陰の実力者の親友   作:はちりんご

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7話

私は15歳になり、王都にあるミドガル学術学園に入学した。大陸最高峰の魔術学園で、国内はもちろん国外からも将来有望な魔術師や研究者が集うという。シドはミドガル魔剣士学園という魔術学園と隣接している場所に通っている。

 

学園では一人ずつ個別の研究室が与えられた。私は自室と地下に研究室があるから必要はないのだけど、研究室はいくらあってもいいからね。それに何か爆発しても許されそう。

 

そんなこんなで研究室を満喫していたが、せっかくの学園なので友達でもつくってみようかなと思い私は元々知っていたとある才女のもとへ訪れた。

 

「シェリー・バーネットちゃんはいるかい?いたら返事をしてほしいのだけどー」

 

しかし返事がなかったので部屋へはいると、小さな寝言が聞こえてきた。音のもとへ進むと机の上に山積みになった書物と可愛らしい顔があった。

 

「ふむ、寝てる。しかも扉を開けたままで…中々に不用心だな。誰かが研究内容を盗むかもしれないのに」

 

この学園では研究成果を盗まれることが少ないが無いことは無く、年に数回は盗まれる人が出ているらしい。これが起きるのは中々成果が出ず伸び悩んでいる時に起きることなので、年の終わり頃のピリピリとした空気の中で起き、偶然先輩が話していたのを聞いただけで自分が受けたわけではない。

 

「それにしても悩ましいな。この可愛らしい顔を見ると起こすのがはばかられる。しかし今戻ってもあまりすることがないしなー。……しょうがない。部屋の散策でもするか」

 

そう思いその場を離れ近くに落ちてあった紙を見ているとシェリーが起きてきたようでごそごそという音がした。

 

「んっ、寝ちゃってた」

 

「やぁ、おはよう。よく眠れたかい?」

 

私は薔薇がエフェクトで出てるような雰囲気で言った。あまりギャルゲーなどをしたことはないのでイメージでやってみた。

 

「・・・ギャーー!」

 

シェリーと目が合い数秒の沈黙の後、シェリーは叫んだ。

うん。私のイメージは合っていたのかもしれない。

 

「いやー、良い反応。改めておはようございます。シェリー先輩」

 

「お、おはようございます?すみません大きな声だして」

 

シェリーは状況をまだちゃんと理解していないのと寝起きなので言葉がおぼつかないようすだった。

 

「いえ、こちらこそ寝ていたとはいえ無断で入ってしまってすいません。ついでに言うと扉の開け閉めはしっかりすることをお勧めしますよ。危険なので」

 

「あ、はい。気負つけます。それであなたは…アレナ・ミドガル様ですか?」

 

「どうしてそう思ったんですか?」

 

シェリーさんは私との面識はなかったはず、何処かで見かけられていたら知っているかもしれないが私は基本城にいる。城から出る時も基本お忍びが多いので誰かから私の容姿を聞かない限りは分からないはず。なんだけどこの人は聞いててもおかしくないな。

 

「いえ、私の研究室に来る人は少なかったのでもしかしたら階級の高い人なのかなと思って、後、先輩って言ってたので後輩なのかなって。それで学術学園にいる階級の高い後輩といえばアレナ様なのかなって」

 

「素晴らしい。大正解です。私はアレナ・ミドガルです。初めまして」

 

「はい、始めまして。シェリー・バーネットです。それでどうしてアレナ様はここへ?」

 

どうしよっかなー。流石に暇だから友達になりにきました。って言っても嘘くさいしなー。かといって研究のことを聞くわけにもいかないし、良い感じの理由はないかねー。ないよねー。

 

「実はシェリー先輩のことを姉から聞きましてどうせなら会ってみようかと思いまして。それに、まだ入学からあまりたっていなくて先輩として色々聞けたらなと思い伺いました。ご迷惑ではありませんでしたか?」

 

