。流石に戻った時に汚れていてはどんな馬鹿でも外に出たことが分かってしまう。それで行動が制限されたりしたら最悪だ。そのためにもきれいな格好をたまっていかなければならない。

 

そんなことを考えながら木の上を飛び渡り進んでいく。シドが開発したスライムスーツとやらを使えば汚れを気にせずどんな道を使ってもよかったのだけれどあのスーツというかスライムを体にまとわせるという行為が中々慣れなかったのである。後々慣れるつもりではあるが、今はいい。

 

「ここらへんだっけな?」

 

アルファがいるであろう小屋を発見した。その証拠に人影らしきものが見えている。特に脅かすわけではないがぁ足音を立てず静かに近づいていく。

 

「やぁ、アルファ元気にしているかい?」

 

「わっ、あなたね。少しびっくりしたわ。今度からはもう少し音を立ててくれないかしら」

 

まさか本当にびっくりするとはもしかしらクールに返すのかと思ったけどそうじゃなかった。控え目ではあるものの反応の良さを見せたことからアルファは偶にいじると味が出ると見た。これは良いことを知ったかもしれない。まぁ一旦それはおいておこう。この情報を使うのはもっと後のことになるだろうし。

 

「すまないね。足音ってヒールを履かないと良い音しないだろう?だから普段は足音を立てないようにしているんだ」

 

「そうなの?私はヒールの音を聞いたことがないから分からないわ」

 

エルフってヒール履くのかな?エルフは山の中に住んでいるはず、じゃあヒールを履いたら移動しにくい。でも上流階級だったら関係ない?分かんないなー。まぁいいか。エルフの国に行く予定もヒールを履く予定もないから。

 

「君もいつか履く機会があるかもしれないね。楽しみにしているといい。歩きにくいけどね」

 

「そう、昨日から聞いてみたかったのだけれどあなたはどこかの貴族なの?」

 

ふむ。正直に答えていいのだろうか?時が経てばどうやっても知ることになるだろうが、自分から言うのはなんか違う。

 

「そうだね。王国の貴族の子ではある。けど、そんなことを君が気にすることは無い。シドだって貴族だからね」

 

言ってて気づいたけどシドって貴族なのか。忘れてた。あまりにも貴族とは縁遠そうな顔をしているので忘れていた。でも、あのTHE無害のような顔が貴族らしい?私の近くには野心の塊のような貴族しかいないから普通の貴族が分からない。まぁいい。私は貴族なんて興味がない。

 

「そうなのね。でも、シドはあなたと比べて身分が低いのかしら?立ち振る舞いが少し違う気がするわ。あなたはシドと違って気品を大切にしているように見えるの」

 

よく見てるねー。私が気品を気にしているのは本当だ。これは元々の気質もあるが、一応王族として10年育てられきたのが染みついているのだろう。育てられたのは最初の5年くらいな気がするが、気にしないでおこう。

 

「正解。君は人をよく見ているね。それは今後役に立つと思うよ。戦闘においても普段においてもね」

 

「普段?」

 

アルファは普段についてあまり考えていなかったようだ。まぁ悪魔憑きから治ってまだ一日しかたっていないんだし普段の生活について考える時間も余裕もないか。

 

「ああ、普段だ。君は四六時中戦闘をしているつもりかい?そんなのつまらないよ。どうせ生きるなら楽しい方が良い。私はそうやって生きている。アルファ、君はどう生きたい?」

 

「私は、教団を倒す」

 

「それは知ってる。それとは別で何か目標を決めるといいよ。考えれば色々あると思うけど取り敢えず普通の女の子を目指してみるといいんじゃないかな?私も普通の女の子というやつに詳しいわけではないけどね」

 

そう。私は普通の女の子を知らない。家で実験してたらしょうがないけど。それに仲の良かった子も少々変わった人だったし、私の周りには変な人しかいないな。

 

「普通の女の子……私がそんなものを望んでもいいの?」

 

アルファは不安と混乱を表していたが目は希望と興味を浮かべていた。

 

「当たり前だ。望め、何でも望め。この世界のすべてを望んでもいい」

 

「それは流石に強欲過ぎない?」

 

「そんなことは無い。人はいつだって何かの欲によって動いている。欲がないとか言っている奴は皆ゾンビだ。人の形をしているだけの何かだ。今の君は教団への復讐心で人となっているだけ、教団を壊滅させた後はなーんもない抜け殻になってしまうよ。そんなのつまらない」

 

多分教団をつぶす過程で何かやりたいことを見つけるだろうけど、今はそんなことを考えていないだろう。そういう時期があるのはしょうがない。けど、その時間を見ていて面白いと思わない。特にアルファは目標を定めた時の方が輝くと私は思う。

 

「あなたは何かあるの?やりたいこととか」

 

「あるよ。たくさんある。私は実験が大好きでね。実験は素晴らしいよ。すればするほど新たな発見があり新たな疑問が出てくる。まさに永久機関だよ。ここに来てからはしていないけど帰ったらすぐに始めるよ。ここに来て色々な案が浮かんだからね」

 

本当に楽しみだ。元々進めていた実験もあるけど思いついた方をやってみたい気持ちもある。悩ましい。せっかくなら同時にやってみようかな。やろうと思えばできるし良いかもしれない。

 

「ふふっ、楽しそうね。私勘違いしてたかもしれないわ。最初あなたは私が嫌いなのだと思ってたわ」

 

「嫌い?どうして?私の態度に問題でもあったかな?」

 

私としてはなるべく親しみやすいようにしていたはずなんだが。

 