「いえ、迷惑だなんて、いつでも来てください。…アレナ様のお姉さまというと、アイリス様とアレクシア様のどちらでしょうか?あまりお二方とは関わりがないのですが」

 

「アイリス姉さまの方ですね。シェリー先輩は若いのにとても優秀な研究者だと言っておりましたよ。私個人としても元々興味はあったんですよ。お会いする機会はありませんでしたが」

 

アイリス姉さまとシェリー先輩の話をしたのも元々会いたかったことも本当だ。まぁ会う機会がなかったのは嘘だが、権力を使えば会うことなんて簡単だ。

 

「そうだったんですか。嬉しいです。それに私はまだまだです。研究者としてはアレナ様の方が優秀じゃないですか!あんなにも沢山の発明をして」

 

この子は謙虚だ。もしくは自己肯定感が低いのか。どちらもかもしれない。それは美徳かもしれないけど、つまらないな。

 

「シェリー先輩。あなたは将来どんな研究者になりたいんですか?」

 

「私は、そうですね。あまり考えたことは無かったですけど、…私は母が亡くなった後私を育ててくれたお父様の為にも母の研究を進めたいです。ってこれは今の目標ですね」

 

良い子だなー。つまらないから何か言おうと思ったけどやめておこう。この子に何か悪影響を与えると面倒になりそうだし。純粋って感じ、デルタとは違うんだけどなんかすぐ騙せそうな雰囲気。頭は良いのだけど、どこか抜けてるって感じなのかな?

 

「良い目標ですね。私にはこれといって目標は無いので羨ましいです」

 

「そうなんですか⁉意外です。アレナさんは常に何かを発明して発表しているので何か大きな目標に向かって頑張っているのだと思っていました。でも、凄いですね。私は研究は好きですけど目標があった中でやってきていたので目標がないと今みたいに頑張れるかわかりません」

 

何故か急にさん呼びになったが私も違和感があったのでいいだろう。それに様呼びって距離を感じるからあまり好きじゃないんだよね。王族に生まれたからしょうがないのだろうけど。

 

「確かに目標があった方がやる気も出ますし良いかもしれませんけど、シェリー先輩ならきっかけが無かったとしても研究はやるんじゃないですかね?研究者ってそういう生物だと私は思います」

 

「そういうものなんでしょうか?」

 

シェリーには私の考えがあまり理解してもらえなかったようだ。正直私も言ったことは本音が混じってはいるものの結構適当だ。

 

「まぁそんな私の話はどうでもよく。シェリー先輩。私と友達になりましょう」

 

そう言って私はシェリー先輩との距離を少し縮めて片手を差し出した。友達になろうとちゃんと言ったのは初めてかもしれない。そもそも友達になろうって言う機会なんてあんまりないからな。

 

「えっ、はっはい!よろしくお願いします。嬉しいです」

 

シェリー先輩は予想外だったのか緊張だったのか声が上ずっていたが、しっかり私の手を両手で握ってくれた。…手が小っちゃい。

 

「では、私はこの後用事があるので失礼します」

 

「はい、また来てください」

 

私は軽くお辞儀をして部屋を去っていった。シェリー先輩は部屋から少し体を出し手を振って見送ってくれた。

 

さて、友達も作れたことだし戻りますかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま皆。お利口さんにしていたかい?」

 

私は城にある自室ではなく王都のとある地下にある研究所に来ていた。ここでは城や学園では出来ない研究をしている。ばれたら怒られるでは済まないだろう。

 

そんな研究所にはもちろん私が今までやってきた研究物がいる。なのでここには何があっても数日に一回は来るようにしている。初めてクレアに会いに行った時は大丈夫だったのだが、それ以降は一週間は行けなくなった。私が少しでも長く来ないと脱走の恐れがあったからだった。

 

ここにいる子は私を親のようなものだと思っているのでいなくなると寂しいのだろう。感情という昨日を付けない方が良かったかとも思ったがそれはつまらないので却下した。

 