「いいえ、あなたの自己紹介はとても親しみやすい雰囲気だったわ。けど、あなた私と彼が訓練をしている時ずっと睨んでいたじゃない。だから私はてっきり彼を盗られて嫌ったのだと思ったのだけれど、違ったの?」

 

「あー、理解理解。私は昨日眠かったんだよ。それで目つきが悪かったのかもしれない。後、私はシドを盗られたところで不機嫌になったりしないさ。それに私としては彼に様々な人と関わってほしんだよ。彼はあまり望んでいなそうだけどね」

 

けど、シドだったら放っといても勝手に関わる気がするんだよな。あいつ行動の一つ一つが適当だから。

 

「てことで改めてよろしく」

 

「ええ、よろしく」

 

話はこんなもんでいいかな?特に何か収穫があったわけじゃないけどまぁいいでしょう。アルファとはこれから話す機会はいくらでもあるでしょうし。

 

「よし、アルファ。私と訓練しよう。シドが来るまでだけどね」

 

私はシド製スライムを剣の形に変形させて持った。アルファもつられて剣を取った。昨夜の様子を眠いながら見ていたがアルファは呑み込みが早い。教えていて気分がいいだろうな。私が教える機会はあまりないだろうけど。

 

「あなたは戦えるの?」

 

当然の疑問だね。私はここに来てからクレアとしか戦っていないからアルファは私の戦いは見てない。まぁ私の戦いは面白いものではないから見たところで何かを感じるわけでもないし見なくていいけど。

 

「戦えるよ。でもー、シドほどの技術はないね。そもそも私は武闘派じゃないし。でも流石に君に負けるほど弱くない。だから本気でぶつかってきていいよ」

 

「そ、そう。分かったわ。本気で行かせてもらうわ」

 

アルファは少し躊躇いが見えたがすぐ切り替え戦闘態勢に入った。

 

「セイッ」

 

アルファは全速力で距離を縮め剣を思いっきりぶつけてくる。私はそれをうまく受け流していく。そのまま正面から受け止めるなんて愚の骨頂。まぁ迫力は良いかもしれないけどね。私は迫力よりも芸術を大切にするタイプなんだ。

 

それにしても困ったなー。クレアの時もそうだったけど私は武術を嗜む程度でシドみたいに極めようとしてないから何が良くて何が悪いのか分からないからアドバイスができない。…まぁいいか。それはシドがやってくれるでしょう。だから私は別の方法で鍛える。

 

私は剣を扱いながら魔力を足に溜める。アルファの攻撃が一度落ち着いたその瞬間に魔力を地面に潜らせた。

 

「キャッ、何、これ」

 

アルファは魔力で出来た棘にとらわれた。これは私が魔法で遊んでいた時に編み出したものだ。魔力操作できる人なら割と簡単そうだけど、使っている人を見たことがないから難しいのかな?まぁどっちでもいいけど。

 

「面白いでしょこれ。私は剣がそこそこな代わりに魔力操作が得意でね。こういうのも出来ちゃうんだよ。すまないね。一言も言わずにしてしまって。けど、敵は一々何をするかは言ってくれないからね」

 

「それはそうね。でも、少し大人げないと思わないの?」

 

アルファはとらわれながら楽な姿勢になりこちらを軽く睨んだ。睨むというより拗ねてる?大人っぽい部分もあるけどやっぱり子供だな。

 

「ははっ、思わんこともないが君と私は同い年だからね」

 

精神年齢は結構差があるだろうけど。

 

「あなたって同い年なの⁉」

 

「おや、知らなかったのかい?てっきり知ってるものだと思っていたのだけど。シドは年言ってたし」

 

「知らなかったわ。だってあなたは10歳の落ち着き方ではないわ。それに、シドへの見下しているような言い方もあなたの方が年上だからなのだと思っていたわ」

 

中身が10歳じゃないからね。それにしてもそんなに見下した言い方してたかな?見下していた部分があったのは否定しないけど。

 

「確かに私は10歳とは思えないかもしれないけど君だって10歳とは思えないよ」

 

「そう?ありがとう。後、この棘から解放してくれない?これ結構苦しいのよ」

 

普通にしゃべるもんだからすっかり忘れてた。

 

「ごめんごめん。はいといたよ。それじゃシドが来たようだし訓練は終わり。特に何もしてないけどね」

 

「いいえ、敵は何をしてくるか分からないことが良くわかったわ」

 

根に持ってるなこれ。

 

「それは、良かったねー。うん。成長したね」

 

私はそのまま適当にごまかしながらシドが完全に到着するまで待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあまたいつか会いましょうクレアさん。それとシドも」

 

私が帰る日になりカゲノー家の人たちと挨拶をしていた。

 

「ええ、また来てね。絶対よ!こなかったら許さないんだからね!」

 

クレアと話した日からは日中は基本的にクレアと過ごしていた。随分となつかれたようだった。今度はクレアが王都に来てくれたら楽なのだが、それは難しいだろう。

 

「ええ、来ますよまた。カゲノー男爵にカゲノー夫人もお世話になりました」

 

特に夫人にはお世話になった。クレアがいる時も大体一緒にいたしずっと一緒にいたかもしれない。

 

「それではまた皆さま会いましょう」

 

私の気分はとてもいい気持ちだった。たまにはこうやって出かけるのもいいかもしれないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ご覧くださりありがとうございます。
これで幼少期の話は終わりです。学園に行きます。
これが今年最後になると思います。ではまた来年。
ここが、良かった。ここを直した方が良いなどの、アドバイスをくださるとありがたいです。
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