どんな生物であろうと感情が無かったら死んでいるようなものだ。まぁそもそも生物かも怪しいのもいるけど。

 

にゃー

 

この子は私が最初に作った子だ。雪のような白の毛皮をまとっている。なので名前はユキだ。作ったというより改造したの方が近いかもしれない。この子との出会いはクレアに会いに行く数週間前丁度アレクシアが拗ねていた時期に城でけがを負っている状態で拾った。

 

そのまま放っておくと死にそうだったので一応拾ったがその判断は大成功だったと今では思う。ユキを改造したことがきっかけでその後、何か生物を改造することに躊躇いが無くなった。何よりユキは可愛いそしてもふもふ。どんな日々には癒しが必要だ。ユキはただの猫にしか見えないので城に連れて行ったとしても怪しまれないのも良いところだ。

 

「アレナ様。シェリー・バーネットに接触したんですね」

 

ユキを撫でていると白衣を着た私の部下が話しかけてきた。というか何故シェリー先輩と会ったことを知ってるんだ。私は直でここに来たというのに。

 

「そうだけど。どうして知ってるのかな?私は今日の行動を誰にも言っていないはずだけど?」

 

「上司の行動を把握するのも部下の役目ですので」

 

だとしてもプライベートまで把握するのはどうなんだろう?私は社会に出て仕事したことは無いから分からないけど。

 

「そっか。ところで誰か脱走したの?なんかあわただしいけど」

 

来た時から少し気になっていたがさすがにうるさいので聞いてみた。研究室はそこそこ大きいので管理が行き届いていない場所が偶にできる。その間にトラブルが起きることがある。そういう場合は基本セキュリティが発動して解決するのだが、セキュリティを突破できるものがここにはわんさかいるので私直々に動く必要がある。

 

「実は番号41番が先ほど脱走したらしく、その対応に追われていて」

 

「41番…あーなるほどあの子か。それはまずいね」

 

41番は私が水に魔力を思いっきり流し続けた結果生まれてしまった怪物だ。しかし、あの子が脱走するとは思えない。あの子は魚と同じで水中でしか活動できなかったはず、なんだけどなー。

 

「はい、気づいたころには水槽からいなくなっていたらしく、行方が分からないんです」

 

「なるほどね。ここの人員を増やすべきなのかな?」

 

ここは実験物が100を超えるのに対し管理し実験する人は10人にも満たない。

 

「私は嫌ですよ。特に教団の人間は嫌です。あそこのやつらはゴミしかいません」

 

「君のその憎悪は嫌いじゃないよ。でも、人員が足りてないのは問題だしなー。……あー、でもそろそろ優秀な子がフリーになるな」

 

「でしたらその子を絶対確保してください。絶対ですよ!」

 

圧が強いな。どんだけ困ってたんだ。まぁその話はとりま置いといて、41番を探すか。

 

「はいはい、分かりました。じゃあ41番探しに行くよ。あの子の水槽どこだっけ?」

 

あの子は他も水中生物と勝手が違うので水槽の位置を変えている。そのため私は場所が分からない。

 

「…ちゃんと誰がどこにいるのか覚えてください。あなたはここの管理者なんですから。そもそも何で忘れているんですか?」

 

感情の起伏が激しい人だ。呆れたり怒ったり、感情が行ったり来たりして疲れないのかな?

 

「忘れちゃうでしょ、普通。私は毎日ここに来てるわけじゃないんだから」

 

「はぁ、そうですね。ではついてきてください。案内します」

 

私は周りに異変がないか観察しながらついていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ご覧くださりありがとうございます。
あけましておめでとうございます。新年一本目です。
凄く中途半端なところで終わってしまってすいません。切りがいい場所がなさそうで強制的に切りました。
今年も一定の期間で投稿できたらと思っています。
ここが、良かった。ここを直した方が良いなどの、アドバイスをくださるとありがたいです。
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